直木賞のすべて
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第146回

=受賞者=
葉室 麟

=候補者=
伊東 潤
歌野晶午
恩田 陸
桜木紫乃
真山 仁


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Last Update[H24]2012/2/23

葉室麟
Hamuro Rin
生没年月日【注】 昭和26年/1951年1月25日〜
受賞年齢 60歳11ヵ月
経歴 福岡県北九州市生まれ。西南学院大学文学部卒。地方紙記者、ラジオニュースデスクを経てフリーライターに。平成16年/2004年「乾山晩愁」で歴史文学賞を受賞して作家デビュー。
受賞歴・候補歴
  • 第29回歴史文学賞(平成16年/2004年)「乾山晩愁」
  • 第14回松本清張賞(平成19年/2007年)「銀漢の賦」
  • |候補| 第140回直木賞(平成20年/2008年下期)『いのちなりけり』
  • |候補| 第22回山本周五郎賞(平成20年/2008年)『秋月記』
  • |候補| 第141回直木賞(平成21年/2009年上期)『秋月記』
  • |候補| 第15回中山義秀文学賞(平成21年/2009年)『いのちなりけり』
  • |候補| 第142回直木賞(平成21年/2009年下期)『花や散るらん』
  • 第18回福岡県文化賞[創造部門](平成22年/2010年)
  • |候補| 第145回直木賞(平成23年/2011年上期)『恋しぐれ』
  • 第146回直木賞(平成23年/2011年下期)『蜩ノ記』
サイト内リンク 特集-第146回候補の詳細
備考
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直木賞 140回候補  一覧へ
『いのちなりけり』(平成20年/2008年8月・文藝春秋刊)
書誌
>>平成23年/2011年2月・文藝春秋/文春文庫『いのちなりけり』
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選評の概要
選考委員 評価 行数 評言
阿刀田高 19 「――この抒情性はいいな――と思ったが、読み進むうちに途中から剣豪の活躍する読み物となり(これはこれで痛快なのだが)登場人物もむやみに増えて印象が散漫になってしまった。充分に楽しくは読めたのだが、受賞作として強く推すことはできなかった。」
五木寛之 7 「好感のもてる作品である。あれこれ脇見をすることなく、自分の作風を確立していけば、個性のある書き手として一家をなす人かもしれない。」
平岩弓枝 0  
宮部みゆき 10 「(引用者注:「汐のなごり」と共に)作者の持ち味の出た作品でしたが、」「数々の有名な史実と大勢の登場人物を繋ぐ糸が自重で切れないうちにエンディングまで行こうと、中盤からいささか書き急ぎの感がありました。」
北方謙三 12 「国家規模の情況設定が必要だったのか。密やかなるものを積み重ねた方が、世界は深くなったのではないか、という気がする。はじめから葉隠的な精神世界を狙ったという感じもあり、うまく入りこめなかった。」
林真理子 8 「少々小説が散漫過ぎた。主人公に感情移入しようとすると、すぐにサイドストーリーが始まってしまうのである。おかげでラストシーンの美しさが生きてこない。」
井上ひさし 32 「始まりから固有名詞群と脇筋群が一気に出しゃばってくるので、主筋がたえず横滑りを起こし、時の前後さえ判別しがたくなる。とても読みにくい。」
浅田次郎 6 「外形に執心して物語がなおざりとなる憾みがあった。」
宮城谷昌光 14 「時代小説を書くことに、すでに習熟がみられる。ただし小説がもつ力を分散させたことが成功したとはみえず、収斂のしかたにもうひとつの工夫が要る。」
渡辺淳一 0  
選評出典:『オール讀物』平成21年/2009年3月号
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大衆選考会 140回推薦候補 一覧へ
大衆選考会での推薦
推薦者 推薦日 推薦文
原 広基 平成21年/2009年1月9日 時代考証、推察を織り交ぜた秀逸の作品。
作者が高校時代の同窓生というのも要素。
がんばれ葉室麟。
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文量
長篇
章立て
「一」〜「十四」
時代設定 場所設定
江戸前期[延宝年間〜元禄年間]  江戸〜肥前〜湊川〜京など
登場人物
雨宮蔵人(小城藩士のち浪人、角蔵流の使い手)
咲弥(蔵人の妻、小城藩重臣の娘、水戸藩の奥女中)
深町右京(蔵人の従兄弟、小城藩祐筆役のち出家して清厳)
天源寺刑部(小城藩家中筆頭、咲弥の父)
巴十太夫(小城藩主・元武に仕える柳生新陰流兵法者)
黒滝五郎兵衛(越後浪人のち柳沢保明に仕える、キリシタン武士の子)
鍋島元武(小城藩主)
水戸光圀(水戸藩先代藩主)
柳沢保明(将軍綱吉の側用人)
小八兵衛(光圀の隠密御用、飛脚屋の主人)
お初(小八兵衛の娘)




