直木賞のすべて
直木賞のすべて

第107回

=受賞者=
伊集院 静

=候補者=
内海隆一郎
海老沢泰久
中村彰彦
清水義範


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Last Update[H20]2008/6/1

内海隆一郎
Utsumi Ryuichiro
このページの情報は「芥川賞のすべて・のようなもの」内の「候補作家の群像 内海隆一郎」と同じものです。
生没年月日【注】 昭和12年/1937年6月29日〜
経歴 愛知県名古屋市生まれ。岩手県一関市出身。立教大学社会学部卒。出版社勤務、フリー編集者を経て、作家。芥川賞候補の経験もある。選挙違反をテーマにしたノンフィクション『千二百五十日の逃亡』が話題に。
受賞歴 第28回文學界新人賞(昭和44年/1969年)「雪洞にて」
第62回芥川賞候補(昭和44年/1969年)「蟹の町」
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1件/最新は平成19年/2007年11月25日記事(このページの下部にリンクあり)
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かに まち
蟹の 町」(『文學界』昭和44年/1969年12月号)
書誌
>>平成2年/1990年10月・メディアパル刊『蟹の町』所収
>>平成6年/1994年1月・講談社/講談社文庫『蟹の町』所収
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芥川賞 芥川賞 62回候補 一覧へ
選評の概要
選考委員 評価 行数 評言
三島由紀夫 0  
石川達三 0  
舟橋聖一 0  
丹羽文雄 0  
井上靖 0  
瀧井孝作 0  
大岡昇平 0  
石川淳 0  
永井龍男 0  
中村光夫 0  
川端康成 0  
選評出典:『芥川賞全集 第八巻』昭和57年/1982年9月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和45年/1970年3月号)
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直木賞 107回候補  一覧へ

