直木賞のすべて
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第116回

=受賞者=
坂東眞砂子

=候補者=
馳 星周
宮部みゆき
篠田節子
黒川博行


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Last Update[H20]2008/7/3

黒川博行
Kurokawa Hiroyuki
生没年月日【注】 昭和24年/1949年3月4日〜
経歴 愛媛県生まれ。京都市立芸術大学美術学部彫刻科卒。スーパー勤務、高校の美術教師を経て、『二度のお別れ』がサントリーミステリー大賞佳作。『キャッツアイころがった』で同賞大賞を受賞。
受賞歴 第1回サントリーミステリー大賞佳作賞(昭和58年/1983年)「二度のお別れ」
第2回サントリーミステリー大賞佳作賞(昭和59年/1984年)「雨に殺せば」
第4回サントリーミステリー大賞(昭和61年/1986年)「キャッツアイころがった」
第49回日本推理作家協会賞[短編および連作短編集部門](平成8年/1996年)「カウント・プラン」
処女作 『二度のお別れ』(昭和59年/1984年9月・文藝春秋刊)
サイト内リンク 付録-吉川英治文学新人賞受賞作・候補作一覧(第14回)
付録-吉川英治文学新人賞受賞作・候補作一覧(第19回)
小研究-ミステリーと直木賞
子サイト
「余聞と余分」内
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7件/最新は平成21年/2009年7月12日記事(このページの下部にリンクあり)
備考 大阪を舞台にしたハードボイルドミステリーの第一人者。
登場人物たちが交わす絶妙なやりとりが面白い。
従来の"直木賞"的観点から見ると、きっと作品の軽さが仇となって受賞を逃しているのだろうが、
作品に流れるこの味は、この作家独特のものなので、
今後も失わないでほしいと願わずにはいられない。
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ふういん
封印』(平成4年/1992年12月・文藝春秋刊)
書誌
>>平成8年/1996年8月・文藝春秋/文春文庫『封印』
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他文学賞 吉川英治文学新人賞 14回候補 一覧へ
選評の概要
選考委員 評価 行数 評言
井上ひさし 0  
尾崎秀樹 5 「リアリティもあり、興味もそそられたが、結末が弱いのが残念だった。」
佐野洋 10 「(引用者注:受賞作以外の)他の五編のうちでは、黒川博行氏『封印』に感心した。従来の黒川作品と、全く違った雰囲気を持っており、作風の拡がりが感じられた。」「主人公が特別な正義漢でもないし、妙に粋がった態度を見せないことに好感を持った。二作に賞を贈るという案を考えて選考委員会に臨んだが、他の委員の賛成が得られなかった。」
野坂昭如 5 「正統的なハードボイルド、にしては街が描ききれていないし、会話にもう少し洒落っけ、ユーモアが欲しい。この作品は、ほぼ全員一致の二位であった。」
半村良 0  
選評出典:『群像』平成5年/1993年5月号
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直木賞 116回候補  一覧へ
『カウント・プラン』(平成8年/1996年11月・文藝春秋刊)
書誌
>>平成12年/2000年4月・文藝春秋/文春文庫『カウント・プラン』
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収録作品の書誌
カウント・プラン
>>初出『オール讀物』平成7年/1995年4月号
>>平成8年/1996年6月・講談社刊『推理小説代表作選集1996』所収
>>平成11年/1999年11月・講談社/講談社文庫『ミステリー傑作選36 殺ったのは誰だ?!』所収
>>平成12年/2000年4月・リブリオ出版/大きな活字で読みやすい本『ほっとミステリーワールド第9巻 黒川博行集』所収