直木賞 141回候補  一覧へ

あきづきき
秋月記』
(平成21年/2009年1月・角川書店刊、角川グループパブリッシング発売)
書誌
>>平成23年/2011年12月・角川書店/角川文庫『秋月記』
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選評の概要
選考委員 評価 行数 評言
浅田次郎 7 「(引用者注:「鬼の跫音」と共に」)別の文学賞においてすでに評させていただいた。」「進境著しいが、未だ推輓には至らなかった。」
井上ひさし 26 「藩政の黒幕となってからの彼(引用者注:主人公の一藩士)には、その黒幕度が不足、記述もいったいに早足になって失速、おもしろさにも乏しくなった。清濁併せ呑むのが行政官の定めであるとすれば、「清」だけで終わってしまった感があって、前半が傑作だっただけに、惜しいとしかいいようがない。」
北方謙三 11 「どこかに既視感のようなものがつきまとう。今回は、史実が根底にあっただけに、小説的な飛躍に欠けた部分も、また気になった。」
平岩弓枝 48 「作者が資料の中からよくこれだけをさばいて書かれたとその労苦のほどはお察しする。それでも正直に申せば、もっと思い切って資料をふり捨て、人物をデフォルメする気にならないと小説としては完成しないと思う。老婆心ながら一言。」
阿刀田高 11 「歴史を描くにふさわしい緻密さを感じたが、あえて言えば登場人物に私は感情移入ができなかった。おもしろ味が薄かった。前回の『いのちなりけり』より巧みに映ったが、抒情性は乏しくなったのではあるまいか。」
渡辺淳一 0  
宮部みゆき 25 「名前のついた登場人物が大勢出てくるのも、史実をないがしろにしない誠意がある(引用者中略)。でもそれと承知の上で、史実から自由に解き放たれた葉室さんの作品も読みたい。」
林真理子 16 「実在の人物を書く時に、多くの著者がはまる陥穽を見たような気がして仕方ない。りりしく誠実だった青年が、中年の権力者になった時に思いもかけない行動をとる。そのつじつまを合わせるために、ついつまらぬ言いわけを書いてしまうのだ。読者はそこで鼻白んでしまう。」
五木寛之 12 「受賞作として推した」「定石どおりといえば、そうなのだが、どこかにあたらしい風を感じたからだ。」「書き古された題材だという声もあったものの、この作家には独自の作風というものがある。」
宮城谷昌光 21 「まえに読んだ『いのちなりけり』にくらべて、筆致にずいぶん落ち着きがでた。」「これが新しい時代小説かどうかという議論はさておき、私は氏の誠実さをみたような気がしている。時代小説作家の資質に天才は要らない。誠実さを積みあげてゆく不断の努力が要るだけである。」
選評出典:『オール讀物』平成21年/2009年9月号
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他文学賞 山本周五郎賞 22回候補 一覧へ
選評の概要
選考委員 評価 行数 評言
浅田次郎 21 「史実の脚色というのはことほどさように簡単ではないから、本作における跳躍力は相当の幅があろうかと思った。最大の難点は、作者の手癖ともいえる登場人物の多さである。ここまで数が多いと、心の動きを書く暇があるまい。」
北村薫 43 「これが山本周五郎賞候補作であることに不思議な暗合を感じた。この物語が筑前の小藩を舞台にした『ながい坂』ともいえるからだ。」「いうまでもなく、『秋月記』は亜流の作品ではない。表現には全て型がある、ということだ。」「とはいえ、前を行く傑作を否応なしに連想させながら、それでも全く評価が落ちないのは、驚くべきことである。つまり、爽やかな達成がここにあるのだ。」「ただ、結びに近付くにつれ不自然さも出た。」
小池真理子 18 「文章が端整で平易であることに好感をもった。」「だが、肝心の主人公の小四郎が昇進したあたりから、急激に物語が失速し、あらすじを追うだけで終わってしまった。」「史実に基づいて書かれた小説だからなのか、全体として、ストーリーを追うことばかりに囚われているのも気になった。」
重松清 22 「爽やかで心地よい「青春」小説である。」「だが、序章や掉尾の場面を読むかぎり、物語の主題は、毀誉褒貶半ばする壮年期以降の小四郎の姿にこそあるのではないか? 描かれた物語と伝えたかった主題との間にズレが生じた。」
篠田節子 30 「実のところ、ヒーロー間小四郎は、藩史においてはその専横ぶりを批判される、いわば悪役だ。そうした人物に光を当て、その業績を見直し、新たな人間像を構築しようとする作者の姿勢に敬意を表したい。」「忍者の末裔や男装の麗人が活躍する痛快時代劇より、清濁併せ呑む辣腕の行政官を描いた重厚な歴史小説を読みたかった、というのが正直なところだ。」
選評出典:『小説新潮』平成21年/2009年7月号
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文量
長篇
章立て
「一」〜「十七」
時代設定 場所設定
江戸後期[寛政年間〜弘化年間]  筑前秋月〜江戸〜福岡〜大坂など
登場人物
間小四郎(秋月藩士、上士・吉田家の生まれ〜のち藩の重職〜隠居後は余楽斎)
もよ(小四郎の妻)
坂田第蔵(小四郎の稽古仲間)
海賀藤蔵(伊賀同心、柔術の達人)
宮崎織部(秋月藩家老首座)
姫野三弥(福岡本藩の鷹匠頭の息子、秋月藩に招聘され仕える)
姫野弾正(三弥の父)
井手勘七(秋月藩御用請持、福岡本藩からの赴任)
藤田伝助(丹石流の剣客、小四郎の剣術の師)
七與(元・大坂の芸妓)
猷(稽古館教授・原古処の娘)