ひと こうけい
人びとの 光景』(平成4年/1992年3月・新潮社刊)
選評の概要
選考委員 評価 行数 評言
黒岩重吾 0  
藤沢周平 0  
五木寛之 10 「品のいいデッサン画を見るような感興をおぼえさせられた。しかし、つい故・向田邦子の世界とくらべてみたりすると、かなり物足りなくおもわれてくる。もう少し悪意が表に出てもいいのではないかと、勝手なことを考えてしまう。」
陳舜臣 14 「エピソードとして終わっているのが残念である。私はかなり高く採点したが、意外に票は集まらなかった。オー・ヘンリーやサキにも駄作がある。それが掌篇小説の運命かもしれない。」
山口瞳 3 「もっともっと良いものが書けるはずだと思った。」
平岩弓枝 10 「人間をさらりと描写しながら、その深いところまでのぞかせてしまう手腕は見事だと思った。気になったのは登場人物の何人かを「さん」づけにして書いたことで、作家と作品との間に距離をおこうという意図かも知れないが、読者との間にも距離が出来てしまった。」
井上ひさし 20 「二一個の宝石の原石が集められていた。その数の多さは感動的ですらあるが、ここには企みが乏しい。」「いかに人生の断片を積み重ねてもそこに作者の企みが働いていないと人生の真実は浮かび上がってこない。」
田辺聖子 3 「次の機会を期待したい。」
渡辺淳一 7 「全体につくりすぎで、発想もいささか平凡である。この種の小説には、いま少し人間の奥底を見詰める鋭利さと、悪意のようなスパイスが必要だろう。」
選評出典:『オール讀物』平成4年/1992年9月号
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文量
短篇集
奇妙な夜
章立て
なし
時代設定 場所設定
[同時代]  東京
登場人物
沢野(市役所観光課係長補佐)
青年(暴行されていた沢野を助ける)
夜行列車
章立て
なし
時代設定 場所設定
[同時代]  松江〜城崎
登場人物
辻(建築設計事務所経営)
奥さん、時子(辻夫婦の友人、危篤)
白い木馬
章立て
なし
時代設定 場所設定
[同時代]  ある遊園地
登場人物
木下(初老の男)
ヒロミ(木下の孫娘)
芳子(ヒロミの母)
暖炉のある家
章立て
なし
時代設定 場所設定
[同時代]  東京
登場人物
三田(古美術店主)
奥さん(三田の再婚相手)
母(三田の実母、新潟在)
チャンピオン
章立て
なし
時代設定 場所設定
[同時代]  ある街
登場人物
岸本(会社員、元ボクサー)
晴子(岸本の次女、高校生、ボクシング部員)
鯨の骨
章立て
なし
時代設定 場所設定
[同時代]  ある街
登場人物
松井(会社員)
父(松井の亡夫、画家)
遠い日に
章立て
なし
時代設定 場所設定
[同時代]  仙台
登場人物
本間(割烹料理店主)
敏夫(本間の従兄、本家の嫡男、病弱)
飛行機の話
章立て
なし
時代設定 場所設定
[同時代]  東京〜仙台
登場人物
房子(主婦)
父(建設会社経営、元海軍飛行予科練習生)
夫婦の事情
章立て
なし
時代設定 場所設定
[同時代]  ある街
登場人物
秋子(彫刻の勉強中、夫と別居)
夫(秋子の夫、定年退職)
モカの香り
章立て
なし
時代設定 場所設定
[同時代]  東京神田
登場人物
小沢清太郎(喫茶店「檣」店主)
女客(「檣」の常連だった立花の孫娘)
路地の奥
章立て
なし
時代設定 場所設定
[同時代]  ある住宅地
登場人物
矢野(老女)
シゲル(矢野の隣家の少年)
こけしの宿
章立て
なし
時代設定 場所設定
[同時代]  温泉街
登場人物
早川(老女、新婚旅行先へ一人旅)
真夜中の道
章立て
なし
時代設定 場所設定
[同時代]  草津〜東京
登場人物
滝田(建設会社経営)
良子(滝田の一人娘、交通事故で入院)
四人部屋
章立て
なし
時代設定 場所設定
[同時代]  東京
登場人物
良子(二十歳の入院患者)
小野寺(患者の付き添い婦)
ブリキの箱
章立て
なし
時代設定 場所設定
[同時代]  東京
登場人物
森山(定食屋店主)
小林(定食屋の土地の元所有者)
ふぐちり
章立て
なし
時代設定 場所設定
[同時代]  東京
登場人物
矢沢(ペンキ屋)
兄(矢沢の兄、高校中退ののち家出)
むかしの浜辺
章立て
なし
時代設定 場所設定
[同時代]  博多
登場人物
谷本(中年の男)
父(谷本の老父、五十年ぶりに博多に帰郷)
鳩時計
章立て
なし
時代設定 場所設定
[同時代]  東京
登場人物
小暮夫婦(修一の両親)
木下夫婦(修一の別れた妻・節子の両親)
哲郎(修一と節子の息子)
娘の部屋
章立て
なし
時代設定 場所設定
[同時代]  東京
登場人物
曾根(在宅の嘱託勤務)
久美子(曾根の一人娘、会社員、一人暮らし)
坂道の風景
章立て
なし
時代設定 場所設定
[同時代]  東京
登場人物
秀子(フリー記者)
母(秀子の亡母)
犬小屋
章立て
なし
時代設定 場所設定
[同時代]  ある住宅地
登場人物
本間(初老の男)
弘(本間の息子、アメリカ赴任中)
ブル(本間家の飼い犬)




直木賞 108回候補  一覧へ

かぜ わた まち
風の 渡る 町』(平成4年/1992年11月・徳間書店刊)
書誌
>>初出『問題小説』平成3年/1991年1月号〜平成4年/1992年8月号
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選評の概要
選考委員 評価 行数 評言
田辺聖子 0  
黒岩重吾 11 「殆どは、エッセーかコントに味つけしたような読物で終っている。人間や風土に対する作者の暖かい気持は分るが、読者の胸を叩くためには、小説としての切れ味がなければならない。その中で佳作と感じたのは、「教え子たち」であった。」
山口瞳 0  
陳舜臣 11 「前回の同氏の候補作とおなじ不満をもった。一つ一つの作品が短かすぎて、なかにはぴったりときまったのもあれば、密度の薄いまま終わったのもある。この作家には、短篇の集合体ではなく、構成力を試される長篇に挑戦してほしいとおもう。」
渡辺淳一 12 「その意企はわかるが、あまりに淡彩画風で迫力に欠けていた。このような手法は洒落てはいるが、余程の技巧派か老成した作家がやるべきことで、直木賞を狙うにはいささか小手先の仕事にすぎるようである。」
平岩弓枝 15 「私の心に最後まで残った」「文章が簡潔で描写が行き届いている。登場人物の一人一人に身近かなものを感じたし、そういう意味ではこの風の渡る町は、私自身、長年住んでいる町にも似ているような気がした。」
井上ひさし 31 「正直のところ、この作品では一編一編が淡白に出来ていて、さらに淡い文章がその淡白さを割り薄めており、全編が結集したときの迫力(別にいえば、感動)に欠けるところがあったような気がする。ひと言で言えば欲のない作品である。」
藤沢周平 11 「一行を大事にする文章と、全体の連続性とはべつに、それぞれの一篇の主題の独立性がもとめられるところだが、二、三篇をのぞいてこの条件は満たされていない感じがある。ただしこの短篇集には人肌のあたたか味があって、読後に余韻が残った。」
五木寛之 0  
選評出典:『オール讀物』平成5年/1993年3月号
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文量
連作長篇
時代設定 場所設定
[同時代]  東北のある街
登場人物
相沢(岩井新報の社主)
緑川茂子(オペラ歌手)
緑川秀子(茂子の妹、伴奏者)
大谷五郎(通称ゴロさん、城山の住人)
岩崎(高校の元・古典教師)
清司(清寿司の主人)
木村(理髪店の店主)
鍛冶小路の親分(屋根葺き職人)
小村宣治(塗装業者)
小村真一(宣治の息子、高校2年生)




