直木賞のすべて
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第91回

=受賞者=
連城三紀彦
難波利三

=候補者=
落合恵子
今井 泉
小林久三
白石一郎
林 真理子
山口洋子


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Last Update[H19]2007/11/4

難波利三
Nanba Toshizo
生没年月日【注】 昭和11年/1936年9月25日〜
受賞年齢 47歳9ヵ月
経歴 島根県生まれ。関西外国語大学中退。業界新聞社に勤務し、病気で倒れたあと療養中に執筆活動を開始。昭和47年/1972年オール讀物新人賞受賞。大阪市教育委員、大阪市立クラフトパーク初代館長を務める。
受賞歴 第40回オール讀物新人賞(昭和47年/1972年)「地虫」
第33回大阪市「市民表彰」文化功労部門(平成10年/1998年)
処女作 「地虫」(『オール讀物』昭和47年/1972年6月号)
サイト内リンク 小研究-記録(候補回数)
直木賞受賞作全作読破への道Part2
付録-オール讀物新人賞受賞作一覧(第40回)
子サイト
「余聞と余分」内
関連記事
1件/最新は平成19年/2007年9月30日記事(このページの下部にリンクあり)
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直木賞 67回候補  一覧へ

じむし
地虫」(『オール讀物』昭和47年/1972年6月号)
書誌
>>昭和53年/1978年9月・光風社書店刊『大阪希望館』所収
>>昭和59年/1984年9月・光風社出版刊『大阪希望館』所収
>>昭和59年/1984年10月・集英社/集英社文庫『雑魚の棲む路地』所収
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選評の概要
選考委員 評価 行数 評言
司馬遼太郎 0  
大佛次郎 0  
石坂洋次郎 9 「いいと思ったが、大佛さんと私が最後まで推薦しただけで、途中で脱落してしまった。」
水上勉 3 「好感のもてる世界だったが、以上三作(引用者注:「手鎖心中」「斬」「寂光」)に比して弱かった。)
川口松太郎 0  
源氏鶏太 4 「終りになるほど面白くなっていくのだが、よくある話という気持から抜け切れなかった。」
今日出海 0  
柴田錬三郎 0  
村上元三 8 「大阪のこういう題材は書きやすいのかも知れない。この作家が、器用さを抜けて、早く本物になってくれることを望みたい。」
松本清張 0  
選評出典:『オール讀物』昭和47年/1972年10月号
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文量
短篇
章立て
「一」〜「十」
時代設定 場所設定
[同時代]  大阪
登場人物
朝子(露天商の娘)
父(朝子の父親、露天商)
千江(朝子の妹)
ススム(プラスチック工場運転手、父の知り合い)




直木賞 68回候補  一覧へ

ざこ ろじ
雑魚の 棲む 路地」
(『オール讀物』昭和47年/1972年10月号)
書誌
>>昭和53年/1978年9月・光風社書店刊『大阪希望館』所収
>>昭和59年/1984年9月・光風社出版刊『大阪希望館』所収
>>昭和59年/1984年10月・集英社/集英社文庫『雑魚の棲む路地』所収
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選評の概要
選考委員 評価 行数 評言
大佛次郎 26 「同じ作者が前に露店商人の生活を書いたのが、不思議と頭に残っていた。どちらも埃っぽく、野生の人間の体臭がムンムンしていた。」「しかし直木賞の作品の場合には、あるまとまりや、筋の輪郭の線が明瞭でないと、読者の注意が散漫となる。」
源氏鶏太 0  
石坂洋次郎 6 「いまひと息レアリティーが不足だと思った。」
司馬遼太郎 16 「じつに達者な職業作家の作品で、その点では過不足はない。ただ厄介なことは、賞に値するためには作品に何物かがなければならないということである。」
川口松太郎 0  
水上勉 10 「この作家独自の世界で、好感がもてた。だが仕上りは前回「地虫」より落ちた、と思う。」「庶民の物哀しさはよく出ている。だが、もう一つ人物たちに類型の域を出ないところが気になる。」
村上元三 5 「前回の「地虫」よりも劣るが、達者だし、この人はこのまま職業作家としてやって行けるだろう。」
今日出海 0  
柴田錬三郎 0  
松本清張 0  
選評出典:『オール讀物』昭和48年/1973年4月号
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文量
短篇
章立て
「一」〜「九」
時代設定 場所設定
[同時代]  大阪
登場人物
六さん(魚の行商人)
おばはん(路地の住人)
婆さん(路地の住人、淡路出身の元・芸者)
末男(六さんの末息子)
船谷(おばはんの夫、精神病院に入院中)




