直木賞のすべて
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第130回

=受賞者=
江國香織
京極夏彦

=候補者=
朱川湊人
馳 星周
姫野カオルコ


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Last Update[H20]2008/8/6

京極夏彦
Kyogoku Natsuhiko
生没年月日【注】 昭和38年/1963年〜
受賞年齢 40歳9ヵ月
経歴 北海道生まれ。高校卒業後、グラフィックデザイナー。桑沢デザイン研究所、広告代理店、制作プロダクションを経て、デザイン事務所を共同設立。『姑獲鳥の夏』で作家デビュー。
受賞歴 第49回日本推理作家協会賞[長編部門](平成8年/1996年)『魍魎の匣』
第25回泉鏡花文学賞(平成9年/1997年)『嗤う伊右衛門』
第16回山本周五郎賞(平成15年/2003年)『覘き小平次』
処女作 『姑獲鳥の夏』(平成6年/1994年9月・講談社/講談社ノベルス)
サイト内リンク 付録-山本周五郎賞受賞作・候補作一覧(第9回)
付録-山本周五郎賞受賞作・候補作一覧(第16回)
付録-吉川英治文学新人賞受賞作・候補作一覧(第18回)
付録-吉川英治文学新人賞受賞作・候補作一覧(第21回)
小研究-ミステリーと直木賞
リンク集
子サイト
「余聞と余分」内
関連記事
4件/最新は平成21年/2009年1月11日記事(このページの下部にリンクあり)
備考 講談社ノベルスを一躍活気づけた功労者。
ノベルスで書き継いでいる京極堂シリーズではなく、
はじめて単行本で出した『嗤う伊右衛門』が唐突に直木賞候補に挙げられたのは、
まさしく大沢在昌氏のパターンです。
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てっそ おり
鉄鼠の 檻』
(平成8年/1996年1月・講談社/講談社ノベルス)
書誌
>>平成13年/2001年9月・講談社/講談社文庫『鉄鼠の檻』[文庫版]
>>平成17年/2005年11月・講談社/講談社文庫『鉄鼠の檻』[分冊文庫版](1)〜(4)
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他文学賞 山本周五郎賞 9回候補 一覧へ
選評の概要
選考委員 評価 行数 評言
阿刀田高 41 3点「ミステリーとしてもエンターテインメントとしても、欠けるものが多いんじゃないでしょうか。」「知識の裏付けは非常にあるんですが、これがほんとうに昭和二十八年なのか?」「いろいろな面で「知識が広いなあ」と感心する反面、まだ自家薬籠中の物となっていないような気がする。これは大きな欠点だと思います。」「文章は相当問題ありだと思いますがね。」
井上ひさし 59 3.5点「明らかに諧謔味を狙っているにもかかわらず、この作者は笑いに関しては志が低いです。」「作者のすごい腕力、すごい構想力を認めます。五点満点で六点さしあげてもいい。しかし、それを読者に提示する方法に躓きがある。」「読んでていらいらした体験は、やはり消しがたいのです。」
逢坂剛 98 3.5点「すごい小説の登場で驚いてます。」「これはコンピューター世代の小説だなという感じがしました。情報だけでほとんど人間が出てこない。」「小説として読んだ時に、禅の講釈が、小説的な感興をすごく削ぐと思うんです。」「ただ、この小説は若い人の間で、よく売れているということからして、よくわからんと言っちゃうと、ちょっと忸怩たるものもありますけれども。」
長部日出雄 84 5点「全体に、とても人を食ったユーモアがあって、これは後から聞いた話である、というふうな独自の語り口と文体、つまり自分のスタイルというものを持っている。これはまず大物の証拠だと思います。」「疑似科学、それから科学と宗教の野合に対する批判は痛烈です。」「この人の教養と思考力と構想力は桁はずれだと思いました。」
山田太一 43 4点「はじめ、かなり意識的に横溝正史的なおどろおどろしさを出しながら、それが全部現実の次元で説明できることだというふうにどんどん説明して横溝的世界をひきはなしていくあたり、なかなか挑戦的だし、読ませると思いました。」「この小説の欠点は、魅力のある人物がいないことだと思いました。」
最終投票      
選評出典:『小説新潮』平成8年/1996年7月号
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じょろうぐも ことわり
絡新婦の 理』
(平成8年/1996年11月・講談社/講談社ノベルス)
書誌
>>平成14年/2002年9月・講談社/講談社文庫『絡新婦の理』
>>(1)(2)=平成18年/2006年1月、(3)(4)=平成18年/2006年2月・講談社/講談社文庫『絡新婦の理』[分冊文庫版]
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他文学賞 吉川英治文学新人賞 18回候補 一覧へ
選評の概要
選考委員 評価 行数 評言
阿刀田高 4 「該博な知識を駆使して一つの世界を構成しているが、小説的なリアリティにおいて欠ける恨みがあるように感じた。」
井上ひさし 10 「今回は、腕力の強さばかりではなく、たとえば、狂言回しを演じる肉弾刑事木場修太郎の造型に好ましい諧謔味が加わり、いっそう深みと魅力とをましている。だが、氏の語感には隙がある。」
尾崎秀樹 0  
野坂昭如 0  
半村良 0  
選評出典:『群像』平成9年/1997年5月号
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直木賞 118回候補  一覧へ

