直木賞のすべて
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第87回

=受賞者=
深田祐介
村松友視

=候補者=
飯尾憲士
白石一郎
加堂秀三
川本旗子
胡桃沢耕史
山田正紀


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Last Update[H13]2001/7/11

深田祐介
Fukada Yusuke
生没年月日【注】 昭和6年/1931年7月15日〜
受賞年齢 51歳0ヵ月
経歴 本名=深田雄輔。東京生まれ。早稲田大学法学部卒。
受賞歴 第7回文學界新人賞(昭和33年/1958年)「あざやかなひとびと」
第7回大宅壮一ノンフィクション賞(昭和51年/1976年)『新西洋事情』
第49回文藝春秋読者賞(昭和62年/1987年)『新東洋事情』
国際報道文化賞[中国](平成8年/1996年)
処女作 「あざやかなひとびと」(『文學界』昭和33年/1958年10月号)
サイト内リンク 小研究-記録(候補回数)
直木賞受賞作全作読破への道Part3
子サイト
「余聞と余分」内
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直木賞 40回候補  一覧へ
「あざやかなひとびと」 (『文學界』昭和33年/1958年10月号)
書誌
>>昭和55年/1980年7月・集英社/集英社文庫 日本名作シリーズ『経済小説名作選』所収
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選評の概要
選考委員 評価 行数 評言
源氏鶏太 6 「読んでいて、たのしかった。」「が、作者の今後に期待する意味で、残された。」
海音寺潮五郎 8 「ぼくには冗漫な点があるように感ぜられた。」「効果というものは読者の心理を計算に入れるところにあろう。」
中山義秀 0  
小島政二郎 5 「二番目に私が感心したのは、「あざやかな人々」だった。」「こういうのが私は小説だと思うのだが――。」
大佛次郎 0  
木々高太郎 0  
吉川英治 4 「深田祐介氏には未来があろう。」「ついに今回はもれたが、その才筆は光っている。」
川口松太郎 0  
村上元三 8 「はじめからわたしは落した。」
選評出典:『オール讀物』昭和34年/1959年4月号
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文量
短篇
章立て
なし
時代設定 場所設定
[同時代]  東京
登場人物
私(語り手、井澤、航空会社T・E・A試雇社員)
ジェームス・角田(私の保証人、旅客課長)
齋田(試雇社員、私のライバル)
高山(貨物課長、齋田の保証人)
稲葉由利子(通称おゆり、スチュワーデス)




直木賞 79回候補  一覧へ

にほんあくさい かんぱい
日本悪妻に 乾杯』
(昭和53年/1978年3月・文藝春秋刊)
書誌
>>昭和56年/1981年2月・文藝春秋/文春文庫『日本悪妻に乾杯』
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収録作品の書誌
第一部 ロベルトオに乾杯
>>初出『オール讀物』昭和52年/1977年8月号
第二部 日本悪妻に乾杯
>>初出『オール讀物』昭和53年/1978年3月号
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選評の概要
選考委員 評価 行数 評言
水上勉 19 「もう少しいい作品があるのではないか。」「これは私の読みちがいかもしれぬが、形容に手なれすぎたところがあり、気になるのだった。どうせ小説は絵空事にしても、人物を思うままに動かしすぎたきらいはないか。」「損なものが候補になった感が深い。」
村上元三 9 「最後まで残りながら、賛成者が二人きりで落ちたのは惜しい。この作者は、おそらく座談の名手だと思うが、それが作品にまでのさばり出すぎる。しかしこの小説は面白かったし、これからも押えるところは押えれば、いい作品が出て来るだろう。」
司馬遼太郎 6 「登場人物を作者のすぐれた才気でてきぱきと造形化しつつ、ビジネスの社会を喜劇化してみせた手練は容易なものではない。」
城山三郎 12 「現代的なおもしろさという点では、「日本悪妻に乾杯」がよかった。」「とにかく、おもしろく、その悪妻の健気さに、ほろりとさせられもした。才気がありすぎると見られた点を、作品的にもどう克服するかが、この作者の今後の課題であろう。」
川口松太郎 16 「今回の作品が決定的でなかった点に弱さがあった。いい観点を持っているがやや軽い、軽すぎる。」「大変な才筆だし文明批評も立派だし、いい随筆作家だと思ったが、小説には別な筆力が要る。才気だけでは御し切れないがこの人のカンの鋭さは我れ我れの比ではないような気がする。」
五木寛之 4 「私の中では、色川武大、小林信彦、深田祐介、津本陽、の四氏が残った。」
源氏鶏太 6 「城山委員の孤軍奮闘のかたちで見送られた。」
今日出海 9 「筆も渋滞するところなく、恐ろしく筆達者な人である。それが「日本悪妻に乾杯」を面白い読みものにしているが、作品の重味を損っているように思えた。」
選評出典:『オール讀物』昭和53年/1978年10月号
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文量
長篇
時代設定 場所設定
約10年前  東京〜ローマ〜ニューヨークなど
登場人物
私(語り手、森野恭平、三川電機宣伝マン)
川端(関東テレビ営業局)
冬木悠子(女優)
雲形定規(私の上司の綽名、広告課長)
松木(ミカワ・アメリカ副社長)
松木ヒミコ(松木の妻、駐在員社会の女帝)
第一部 ロベルトオに乾杯
章立て
「一」〜「六」
第二部 日本悪妻に乾杯
章立て
「一」〜「五」




