直木賞のすべて
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第117回

=受賞者=
篠田節子
浅田次郎

=候補者=
藤田宜永
姫野カオルコ
黒川博行
宇江佐真理


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Last Update[H20]2008/1/3

宇江佐真理
Ueza Mari
生没年月日 昭和24年/1949年10月20日〜
経歴 本名=伊藤香。北海道函館市生まれ。函館大谷女子短期大学家政科卒。OLの後、主婦。時代小説大賞で最終選考まで残ったこともある。「幻の声」でオール讀物新人賞受賞。
受賞歴 第75回オール讀物新人賞(平成7年/1995年)「幻の声」
第21回吉川英治文学新人賞(平成12年/2000年)『深川恋物語』
第7回中山義秀文学賞(平成13年/2001年)『余寒の雪』
処女作 「幻の声」(『オール讀物』平成7年/1995年5月号)
サイト内リンク 付録-吉川英治文学新人賞受賞作・候補作一覧(第20回)
付録-吉川英治文学新人賞受賞作・候補作一覧(第21回)
付録-山本周五郎賞受賞作・候補作一覧(第16回)
付録-オール讀物新人賞受賞作一覧(第75回)
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直木賞 117回候補  一覧へ

まぼろし こえ かみゆいいさじとりものよわ
幻の 声―― 髪結い伊三次捕物余話』
(平成9年/1997年4月・文藝春秋刊)
書誌
>>平成12年/2000年4月・文藝春秋/文春文庫『幻の声 髪結い伊三次捕物余話』
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収録作品の書誌
幻の声
>>初出『オール讀物』平成7年/1995年5月号
暁の雲
>>初出『オール讀物』平成7年/1995年10月号
赤い闇
>>初出『別冊文藝春秋』216号[平成8年/1996年7月]
備後表
>>初出『別冊文藝春秋』219号[平成9年/1997年4月]
>>平成19年/2007年5月・小学館/小学館文庫『時代小説アンソロジー4 職人気質』所収
星の降る夜
>>書き下ろし
>>平成17年/2005年9月・光文社/光文社文庫『撫子が斬る 女性作家捕物帳アンソロジー』所収
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選評の概要
選考委員 評価 行数 評言
田辺聖子 15 「何とも魅力的な主人公の男女。」「これだけ描ききれれば、背後の捕物帖めいたことはつけたしでいいかと思ったほど、私の評は甘くなった。しかし、やはり捕り物がしっかり書けていないと、小説宇宙が構築されないという他委員の意見に従う。」
黒岩重吾 28 「この作品群には暗い艶がある。それを感じさせただけでもかなりの才能の持ち主だ。だが、それぞれに見逃し難い瑕がある。」「作者はストーリー作りに溺れ、人間を描くことを忘れてしまっている。そのことに気づいたなら作者の才能が花開く日も近いのではないか。」
阿刀田高 13 「江戸市井の人情と気配を入念に、だが、さりげなく描く筆致は真実みごとである。ただ、必ずしも捕物帳としてのストーリイ性を求めるわけではないけれど、もう少し読者を楽しませ、納得させる“お話”の要素があってもよいだろう。」
平岩弓枝 9 「佳品であった。状景はこれで充分だが、人間の書き方はまだまだ浅い。」「何故そうしたのか、何故そうなるのかを書き切らないと読者を納得させ、感動させるには至らない。」
渡辺淳一 17 「主人公が髪結いで同心の手下という設定が面白く、お文という辰巳芸者も生きている。しかしそうした人物を抜いて、小説の構成や説得力となると、いささかご都合主義で弱すぎる。」「ともかく、「野に遺賢あり」とでもいうべき新人の登場である。」
津本陽 12 「作品の構成については粗雑な点が目につき、完成度に劣ることが分っていたが、この作者の肉声を耳もとで聞いているような、圧倒的な語りかけの力はなんだろうと、たやすく引きこまれた。」「この作者の内部から溢れ出てくるゆたかな感情の魅力を、忘れたくはない。」
井上ひさし 26 「細部が具体的でおもしろく、文章もいい。端倪すべからざる書き手の登場である。もっとも、肝心かなめの事件そのものに謎が乏しい。」
五木寛之 10 「新人とは思えない筆さばきで、これはまちがいなく本物の小説家だ。無理に推理小説に仕立てずに、ミステリーの手法を生かした物語を考えたほうが、この人の才能を生かすことになりそうな気がする。」
選評出典:『オール讀物』平成9年/1997年9月号
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文量
連作短篇集
時代設定 場所設定
江戸  江戸
登場人物
お文(源氏名・文吉、深川芸者)
伊三次(廻り髪結い、町方同心の手先、お文と恋仲)
おみつ(お文の女中)
不破友之進(北町奉行所の定廻り同心)
いなみ(友之進の妻、元芸者)
幻の声
章立て
「一」〜「六」
暁の雲
章立て
「一」〜「七」
赤い闇
章立て
「一」〜「七」
備後表
章立て
「一」〜「七」
星の降る夜
章立て
「一」〜「六」