>>平成15年/2003年8月・文藝春秋刊『推理作家になりたくて:マイベストミステリー第2巻 影』所収
黒い白髪
>>平成6年/1994年12月・角川書店刊『孤愁』所収
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選評の概要
選考委員 評価 行数 評言
渡辺淳一 4 「(引用者注:「蒲生邸事件」より)さらに軽い小説で、単なる思いつきの域を出ていない。」
阿刀田高 15 「“楽しく読めれば、それでよい”という考えに私はけっして反対ではないけれど、この種のミステリーとしては構造的に弱いところがある。トリックの根まわしと受け皿、真犯人のプレゼンテーションなど、私には脆さが感じられた。」
津本陽 6 「簡潔な表現で、読み手を引きよせる力のある短篇集である。整然とした筋立てで、どの作品もよくまとまっている。」
田辺聖子 11 「材料といい、あしらいかたといい、都会風洗練と一抹の清新な野趣が新鮮だった。やや強引なまとめかたの作品もあるが、推理短篇ではそれも必要で、読者は意表をつかれる面白さにむさぼり読むのだ。」「推理小説はたのしい。――と思わせる一冊。」
黒岩重吾 0  
平岩弓枝 12 「今回の候補作品の中では(引用者中略)一番楽しかった。どの短篇にも現代人の病んでいる部分が鮮やかな背景になっていて、面白く読ませておいて、ぞっとさせる。」
井上ひさし 11 「きびきびと速度感のある、諧謔味を含んだ文体が魅力的である。しかし事件を、犯人側と、それを追う警察側の両面から交互に描くという語り口(物語を産み出す手続き)が常に一定で、ときには読む側を懈怠の渕に誘い込む作用をしたのは残念である。」
五木寛之 0  
選評出典:『オール讀物』平成9年/1997年3月号
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文量
短篇集
カウント・プラン
章立て
「1」〜「13」
時代設定 場所設定
[同時代]  大阪
登場人物
福島浩一(メッキ工場勤務、計算症)
安井(福島の雇主、メッキ工場の経営者)
樋本(富南署捜査一係の刑事)
大村(樋本の同僚)
黒い白髪
章立て
「1」〜「5」
時代設定 場所設定
[同時代]  大阪
登場人物
私(語り手、柿本、田出井署刑事課の刑事)
種谷(私の同僚)
永松晋(葬儀屋)
葛西喜一郎(永松の部下)
飯田博道(良観寺の住職、永松を殴打)
オーバー・ザ・レインボー
章立て
「1」〜「10」
時代設定 場所設定
[同時代]  大阪
登場人物
深堀明彦(フリーター、熱帯魚の窃盗犯)
松坂(西淀署捜査三係の刑事)
相沢瑠美(保育園児、誘拐の被害者)
うろこ落とし
章立て
「1」〜「7」
時代設定 場所設定
[同時代]  大阪
登場人物
安積(府警本部の刑事)
下川路由紀(殺人の被害者、醤油醸造元の娘)
下川路幹雄(由紀の夫、建築家)
田代恭子(由紀の友人、殺人の被疑者)
章立て
「1」〜「8」
時代設定 場所設定
[同時代]  大阪
登場人物
今村(中学校の夜間警備員、ゴミ漁りが趣味)
吉良(西成北署の刑事)
新井芳江(殺人の被害者、今村の下の階の住人)




直木賞 117回候補  一覧へ

やくびょうがみ
疫病神』
(平成9年/1997年3月・新潮社/新潮ミステリー倶楽部)
書誌
>>平成12年/2000年2月・新潮社/新潮文庫『疫病神』
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選評の概要
選考委員 評価 行数 評言
田辺聖子 19 「タイムリーな新しい素材、まずそれに敬服。それからコンビのつるみかげん、というのか、二人の相性が面白く、それだけで持たせる。ただし、人物の出し入れが複雑で、図解で示されても、悪役たちの人物像が画一的でみな同じにみえるから、つかみにくい。」「人物はよく書けているが、背後の事件の展開は物足らない。」
黒岩重吾 7 「後半まで面白く読めたが、ゼネコンの顔が覗いたあたりから種が割れた感じで興味が半減した。暴力団とゼネコンの関係が複雑すぎるのも難である。」