直木賞 82回候補  一覧へ

かくめいしょうにん
革命商人』(上)(下)(昭和54年/1979年8月・新潮社刊)
書誌
>>昭和57年/1982年11月・新潮社/新潮文庫『革命商人』(上)(下)
>>平成13年/2001年2月・文藝春秋/文春文庫『革命商人』(上)(下)
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選評の概要
選考委員 評価 行数 評言
新田次郎 24 「企業小説として文句のない出来栄えだった。」「これこそ直木賞だと予想していたが、いざこの作者に賞を与えるかどうかになると意外に多くの反対意見が出て、論争になり、やむなく決を採ったところ五対三で、直木賞は見送りとなった。私はこの作者が近いうち、更に勝れたものを書いて捲土重来、間違いないところを確信している。」
水上勉 36 「最後まで興味深く読んだ。」「思うに活躍する商社マンはそれぞれ個性を書きわけようとの配慮がなされているものの、類型的なのである。」「期待していくが強くうちでてこない。」「家をでるときは、これが受賞になってもよいが、と思ったものがくずれた。」
松本清張 45 「もし選考委員の多数が受賞作として推すならそれに従うつもりで委員会に出た。」「積極的になれなかったのは、いくつかの欠点を見たからである。」「小説としてもう一つ眼前に浮き上ってくるものがない。それは多くの登場人物が類型的であることだ。」
源氏鶏太 16 「力作である。」「文学的にも密度が高いし、それぞれの登場人物がよく描かれている。しかし、全く反対の意見が多く、私は、自分の説得力の不足を歯痒く思った。」
城山三郎 11 「政治と商戦がだぶり、登場人物である商社員たちの内部では、日本の戦中と戦後が重なり合う。」「いわゆる調べた小説、足で書いた小説だが、「サンチャゴのおばん」と呼ばれる脇役の女性など、いきいきと描かれていた。」
今日出海 11 「作者の体験と調べた努力にも敬意を表するのだが、チリの革命と日本商人の活躍もよく描いていると思いながら、慾をいえば、人の世の浮き沈みを見据えている作者のというよりは作家としての眼が欲しかった。」
五木寛之 6 「「革命商人」というタイトルよりも、むしろ「反革命商人」とすべきではなかったか、というのが私の感想である。」
村上元三 14 「この作者が「日本悪妻に乾杯」のときに見せたのびのびした筆致は、どこへ行ってしまったのだろうか。文章は固いし、調べた資料をすっかりそそぎこみ、読んでいてわずらわしさを感じる。いろいろ欠点のある作品を直木賞にすべきではない、と考える。」
選評出典:『オール讀物』昭和55年/1980年4月号
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文量
長篇
章立て
上巻「地球の底辺の国」「サンチャゴ一九六九年」「モネダに動く風」「人民連合の時代」(「1」〜「21」)下巻「人民連合の時代」(「22」〜「26」)「自動車とパンと」「どよもす軍靴」「残雪のアンデス」
時代設定 場所設定
昭和44年/1969年〜52年  チリ〜東京など
登場人物
平川貞男(チリ・宮井物産社長)
岸田洋治(チリ・宮井物産の現地雇用社員)
海野昭一郎(江利産商サンチャゴ事務所長)
坂部浩(江利産商社員)
ジェニイ・ファブレス(DP屋を経営する娘)
アキレス・ホバルト(陸軍少佐)
サルバドール・アジェンデ(チリ大統領、マルクス主義政権)