直木賞 72回候補  一覧へ

ごう
「イルティッシュ 号の 来た 日」
(『別冊文藝春秋』128号[昭和49年/1974年6月])
書誌
>>昭和59年/1984年10月・文藝春秋刊『イルティッシュ号の来た日』所収
>>平成5年/1993年11月・ぎょうせい刊『ふるさと文学館 第三八巻 島根』所収
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選評の概要
選考委員 評価 行数 評言
松本清張 2 「凡作、」
石坂洋次郎 19 「着実ないい作品だと思ったが、支持者が少いのが残念だった。」
司馬遼太郎 5 「敬服するほどに整っている。しかし人間の問題として、ダイナミズムに乏しい。」
源氏鶏太 6 「読みながらうまいと思った。しかし、読み終って日が過ぎると、何んとなく印象が薄れてくる。そこに難があった。」
水上勉 0  
今日出海 9 「選に漏れたのは、どこかに類型的なものと、語り口に生硬さがあったからだろうが、私には好ましい個性的なもののあることは認めずにはいられない。」
村上元三 6 「かんじんのロシア船と弥吉の住む土地とのかかわり合いが、面白そうでいながら、作者のひとり合点で終っている。」
川口松太郎 0  
柴田錬三郎 0  
選評出典:『オール讀物』昭和50年/1975年4月号
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文量
中篇
章立て
「一」〜「四」
時代設定 場所設定
明治後期〜昭和30年代  島根県都濃村和木
登場人物
弥吉(漁師、ロシア船イルティッシュ号の第一発見者)
シノ(弥吉の妹)
ハツヨ(弥吉の網元の遠縁、出戻り)




直木賞 73回候補  一覧へ

てん らっぱ
天を 突く 喇叭」
(『別冊文藝春秋』131号[昭和50年/1975年3月])
書誌
>>昭和59年/1984年10月・文藝春秋刊『イルティッシュ号の来た日』所収
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選評の概要
選考委員 評価 行数 評言
川口松太郎 14 「面白かったし、描写力もあり構想も悪くないと思ったが、全体のバランスには難点があった。ムダが多いという事、東条英機のような人物をなぜ持ち出したのか、実名で書くと作品に気品がなくなる。」
石坂洋次郎 20 「ラッパ手の力を士官の東条英機に認められ、東条が処刑されるまで、東条のその時々の立場に触れていることが、作品に特殊性を滲ませている。」「私は右の三作(引用者注:「ふれあい」「生麦一条」「天を突く喇叭」)を推したが、賛否半ばして、直木賞に選ばれず、残念だった。」
柴田錬三郎 5 「どこにも新鮮味はなく、どこかで借りて来たような文章で、ストーリイのつじつまを合せているだけであった。」
源氏鶏太 7 「私には、可もなし不可もなし程度にしか思えなかった。ある話をあるがままに書いているに過ぎぬとの印象を残すからである。」
村上元三 7 「最後まで残ると思っていたが、支持者は少かった。候補になるごとに、この作者は地力を増しているし、確実に自分の作風を身につけた、と言えるだろう。」
今日出海 9 「私は面白く読んだ。」「前作「イルティッシュ号の来た日」を想起した。そして今回の作品の方がいいと思ったが、そのよさがもっと垢抜けたよさに進んでもよかったのにと、望蜀の望みをつい抱いてしまった。」
水上勉 0  
松本清張 12 「前候補作よりはよい。が、この作者がいつも有名事件や有名人を筋に使うのは、よほどその関連が密接してないと、単に人の眼を惹く手段としか思われなくなる。今回のは、その密接があった。が、作品の平板はどうしようもない。」
選評出典:『オール讀物』昭和50年/1975年10月号
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文量
中篇
章立て
「一」〜「十」
時代設定 場所設定
明治後期〜太平洋戦争戦後  島根県〜東京
登場人物
南田源次(二十一連隊の喇叭手、木樵)
平岡忠造(源次の同期生)
東条英機(源次の士官学校当時の上役、のち首相)
ナミエ(元・遊女、平岡の女)




直木賞 78回候補  一覧へ

おおさかきぼうかん
大阪希望館」
(『別冊文藝春秋』141号[昭和52年/1977年9月])
書誌
>>昭和53年/1978年9月・光風社出版刊『大阪希望館』所収
>>昭和59年/1984年9月・光風社出版刊『大阪希望館』所収
>>平成10年/1998年8月・日本デザインクリエーターズカンパニー刊『大阪希望館』
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選評の概要
選考委員 評価 行数 評言
水上勉 0  
司馬遼太郎 15 「そういう(引用者注:世間が大阪に対して持っている)既成イメージや方言を人間造形に援用させることをできるだけ抑止して人間そのものを見つめ直せば、このしたたかな作家はおなじ素材でももっといいものを書くのではないか。」
柴田錬三郎 0  
源氏鶏太 5 「サワリが多過ぎて、却ってパンチを失っていた。ここらで八方破れをお考えになってはいかがであろうか。」
村上元三 5 「題材が面白いのに、水ましになっている。もっと短い枚数で、無駄をはぶくべきだったと思う。」
川口松太郎 3 「楽しく読んだがこれも同じこと(引用者注:「巷塵」評の、仕組みに苦労して人間を描く点を忘れていること)がいえる。」
今日出海 11 「面白く読んだ。」「何れも特色があって、その一つを選出するのに逡巡せざるを得なかった。」「世間に通用する水準を越えた作品と言えるだろう。」
石坂洋次郎 0  
選評出典:『オール讀物』昭和53年/1978年4月号
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文量
中篇
章立て
「一」〜「十」
時代設定 場所設定
太平洋戦争戦後  大阪
登場人物
私(語り手、板野、無職の若者)
北村兼造(「大阪希望館」館長)
田中弘一(浮浪児)
松子(大阪希望館勤務、唖者)