阿刀田高 14 「文章の確かさと会話のおもしろさと、二人の登場人物の存在感に長所があった。」「全篇を貫く物語が、わかりにくく、面白味が薄く、長さのわりには、――つまり、この程度の話なのか――と、鼻白んでしまうところがある」
平岩弓枝 8 「面白く読んだが、面白さの後に来るものが乏しかった。材料のよさに力が注がれて、情感に訴える部分が弱かったせいかも知れない。それにしても、話の広げ方のうまさはずば抜けていた。」
渡辺淳一 9 「関西弁のテンポがよく、話の切り換えも巧みで、文章には独特のリズム感がある。しかし読みすすむうちに、お話だけで、肝腎の人間が見えてこないので退屈する。小説はやはり人間を描くことが第一義である。」
津本陽 13 「長い作品だが、さまざまの事件がおこってきて、後半まで飽きさせない。」「だが、事件のおもしろみで、人間像があまり浮かんでこない。疫病神というやくざの、えげつない性格にも、さほど存在感を覚えない。」
井上ひさし 15 「危険な珍道中をつづける二人の主人公の関西言葉による対話はすばらしい。」「産業廃棄物問題を作品の動力として仕込んでいるのも時宜にかなう。ここまでは満点だが、二人の主人公が巻き込まれ、同時に分け入って行く事件が曖昧である。」「読後感がなんだかすっきりしないのは惜しい。」
五木寛之 6 「興味津々、一気に読まされた。物語の舞台を丹念に書き込む手法につよさがある。この人も才能のある作家だと思う。」
選評出典:『オール讀物』平成9年/1997年9月号
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他文学賞 吉川英治文学新人賞 19回候補 一覧へ
選評の概要
選考委員 評価 行数 評言
阿刀田高 3 「この作者にはもっとよい作品があるのではないか、と不運を感じてしまった。」
井上ひさし 0  
尾崎秀樹 0  
野坂昭如 0  
半村良 0  
選評出典:『群像』平成10年/1998年5月号
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文量
長篇
章立て
「1」〜「21」
時代設定 場所設定
[同時代]  大阪
登場人物
二宮啓之(建設コンサルタント業)
桑原保彦(二蝶会の暴力団員)
悠紀(啓之の従妹、二宮企画のアルバイト)
小畠一三(小畠総業社長、産廃の中間処理業者)
扇木(舟越建設の営業部長)
中尾(神栄土砂の営業部長)
水谷(本蔵環境開発の専務、暴力団「白燿会」幹部)




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ぶんぷくちゃがま
文福茶釜』(平成11年/1999年5月・文藝春秋刊)
書誌
>>平成14年/2002年5月・文藝春秋/文春文庫『文福茶釜』
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収録作品の書誌
山居静観
>>初出『オール讀物』平成9年/1997年7月号
宗林寂秋
>>初出『オール讀物』平成9年/1997年11月号
永遠縹渺
>>初出『オール讀物』平成10年/1998年3月号
>>平成11年/1999年6月・講談社刊『ザ・ベストミステリーズ1999』所収
>>平成14年/2002年2月・講談社/講談社文庫『ミステリー傑作選40 密室+アリバイ=真犯人』所収
文福茶釜
>>初出『オール讀物』平成10年/1998年7月号
>>平成12年/2000年4月・リブリオ出版/大きな活字で読みやすい本『ほっとミステリーワールド第9巻 黒川博行集』所収
色絵祥瑞
>>初出『オール讀物』平成10年/1998年11月号
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選評の概要
選考委員 評価 行数 評言
阿刀田高 13 「美術品を売買するカラクリが情報として滅法おもしろい。読んで十分に楽しめる短篇小説であったが、さらに吟味して読むと、少し軽い感じがいなめない。短篇小説に必要な作りの精緻さに不十分なものを感じてしまう。」