直木賞 119回候補  一覧へ

さくら
桜花を 見た」
(『別冊文藝春秋』223号[平成10年/1998年4月])
書誌
>>平成16年/2004年6月・文藝春秋刊『桜花を見た』所収
>>平成19年/2007年6月・文藝春秋/文春文庫『桜花を見た』所収
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選評の概要
選考委員 評価 行数 評言
田辺聖子 7 「ちょっと期待はずれ。時代ものは制約が多いので苦労されるだろうが、初心のころのキラキラの輝きを忘れずに。」
阿刀田高 11 「おもしろい読み物になっているけれど、これ一篇で評価するのはむつかしい。」「他の委員から時代考証の弱点を指摘され、更にマイナス点を考慮せねばならなかった。」
黒岩重吾 0  
津本陽 8 「前作のような独得の情緒がうすらいだようである。時代小説の考証をこころがけ、ていねいに書きこむことに努力すべきだろう。遠山金四郎を材料にするのは、得るところがすくないのではないか。」
平岩弓枝 14 「この作者は今、こうした作品を書いている場合ではないと、忠告したい。」「一応、時代考証を下敷にして作品を創り上げようとしているこの小説の書き方からすると、間違いが多く指摘されるし、安易にすぎる。」
渡辺淳一 6 「前回、彗星のような登場に目を奪われたが、今回はそれに比べて数段落ちる。」
五木寛之 9 「私の期待の星と言っていい書き手なのだが、(引用者中略)いささか肩すかしをくらった感があった。」「単行本で出ている「銀の雨」のほうがはるかにいい。」
井上ひさし 11 「江戸の時空間の把握に疑問がある。」「話のつくりもずいぶん安直だし、なによりも、このあいだまでたしかにあったはずの、素直で清潔な持ち味が、なぜかすっかり汚れてしまっている。」
選評出典:『オール讀物』平成10年/1998年9月号
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文量
中篇
章立て
「一」〜「六」
時代設定 場所設定
江戸後期  江戸
登場人物
英助(太物屋「いせ辰」の奉公人)
お久美(「いせ辰」の出戻りの娘)
遠山左衛門尉景元(北町奉行、のち南町奉行)