直木賞 91受賞  一覧へ

むら
『てんのじ 村』(昭和59年/1984年4月・実業之日本社刊)
書誌
>>昭和62年/1987年7月・文藝春秋/文春文庫『てんのじ村』
>>平成1年/1989年10月・埼玉福祉会/大活字本シリーズ『てんのじ村』(上)(下)
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選評の概要
選考委員 評価 行数 評言
山口瞳 10 「さっぱりとしていて、笑いも涙もある好感の持てる作品だが、そのぶん、全体として印象が薄い。てんのじ村の芸人が善人ばかりというのが納得できない。底辺に生きる芸人の卑しさが書けていないので起伏に乏しいのである。」
池波正太郎 11 「次点は〔てんのじ村〕だった」「大阪の特殊な芸人の世界をうまく描いてはいるが、なんとしても、主人公の花田シゲルのキャラクターが平凡であるがために、従来の芸道物から一歩も出ていない。〔恋文〕と同列にしなかったのは、そのことだ。」
水上勉 21 「登場人物も多いのだが、よく書けているようでも、どこか同じ型の人間にみえてくる。だが、読ませた。最後にきて、テレビ会社から、ホテルをあてがわれ、ツインベッドで寝る老コンビの会話はうつくしい。」「一人くらい悪人が出てきても、と某委員の注文に、悪人のいないのがてんのじ村のこの人たちの世界だと黒岩さんがいった。(引用者中略)そこで、負けた。二作授賞ならこれ以外にない、と思った。」
源氏鶏太 13 「読み始めて、何んともヘソのない小説のような気がしていたのだが、読み進むにつれて、ヘソが見えて来ただけでなしに、読み終って、爽やかな感動をおぼえた。ついでに書いておけば、この土地のことに詳しい黒岩重吾氏の強力な発言が授賞に役立っていた。」
井上ひさし 15 「素朴すぎるほど素朴な文章で、癖のないのが癖、とでもいったような不思議な味わいがあります。」「どうしてその芸が観客の拍手を得ることができたのか、小説の読者にはよくわからないところに強い不満をおぼえました。けれどもいくつかの感動的な人生断片が最後にその不満を退けてしまいました。」
渡辺淳一 10 「書き下し長篇にしてはいささか平板で、世に出ぬ芸能人を描きながら、それらしい屈折や臭みが感じられない。」「よく調べられた力作で、作者がてんのじ村にかけた意欲を、感じることができる。」
五木寛之 15 「ノスタルジーの時代に浮上する必然性をもった小説だろう。」「特色は、作者の視点がここに描かれた作中人物たちのそれと、ほとんど重なっている所にある。美也子という若い娘の登場する場面が、ことに印象が鮮かに感じられた。」
黒岩重吾 18 「主人公を始め、他の芸人達の生き様にもリアリティがあり、作者はこの作品に溺れていない。ことに主人公が老いてからの描写は光っている。」「ただ残念なのはてんのじ村の長屋が描かれていないことである。そのため芸人達の体臭が稀薄になった。」「他にも欠点はあるが、授賞に価する作品なので、二作授賞を主張した。」
村上元三 9 「群を抜いていたし、二作(引用者注:「恋文」と「てんのじ村」)を推す気で選考会場へ行った。」「面白いという点では、今回の候補作のうち第一であった。底流にいる芸人が年をとって、泥鰌すくいの中に自分の芸を見出す姿が、ほほ笑ましく、哀れでもある。」
選評出典:『オール讀物』昭和59年/1984年10月号
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文量
長篇
章立て
「1」〜「21」
時代設定 場所設定
太平洋戦争戦中〜同時代  大阪〜西宮
登場人物
花田シゲル(漫才師)
千代香(シゲルの妻、相方)
西美也子(のちシゲルの相方)
朝日家ハーモニカ(通称ニカちゃん、芸人)




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  [H19]2007/9/30 小林久三展―社会派推理作家の軌跡―  
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