平岩弓枝 9 「私自身はこの手の話が好きなので楽しく読んだが、やはり、美術骨董の世界の裏ばなしに終始して、そこに生きる人間像への掘り下げや追求が不足していると指摘されれば、その通りだと思う。話の面白さは所詮、人間の面白さにかなわない。」
黒岩重吾 13 「一気に読ませる。だがその面白さは巧妙な手品の謎を解き明かされる昂奮と同質のものである。この世界の人間にも様々な体臭や悩みがある筈だが、本小説の人物は皆単調で深みがない。」「「山居静観」が佳作だったが、これ以上のものを並べて欲しかった。」
津本陽 17 「作者は関西を題材にして、いつも堅固な作品を組みたてている。」「こんどの骨董品を扱う業者たちの内幕をあばく短篇集は、手馴れた堅固な展開を示すのだが、迫力があまり感じられない。」「泡沫のような人物のうえにさしている、陽ざしのような雰囲気がほしい。」
田辺聖子 24 「私など骨董に迂遠な者には知らぬことばかりでその点では面白かった。」「ことに「文福茶釜」がおかしい。ところで、この面白さに滋味をもう少しつけ加えると、底が深くなるのに――というのは望蜀、というものだろうか。」
井上ひさし 27 「手堅い文章と、いたるところにちりばめられた大阪弁の痛快なおもしろさは、この作者の薬籠中のもの、安心して読み進めることができる。ここでふしぎなのは、一編一編はそれなりに水準を超える出来なのに、五編まとまると、平凡な読後感しか残らなくなることだ。」「それに登場人物たちはだれひとりとして骨董品を愛していないようで、そのことが作品の印象をずいぶん冷たいものにしている。」
五木寛之 0  
渡辺淳一 3 「長篇ばやりの今日、期待して読んだが、結果は失望に終った。」
選評出典:『オール讀物』平成11年/1999年9月号
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文量
連作短篇集
山居静観
章立て
「1」〜「9」
時代設定 場所設定
[同時代]  大阪
登場人物
佐保(美術年報社社員)
牧野耕三(表具師)
工藤(星野産業の総務担当役員、柏木渓斎『山居静観図』管理者)
宗林寂秋
章立て
「1」〜「10」
時代設定 場所設定
[同時代]  大阪
登場人物
牧野耕三(表具師)
北原信彦(豆腐屋の息子、美術品の持ち主)
坂辺(道具屋)
永遠縹渺
章立て
「1」〜「8」
時代設定 場所設定
[同時代]  大阪〜敦賀市
登場人物
尾山(ギャラリー店主)
大野木俊之(札付きの美術ブローカー)
楠井真彦(彫刻家・楠井享太郎の遺族)
文福茶釜
章立て
「1」〜「9」
時代設定 場所設定
[同時代]  大阪
登場人物
佐保(美術年報社社員)
藤原利雄(茶釜を騙し取られた被害者)
大嶋(悪徳初出し屋)
末松(佐保の昔の知人)
色絵祥瑞
章立て
「1」〜「9」
時代設定 場所設定
[同時代]  兵庫〜大阪〜奈良
登場人物
久家義之(不動産会社会長)
近衛頼章(宗教団体の教祖)
佐保(美術年報社社員)
岩崎浩平(札付きの美術ゴロ)




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こっきょう
国境』(平成13年/2001年10月・講談社刊)
書誌
>>初出『小説現代』平成10年/1998年10月号〜平成12年/2000年9月号/単行本化にあたり大幅加筆修正
>>平成15年/2003年10月・講談社/講談社文庫『国境』
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選評の概要
選考委員 評価 行数 評言
平岩弓枝 0  
井上ひさし 34 「(引用者注:主人公の)二人の軽口、悪態口の叩き合いは活溌に弾んで、作中の各所で文学的漫才が成立している。」「ここまで詳細に北朝鮮を書いたものはこれまで存在しなかった。その意味でも値打ちがあるが、しかし、その北朝鮮がすべて書割りじみているのが惜しまれる。」「『国境』と題を打ったからには、もっと〈国境〉そのものに心中立てする気概が要る。」