むろ うめ いしゃおぼ ちょう
室の 梅――おろく 医者覚え 帖』
(平成10年/1998年8月・講談社刊)
書誌
>>平成13年/2001年9月・講談社/講談社文庫『室の梅 おろく医者覚え帖』
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他文学賞 吉川英治文学新人賞 20回候補 一覧へ
選評の概要
選考委員 評価 行数 評言
阿刀田高 4 「死にたずさわる者と生にたずさわる者とを夫婦にしたところはおもしろい。そこから生み出されるもの、ストーリィの展開、どちらも弱かったのではなかろうか。」
井上ひさし 0  
北方謙三 7 「その巧みさは充分に愉しむことができたが、どうしても長篇と互するだけの圧倒的な迫力に欠ける、という物足りなさがつきまとった。」
野坂昭如 5 「(引用者注:ぼくならば)妻が産婆なら、亭主を首斬り役にしたろう、しかもなお、平次とお静みたいな、夫婦。」
林真理子 0  
選評出典:『群像』平成11年/1999年5月号
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しこん かみゆいいさじとりものよわ
紫紺のつばめ―― 髪結い伊三次捕物余話』
(平成11年/1999年2月・文藝春秋刊)
書誌
>>平成14年/2002年1月・文藝春秋/文春文庫『紫紺のつばめ 髪結い伊三次捕物余話』
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収録作品の書誌
紫紺のつばめ
>>初出『オール讀物』平成9年/1997年10月号
ひで
>>初出『オール讀物』平成10年/1998年1月号
菜の花の戦ぐ岸辺
>>初出『オール讀物』平成10年/1998年3月号
鳥瞰図
>>初出『オール讀物』平成10年/1998年6月号
摩利支天横丁の月
>>初出『オール讀物』平成10年/1998年10月号
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選評の概要
選考委員 評価 行数 評言
阿刀田高 6 「手堅いけれど、新しい書き手の登場を訴える華やかさが見えにくい。ルーティンを越えて、もっと高いところへ飛翔してほしいと願った。」
平岩弓枝 10 「連作読切の作品の連載中の何回か分を一冊にまとめたものの弱さが目立った。レギュラーの人物のキャラクターも不充分だし、強烈な個性を持つゲストも登場していないのでは、どう書いても読みごたえのある作品には仕上らない。」
黒岩重吾 19 「作者が伊三次に溺れ過ぎているのを感じた。そのため小説にとって大事な描写に眼が届いていない。」「今回の作品には(引用者中略)手抜きが多い。」
津本陽 10 「楽しみつつ読むことができた。」「市井譚としての個性を確立できたかといえば、スケールがいま一段といわざるを得ない。」
田辺聖子 10 「どれもすっきりと仕上った作品だが、中では「菜の花の戦ぐ岸辺」がいい。だんだん氏のファンもふえたように思われるので、自信をもたれて思うことを思うさまお書きになればいいと思う。」
井上ひさし 26 「今回は、捕物帳の枠をうんとひろげて、市井の人情ものに移行しつつあるように見える。もっともここが評価の分かれるところ。」「捕物帳としておもしろく、市井人情ものとしても読者を唸らせるような作品を徹底して心がけられたら、新しい分野が拓けるのではないか。」
五木寛之 0  
渡辺淳一 3 「長篇ばやりの今日、期待して読んだが、結果は失望に終った。」
選評出典:『オール讀物』平成11年/1999年9月号
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文量
連作短篇集
時代設定 場所設定
江戸  江戸
登場人物
お文(源氏名・文吉、深川芸者)
伊三次(廻り髪結い、町方同心の手先、お文と恋仲)
おみつ(お文の女中)
不破友之進(北町奉行所の定廻り同心)
伊勢屋忠兵衛(材木屋、お文の旦那)
紫紺のつばめ
章立て
「一」〜「五」
ひで
章立て
「一」〜「七」
菜の花の戦ぐ岸辺
章立て
「一」〜「六」
鳥瞰図
章立て
「一」〜「七」
摩利支天横丁の月
章立て
「一」〜「七」





ふかがわこいものがたり
深川恋物語』(平成11年/1999年9月・集英社刊)
書誌
>>平成14年/2002年7月・集英社/集英社文庫『深川恋物語』
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収録作品
「下駄屋おけい」「がたくり橋は渡らない」「凧、凧、揚がれ」「さびしい水音」「仙台堀」「狐拳」
 
