直木賞のすべて
直木賞のすべて

第117回

=受賞者=
篠田節子
浅田次郎

=候補者=
藤田宜永
姫野カオルコ
黒川博行
宇江佐真理


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Last Update[H20]2008/1/3

姫野カオルコ
Himeno Kaoruko
生没年月日【注】 昭和33年/1958年8月27日〜
経歴 滋賀県生まれ。青山学院大学文学部卒。大学在学中に作家デビュー。独特の視点・語り口でエッセイ・小説などを書き、人気作家に。
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直木賞 117回候補  一覧へ

じゅなん
受難』(平成9年/1997年4月・文藝春秋刊)
書誌
>>初出『オール讀物』平成7年/1995年6月号、平成8年/1996年4月号、9月号、12月号
>>平成14年/2002年3月・文藝春秋/文春文庫『受難』
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選評の概要
選考委員 評価 行数 評言
田辺聖子 13 「読んでる限りは面白い。結婚できない女の妄想のかたちとして人面瘡があるわけだろうけれど、その寓意がいま一つ私には把握しきれない。何より美的でないしなあ。」
黒岩重吾 4 「感性が空転している。ただ観念的な舞台劇にすれば味が出るのではないかと感じた。」
阿刀田高 9 「寓意性に富んだ作品で、その寓意がわからないでもなかったが、いかにも軽い。」「加えて、私はこの作家の文章になじめないものを多々、感じてしまった。」
平岩弓枝 4 「才能だけで人を感動させる作品を仕上げることは難しいと思う。」
渡辺淳一 8 「主人公のマゾ的趣向に興味を抱いたが、それほど深まる気配がない。結局、小説というより、男女の文明批評として読んだが、それでも思いつき以上の、新鮮な刺戟は得られなかった。」
津本陽 5 「寓意小説としておもしろく読めるが、思いつきが醗酵するまでに至らず、軽佻な筆はこびに終始している。」
井上ひさし 31 「一見ばかばかしいような設定を通して、作者はじつはある種の哲学を論じているのである。評者は何度か吹き出して、充分に楽しませてもらったが、しかし文章が粗いのでよほど損をしている。」
五木寛之 9 「四文字言葉が乱舞する放埓な作品に見えて、じつはすこぶる知的な構成をもつ古典的な小説である。私は大変おもしろく読んだが、そもそも直木賞になじまない作風で、むしろ芥川賞むきではないかと思った。」
選評出典:『オール讀物』平成9年/1997年9月号
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文量
長篇
章立て
「第一章 乙女の祈り」「第二章 小夜曲」「第三章 エリーゼのために」「第四章 白鳥の湖」
時代設定 場所設定
[同時代]  千葉県〜東京
登場人物
フランチェス子(修道院出身の独身女性)
古賀(フランチェス子に棲む人面瘡)
ノン子(フランチェス子の友人、経理)
ウィズ美(フランチェス子の友人、モデルクラブ所属)
クス(ウィズ美の彼、ミュージシャン)




『サイケ』(平成12年/2000年6月・集英社刊)
書誌
>>平成15年/2003年6月・集英社/集英社文庫『サイケ』
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収録作品
「イキドマリ」「オー、モーレツ!」「モーレツからナイーブへ」「お元気ですか、先生」「通りゃんせ」「少年ジャンプがぼくをだめにした」
 
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大衆選考会 124回推薦候補 一覧へ
大衆選考会での推薦
推薦者 推薦日 推薦文
はやしだおさむ 平成12年/2000年9月26日  楽しめる文学の独自の地平を切り開くのか、姫野カオルコだ。
 「物語」の面白さをきちんと残しながら、奇想天外な展開をもつ短編集「サイケ」を推薦する。筆力も確かだし。最近の「泣かせる作品」を上等とする風潮に異議を唱えたい。僕らは面白い小説が読みたいのだ。
 疾走する70年代を強く意識し、織り込んだ作品群には、様々な意匠が凝らされている。すこし純文学寄りかもしれん。
 とりわけ「少年ジャンプがぼくをダメにした」は、「少女期のトラウマ、恋愛体験のセキララな告白」を「中間小説的」に姫野カオルコがやるとこうなる、という絶品だ。ラスト3行は秀逸。
 娯楽+サムシングのあるこういう作家に賞をやらんとイカンよね。直木賞。
 かわいい名前にダマされてる人が多いのではないかな。
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とっきゅう とうかいどうせん はし
特急こだま 東海道線を 走る』
(平成13年/2001年10月・文藝春秋刊)
書誌
>>平成16年/2004年10月・文藝春秋/文春文庫『ちがうもん』に改題
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収録作品
「夏休み―九月になれば」「高柳さん」「みずうみのほとり」「永遠の処女」「特急こだま東海道線を走る」
 