わら いえもん
嗤う 伊右衛門』
(平成9年/1997年6月・中央公論社刊)
書誌
>>平成11年/1999年8月・中央公論新社/C★NOVELS『嗤う伊右衛門』
>>平成13年/2001年11月・角川書店/角川文庫『嗤う伊右衛門』
>>平成16年/2004年6月・中央公論新社/中公文庫『嗤う伊右衛門』
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選評の概要
選考委員 評価 行数 評言
黒岩重吾 0  
阿刀田高 21 「評価のむつかしい作品であった。韜晦趣味も作者の技の一つであることは充分に認めるのだが、読者の精力が韜晦を明かすことにのみ多く費され、それを解き分けてみると、ストーリィそのものは思いのほかたあいがない、そんな作品に感じられてしまった。」
平岩弓枝 10 「下敷のある作品は、下敷にした作品を越えないと成功とはいえない。」「(引用者注:「四谷怪談」よりも)この作品のほうが、むしろ、リアリティに乏しいという印象を受けた。」
井上ひさし 26 「この作品は「時代小説のふりをした現代小説」で、その知的なからくりも作者の力量を窺わせるに充分であるが、しかし作者は登場人物たちの心理をいじりすぎ、ややこしくしすぎた。そのせいで、せっかくの大きな力量が小さくちぢこまって表現されてしまった感がある。」
田辺聖子 30 「南北の「東海道四谷怪談」を下敷に新時代の怪談として挑戦した志は買うが、やはり南北を超えていない。」「伊東喜兵衛の悪辣に対立する情念が稀薄で、もどかしかった。」「ただし読んでいる限りは作者の力感に圧倒されて力んで読めた。」
渡辺淳一 22 「冒頭部がよく、江戸の闇の妖しさが迫ってきて、新しいタイプの時代小説かと期待を抱いた。」「なによりも不満だったのは、伊右衛門の実態が少しも見えてこないことである。」「これだけの長篇を書く以上は、主人公はくっきりと姿を表すべきで、その基本デッサンをないがしろにしては、気取りだけが先行した底の浅い小説になってしまう。」
津本陽 9 「後半はしだいに話がいきおいをつけてゆくので、その筆勢は評価するが、全編を見直せば、やはり不要な身振りが多すぎたように思う。」
五木寛之 12 「(引用者注:「風車祭」「嗤う伊右衛門」「OUT」のうち)どれが受賞作になってもおかしくないと考えて選考の席にのぞんだ」「書き手のほうから読者を選別する資質が感じられると言われれば反論するわけにはいかない。」
選評出典:『オール讀物』平成10年/1998年3月号
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文量
長篇
章立て
「木匠の伊右衛門」「小股潜りの又市」「民谷岩」「灸閻魔の宅悦」「民谷又左衛門」「民谷伊右衛門」「伊東喜兵衛」「民谷梅」「直助権兵衛」「提灯於岩」「御行の又市」「嗤う伊右衛門」
時代設定 場所設定
江戸  江戸
登場人物
境野伊右衛門(浪人、のち結婚して民谷姓)
民谷岩(伊右衛門の妻、疱瘡)
伊東喜兵衛(御先手御鉄砲組筆頭与力)
民谷又左衛門(御先手御鉄砲組同心)
直助(町医者の下男)
又市(御行者)
宅悦(按摩)
お梅(薬種問屋の娘、喜兵衛の妾)