林真理子 9 「非常に面白く読んだ。けれどもシリーズ化されたものということが裏目に出た。途中から読者は、主人公のヤクザが生きて帰ってくることがわかってしまう。それによってやや白けた気分になってしまうのである。」
北方謙三 22 「冒険小説として出色の出来であると感じた。国境が、やくざにとって追いこみのために突破すべき、強大な障壁だというところがよかった。」「この作品にある面白さは、小説本来の物語の面白さであった、と私は思う。」「決戦投票で、私は『国境』と『あかね空』に入れた。」
津本陽 12 「二千枚という作品を六時間あまりかけて一気に読んだ。」「非常におもしろかったので、茫然としたほどだが、ふりかえってみると、ところどころに、話のはこびだけに力をかけすぎた箇所があった。」
宮城谷昌光 12 「小説家としての努力の痕跡があり、その賢明さに感心させられた。作品は賞に手がとどいていたと私は感じたが、その手は賞をつかむことができなかった。が、握力の差をあまり深く考えないほうがよい。」
阿刀田高 9 「もっともおもしろく読んだ。テンポがよく、ユーモアが冴えている。」「情報の厚みを備えたエンターテインメントとして魅力的だ。ほかの作品との競合の中で敗れたが、残念。あと一息だった。」
渡辺淳一 7 「北朝鮮を舞台にした力作のようで、実際はドタバタ小説に近い。氏の力量からいって、この作品が候補になったのは、むしろ不運といったほうが、当たっているのではないか。」
田辺聖子 24 「どれに軍配をあげるかとなると、私はやっぱり『国境』の暴れん坊ぶりである。」「(引用者注:北朝鮮の)国境を突破して潜入するというだけでなく、(そのこと自体、冒険だが)国内で活劇や大立廻りを演じてしまう。主人公らのご愛嬌にみちた性格には、冒険小説を読みすれ(原文傍点)ている読者でも失笑させられてしまう。ラストのあと味もいい。」
五木寛之 28 「小説の舞台となる土地には、なんらかのかたちで作者の思い入れがなくてはならない。」「『国境』に描かれるピョンヤンには、なぜかそれが感じられなかった。」「テロ枢軸国家よばわりされている国の首都のリアルな空気が描かれていたら、『国境』はそれだけでも堂々たる受賞作になっただろうと残念な気がした。」
黒岩重吾 10 「氏は北朝鮮を舞台にした。そのせいか、やくざの桑原の喚き声だけが耳に響き、後半は疲れてしまった。コンビの二宮の存在も霞んでいる。」
選評出典:『オール讀物』平成14年/2002年3月号
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文量
長篇
章立て
「1」〜「37」
時代設定 場所設定
[同時代]  北朝鮮平壌〜大阪〜中国・北朝鮮国境付近など
登場人物
二宮啓之(建設コンサルタント業)
桑原保彦(二蝶会の暴力団員)
悠紀(啓之の従妹、二宮企画のアルバイト)
趙成根(詐欺師、北朝鮮に逃亡)
石井利夫(初老の詐欺師)
中川忠司(府警の巡査部長)
李源鎬(行商人、中国在の朝鮮族)
高山淑子(二宮の父の元愛人)




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あっか
悪果』
(平成19年/2007年9月・角川書店刊、角川グループパブリッシング発売)
書誌
>>初出『野性時代』平成15年/2003年12月号〜平成17年/2005年11月号/単行本化にあたり加筆・修正
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選評の概要
選考委員 評価 行数 評言
浅田次郎 13 「登場人物の全員が悪いやつで、それぞれの悪の論理の闘争によって話が展開する。まさに端倪すべからざる快作と言えるのだが、思いがけなく結末が「悪の果実」ではなく「悪の果て」になってしまった。」
阿刀田高 26 「暴力団対策を担当する刑事を描いて間然するところがない、みごと、みごと。」「文句のつけようのない作品なのだが、――直木賞はどうあるべきか――この賞が新しいサムシングを期待することにおいて一抹の疑念が生じた。」「今後も長く今回の評価が、――あれでよかったのだろうか――私の心に残りそうだ。」