直木賞 142回候補  一覧へ

はな
花や 散るらん』
(平成21年/2009年11月・文藝春秋刊)
選評の概要
選考委員 評価 行数 評言
五木寛之 0  
渡辺淳一 0  
阿刀田高 6 「人物や歴史の描写が詳細に過ぎて、小説の中になかなか入り込めなかった。作者が狙ったであろう情感も私には覚えにくかった。」
林真理子 7 「期待していたが、この作品はあまりよくなかった。理屈っぽく、ストーリーが複雑で退屈してしまった。」
平岩弓枝 31 「元禄の赤穂事件に女性の側から取り組むのは着想としては面白いが、大きな構想と多彩な登場人物に対して、この枚数というか、分量ではとても書き切れるものではない。」「おそらく、作者も不満であろうが、読者も同様であろう。」「悠々と、この大きな歴史的事件の全容に向い合って頂きたいと願っている。」
宮城谷昌光 6 「さきの『秋月記』にくらべて、空気感が悪く、質も悪い。」
宮部みゆき 39 「史実を能動的に自在に操ることで生まれる〈作り話の妙味〉(引用者中略)に、強く心を動かされました。」「(引用者注:「鉄の骨」と共に)日々の暮らしを覆う漠然とした不安と閉塞感に、人がよろず自信を失いがちな今日だからこそ、こういう作品に直木賞を受賞してもらいたいと思いました。」
浅田次郎 14 「指摘すべき点は前二回とまったく同様である。」「日本人大衆に向き合うからには、小説家にも相応の覚悟が必要であろう。」
北方謙三 8 「咲弥と蔵人と清厳の、友情、愛情関係を描くのに、なぜ忠臣蔵が必要になってくるのか、最後までわからなかった。作品が、二つに割れた印象さえある。」
選評出典:『オール讀物』平成22年/2010年3月号
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文量
長篇
章立て
「第一部」「第二部」
時代設定 場所設定
江戸中期[元禄年間]  京〜江戸など
登場人物
雨宮蔵人(鞍馬に住む牢人、柔術・剣術の達人)
咲弥(蔵人の妻、元・水戸徳川家奥女中)
香也(蔵人と咲弥の娘)
清厳(禅僧、蔵人の従兄弟)
吉良上野介義央(高家肝煎)
神尾与右衛門(京の牢人、公家相手の金貸し、吉良家家臣)
柳沢保明(後の名・吉保、将軍綱吉の側用人)
羽倉斎(神道と歌学の学者)
町子(旧名・辧子、正親町権大納言実豊の娘、保明の側室、斎と相思相愛の仲)
桂昌院(三代将軍家光の側室、綱吉の母)
右衛門佐(水無瀬中納言氏信の娘、大奥差配の御年寄)