直木賞 110回候補  一覧へ

さけ
鮭を 見に』(平成5年/1993年6月・文藝春秋刊)
収録作品の書誌
鮭を見に
>>初出『別冊文藝春秋』194号[平成3年/1991年1月]
海向こうの故郷
>>初出『オール讀物』平成4年/1992年5月号
蜜柑畑の下
>>初出『オール讀物』平成5年/1993年1月号
窓辺のトロフィー
>>初出『別冊文藝春秋』201号[平成4年/1992年10月]
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選評の概要
選考委員 評価 行数 評言
井上ひさし 19 「過去の重い時間を引き摺りながら、現在、出来うる限りの努力をし、未来に一条の希望の光を見ようとする人たちが大勢、登場する。」「さらにもう一つ、作者はそれらの人びとに「心のやさしさ」を与えている。ここがいわば議論の分れ目で、だから印象が淡い、美談仕立てだという意見があり、だから気持がいいという意見も生まれる。今回の評者は後者の立場、しかし力が及ばなかった。」
陳舜臣 4 「前回の候補作よりも重量感があったので、受賞を逸したのは残念であった。」
藤沢周平 13 「「鮭を見に」は完成度の高い作品だった。(引用者中略)私はこの一遍だけで受賞の値打ちがあると思ったほどである。」「ただ、市役所で女の子が泣くのはどんなものか。ほかの三篇もそれぞれにおもしろかったが、いずれもどこかしら甘さがあるように思われた。」
田辺聖子 16 「氏のお作品を拝見すると、まことにほっとする。そういう意味で現代にあらまほしい作品だ。ときどき文学的エスプリが日常の常識次元の波をかぶってしまいそうな危うさをちょっと感ずるが、「窓辺のトロフィー」はことにも佳篇であった。」
黒岩重吾 14 「素朴な作品である。人間の善良さが良く出ている。ただ作者は人間の厳しさから逃げているようだ。例えば主人公は旅の途中で少女と出会い連れ歩く。(引用者中略)場合によっては主人公は痴漢に間違われかねないのである。作者がこのことに気づいていないとすると甘いといわれても仕方がない。」
五木寛之 0  
平岩弓枝 0  
渡辺淳一 11 「いずれの短篇もほのぼのと人間の善意を感じさせ、読後感は爽やかだが、常にそこまでで止まり、その甘さをのり越えた深みにいたらない、もどかしさが残る。」
山口瞳 12 「内海さんの小説を読むと、いつももどかしい思いをする。なんという欲の無い人なのか。文章の安定感も好感度も随一であるのに、勿体無い。もっとハッタリをかましたら、と私なんかは考える。」
選評出典:『オール讀物』平成6年/1994年3月号
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文量
短篇集
鮭を見に
章立て
なし
時代設定 場所設定
[同時代]  北海道函館〜千歳〜苫小牧〜札幌
登場人物
村井(停年退職後の男)
大村聖子(村井が旅先で出逢った少女)
八重樫里子(村井の昔の彼女、素人画家)
海向こうの故郷
章立て
なし
時代設定 場所設定
[同時代]〜太平洋戦争戦中  東京〜岩手県一関
登場人物
岡村達男(戦時中の国民学校生)
佐山忠治(坑夫)
安本(怪力の坑夫、朝鮮人)
父(岡村の父親、亜炭鉱山の所長)
蜜柑畑の下
章立て
なし
時代設定 場所設定
[同時代]  瀬戸内海双神島〜本島
登場人物
浦野誠治(本島駐在の巡査)
大崎(魚雷掘りの責任者)
浦野節子(誠治の妻)
窓辺のトロフィー
章立て
なし
時代設定 場所設定
[同時代]  東京郊外
登場人物
木島裕介(翻訳家)
岩本勝一(元プロボクサー)
川田真治(ボクシングジム社長、元世界チャンピオン)