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大衆選考会 126回推薦候補 一覧へ
大衆選考会での推薦
推薦者 推薦日 推薦文
Daniel Yang 平成13年/2001年12月25日 三種の神器(テレビ、洗濯機、冷蔵庫)の世帯普及率が50%を超えた1960年代前半。日本の、どこにでもありそうな田舎町を未就学幼児の視点で綴った短編集。
子供たちには、出来る限りの愛情を注いであげたい。僕もそう思う。でも、子供だったころの自分は、単なる愛情の受取手だったのか。両親や近所のおばさん、おじさん、自分を取り巻く狭い世間の大人たちに対し、無力でありながらも、健気に子供=愛情を注がれる役割を演じる主人公に感銘を受けた。
特に表題作で語られる、大人(米屋の配達夫)との交歓が見事だった。
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直木賞 130回候補  一覧へ
『ツ、イ、ラ、ク』(平成15年/2003年10月・角川書店刊)
書誌
>>平成19年/2007年2月・角川書店/角川文庫、角川グループパブリッシング発売『ツ、イ、ラ、ク』
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選評の概要
選考委員 評価 行数 評言
北方謙三 21 「小学生、中学生のころからの登場人物の性格が書き分けられていて、引きこまれた。ただ、成長してからのそれぞれの姿が、どこか繊細さを欠く。」「ありふれた日常の営為を捉える眼が、やや類型に流れたためではないかと感じた。」「力作であるが、もう少し刈り込みをして、二人の男女を際立たせて欲しかった、と惜しい思いで本を閉じた。」
五木寛之 11 「才能を感じさせる作品だった。しかし、以前、直木賞候補になった『受難』の印象がつよかったせいか、こんどの作品に幾分、物足りなさをおぼえたことも事実である。」
田辺聖子 11 「私はこの作も推したが、今回は惜しくも賞を逸した。野趣と生気ある方言が効果的、輝きにみちた青春小説であった。」「本年度の収穫の一つと私は確信する。」
林真理子 18 「印象に残った。」「過剰なまでに毒を追い求めていく。前半はここまでしつこく長くなくてもよいと思うし、アフォリズムが時として決まらない時もある。けれども私はこの姫野さんのたくましいモチベーションに圧倒された。」
津本陽 10 「巧みな筆運びに好感を持った。」「だが、登場人物が都合よく設定されていて、話のつくりかたが強引に思える点があるのは、一考を要するのではないか。」
阿刀田高 17 「触手が動いた。ちょっと型やぶりの小説……。姿のいい小説ではない。しかし、到るところにパチパチと弾けるものがある。」「未完成ながら真実驚かされるサムシングを含んでいる。」
渡辺淳一 4 「部分的に鋭く斬新なところはあるが、小説の構成という点で問題があり、」
平岩弓枝 0  
宮城谷昌光 6 「京極氏が立っている土俵にのぼる力をもっておらず、私は京極氏の不戦勝だ、とおもった。」
井上ひさし 25 「全体の五分の四をすぎて、中学時代の美術教師の小山内先生の葬式の場面あたりから、ようやく傑作の光を放ちはじめる。」「けれども、そこへくるまでの文章に文学的ケレン味が氾濫し(引用者中略)読者には邪魔だったかもしれない。」
選評出典:『オール讀物』平成16年/2004年3月号
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大衆選考会 130回推薦候補 一覧へ
大衆選考会での推薦
推薦者 推薦日 推薦文
ハイド 平成15年/2003年12月9日 いろいろな側面から楽しめる作品。恋愛小説としてストレートに読むも良し。目からうろこが落ちる少女論として読むも良し。随所に散りばめられた著者独特のアフォリズムを楽しむのも良し。愛と涙と笑いと教養満載のエンターティメント小説。
楊耽囁 平成15年/2003年12月24日 小学二年生から主人公らの成長を丁寧に描いた恋愛小説。
若い読者に配慮しながらも、激しい恋愛感情を描ききった力作。ラストで若さについて語った段は、人生の本質をついていると思う。
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文量
長篇
章立て
「第一章 予鈴」「第二章 本鈴」「第三章 授業」「第四章 弁当」「第五章 放課後」「第六章 下校」「第七章 道草」「第八章 家」
時代設定 場所設定
[現代]  長命市(関西の架空都市)〜東京など
登場人物
森本隼子(縫製工場の娘)
河村礼二郎(長命中学に赴任してきた国語教師)
桐野龍(隼子の一年先輩、野球部副部長)
三ツ矢裕司(隼子の同級生、バレー部所属)
小山内(美術教師)
藤原マミ(隼子の友人、長命中学ベスト3のひとり)




