直木賞のすべて
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第99回

=受賞者=
西木正明
景山民夫

=候補者=
阿久 悠
藤堂志津子
堀 和久
小松重男
西村 望


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Last Update[H20]2008/1/3

景山民夫
Kageyama Tamio
生没年月日【注】 昭和22年/1947年3月20日〜平成10年/1998年1月26日
受賞年齢 41歳3ヵ月
経歴 別名・大岡鉄太郎。東京都生まれ。慶応義塾大学文学部中退、武蔵野美術短期大学デザイン科中退。
受賞歴 第2回講談社エッセイ賞(昭和61年/1986年)『ONE FINE MESS 世間はスラップスティック』
第8回吉川英治文学新人賞(昭和61年/1986年)『虎口からの脱出』
第5回日本冒険小説協会大賞[最優秀新人賞](昭和61年/1986年)『虎口からの脱出』
第18回ベストドレッサー賞(平成1年/1989年)
サイト内リンク 直木賞受賞作全作読破への道Part2
付録-吉川英治文学新人賞受賞作・候補作一覧(第8回)
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直木賞 97回候補  一覧へ

ここう だっしゅつ
虎口からの 脱出』
(昭和61年/1986年12月・新潮社刊)
書誌
>>平成2年/1990年1月・新潮社/新潮文庫『虎口からの脱出』
>>平成3年/1991年10月・埼玉福祉会/大活字本シリーズ『虎口からの脱出』(上)(下)
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選評の概要
選考委員 評価 行数 評言
陳舜臣 12 「おもしろい冒険小説であるだけに、調査不足が惜しまれる。」「上海に藍衣社があらわれるが、この結社の成立はじつはこの四年後なのだ。安政六年に新撰組が登場するにひとしい。フィクションの許容限度を大きくこえている。」
藤沢周平 18 「後半の脱出行になると、(引用者中略)やや新鮮味(個性と言ってもよい)が薄れる。主人公もいまひとつ魅力が不足している。しかしだから面白くないというのではなく、よく出来た冒険小説と言えよう。」「この分野に有望な新人が現れたことは間違いがない。」
黒岩重吾 3 「余りにも荒唐無稽過ぎる。」
田辺聖子 20 「出だしからすこぶる快調である。点景人物も印象的でお遊びも随所に凝らしてある。」「ただ、中途から車が主人公になってしまった観があって文字通り、冒険小説にとどまった。小説というのは面白けりゃいい、と私は思うものだが、人間たちが車の陰にかくれてしまうと、どうにもじれったい気もする。」
井上ひさし 0  
渡辺淳一 9 「前半の緊迫感に対して、盧溝橋事件後の後半がいささかドタバタ調で興醒めした。全体にノンフィクション部分に対するフィクションの部分の弱さが目立ち、両者が水と油のように分かれすぎている。」
山口瞳 8 「私はお手上げで、こういう小説が候補作の主力になるようなら委員を辞任する他はないと思った。但し、景山さんは大変な才人で、小粋な短篇小説も書ける作家だと思っている。」
村上元三 19 「ずいぶんていねいに調べて書いている、と期待したが、かんじんの西とオライリー、麗華の三人が題名の虎口からの脱走になってから、だんだん現実ばなれがしてきた。」「自動車で万里の長城の上を突っ走る場面など(引用者中略)荒唐無稽だし、結末がハッピイエンドになるのも都合がよすぎる。」