直木賞 113回候補  一覧へ

ひゃくめんそう
百面相』(平成7年/1995年4月・講談社刊)
書誌
>>初出『イン★ポケット』平成5年/1993年10月号〜平成7年/1995年1月号
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選評の概要
選考委員 評価 行数 評言
山口瞳 10 「叮嚀に書きこんである(特に女主人公の久江、小料理屋の内幕)ので好感が持てるが、そのぶん百面相の波多野栄一の話と割れてしまったのが惜しまれる。また底辺で稼ぐ芸人のもつイヤラシサにもっと触れてもらいたかった。」
渡辺淳一 26 「文章が安定し、登場人物のデッサンも適格で、もっとも安心して読めた。」「今回は実在のやや癖のある人物を主人公にしたせいか、かなり引き締まったようである。それでもなお不満の声があったが、そこから先は作家の資質的なもので、そこまで責めるのは少し酷かもしれない。」
平岩弓枝 26 「(引用者注:「百面相」と「白球残映」を)推した。」「登場人物に生彩がある。」「小料理屋を開業しての悪戦苦闘ぶりに多く筆を費しているが、これも読みごたえがあった。強いて難をいえば、(引用者中略)人間の奥にあるどろどろした毒の部分に触れない点ではないかと思う。とはいえ、それは作者の一つの持味であろうし、私自身はこういう作品が好きである。」
津本陽 13 「実に手のこんだ作品である。老いた芸人夫婦と娘夫婦の生活を、低い声音で語りつづけ、飽きさせることがない。」「あまりに欠点なくできあがっているので、どこか実感がうすい。日々の軌道を踏みはずす人物が、ひとりでも出てくれば、いきおいがちがってきたのではないか。」
田辺聖子 16 「善人ばかり出すぎる、という批評もあるが、善人の毒、というものもある。百面相の老芸人が人が好すぎるため周囲ははらはらする、これも人生の毒である。文学性ある良質のエンターテインメントを提供する、というのが本賞の目的であれば、この作品など妥当な線ではないかと思われたが、いま一息票が伸びず残念だった。」
黒岩重吾 16 「旨い小説である。ただその旨さは人生に傷を受けていない優等生的な旨さであって、ところどころ頷きながらも作品に酔えない。」「綺麗事で済ませた方が確かにストーリー作りは楽だが、読者はついて行けない。何故氏は人間臭さを避けているのだろうか。」
阿刀田高 24 「欠点を見つけるのがむつかしい。百面相を演ずる芸人とその家族がサラリと味よく、巧みに描かれている。が、インパクトが足りない。」「ばからしい芸を、当人もそれを充分に承知していながら演じ続ける執念を、ありきたりのパターンではなく、もう少し鮮明に見せてくれたら、と惜しんだ。心残りの作品である。」
井上ひさし 24 「物語にも文章にも破綻はなく、読者は安心して作者の創り出す物語世界に寄りかかっていることができる。けれどもやがて話があまりにも都合よく運びすぎてはいないかという不安が襲ってくる。」「血の噴き出すようなエピソードを挿み込んで、この予定調和的世界を一旦は突き崩すという作家的戦略が必要なのではないだろうか。」
五木寛之 0  
選評出典:『オール讀物』平成7年/1995年9月号
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文量
長篇
章立て
「第一章 開店祝い」「第二章 芸人気質」「第三章 内助の功」「第四章 出囃子」「第五章 大入り袋」
時代設定 場所設定
[同時代]  東京郊外のある街
登場人物
波野英一(百面相の老芸人)
久江(波野の娘)
昇(久江の夫、割烹「こい津」店主)
シゲ(久江の母親)
菅野貞子(自称・波野の弟子、三味線弾き)




ブログ版 直木賞のすべて 余聞と余分
  [H19]2007/11/25 町工場で、本を読む  
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