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他文学賞 吉川英治文学新人賞 21受賞 一覧へ
選評の概要
選考委員 評価 行数 評言
浅田次郎 14 「図抜けていると思い、この一本を推すつもりで選考会に臨んだ。」「テーマの拡散とストーリーの肥大が特徴的な昨今の小説の中にあって、すべての点において凝縮され選択を重ねられたこの作品集は、まさに王道を行く感がある。」「巻末「狐拳」の最終部分五行において、難なく視点変換をなしうるあたり、他の候補作の追随を許さぬ力量は歴然たるものがあった。」
阿刀田高 17 「とりわけ(引用者注:収録作の)「さびしい水音」がすばらしい。」「正直なところ、――一皮むけましたね――と感じ、心からお祝いを申しあげたい。」「これまでの宇江佐さんには、確かに江戸気配を描くのは巧みだが、ストーリィにおいて、無理に作ったり、作り方に甘さがあったり、おもしろさが乏しかったりする傾向がなきにしもあらず。それが払拭された。」
伊集院静 10 「特に(引用者注:収録作の)「仙台坂」を好感を持って読んだ。この一編で受賞があっても、異議はなかった。」「以前の作品より、よく読めたのは作者の時間の積み重ねが実を結んだのだろう。不器用な人物が上手く描けるのは、この人の強みであるから大切に育ててもらいたい。」
北方謙三 8 「端正な、完成度の高い短篇集だった。前回の候補作と較べると、格段に上達していて、この作家が自分の世界を見つけたのだ、とはっきり感じさせる力があった。やや表層的な情念に滑りがちなところもあるが、読後感はいい。」「受賞作とするのに、まったく異存はなかった。」
高橋克彦 19 「読みながら「なんとまぁ上手い人なんだろう」と何度となく感心させられては、一つの話が終わるごと、しばらく頁を繰る手を休めて余韻に浸ったりした。若い時分に涙して読み耽った山本周五郎の趣がある。」「私としてはなんとしてでもこの作品を授賞に繋げたく、他の作品にはあえて辛い点数をつけて選考会に臨んだ。」
林真理子 17 「宇江佐さんの世界が、いよいよくっきりと立ってきて、しかも安定してきたような気がする。」「時代小説というのが、現在やや地味な分野になってしまっているというのは否めないが、日本人にとって大切な心の財産である。そこにこうした才能ある方が現れるというのは、とても嬉しいことだ。」
選評出典:『群像』平成12年/2000年5月号
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直木賞 123回候補  一覧へ