平岩弓枝 4 「文章に問題があって落ちてしまったが、映画にしてみたくなる作品であった。」
五木寛之 34 「特に注目して読んだ作品である。」「残念ながら読後もう一つ釈然としなかった、というのが率直な感想である。」「若い作家の腕力に軽やかにのる(原文傍点)ことができなかったことを悔やむべきかもしれない。」
選評出典:『オール讀物』昭和62年/1987年10月号
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他文学賞 吉川英治文学新人賞 8受賞 一覧へ
選評の概要
選考委員 評価 行数 評言
半村良 13 「景山氏はその地力を屈託なく発揮したが、冒頭の時代背景説明にはやはり多少低速運転を強いられたようだ。しかしこれは読者層の交代という問題もあって、やむをえなかったことと理解している。」「この新星は賑やかに輝く予感がしている。」
尾崎秀樹 19 「実名で描くのは、よほどの自信がないとやれないものだが、克明に調べ、その裏づけに立って書いているのであぶなげがない。」「昭和史をあつかったエンターテインメントとして抜群におもしろかった。」
野坂昭如 30 「欧米で、百花繚乱の賑わいをみせる、スパイ冒険活劇小説が、わが風土には花を咲かせにくい。といううらみをかねて抱いていたのだが、景山民夫の作品は、鮮やかに、この負い目をのりこえ、つまり満州事変当時の、中国大陸をえらび、陸軍軍人を主人公にすることで、たいへん迫力のある、痛快な作品を、創り出した。」「なにより文章の筋が良い、放送界では夙に令名を馳せているが、活字にさらに素質がある。」
井上ひさし 21 「若い才能たちの中でも抜きん出て景気がいい。馬力がある。なによりも文章に、情況を、景色を喚起させる力がある。」「この方はおそらく作家になるべき星の下に生まれられたにちがいない。」「いくつか苦言を呈しておくと、作者自前の「物語」が発進するのがずいぶんおそすぎる。」「小説というより映画脚本に近いといった印象をうける個所がむやみにある。」
佐野洋 28 「エッセイストが小説を書いた場合、エッセイの延長という形になることが多い。」「これまでの景山氏の世界(私が知る限りの)とは、全く異質な作品になっていた。」「大変な才能である。」「この作品自体には、少なからず不満があったが、前述の魅力は、吉川英治文学新人賞にはぴったりだと思った。」
選評出典:『群像』昭和62年/1987年5月号
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文量
長篇
章立て
「プロローグ 1928年(昭和3年/1928年)4月6日 上海」「1928年5月18日 北京・旅順」「5月19日 奉天」「5月21日 東京」「5月23日 上海」「5月24日 奉天」「5月25日 東京」「5月27日 上海」「5月31日 北京」「5月31日 上海」「5月31日 奉天」「6月2日 奉天」「6月3日 奉天・北京」「6月4日 奉天・東京」「6月5日 奉天」「6月6日 山海関」「6月7日 天津・済南」「6月8日 上海」「エピローグ 1929年(昭和4年/1929年)7月2日 上海」
時代設定 場所設定
昭和初期  中国〜東京
登場人物
西真一郎(陸軍航空兵少尉)
村岡長太郎(関東軍司令官)
李麗華(中国人少女、奉天総領事館勤務)
マイケル・オライリー(米国人、富豪の運転手)
吉田茂(外務省次官、前奉天総領事)
金永輝(奉天憲兵隊の大尉)