きっかしょう
橘花抄』(平成22年/2010年10月・新潮社刊)
大衆選考会 144回推薦候補 一覧へ
大衆選考会での推薦
推薦者 推薦日 推薦文
コンササドーレ 平成22年/2010年12月12日 そろそろあげてもいいのではないでしょうか。バランスも良くなってきていると思います。候補作は「悪の経典」(貴志祐介)文春の本なので。でも他の雑誌で評価が高いらしいし、直木賞の好みではないような気がするので選ばれないと思います。「影法師」(百田尚樹)5月21日発行なので対象外でしょうか。百田作品の中では一番面白く感じました。「恋する空港あぽやん2」(新野剛志)1作目より面白かったです。「祭り囃子が聞こえる」(川上健一)地味ですが落ち着いた良い作品だと思います。
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直木賞 145回候補  一覧へ

こい
恋しぐれ』(平成23年/2011年2月・文藝春秋刊)
収録作品の書誌
夜半亭有情
>>初出『オール讀物』平成20年/2008年6月号
春しぐれ
>>初出『オール讀物』平成21年/2009年1月号
隠れ鬼
>>初出『オール讀物』平成21年/2009年4月号
月渓の恋
>>初出『オール讀物』平成21年/2009年11月号
雛灯り
>>初出『オール讀物』平成22年/2010年4月号
牡丹散る
>>初出『オール讀物』平成22年/2010年7月号
梅の影
>>初出『オール讀物』平成22年/2010年10月号
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選評の概要
選考委員 評価 行数 評言
伊集院静 13 「私は推した。これまでのキャリアも十分に思えたし、蕪村という題材も氏の作品の幅のひろがりに思えた。選考で俳句の扱いに関して安易ではないかと指摘され、佳い導入俳句もある点を強調したが他委員の賛同を得られなかった。」
桐野夏生 11 「淡泊な恋の物語で、「ちょっといい話」の連なりである。色気が感じられないのは、女たちがおとなしく、男たちの弱みを炙り出すまでにいかないせいか。」「品はいいが、引き気味である。」
宮城谷昌光 46 「底辺に蕪村の俳句が敷かれている。だが、氏の小説における習熟度が高まったせいか、かつてのように、俳句にかこつけて書いた、という感じがうすれている。」「端的にいえば、ひとりよがりではなくなった。べつないいかたをすれば、愛情が社会性をもつようになった。」「そのように氏の進歩を認めることはできても、ほかの作者の作品とくらべてどうか、というところにむずかしさがある。とにかく私は今回の氏の作品に好意をそえたことはたしかである。」
北方謙三 9 「悠然と書いているように思えるが、作家年齢を考えれば、もっと大胆な試みに挑んで欲しいという気もした。」「核がどこかぼやけているという気がしてならなかった。」
阿刀田高 11 「読者としては俳句の味わいに関心が赴き、小説として……つまり人間を描く作品として少し不足を感じてしまう。それが弱点のように思われた。」
渡辺淳一 15 「(引用者注:候補の)五作中、もっとも小説的な雰囲気というか、赴きを備えているが、蕪村という大物俳人をストレートに描こうとしたところが、誤りの発端だった。」「俳人は風景を見て、それをそのまま句に表現するわけでなく、そこから数々の省略や推敲を重ねて、練り直す。この基本を抜かしたところが、作品を軽くご都合主義的なものにしてしまった。」
林真理子 13 「この作家の中では決してレベルの高いものと思えないだけに、残念な結果となってしまった。」「唐突に俳句が出てきて、それと物語とを無理に接着させた感があった。出てくる人々が、みな生気がないように思われて仕方ない。」
浅田次郎 15 「もともとこの作家の資質は短篇において発揮されるだろうと考えていたのだが、なるほど連作短篇の形式を採った本作品は、まことに鮮かであった。しかし、のっぴきならぬ恋愛劇のわりには、愛憎が不足しているように思えた。」
宮部みゆき 29 「葉室さんの筆力と歴史小説の教養を存じ上げているからこそ、惜しまれる作品だったと思います。」「私は読み始めてすぐに、蕪村や応挙や上田秋成が個々の短編でバトンを受け渡しながら主役を務めることで、彼らが互いに互いの生き方や芸術性をどう思っているのかということが立体的に浮き彫りになってゆく、いわば江戸文人の双方向の交友録を描くことで江戸文化の核に迫ろうという仕掛けの短編集だと思ってしまったのです。」
選評出典:『オール讀物』平成23年/2011年9月号
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大衆選考会 145回推薦候補 一覧へ
大衆選考会での推薦
推薦者 推薦日 推薦文
P.L.B. 平成23年/2011年7月4日 スピード感あふれる葉室さんもいいけど、
しっとりした葉室さんも、またイイなあ。