直木賞 84回候補  一覧へ

らっぱ
「アラスカの 喇叭」
(『別冊文藝春秋』153号[昭和55年/1980年10月])
書誌
>>昭和56年/1981年5月・新潮社刊『男たちの前線』所収
>>昭和59年/1984年4月・新潮社/新潮文庫『男たちの前線』所収
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選評の概要
選考委員 評価 行数 評言
山口瞳 10 「前半がまことに快調で、海外事情についても教えられるところが多かったが、最後、葉隠や武士道との結びつけが強引すぎると思った。」「今回は、私は中村正軌(車+几)プラスワン(その際は実績を買って深田さんを推す)と考えていた」
阿川弘之 11 「未練が残つた。」「達者な面白いうまい短篇。」「「元首の謀叛」が無ければ、「アラスカの喇叭」か「薄化粧」かが受賞といふことになつたかも知れない。」
村上元三 7 「前作の長篇よりもよくまとまっていたし、わたしは推したが賛成票が少なくて残念であった。社長の自殺と「葉隠」が、作者のねらいだったろうに、どうも結びつかない。」
水上勉 3 「少し弱かった。こんども運不運というようなことを考えさせられた。」
五木寛之 9 「これまでの実績と安定感からは深田、古川の両氏をあげるべきだろう。」「私は前々回の候補作品「日本悪妻に乾杯」の爽やかな魅力を忘れかねているため、今回の「アラスカの喇叭」にいささか点が辛くなったような気もしている。」
源氏鶏太 8 「葉隠の話も出て来て、落ちついた筆で過不足なく描いてあった。各人物の描写も適確だったし、食中毒の場面もうまい。」
城山三郎 14 「いかにも小説らしい小説で、書きすぎもせず、安定した出来上り。」「しっとりした作品だが、そうなると、同じ作者の「日本悪妻に乾杯」のようなおもしろさ新しさが望ましいということにもなり、いまさらこの人に、ということにもなってしまった。」
今日出海 0  
選評出典:『オール讀物』昭和56年/1981年4月号
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文量
中篇
章立て
「I」〜「VI」
時代設定 場所設定
[同時代]  アンカレッジ〜唐津
登場人物
伊沢(国際食品総務マネージャー)
河村行治(国際食品社長、唐津出身)
北島容子(スチュワーデス)
ウーベ・ボック(ドイツ系アメリカ人、マネージャー)
中島敏子(日本食料品店の女主人)
ロイス・ジノリ(イタリア系アメリカ人、コック)




直木賞 86回候補  一覧へ

もふくしてん
「バンコク 喪服支店」
(『小説新潮』昭和56年/1981年10月号)
書誌
>>昭和62年/1987年7月・文藝春秋刊『バンコク喪服支店』所収
>>平成1年/1989年1月・文藝春秋/文春文庫『バンコク喪服支店』所収
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選評の概要
選考委員 評価 行数 評言
城山三郎 0  
池波正太郎 0  
水上勉 6 「深田さんのものとしては落ちた。「革命商人」の重厚な面白さに比して軽いのだった。深田さんもこんな作品が授賞では困られるだろう。」
源氏鶏太 6 「ユウモア小説としてもあまり成功しているとは思われなかった。深田氏には他にもっといい作品がある筈である。」
阿川弘之 0  
村上元三 5 「当然もう受賞していい実力を持った人だが、今回この作品が候補になったのは作者にとって不運だった。」
山口瞳 12 「毎回、これだけ大人の読者を堪能させる作品を書き続けうる力量を評価すべきで、ラグビーの認定トライのような受賞があってもいいのではないかと思ったが、この作品(引用者中略)で受賞するのは作者にとって名誉ではないという発言があり、それが大方の意見を代表する形になった。」
五木寛之 5 「今度の作品で受賞は本人自身も望まれないだろう。この後いくらでも力作、快作が期待できる作家だからである。」
選評出典:『オール讀物』昭和57年/1982年4月号
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文量
短篇
章立て
「1」〜「7」
時代設定 場所設定
[同時代]  バンコク
登場人物
私(語り手、池野文恵、博多出身)
水野正太郎(タイ三愛レイヨン社長)
加奈山回天(新任の総務部長)
ソムキッド(工場勤務の係長クラス)
プラシート(現地採用社員)