らいおう
雷桜』(平成12年/2000年4月・角川書店刊)
書誌
>>平成16年/2004年2月・角川書店/角川文庫『雷桜』
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選評の概要
選考委員 評価 行数 評言
北方謙三 9 「飛躍の多い小説だった。新鮮なところもあるが、考証の甘さが目立ち、感興を削ぐ。奇抜なようでいて、ありふれた発想だという気もする。」
田辺聖子 8 「メルヘンタッチの時代小説。私の好みであるが、メルヘンはそれなりに具体的事実の裏付がないと。ご三卿なるもの、大変な勢威だろうと思われるのに、その雰囲気がないのは辛い。」
宮城谷昌光 33 「小説を書くという作業にあらたな課題をあたえ、何かを越えようとするこころみが感じられた」「おもしろい小説を書きたい、という初志を喪っていないように感じられた。その時代における認識の甘さや語法の不備など、問題点はすくなくないが、私には初志を遵守してゆく姿が美しければ、それだけで打たれる。」
平岩弓枝 26 「構成にミスがある。」「茶店の老婆の語りで、あれほど複雑な物語が進められるというのからして無理だが、果して途中から老婆の話はどこかへ消えてしまってしめくくりがない。」「宇江佐さんにとって、この作品が候補作となったのは、お気の毒としかいいようがない。」
渡辺淳一 26 「これまでとは異る大きな仕掛けをつくり、特異な登場人物と波瀾の人間関係を描いて楽しく読ませる。後半ドタバタめくが、久しぶりにわくわくしながら読んだ。」「史実的な不備をつかれて大きく後退した。(引用者中略)いかに巧みに史実をまるめこむかということが、(引用者中略)求められる課題かもしれない。」
五木寛之 5 「評価する声はあったものの、大多数の支持を集めるにいたらず見送られ、」
林真理子 13 「旬の作家が持っている力強さがある。」「これは民話の世界だなと感じた。だから多少時代の辻褄の合わないところや、荒唐無稽さも気にならなかったのであるが、時代小説だとなると問題が多いのではなかろうか。」
阿刀田高 4 「前半の設定がおもしろかっただけに後半が腰くだけみたいに感じられ、もうひとつ楽しめなかった。」
黒岩重吾 11 「そこはかとない情感が漂っていた。ただ誘拐された遊は、狼女と噂されるようになり家に戻ってくるが、その間の描写が全く欠落している。読者としては山の中で一体どういう風な生活をしていたのだろうと物足りない。」
津本陽 15 「これまでの作品のきめこまかい会話のあじわいが好きで、たのしみにしていたのだが、こんどは勝手がちがった。全体に荒削りな印象が眼につく。とくに会話の部分の冴えが影をひそめてしまった。」
井上ひさし 30 「不思議なのは、作者がいつの間にか、自分が仕組んだ「枠」をすっかり忘れてしまっていることで、ついにはだれが語っているのか、読者にはさっぱり分からなくなる。」「話は(引用者中略)発展して規模雄大、このあたりは作者の器量の大きさをうかがわせもするが、最後まで語り手がだれかが気になって、素直に作品に溶け込むことができなかった。」
選評出典:『オール讀物』平成12年/2000年9月号
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文量
長篇
章立て
「一」〜「三十」
時代設定 場所設定
江戸後期  島中藩瀬田村[甲州街道の途中]〜江戸
登場人物
遊(別名雷、1歳で拐かしに遭う)
清水斉道(御三卿清水家の当主、のち紀州徳川家の跡取り)
榎戸角之進(清水家のご用人)
瀬田助左衛門(瀬田村の庄屋、遊の父親)
たえ(遊の母親)
瀬田助次郎(遊の次兄、のち清水家の中間)
吾作(瀬田家の下男)
中田沙江(清水家の女中)





かんろばい はりこ よしわらしゅんじゅう
甘露梅――お 針子おとせ 吉原春秋』
(平成13年/2001年11月・光文社刊)
書誌
>>平成16年/2004年6月・光文社/光文社時代小説文庫『甘露梅―お針子おとせ吉原春秋』
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収録作品
「仲ノ町・夜桜」「甘露梅」「夏しぐれ」「後の月」「くくり猿」「仮宅・雪景色」
 
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大衆選考会 126回推薦候補 一覧へ
大衆選考会での推薦
推薦者 推薦日 推薦文
鈴木美穂 平成13年/2001年11月26日 4回も候補に挙がりながら、なかなか受賞されませんが、決して時代小説ファンというわけではない私が引き込まれてしまうほど、本当に「読ませる」力のある人です。

『甘露梅』は江戸の遊郭・吉原を舞台に描かれる、せつなくも暖かな恋模様の連作短編集。これまでの作品にあった、気っ風のよい、人情味たっぷりな登場人物と物語構成という良さを残しながらも、哀感にあふれるしっとりした作品です。まさに、女性にしか書けない時代小説だと思いました。

直木賞は「文春作品の受賞率」が高すぎ、本当に公平に審査されているのか、と疑問に思うこともありますので、大衆選考をどんどん取り入れて欲しいですね。
kengo 平成13年/2001年11月28日 ぼくも最近発刊された、宇江佐さんの時代小説が取ると思います。この人はせつない人間関係をさらっと書けて、それでいてじーんとさせることのできる人です。今回はなんとしてでも取ってほしいですよ(もう一冊発刊されましたが、それはまだ読んでないんです)。
上の鈴木さんの意見、「文春作品多すぎ」にはぼくも同感。確かにいい作品も多いけど納得できないときもあります(『愛の領分』なんて古臭いメロドラマなようで、ぼくにはぜんぜん良さがわからなかったなあ)。
もっと若い選考委員の導入もしてほしいですよね。ここらで、幻冬社とか光文社あたりの新作が取れば面白いのに……
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直木賞 127回候補  一覧へ