直木賞 99受賞  一覧へ

とお うみ クー
遠い 海から 来た COO』
(昭和63年/1988年3月・角川書店刊)
書誌
>>初出『野性時代』昭和62年/1987年6月号〜昭和63年/1988年2月号
>>平成4年/1992年3月・角川書店/角川文庫『遠い海から来たCOO』
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選評の概要
選考委員 評価 行数 評言
黒岩重吾 38 「私がこの小説に否定的だったのは小説が二つに割れ、後半が前半とは異質で崩れているからである。」「(引用者注:前半は)優れた描写が多く、恐竜の子、クーが最初に見た主人公の少年を母と思うあたりは感動的だ。」「フランスの特殊部隊の出現あたりからアクション小説になり、場所がら核実験が絡むだろうと予想していると案の定そうでがっかりした。後半は描写も前半の緻密さを失い、その落差は酷い。」
陳舜臣 27 「現実を遠く超えた荒唐無稽が、シュルレアリズムとして、最も鋭く現実を再構築する例もあろう。(引用者中略)そんな創作のいろは(原文傍点)を思い起こさせた。」「なによりもおもしろく読めるのがこの作品の強みである。」「後半、冒険談になってから、密度がややゆるんだかんじがする。エネルギーの持続がこれからの景山氏の課題になるだろう。」
村上元三 37 「一ばん面白かった。」「こういう奇想天外ともいうべき作品が、直木賞候補に選ばれたのを、大いに歓迎したい。」「ここには楽しい夢があるし、読みながら空想の世界に遊ばせてくれる。」「最後の核実験反対のグリーンピースの運動家やフランス艦船よりも、海中から長い首を出した数百頭のプレシオザウルスのほうが、はるかに威力があった、というところ、わたしには痛快だった。真実性がないという批評は、必要がない。」
田辺聖子 24 「一級の娯楽作品であると共に、文学的にすぐれたもの、という感じを、私は受けた。現代のメルヘンではあるが、構成も調査もよくゆきとどき、読者を眩惑させるたくましさをもつ。」「揉めに揉めたが、この作品、賞の権威をそこなわないと私は信ずる。」
藤沢周平 61 「一応受賞圏内の作品を考えて選考会にのぞんだ」「第三章まではすばらしい出来。ことに幻想的なプロローグはまれにみるうつくしさで、今度の直木賞はこの人で決まりと思わせるものだった。」「ところがこのあとにはじまる活劇調の展開は、よく考えられているものの所詮底の浅い立ち回りの印象をぬぐえないものだった。」「万全の本命作品とは言えなかったが、才能という点では際立っていた。」
山口瞳 17 「文章がよかった。特に恐龍がCOOを産むプロローグが圧巻で、これから何が起るのかという期待を抱かせる上々の書きだしになっている。」「近来になくワクワクして読んだが、これは大変な才能だと思う。強硬な反対意見があったが、私は景山民夫さんの才能に賭けてみる側に立った。」
五木寛之 12 「強く推した。この作品に対して、賛否がまっぷたつに分かれたところに、新作家登場のエネルギーを感じたからだ。」
平岩弓枝 29 「核というシリアスな問題を背景においているだけに、国によっては小説だからと笑ってすませてくれないかも知れない。そのことはさておいても、後半、殊に登場人物が都合よく出来すぎているし、構成も荒っぽい。」「メルヘンであれ、冒険であれ、小説は人間を描くことだと私は思っているので、この作品を推す気持にはなれなかった。」
井上ひさし 47 「私は推す作品を、景山、西木、小松の三作品に決めていた。」「もっとも感心した」「文体の変化と呼応して、物語の質がまた変る。」「チャランポランに書かれているように見えて、じつは細心の計算がなされているようである。」「くり返しになるが、私は景山氏の、のびのびとした素質のよさに、ほんとうに感心してしまった。」
渡辺淳一 45 「景山民夫氏の才能を、わたしは否定する気はない。それどころか、大変な才気だと思うが、レポーターかプロデューサーの才で、小説家の才能とは少し違うようである。」「これを小説として読むときわめて退屈で、肝腎の人間が少しも生きていない。」「最終的に訴えようとする核実験反対や環境保護の重要さもありきたりである。」
選評出典:『オール讀物』昭和63年/1988年10月号
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文量
長篇
章立て
「プロローグ」「第1章」〜「第8章」「エピローグ」
時代設定 場所設定
[同時代]  フィジー諸島・パゴパゴ島〜タヒチ島
登場人物
小畑洋助(12歳の少年)
クー(プレシオザウルスの子孫)
小畑徹郎(洋助の父親、海洋生物学者)
フィリップ・ノルベール大佐(フランス諜報機関SDECE第七部部長)
カトリーヌ・マリコ・野崎(通称キャシー、雑誌記者、自然保護団体のメンバー)




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