直木賞のすべて
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第100回

=受賞者=
藤堂志津子
杉本章子

=候補者=
佐々木 譲
もりたなるお
笹倉 明
堀 和久
古川 薫


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Last Update[H20]2008/7/3

佐々木譲
Sasaki Jo
生没年月日【注】 昭和25年/1950年3月16日〜
経歴 本名=佐々木譲(ササキ・ユズル)。北海道札幌市生まれ。札幌月寒高校卒。本田技研入社。「鉄騎兵、跳んだ」でオール讀物新人賞受賞。その後退社し作家に。
受賞歴 第55回オール讀物新人賞(昭和54年/1979年)「鉄騎兵、跳んだ」
第3回山本周五郎賞(平成1年/1989年)『エトロフ発緊急電』
第43回日本推理作家協会賞[長編部門](平成2年/1990年)『エトロフ発緊急電』
第8回日本冒険小説協会大賞[日本軍大賞](平成1年/1989年)『エトロフ発緊急電』
第13回日本冒険小説協会大賞[日本軍大賞](平成6年/1994年)『ストックホルムの密使』
第21回新田次郎文学賞(平成14年/2002年)『武揚伝』
処女作 「鉄騎兵、跳んだ」(『オール讀物』昭和54年/1979年)
サイト内リンク 付録-山本周五郎賞受賞作・候補作一覧(第3回)
付録-オール讀物新人賞受賞作一覧(第55回)
小研究-ミステリーと直木賞
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関連記事
2件/最新は平成20年/2008年1月16日記事(このページの下部にリンクあり)
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直木賞 100回候補  一覧へ

ひこうしれい
『ベルリン 飛行指令』
(昭和63年/1988年10月・新潮社/新潮ミステリー倶楽部)
書誌
>>平成5年/1993年1月・新潮社/新潮文庫『ベルリン飛行指令』
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選評の概要
選考委員 評価 行数 評言
田辺聖子 15 「私は実に楽しく拝見した。手に汗にぎる冒険ロマンであるが、その背後にアジア近代史が点描されていて、よくできたエンターテインメント文学といえると思った。」「しかしゼロ戦の知識のない私には、事実関係の誤認を他委員に指摘されると、そこはよくわからないので、推す力が弱まるのは残念であった。」
黒岩重吾 0  
陳舜臣 8 「冒険小説として、景山民夫氏の『虎口からの脱出』を超えることができなかった」
村上元三 14 「冒頭から、この話には引きこまれる。真偽は読んでいるうちにわかる、と思いながら最後まで読み続けた。」「エピローグを読んで落胆した。エステリー長編というのは、こういう落し穴をどうして作るのだろうか。」
藤沢周平 14 「途中でやや退屈する難点があるものの、小説的な構成にすぐれ、受賞圏内の力を持つ作品だった。ことに感服したのは、クレバー(頭のいい)な平明さとでも名づけたい文章で、ここにこの作者の本来の資質のよさが光っていた。しかし肝心の零戦のベルリン行きに疑いがあるという意見が出されてみると、強く推すこともためらわれた。」
山口瞳 0  
平岩弓枝 15 「一番、面白く読んだ。」「飛ぶまでを書く紙数が多すぎて、飛んでからがあっけなかったという指摘があり、私も多少、同感だったが、飛行機というのは飛び立ってしまえば速いのだから仕方がないと弁護したくなるくらい、楽しい作品と思ったが、票が集まらなかった。」
井上ひさし 9 「近代史の中へ想像力の楔をどれだけ深く、かつ巧みに打ち込むかという冒険であった。」「「とにかく読み手を楽しませなければならぬ」という苛酷な条件の下で試みられた(引用者中略)冒険や実験に評者はまず脱帽し低頭する。」
五木寛之 7 「雄大な構想の男性的長篇で、その小説の方向には最も興味をおぼえた作品だ。惜しむらくは省略の工夫に欠ける。この半分の長さでいいと思った。」
渡辺淳一 21 「事実関係は一応よく調べられているが、推理小説として読むと先が割れているし、冒険小説として読むとさほどの緊迫感はない。なによりも零戦野郎とでもいうべき主人公の、マニアックな思い入れが伝わってこないところが、この作品を味の薄いものにしている。」
選評出典:『オール讀物』平成1年/1989年3月号
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文量
長篇
章立て
「著者前書き」「第一部」【「1」〜「5」】「第二部」【「1」〜「35」】「第三部」【「1」〜「22」】「エピローグ」
時代設定 場所設定
1960年代〜1940年  ドイツ・ベルリン〜上海〜東京〜横浜〜東ベンガル〜トルコ〜ドイツなど
登場人物
安藤啓一(海軍大尉)
乾恭平(海軍一等航空兵曹)
山脇順三(海軍省書記官)
大貫誠志郎(海軍省副官)
ガジュ・シン(インド西部の藩王)
柴田亮二郎(陸軍情報将校、東亜対策要員)
安藤真理子(啓一の妹)
由紀(横浜のシンガー)
ゲルハルト・グラーフ(空軍省副官、少佐)
浅野敏彦(ホンダF1チーム・マネージャー)