ひゃっきやぎょう いん
百鬼夜行― 陰』
(平成11年/1999年7月・講談社/講談社ノベルス)
書誌
>>平成16年/2004年9月・講談社/講談社文庫『百鬼夜行―陰』1997年刊の増訂
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収録作品
「小袖の手」「文車妖妃」「目目連」「鬼一口」「煙々羅」「倩兮女」「火間虫入道」「襟立衣」「毛倡妓」「川赤子」
 
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他文学賞 吉川英治文学新人賞 21回候補 一覧へ
選評の概要
選考委員 評価 行数 評言
浅田次郎 5 「過去の作品のサイドストーリーである以上、この一巻で受賞となれば著者御本人も不本意であろう。」
阿刀田高 2 「長短なかばする、という印象を持った。」
伊集院静 8 「今回の選考では京極夏彦氏を推した。新しいジャンルを背負ってあらわれた作家は新しい読者を開拓する。新しい力がそこにあるからだ。」「選考は候補作に評価がむくが、実績で作家を見ることは必要だ。文学賞にも季節があろう。」
北方謙三 6 「才気の人である。ただ、ひらめきのある短篇集だったが、その才気が充分に生きているとは言い難かった。」「この作品で候補というのは、いささか気の毒だと思わずにはいられなかった。」
高橋克彦 0  
林真理子 0  
選評出典:『群像』平成12年/2000年5月号
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きひ おおかみ
『ルー=ガルー― 忌避すべき 狼』
(平成13年/2001年6月・徳間書店刊)
書誌
>>平成16年/2004年11月・徳間書店/トクマノベルズ『ルー=ガルー―忌避すべき狼』
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大衆選考会 126回推薦候補 一覧へ
大衆選考会での推薦
推薦者 推薦日 推薦文
nabe 平成13年/2001年9月12日 候補リストに無いのですが,私はこの作品を推薦致します。

時代設定は21世紀半ばの近未来。清潔で無機的,仮想的な均一化し
た世界で,14〜15歳の少女だけを狙った連続殺人事件が発生。
ヴァーチャルな日常と異なるリアルな「死」に少女たちは覚醒し,
闘いが始まった…。
読者からの応募による設定を盛り込んだ双方向性小説。
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直木賞 128回候補  一覧へ