テンポのよいストーリー展開は健在で、
もういい加減とらせてあげたらいいのに。
直木賞のイジワル。
コンササドーレ 平成23年/2011年7月4日  ここのところ忙しさで読書量が落ちているため、もう1・2冊読んでから投票しようとして思っていたら、候補作が発表されてしまった。本当は万城目学氏の「偉大なる、しゅららぼん」を推そうと思っていたのだが。
 葉室氏の作品を推す決め手はずばり「文春の本」だから。葉室氏の作品は好きで新作は必ず読むのだが、私としては「銀漢の賦」がベストだと思う。
 個人的には池井戸氏の作品が好きでいつも応援するのだが、やはり直木賞には縁がないのでは、と思ってしまう。
 ところで前回、今回と候補作が5作でしたが、今後も候補作は5作とする、と方向転換したのでしょうか。私としてはこの候補作から新たな作家との出会いも生まれるので多いほうがありがたいのですが…
わたしも 平成23年/2011年7月9日 まあ、葉室さんはそろそろでしょう。
あと日本を元気にというコンセプトなら大本命は「下町ロケット」
震災後の配慮ということが効くような気がしますけどね。
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文量
連作短篇集
時代設定 場所設定
江戸中期 
登場人物
与謝蕪村(60代後半の俳人、絵師)
円山応挙(絵師、蕪村の友人)
上田秋成(大坂の文人、蕪村の友人)
小糸(祇園の妓女、蕪村の馴染み)
松村月渓(蕪村の弟子)
夜半亭有情
章立て
「一」〜「六」
登場人物
与八(染物屋の職人)
お美和(下館の木綿問屋の妻)
春しぐれ
章立て
「一」〜「十一」
登場人物
くの(蕪村の娘、出戻り)
柿屋佐太郎(料理屋の長男、くのの元・夫)
柿屋伝右衛門(佐太郎の父)
おさき(蕪村の家の下女)
隠れ鬼
章立て
「一」〜「九」
時代設定 場所設定
  大坂〜兵庫
登場人物
今田文左衛門(阿波藩武士、のち「大魯」と号す)
小萩(須磨浦生れの遊女)
瀬川半蔵(文左衛門の下役)
月渓の恋
章立て
「一」〜「六」
登場人物
おはる(宮大工の娘)
雛灯り
章立て
「一」〜「五」
登場人物
おもと(蕪村の家の女中)
建部綾足(本名・喜多村金吾、弘前藩家老の次男)
源太(一乗寺村の郷士、妹殺しで有名に)
牡丹散る
章立て
「一」〜「八」
登場人物
浦辺新五郎(応挙の新弟子、元・佐貫藩の浪人)
七重(新五郎の妻)
梅の影
章立て
「一」〜「五」
時代設定 場所設定
  大坂
登場人物
お梅(蕪村の弟子、北新地の芸妓)