はつきんきゅうでん
『エトロフ 発緊急電』
(平成1年/1989年10月・新潮社/新潮ミステリー倶楽部)
書誌
>>平成6年/1994年1月・新潮社/新潮文庫『エトロフ発緊急電』
>>平成16年/2004年6月・双葉社/双葉文庫・日本推理作家協会賞受賞作全集62『エトロフ発緊急電』
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他文学賞 山本周五郎賞 3受賞 一覧へ
選評の概要
選考委員 評価 行数 評言
井上ひさし 44 4点「三十億だか五十億だかいる人間の中の、ある二人に焦点を当てておき、それが、時代の悲劇的な進展につれてついに結ばれるという距離の縮め方……。(引用者中略)そこに全霊を上げて取組む作者の力技に感心しました。」「ただ、この作者が最も力を注ぐべきだったのは、国家とは何かということだと思うんです。」
田辺聖子 39 5点「私、スパイが好きなんです(笑)。」「とにかくばらばらに始まった物語が、だんだん収斂されていき、それぞれの過去を持った人たちが、一つの大きなドラマのうねりの中に巻き込まれて、個人の運命も、国家の命運も一緒になってという、手に汗握る力強さといいますか、これはもう、かいなでの作者では出来ないですね。」
野坂昭如 48 0点→3点「前半は面白かったけれども、後半はかなりがたがた。」「波瀾万丈かと思ったら、お涙頂戴みたいなシーンが出てくるし、絵に描いたような差別の問題が出てきたりもする。」「僕は最初、〇と言いましたが、はじめに読んだ時、一番面白いと思ったのは、「エトロフ」でした。」
藤沢周平 24 3点「物語としてはよくまとまっていまして、佐々木さん、うまくなったなと思わせられるところもあるんですが、皮一枚のところで、気分が乗らないというか、共感できない小説でしたね。」「日本を裏切るという感じにならないように、純粋な日本人ではないという工夫は、いろいろとこらされていますが、全体がぎこちなく、滑らかに行っていないために、乗れない気分は如何ともしがたいのです。」
山口瞳 43 4点「「スメル男」とか「アリスの穴の中で」の後で読みますと、心に滲みるようにわかるんですね。」「よくわかるということと併せて、前作の「ベルリン飛行指令」からそんなに経っていないのに、よくこれだけ調べた、よくこれだけ書いた、そのバイタリティを、私は買いたいと思いました。」「ただし、長すぎますよ、この人のは。」
最終投票     3+3+3+2+2=13
選評出典:『小説新潮』平成2年/1990年7月号
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直木賞 138回候補  一覧へ