ごんざ
斬られ 権佐』(平成14年/2002年5月・集英社刊)
書誌
>>平成17年/2005年4月・集英社/集英社文庫『斬られ権佐』
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収録作品の書誌
斬られ権佐
>>初出『小説すばる』平成12年/2000年6月号
流れ潅頂
>>初出『小説すばる』平成12年/2000年11月号
赤縄
>>初出『小説すばる』平成13年/2001年4月号
下弦の月
>>初出『小説すばる』平成13年/2001年8月号
>>初出『小説すばる』平成13年/2001年12月号
六根清浄
>>初出『小説すばる』平成14年/2002年3月号
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選評の概要
選考委員 評価 行数 評言
黒岩重吾 9 「八十八ヶ所も斬られ、動くにもやっとという身体では、権佐に乗れない。私は権佐に付いてゆくことに疲れた。」
林真理子 9 「最後の方はほろりとさせられるものの、そこに行きつくまでかなり退屈を強いられる。」「この小説はそれほどの魅力もないように思われる。」
津本陽 7 「作者の力倆が復活の過程にある作品のように思った。疵をいえばたしかにあるが、読者を離さない「引き」のようなものが、ふたたびあらわれてきているように思った。」
渡辺淳一 3 「小説としての粗さが目立ち、」
阿刀田高 14 「巧みではあるけれど(あえて強い言い方をすれば)安直なものを感じてしまった。」「大人の鑑賞には鼻白むところがなきにしもあらず。どうかもう少し慎重に、そして高いところを目ざしてほしい、と願った。」
田辺聖子 13 「興味のもてる設定だが、お話に身(原文傍点)が入りすぎて、どこか、人情ものもどき、捕物帖ものもどき(原文傍点)というもどかしさが残念だった。しかし江戸の仕立屋なんて、はじめて小説で読んで面白かった。」
宮城谷昌光 0  
五木寛之 13 「小説家としてむずかしい所へきているように思う。最初に候補になった作品に強く惹かれたこともあって、近作がいずれもお手軽に感じられて残念である。」
北方謙三 18 「達者な作品であった。」「私はある種の夫婦小説として読んだ。権佐の命が遠からず絶えていくということが、夫婦間にある緊張感を持たせ、作品全体を引き締めている。」「しかし、岡っ引きに手札を渡すのが、町奉行所の与力というような間違いは、気をつけて欲しいと思った。」
平岩弓枝 6 「もう一度、初心に戻って、作家としての自分に忠実な作品を志して頂けないものか。書ける作家だけに残念でならない。」
井上ひさし 35 「死を予定された主人公による捕物小説である。」「最初から先の楽しみを奪われているので、はなはだ気分の乗らない、景気の悪い小説になってしまった。」「どう読もうとも、〈江戸の蘭方女医〉という設定が大きな謎として読者に重くのしかかってくる。なぜなら江戸に蘭方女医は存在しなかったというのが本邦医学史の常識だからだ。」
選評出典:『オール讀物』平成14年/2002年9月号
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文量
連作短篇集
時代設定 場所設定
江戸  江戸
登場人物
権佐(仕立て屋、与力の小者)
あさみ(権佐の妻、子供医者)
菊井数馬(南町奉行所の吟味方与力)
お蘭(権佐の一人娘)
麦倉洞海(あさみの父親、外科医)
斬られ権佐
章立て
「一」〜「七」
流れ潅頂
章立て
「一」〜「七」
登場人物
常蔵(蕎麦屋「はし膳」の主人)
幸蔵(常蔵の息子、魚河岸に新店を開店)
赤縄
章立て
「一」〜「五」
登場人物
清泉(正行寺の僧、美男子)
おこの(呉服屋「梅田屋」の娘)
下弦の月
章立て
「一」〜「八」
章立て
「一」〜「五」
登場人物
おしげ(菓子屋の親戚、ひとり暮らしの老女)
勇次(鋏研ぎ屋)
音松(おしげ殺しの容疑者)
六根清浄
章立て
「一」〜「六」
登場人物
重蔵(強盗団の一味)
おみさ(重蔵の娘、一膳めし屋の養女)