のぞ こへいじ
覘き 小平次』
(平成14年/2002年9月・中央公論新社刊)
書誌
>>平成17年/2005年2月・中央公論新社/C★NOVELS BIBLIOTHEQUE『覘き小平次』
>>平成20年/2008年6月・角川書店/角川文庫、角川グループパブリッシング発売『覘き小平次』
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選評の概要
選考委員 評価 行数 評言
井上ひさし 24 「作者の創りだす人物たちはみな、この世とあの世、いわば明と暗の狭間に危うく立ちながらも、揃ってすさまじい生き方をする。」「言葉の、その強圧的な押しつけにたじろぐ読者がいるかもしれないが、とにかく言葉がすべてという作者の気迫には打たれた。」
黒岩重吾 0  
宮城谷昌光 23 「この小説のおもしろさは、登場する人物がそれぞれ実名と仮名をもっていて、おなじ人でありながらふたつの名をもつことによる現在と過去の微妙なずれが、一寸五分の隙間であり、そこから読者は物語の真実を覘くというしかけになっているのであろう。陰惨な描写があっても、どういうわけか私は澄明なものを感じた。それがこの作者の長所であり短所であるのかもしれない。」
北方謙三 24 「私は丸をつけた。物語の厚味、漂う妖しさに魅かれたのである。」「間違いなく、小説の持つ本質のひとつがここにある、と思った。毒に満ちてはいても、結局は情愛の小説として私は読んだ。受賞作として推したいと考えていたが、孤立無援であった。」
渡辺淳一 19 「今回の候補作の中では最も特異で印象に残った。」「さまざまな人物が登場する章立てがこうるさく、その分だけ人物への突っ込みが薄くなっているのが残念であった。しかし作者独特の表現や漢字の表記をまじえて、一種の妖しの世界を描く迫力は相当なもので、これはこれで一家を成している風格がある。」
林真理子 7 「読みづらいといえば京極さんの「覘き小平次」の読みづらさといったらない。京極さんはファン以外の、自分の王国への立ち入りを許していない。そんな気がするのである。」
阿刀田高 21 「作者と私は根本的な小説観において差異があるようだ。」「依怙地を避け、すなおに読むことを心がけたが、違和感は拭えなかった。」「自分の小説観に相当な揺さぶりを受けたのも本当だが、究極のところ、この文章にはどうしても親しめないのである。特異な小説であることはまちがいない。」
田辺聖子 18 「舌に残る面妖なあと味は、作者独特のもので、装画装幀の凝りかたといい、内容にマッチして愛蔵すべき本となっている。」「読み手がかなり入れこんで、共同作業として小説に寄り添わないといけないものの如く思われる。手のかかる本である。」
津本陽 6 「ほめる声が、けっこう多かった。たしかに迫力はある。濃密な色彩の文章が眼をひくのである。」
平岩弓枝 18 「実によく出来た作品で、直木賞の候補作品でこんなに苦労なしに面白く読まされてしまったというのは久しぶりのことであった。」「文句をいう筋ではないけれども、巧緻を極めた舞台装置と技巧を凝らした筋書が少々、暑苦しく感じられたのは私の好みの故であろう。」
五木寛之 51 「好き嫌いや、文芸観の相違をこえて、その存在を誰もが無視することができない作家である。」「京極夏彦という小説家の世界は、直木賞の次元を突き抜けている。」「票が集ればそれもよし、もし支持が少ければ、受賞者なしに終るだろうと予想したのだが、結果はその通りになった。」「直木賞になじまない、さりとて芥川賞の枠にも入らない、というところが京極夏彦という作家の栄光と言えるのではあるまいか。」
選評出典:『オール讀物』平成15年/2003年3月号
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他文学賞 山本周五郎賞 16受賞 一覧へ
選評の概要
選考委員 評価 行数 評言
長部日出雄 70 4.5点「哲学的な主題を扱いつつ、ちゃんと描写しているので、グロテスクで悲しいユーモアが滲み出てきますし、文章はわが国伝統の語りものの韻律を帯びていて、読んでいくと、口跡のいい役者の朗誦を聞いているような快感に陶然としてきます。」
北原亞以子 39 4.5点「もちろん文章も素晴らしいし、私なんかが及びもつかない教養の高さに圧倒されました。」「非常にいい意味で遊んでらっしゃいますね。」「尋常ならざる手腕だと思いました。」「終りの方で文章を短く改行するところが気になりました。」
久世光彦 26 4.5点「小平次とお塚の夫婦がすごくいいですね。異形であってなおかつ非常に平明な夫婦であるというバランスや夫婦の情愛みたいなものが、こういう仕掛けの中でこそよく出たなという感じがしました。」「全体として何か黒い雲がブワーッと走ってるような、その様子に僕は好意を持ちました。」「目で見て美しく、耳で聞いて快いというのは、今回この作品だけですよ。」
花村萬月 22 5点「読み始めてすぐに感服しました。」「活字の並んだ様子もすごくきれいなんだよね。」「途中、見開きに使われている、あの幕の模様も、最初、ドキンとしました。こういう仕掛けは鬱陶しい時もあるんですけど、これはうまくいってますね。」
山田詠美 24 4.5点「この人の文章のリズムってすごくクセになる。」「この人はかっちりと自分の世界を作って、きちんと活字で構築する独特の世界を持っているのでそこを評価したいと思います。」「各章の最後の一行が、すごくうまい。見得切って章が終わって、気がつくと次章に入ってる。」「日本語の技巧を自覚を持って駆使してる小説が賞をとるのはいいことだよね。」
最終投票      
選評出典:『小説新潮』平成15年/2003年7月号
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文量
長篇
章立て
「木幡小平次」「安達多九郎」「〈士+ワ+石+木〉吾お塚」「玉川歌仙」「動木運平」「荒神棚の多九郎」「幽霊小平次」「辻神の運平」「九化の治平」「穂積の宝児」「安西喜次郎」「石動左九郎」「事触れ治平」「宝香お塚」「覘き小平次」
時代設定 場所設定
江戸  江戸〜奥州青森〜郡山
登場人物
木幡小平次(旅役者)
お塚(小平次の妻)
安達多九郎(囃子方)
玉川歌仙(玉川座の立女形)
動木運平(浪人)
治平(元・盗賊の引き込み役)