直木賞 134回候補  一覧へ
『ハルカ・エイティ』 (平成17年/2005年10月・文藝春秋刊)
書誌
>>初出『オール讀物』平成16年/2004年5月号、9月号、12月号、平成17年/2005年3月号、5月号、8月号/単行本化にあたり全面改稿・加筆
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選評の概要
選考委員 評価 行数 評言
阿刀田高 8 「戦後生まれの作者が、――よく調べて綴ったなあ――と感心したけれど、私たちの世代を感動させるには薄かった、と思う。」
平岩弓枝 14 「才能は感じられるものの、完成度は今一つの感がある。」
五木寛之 0  
渡辺淳一 0  
林真理子 14 「かなり肩すかしであった。作者の視点にこの高齢の女性と時代に対しての尊敬がない。高所からの茶化しや皮肉が生きていないのだ。」「彼女が性的な世界に導かれるシーンが全くない」「私も経験があるが、ここが身内の女性をモデルにした時の限界になってしまうのだろう。」
津本陽 7 「作者にとっては得にならない小説であったと思う。充分に才気はあるのだが、第二次大戦前(原文傍点)から生きていた者が見れば、杜撰な叙述が多く眼についたからだ。」
北方謙三 16 「現代から見るとすでに歴史小説の分野に入ると考えてよく、その配慮がどの程度なされたのか、首を傾げるところがあった。」「エイティのハルカさんの魅力が作り出されたに違いない、六十歳以降がほとんど書かれていないのも、大いに気になった。」
宮城谷昌光 13 「文体は大切なもので、言語が無機質になることをふせぎ、観念の力を保存してくれる。」「「ハルカ・エイティ」の場合、言語に質感がとぼしく、その痩容を新鮮な観念がきれいに粧点しているともおもわれなかった。」
井上ひさし 27 「とくに後半は年表に肉をつけたような筆の運びで、ずいぶん痩せている。なによりも彼女(引用者注:主人公のハルカ)が、彼女自身の運命とどのように渡り合って血と涙を流したのか、どんなことに喜び、そして笑ったのか、そういったことがうまく書き込まれていない。」
選評出典:『オール讀物』平成18年/2006年3月号
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大衆選考会 134回推薦候補 一覧へ
大衆選考会での推薦
推薦者 推薦日 推薦文
ハイド 平成17年/2005年12月16日 完成度高く、品がある小説。今回は過去の尖がった候補作(受難/ツ、イ、ラ、ク)とは傾向が違っているので受賞の期待が高い。
蝦蟇仙人 平成18年/2006年1月8日 『死神の精度』は,日本推理作家協会賞の短編部門賞を受賞していたとのこと…。でもこれが本命!『カディスの赤い星』の例もあるから…。うーん,それともこっちの「手つかずの作品」かなあ…。いずれにしても候補作の半分が文春。文春は1つは入るでしょう。どちらかはきまりだなあ…。
書癡 平成18年/2006年1月9日 候補者はそれぞれに個性があり、どれについても受賞の可能性ありと思われますが、
まずは姫野さんが有力ではないでしょうか。前候補作の『ツ、イ、ラ、ク』は直木賞へもう少しだったと感じました。今期の書評もよかった。(後文=>東野圭吾
吉蛇 平成18年/2006年1月15日 今回は本当にどれも可能性ありかと思いますが、こんなところじゃないでしょうか。(同時推薦=>伊坂幸太郎
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文量
長篇
章立て
「第一章 ハルカ80」「第二章 少女」「第三章 女学生」「第四章 花嫁」「第五章 姑」「第六章 若奥様」「第七章 母」「第八章 女教師」「第九章 人妻」「第十章 娘」「第十一章 娘・その二」「第十二章 恋人」
時代設定 場所設定
大正〜1970年代〜[同時代]  大阪〜滋賀〜東京など
登場人物
小野ハルカ(旧姓・持丸、元・幼稚園園長)
小野大介(ハルカの夫、軍人から戦後に起業)
時子(ハルカの妹)
緑川由里子(ハルカの小学校時代の同級生)
日向子(子爵令嬢)
氷室昭一(ハルカの勤務先に出入りする書店員)




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