直木賞 129回候補  一覧へ

かんだぼりや かし ゆうば
神田堀八つ 下がり―― 河岸の 夕映え』
(平成15年/2003年2月・徳間書店刊)
書誌
>>平成17年/2005年6月・徳間書店/徳間文庫『神田堀八つ下がり―河岸の夕映え』
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収録作品の書誌
どやの嬶――御厩河岸
>>初出『問題小説』平成13年/2001年8月号
浮かれ節――竃河岸
>>初出『問題小説』平成13年/2001年11月号
身は姫じゃ――佐久間河岸
>>初出『問題小説』平成14年/2002年1月号
百舌――本所・一ツ目河岸
>>初出『問題小説』平成14年/2002年4月号
愛想づかし――行徳河岸
>>初出『問題小説』平成14年/2002年10月号
神田堀八つ下がり――浜町河岸
>>初出『問題小説』平成15年/2003年1月号
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選評の概要
選考委員 評価 行数 評言
平岩弓枝 14 「この作品が候補になったことが不運としか申し上げようがない。」「時代小説はまず登場人物が生きた社会の仕組みをよく知るのが、その時代を背景に人間を描く大きな助けになるというのを理解して欲しい。」
津本陽 11 「まえよりもあきらかに巧妙な手際を見せるようになっていて、感心した。情緒も見すごしがたいものがあった。この作者については、時代考証に数々の難点があるようだが、史料にあたり、歴史家に教示を乞えば、解決する問題だろう。」
井上ひさし 25 「いつも口惜しく思うのは、江戸を大きく捉まえようとするときの作者の無頓着な癖。」「せっかく丹精して作り上げられた作者の江戸がにわかに信じられなくなるのは、じつにこのようなときである。」
田辺聖子 19 「中では「浮かれ節」が情感があって佳作。ただ情感といえば、――各所の河岸の匂い(原文傍点)がもう一つ、薄い気もする。」「ともあれ、女性の時代小説作家として、宇江佐氏に私は期待を寄せている。」
渡辺淳一 9 「小説のテーマが甘いというかゆるすぎて、雑駁な読後感で終ってしまう。この傾向は以前からあったが、さらに時代考証の点で多くの批判が出ては、見送らざるをえなかった。」
阿刀田高 17 「評価はけっして低くはなかったが、なにかしら不足するものが感じられ、受賞作に一歩譲る結果となってしまった。」「ストーリーの設定にも、時代の描きかたにも、納得のいかないところがあった。」
宮城谷昌光 10 「呼吸の良さがある。私はそれを作者の成長とみたが、選考でくりかえしいわれることは、江戸(時代)への審察の不在であり、作者はそれを踰えなければならない。」
北方謙三 8 「手馴れた筆であり、この作者が安定期に入ったことを感じさせた。ただ、読後に心にしみこむようなものが、いささか希薄だった。」
林真理子 22 「今回は受賞されるのではないかと思ったのだが、残念な結末となった。」「私のような時代小説の「ニュー読者」からすると、宇江佐さんの描く江戸の風景は充分に魅力的だ。」「宇江佐さん、本当にもう少し、もう少しですよ。これだけのものをお書きになれるのですから、もう少しプロの作家としての緻密さを身につけてください。」
五木寛之 12 「かねてから私の愛読する作家の一人である。今回も都々逸坊扇歌の出てくる作品など、夢中になって読んだ。しかし、いかんせんお話を綺麗につくりすぎるところが、物足りない感じがする。」
選評出典:『オール讀物』平成15年/2003年9月号
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文量
短篇集
時代設定 場所設定
江戸  江戸
どやの嬶――御厩河岸
章立て
「一」〜「七」
登場人物
おちえ(水菓子屋「和泉屋」の娘)
お富士(舟宿「川籐」のお内儀、綽名・どやの嬶)
勘次(「川籐」の息子、お富士の実子)
卯之助(「和泉屋」の番頭)
浮かれ節――竃河岸
章立て
「一」〜「七」
登場人物
三土路保胤(幕府小普請組、音曲は玄人はだし)
都々逸坊扇歌(都々逸節の第一人者)
るり(三土路の妻)
身は姫じゃ――佐久間河岸
章立て
「一」〜「五」
登場人物
伊勢蔵(岡っ引き)
おちか(伊勢蔵の妻)
龍吉(伊勢蔵の義理の息子)
はやこ(橋の下に住み着いた娘、自称「姫」)
百舌――本所・一ツ目河岸
章立て
「一」〜「五」
登場人物
横山柳平(元・津軽弘前藩の藩校教官、江戸住まい)
金吉(柳平の弟)
ひさ(柳平の姉、弘前在)
ほり(金吉の娘)
愛想づかし――行徳河岸
章立て
「一」〜「七」
登場人物
旬助(廻船問屋「三枝屋」の長男、家出中)
お幾(居酒屋「末広屋」で働く娘、旬助と同居中)
亀吉(「末広屋」の主人、お幾の育ての親)
神田堀八つ下がり――浜町河岸
章立て
「一」〜「五」
登場人物
菊次郎(薬種屋「丁子屋」の主)
佐竹桂順(町医者)
青沼伝四郎(貧乏な旗本)
源次(料理茶屋「嶋村」の板前、失踪中)