直木賞 130受賞  一覧へ

のちのこうせつひゃくものがたり
後巷説百物語』(平成15年/2003年11月・角川書店刊)
書誌
>>平成18年/2006年2月・中央公論新社/C★NOVELS BIBLIOTHEQUE『後巷説百物語』
>>平成19年/2007年4月・角川書店/角川文庫、角川グループパブリッシング発売『後巷説百物語』
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収録作品の書誌
赤えいの魚
>>初出『怪』第11号[平成13年/2001年9月]
>>『オール讀物』平成16年/2004年3月号
天火
>>初出『怪』第12号[平成13年/2001年12月]
手負蛇
>>初出『怪』第13号[平成14年/2002年8月]
山男
>>初出『怪』第14号[平成15年/2003年3月]
五位の光
>>初出『怪』第15号[平成15年/2003年8月]
風の神
>>書き下ろし
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選評の概要
選考委員 評価 行数 評言
北方謙三 15 「京極夏彦の世界を認めるか認めないかに尽きると思う。とうに受賞のラインはクリアしている作家という認識が、私にはあった。大多数の支持を得たのは、実力の然らしむるところである。」
五木寛之 21 「(引用者注:「号泣する準備はできていた」「後巷説百物語」の)二作を推した。」「すこぶる批評的な作家である。」「前近代を造型的に駆使して近代を超えようとする姿勢には、外野席から声援を送らずにはいられないような気分になってくる。」
田辺聖子 14 「文章からたち昇る怪異の瘴気は、当今、珍重すべき怪才である。今回は殊に、時代設定、登場人物のたたずまいに趣向が凝らされている。」「氏の作品に接すると、〈世に物語のタネは尽きまじ〉という気がするから愉快だ。」
林真理子 11 「読みやすくなった分だけ京極色が薄れた感もあるが、読者を物語の世界に誘うテクニックは、いつもながらぞくぞくするほど魅力的だ。」
津本陽 23 「本来であればおもしろいはずの話が、登場人物たちのいわずもがなの合の手がはいることによって、雅味の乏しいものになっているという結果になったのは惜しい。」「受賞を無条件に支持したわけではないが、(引用者中略)将来を期待できるすぐれた素質があることを認めた。」
阿刀田高 31 「京極夏彦さんの世界は、長いあいだ、私にとってわかりにくいものであった。」「しかし“後巷説百物語”を読み始めて、おおいに変わった。」「“赤えいの魚”のイマジネーションには本当に圧倒された。他の作品は、これに比べれば、少し月並かな、という感触がないでもない。」「力量を認めないわけにいかなかった。」
渡辺淳一 25 「比較的すんなり決った」「「嗤う伊右衛門」と比べるとやや劣る。」「わかり易くなった分だけ妖しさが失われたようである。」「最初の「赤えいの魚」がもっとも不気味で現代文明批評としても鋭いが、他はいささかつくりすぎて迫力に欠ける。しかしこれだけのものを再び書き上げ、さらに秀れた前作と重ねてみると、受賞は当然といわざるをえない。」