直木賞 146受賞  一覧へ

ひぐらし
記』(平成23年/2011年11月・祥伝社刊)
書誌
>>初出『小説NON』平成22年/2010年11月号〜平成23年/2011年8月号「秋蜩」/単行本化にあたり加筆訂正
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選評の概要
選考委員 評価 行数 評言
渡辺淳一 19 「なによりも優れているところは、デッサン力がたしかで、安心して読めるところである。」「著者はこれまで、何回か賞を逸してきたようだが、今回はたしかな筆致で作品の奥行きを増し、受賞に値する作品となっている。」
宮部みゆき 48 「深い教養がなくては書けない作品」「私は、武士という〈統べる者〉と農民という〈耕す者〉との対比・対立は、そのまま現代社会の〈情報・サービス業〉と〈製造業〉との対比、または〈政治〉と〈生活〉の対比に読み替えることができるとも思いました。踏み込んで読み過ぎているかもしれませんが、そういう読みを誘われるほど重層的な作品だったということです。」
阿刀田高 29 「人物の設定、ストーリーの展開など、しなやかに綴られて、説得力がある。腕ききの船頭の操る舟に乗るときみたいに、読者はゆったりと身を委ねて小説を読む楽しさに没頭することができる。」「あえて望蜀の思いを述べれば、入念に創られているが、――やや地味かなあ――血湧き肉躍るような喜びのないのが残念。」
林真理子 10 「己の美意識を貫いた武士の姿を熟練の筆で描いている。しかし主人公たちがあまりに清廉過ぎるのが、私にはやや物足りなかった。お家騒動の原因が、側室の出自というのも肩すかしをくった気分である。」
浅田次郎 18 「これまでの作品で瑕瑾と指摘されてきた点をおよそ克服していた。その誠実と謙虚は後進の範とするべきところと考えて強く推した。また、四季のうつろいを丹念に描くことで、定められた命を感情表現に頼らずに写し取った技は秀逸であった。」
宮城谷昌光 29 「小説としては、風致にすぐれ、ずいぶん目くばりがよく、瑕瑾も減ったが、惜しいことに、おどろきがない。」「良く書けている、というのは、創作へのほめことばにならないときが多い。氏は、「人を愛する」という点において、デモーニッシュな面をもっており、それが作品のバランスをくずしたことがあるので、自制し、自粛したのかもしれないが、行儀のよさは魅力にはならない。むずかしいところである。」
桐野夏生 27 「秋谷が死を賜る理由が、高潔な人柄に似合わない出だしに強く惹かれた。だが、物語は次第にお家騒動的な、既視感に満ちた話に転換していく。」「秋谷をもっと魅力的にするには、監視役として遣わされた庄三郎の圧を高め、板挟みとなった懊悩をもっと描くべきだったと思う。」「読み手は死を避けて貰いたいと願っている。ために、秋谷の悟りが逆にリアリティを感じさせない。」
北方謙三 19 「順当な受賞である。この作家の作品は、無駄のなさと端正さが、いつも強く印象に残ってきた。今回は、ある境地というものを感じさせる作品であった。」「境地というものは、進化するものだろう。賞の呪縛が解けたいま、この作家がどういう変容を遂げるかは、見ものである。」
伊集院静 37 「冒頭の数頁にこの物語に不可欠な人物、時代背景、風土、臨場といったものがすべて出揃っている。それが何の気負いもなく語られている。若い作家ではこうはいかない。」「葉室氏の作品を読んでいると静かな水のほとりに立っているような錯覚にとらわれる時がある。その水面に、遠い昔の日本人が立ち動いている。かすかな気配とともに風音がし、やがてさざなみたつように物語が立ち上がってくる。修練を積んだ作家の技と言ってよかろう。」
選評出典:『オール讀物』平成24年/2012年3月号
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文量
長篇
章立て
「一」〜「二十二」
時代設定 場所設定
江戸中期  豊後羽根藩
登場人物
戸田秋谷(元・郡奉行、向山村に幽閉中)
檀野庄三郎(元・奥祐筆、秋谷の監視役)
戸田郁太郎(秋谷の元服前の息子)
織江(秋谷の妻)
薫(秋谷の娘)
中根兵右衛門(家老)
水上信吾(庄三郎の親友、中根兵右衛門の甥)
源吉(向山村の少年、郁太郎の親友)
市松(向山村の青年百姓)
松吟尼(尼僧、先代藩主の側室「お由の方」、秋谷の実家に仕えた足軽の娘)




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