直木賞 87受賞  一覧へ

えんねつしょうにん
炎熱商人』(昭和57年/1982年5月・文藝春秋刊)
書誌
>>昭和59年/1984年2月・文藝春秋/文春文庫『炎熱商人』(上)(下)
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選評の概要
選考委員 評価 行数 評言
源氏鶏太 13 「商社というものの凄じさもよく出ているし、(引用者中略)いろいろのエピソードをまじえながらここまでにまとめた力量は、大いに買われてよかろう。」
水上勉 31 「資料に頼らずあくまで小説にしあげるため、終始一貫、人間描写の姿勢を守る力量は天晴れだ。だがはじめの九十頁ぐらいはつらかった。登場人物が出揃うまでじっくり描写につきあわねばならぬ退屈さである。」「授賞に賛成したのは、わき目もふらず、外地に生きる日本人の世界を描くことに徹する深田さんの孤独作業に敬意を表したからである。」
村上元三 6 「三百頁ぐらいから面白くなった。しかしこれだけの大作を書き切った作者の努力は、直木賞に値するし、選ぶほうも、やれやれ、ほっとした思いになった。」
山口瞳 19 「長いものを読むときは、一種の快感にひきずりこまれないと読み通すことが苦痛になるが、ついにその種の快感が得られなかった。」「商社マン、建築業者、フィリピンに関心のある人たちには、興味津々巻を措くあたわずという小説であろうから、そういう読者を限定する(その数は少くない)タイプの新しい小説だと思い、その点を評価した。むろん、実績のある作者の受賞に異議はない。」
池波正太郎 20 「ちからの入った小説だが、東京の下町と江戸ッ子を売り物にする、歯が浮くような老女があらわれ、事々にブチこわしてしまうのは残念だった。」「そうした欠点はあったが、今回で六回目の候補という実績は、ことに直木賞の場合、みとめられなくてはなるまい。私は、この作一本にしぼった」
阿川弘之 27 「これまでの業績と併せて一本といふことで授賞に賛成した。ただし、受賞作「炎熱商人」自体には、不服が数々ある。」「文章は粗雑、ユーモアはわさびがきかず、ダレ場は単なるダレ場に終つてゐて、要するに細部への目配りが行き届いてゐない。」
五木寛之 17 「なかにはこの作品は認めないが、この作家は認める、という微妙な発言などもあったとはいえ、深田氏の受賞に反対する選者はなかった。」「私個人としては、「日本悪妻に乾杯」の爽やかさ、視点こそちがえ、「革命商人」の重量感のほうが今回の候補作より印象に残っている。」
選評出典:『オール讀物』昭和57年/1982年10月号
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文量
長篇
章立て
「貿易風、ルソンに吹く」「赤き、生命の樹」「怨念の土地へ」「マニラB級支店」「南からきた男たち」「褐色の足音」「銃声」
時代設定 場所設定
昭和45年/1970年〜46年  東京〜フィリピンなど
登場人物
石山高広(荒川ベニヤ社員)
小寺和男(鴻田貿易マニラ事務所長、のち支店長)
フランク・佐藤・ベンジャミン(鴻田貿易マニラ事務所の現地雇用社員、日比混血児)
鶴井郷治(鴻田貿易木材部課長補佐、のちマニラ支店次長)
オノフレ・マーパ(木材輸出業者)
レオノール・アランフェス(フィリピン大学の女学生)




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