よこちょう ひとびと
『あやめ 横丁の 人々』
(平成15年/2003年3月・講談社刊)
書誌
>>平成18年/2006年3月・講談社/講談社文庫『あやめ横丁の人々』
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収録作品
「あめふりのにわっとり」「ほめきざかり」「ぼっとり新造」「半夏生」「雷の病」「あさがら婆」「そっと申せばぎゃっと申す」「おっこちきる」「あとみよそわか」「六段目」
 
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他文学賞 山本周五郎賞 16回候補 一覧へ
選評の概要
選考委員 評価 行数 評言
長部日出雄 32 4.5点「主人公・慎之介の性格が全く類型から外れているんですね。(引用者中略)しかし、どことなく魅力があって、みんな一肌脱ぎたい気分になる。」「はじめは不自然に思えたり、違和感を覚えたりしたことが、後になると全て伏線として起き上がってくる、実によく考えられた設定で、全体の最後の一行に私は特に感銘を受けました。」
北原亞以子 55 3.5点「宇江佐さんらしく、力のこもったいい小説だと思いました。」「ことによると、主人公と折り合いがつかないまま書き出してしまったのではないかと思うんです。」「確かに面白い言葉をたくさん使ってらしたんですが、気になったのが、「おっこちきる」という言葉。(引用者中略)使い方を間違えたら、せっかくの面白い言葉も面白くなくなってしまう。」
久世光彦 25 3.5点「宇江佐さんという人は上手くなったなというふうに思いました。」「一番のマイナスは、主人公の慎之介という人が見えてこないことですね。」「最後の、伊呂波が火事にあった話。あれは余計だったと思います。それ以外にも蛇足が多く、点数は三・五です。」
花村萬月 25 3点「ずいぶんアバウトな小説だなと思いました。」「俺が最もいやだったのは、時代小説にクエスチョンマークなどの英語由来の記号を使ってることです。(引用者中略)あきらかな疑問形にまで用いてあると、文章に無頓着なのかなと思ってしまいます。」「ストーリーも都合のいいところが多く、抜け道の地下道が急に出てきたりして、「ええー?」と思いました。」
山田詠美 16 3点「うちの父がいつも昼に見てるテレビ東京の時代劇という感じ。つい見てしまうんですけれど、最後は「ああ、よかった、よかった」で終わるという。」「慎之介自身にも魅力を感じませんでした。最後までずっと読み通せるぐらい面白いんですが、あまり印象に残らない。」
選評出典:『小説新潮』平成15年/2003年7月号
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ブログ版 直木賞のすべて 余聞と余分
  [H20]2008/3/16 ウエザ・リポート  
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