けいかん
警官の 血』(上)(下)
(平成19年/2007年9月・新潮社刊)
書誌
>>初出『小説新潮』平成18年/2006年6月号〜平成19年/2007年8月号
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選評の概要
選考委員 評価 行数 評言
浅田次郎 12 「受賞作に並べて推してもよいと思ったのだが、まこと頭の下がる父子三代の大河小説に、なぜミステリーを絡めてしまったのだろうという疑いを捨て切れなかった。」
阿刀田高 19 「推理小説仕立てにしたために一番肝腎な(引用者注:主人公たちの)苦悩が謎とされ、充分に描ききれず、種あかしでサラッとすまされたのが私には残念に思えた。力作であることは疑わない。」
五木寛之 11 「組織内に潜入する公安スパイという設定も興味ぶかい。これが受賞作として選ばれなかった理由を考えてみると、警官の視点が最後まで固定されて崩れなかった点にあるように思う。」
井上ひさし 30 「三代にわたる警察官一家の生き方に、黒くて太い謎を絡ませて描いた(引用者中略)壮大な試みだ。けれども、もっと壮大であってもよかったかもしれない。叙述の速度が早すぎて、三人の人生の山場をやすやすとつないでしまったような駆け足感がある。」
北方謙三 17 「一代目の不審死がミステリー仕立てになっていて、縦糸として牽引力を持っていた。時代背景の描写が、濃厚な生活感の描写とともにあり、力量の確かさを感じさせる。三代という発想のダイナミズムも、物語に少なからず強靭さを与えていると思った。」「例外的に、『悪果』、『警官の血』、『私の男』、の三作に丸をつけて(引用者注:選考会に)臨んだ。」
林真理子 14 「戦後の焼け跡の風景や、学生運動の時代をきちんと描いておられる。しかし、作者が読者の知り得ない事実を最後に提出し、謎を解き明かすという手法はどうなのだろうか。それまで本に寄り添ってきた読者の信頼感が崩れるような気がしてならない。」
平岩弓枝 28 「終戦の頃から半世紀にわたる三代の父子の警官物語を祖父と父と、二つの死の真相を鍵にして展開させて行く過程に作者の技の切れ味が見事で読みごたえがあった。私好みでいわせてもらえば、三代の家族の各々について、もう少々、筆をのばしてもらいたかった。」
宮城谷昌光 8 「『警官の血』の構成と描写には、瑕がすくないようにおもわれた。設計図をもとに、基礎工事も手ぬきなくおこなわれて、建てられた家を想えばよい。」
渡辺淳一 17 「なぜ親、子、孫と、みな警官になったのか。なかには警官になることに迷ったり、悩んだ子もいるのではないか。血という以上、そうした内面にまで掘り下げるべきで、父の死因を探るというだけでは安易すぎるし、最後がお行儀よくまとまるのも興を殺ぐ。」
選評出典:『オール讀物』平成20年/2008年3月号
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大衆選考会 138回推薦候補 一覧へ
大衆選考会での推薦
推薦者 推薦日 推薦文
書痴 平成20年/2008年1月7日 (前文=>桜庭一樹)もう一作あるとすれば、佐々木さん。以前より『択捉発〜』など優れた作品を書かれており、この期にとってほしい方です。
クレソン 平成20年/2008年1月8日 面白かったーーー!!
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文量
長篇
章立て
「プロローグ」「第一部 清二」「第二部 民雄」「第三部 和也」「エピローグ」
時代設定 場所設定
昭和20年代〜[同時代]  東京〜北海道〜山梨
登場人物
安城清二(除隊後に警視庁警察官、天王寺駐在所勤務)
安城民雄(清二の長男、警察官、公安刑事のち駐在所勤務)
安城和也(民雄の長男、警察官、捜査四課捜査員のち捜査二課)
早瀬勇三(清二の同期警官、公安刑事)
香取茂一(清二の同期警官)
窪田勝利(清二の同期警官)
原田圭介(上野公園の浮浪者)
宮野俊樹(民雄の北大時代の同級生)
堀米順子(軽井沢の保養所勤務、のち民雄の妻)
安城正紀(清二の次男、電気設備メーカー勤務)
恩田(天王寺町のアパート住民、畳職人)
加賀谷仁(警視庁捜査四課係長、和也の上司)
永見由香(東京消防庁の救命士)




ブログ版 直木賞のすべて 余聞と余分
  [H20]2008/1/16 第138回直木賞(平成19年/2007年下半期)決定の夜に  
  [H20]2008/1/13 このミステリーがすごい!2008年版 2007年のミステリー&エンターテインメントベスト10  
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