五木寛之 8 「いちばんおもしろく読み通した」「関西弁の会話のおもしろさに腰を叩いて笑いながら、物語の展開に引きこまれていった。問題は、読後に一種の徒労感が残ることだ。」
井上ひさし 18 「二人(引用者注:防犯係の二人組刑事)の大阪言葉による会話は機知にあふれ、漫才の域をはるかに超えて上出来の前衛劇のように不条理(ルビ:ばかばかしく)てステキだが、この快調なテンポをときおり妨げる、刑事業務の綿密すぎる詳細や賭博についての過剰な説明――これが難かもしれない。」
北方謙三 18 「崩れていく男の人生を描いたものとして読んだ。」「捜査の方法、手続、書類の作り方など、稠密という印象すらある描写が、警察の人間関係と組織を浮かびあがらせ、読みごたえのある作品となっていた。」「例外的に、『悪果』、『警官の血』、『私の男』、の三作に丸をつけて(引用者注:選考会に)臨んだ。」
林真理子 8 「あまりにも長過ぎる。日々の業務が、後半大きな事件の伏線になっていくわけであるが、そこまで読者を辛棒させるのはかなりむずかしいと感じた。」
平岩弓枝 23 「登場人物の汗の臭いに圧倒された。」「とりわけ心に残ったのは作中、主要な地位におかれている警官の一人が娘の飼っているメダカの稚魚を親に食われないように網ですくって別の鉢に移しているという十行足らずのエピソードで、悪徳警官と呼ばれる人間の素の顔がかいま見られたと同時に、なにか暗示的で、こういうシーンがもう一つくらいあってもよかったかと思った。」
宮城谷昌光 7 「独特な生命力が感じられて、けっして嫌いな小説ではないが、人物描写の遠近法ひとつをとっても、丁寧さに欠ける。」
渡辺淳一 15 「(引用者注:最後に残った「悪果」「警官の血」「私の男」のうち)もっとも面白く読めた」「とくに大阪弁の闊達さにくわえて、一般の人が知らない暴力団担当の警察の内情など新鮮で興味をそそられる。しかし小説の書き方がいささかパターン化しすぎていて、エンターテインメントとしてはともかく、文学賞の対象としては軽すぎる。」
選評出典:『オール讀物』平成20年/2008年3月号
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大衆選考会 138回推薦候補 一覧へ
大衆選考会での推薦
推薦者 推薦日 推薦文
mask 平成20年/2008年1月16日 長文にも関わらず、一気に読める颯爽感があり、読みきれる面白さがある事。
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文量
長篇
章立て
「1」〜「30」
時代設定 場所設定
[同時代]  大阪〜兵庫県〜東京
登場人物
堀内信也(今里署暴力団対策係巡査部長)
伊達(堀内の同僚、“誠やん”、巨漢)
杏子(クラブ「翔」ホステス、本名・若江涼子、堀内の愛人)
里恵子(堀内の妻、リッチウェイ会員)
坂辺和俊(総合都市経済新報社オーナー、強請屋で堀内の金ヅル)
森本延郎(春日井学園理事長、ディベロッパー森本恒産オーナー)
徳山孝征(坂辺の部下、元・代議士秘書からフリーライター)
間宮敦夫(森本恒産総務部長、「間宮俊亮」との記述も有り)




ブログ版 直木賞のすべて 余聞と余分
  [H21]2009/7/12 第141回直木賞(平成21年/2009年上半期)候補のことをもっと知るために、歩んだ足跡を数えてみる。  
  [H20]2008/7/6 第139回直木賞(平成20年/2008年上半期)候補のことをもっと知るために、「初心」に帰ってみる  
  [H20]2008/3/16 ウエザ・リポート  
  [H20]2008/1/16 第138回直木賞(平成19年/2007年下半期)決定の夜に  
  [H20]2008/1/13 このミステリーがすごい!2008年版 2007年のミステリー&エンターテインメントベスト10  
  [H19]2007/10/28 ダカーポ 平成18年/2006年7月19日号(587号)  
  [H19]2007/9/30 小林久三展―社会派推理作家の軌跡―  
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