平岩弓枝 49 「最初の「赤えいの魚」が一番、面白かった。」「ただ、この構成は数を重ねて行くにつれて、読者がどうしても手品の種を先読みしてしまうので、毎度、話の裏が老人(引用者中略)と、その昔の知り合い達の仕掛けによるものとなると読者は少々、しらけて来る。とはいえ六篇に各々、異る趣向をちりばめ、博識の裏打ちをしてのけるのは、やはり、この作者の力倆ならでは」
宮城谷昌光 17 「文体とは言語の生活形態であり、そこに特徴がないのは、創作力の肥沃さにつながりにくい。(引用者中略)「後巷説百物語」には、ぬきさしならない文体があり、小説というものはそこまできてはじめて良否を問うことができるのである。」「(引用者注:他の候補作は)京極氏が立っている土俵にのぼる力をもっておらず、私は京極氏の不戦勝だ、とおもった。」
井上ひさし 41 「もう多言を弄する愚は犯すまい、言葉だけでこれほど不思議な世界を、同時に明快な世界観を創り出した事業に拍手を送るばかりである。」「(引用者注:作者独特の文体が生み出す)リズムが読者を自然に作中へ導き入れてくれるが、まさにこのとき、読者は、物語が自分の中で発生していることを発見するにちがいない。」
選評出典:『オール讀物』平成16年/2004年3月号
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文量
連作短篇集
登場人物
笹村与次郎(元北林藩江戸詰藩士)
一白翁(山岡百介、九十九庵の隠居老人)
又市(御行)
おぎん(大道芸人)
小夜(一白翁の遠縁の娘)
矢作剣之進(東京警視庁一等巡査)
倉田正馬(元徳川重臣の次男、洋行帰り)
渋谷惣兵衛(町道場主)
赤えいの魚
章立て
「1」〜「16」
時代設定 場所設定
明治〜江戸後期  東京〜男鹿・戎島
登場人物
戎甲兵衛(戎島島親当主)
戎亥兵衛(戎家の跡取り)
寿美(亥兵衛の産み親)
徳次郎(旅芸人一座座長)
天火
章立て
「1」〜「11」
時代設定 場所設定
明治〜江戸後期  東京〜摂津
登場人物
鴻巣玄馬(土井藩摂州陣屋代官)
奥方(鴻巣の妻)
小右衛門(人形師)
手負蛇
章立て
「1」〜「7」
時代設定 場所設定
明治〜江戸後期  東京〜江戸
登場人物
塚守粂七(池袋村の旧家の主人)
伊之助(粂七の甥)
伊三郎(伊之助の祖父)
山男
章立て
「1」〜「7」
時代設定 場所設定
明治〜江戸後期  東京〜武蔵野〜遠州
登場人物
蒲生いね(大百姓の長女、失踪)
山野金六(総代の息子、いねに恋慕)
義助(織物問屋「檜屋」の大番頭)
千代(「檜屋」の独り娘)
五位の光
章立て
「1」〜「8」
時代設定 場所設定
明治〜江戸後期  東京〜信濃
登場人物
由良公房(元公卿)
由良胤房(公房の父親)
由良公篤(儒学者、公房の息子)
風の神
章立て
「1」〜「10」
時代設定 場所設定
明治〜江戸後期  東京
登場人物
国枝慧嶽(真言系寺院の住職、元・薩摩の密偵)
和田智弁(鎌倉の僧侶、小夜の救い主)
三遊亭圓朝(落語家)




ブログ版 直木賞のすべて 余聞と余分
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