直木賞のすべて
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第130回

=受賞者=
江國香織
京極夏彦

=候補者=
朱川湊人
馳 星周
姫野カオルコ


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江國香織
Ekuni Kaori
生没年月日【注】 昭和39年/1964年3月21日〜
受賞年齢 39歳9ヵ月
経歴 東京都生まれ。目白学園女子短期大学国文科卒。出版社勤務ののち、米国デラウェア大学に留学。平成元年に「409ラドクリフ」でフェミナ賞を受賞。児童文学の世界でも数多くの創作、訳がある。父親は随筆家で故人の江國滋。
受賞歴 第4回はないちもんめ小さな童話賞大賞(昭和62年/1987年)「草之丞の話」
第1回フェミナ賞(平成1年/1989年)「409ラドクリフ」
第38回産経児童出版文化賞(平成3年/1991年)『こうばしい日々』
第7回坪田譲治文学賞(平成3年/1991年)『こうばしい日々』
第2回紫式部文学賞(平成4年/1992年)『きらきらひかる』
第21回路傍の石文学賞(平成11年/1999年)『ぼくの小鳥ちゃん』
第15回山本周五郎賞(平成13年/2001年度)『泳ぐのに、安全でも適切でもありません』
第14回島清恋愛文学賞(平成19年/2007年)『がらくた』
サイト内リンク 付録-山本周五郎賞受賞作・候補作一覧(第10回)
付録-山本周五郎賞受賞作・候補作一覧(第13回)
付録-山本周五郎賞受賞作・候補作一覧(第15回)
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らっか ゆうがた
落下する 夕方』(平成8年/1996年10月・角川書店刊)
書誌
>>平成11年/1999年6月・角川書店/角川文庫『落下する夕方』
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他文学賞 山本周五郎賞 10回候補 一覧へ
選評の概要
選考委員 評価 行数 評言
阿刀田高 15 3.5点「我流の用語だけれども、一種のめくばせ小説なんですね。めくばせして、わかるわ、ウン、わかるわって、大切なことは語らずに、(引用者中略)だから、めくばせを感じない人には、どうしようもない世界だなと思うんです。」「ただ、感情の探り方とか、撫で方、それを表す会話は、本当に巧みな書き手だとおもいますし、そこは魅力的でした。」
井上ひさし 23 3点「とにかくこの小説には、社会や世の中の動きがぜんぜん出てこないから、すごい。これも今風なのかもしれません。」「ここに登場する若者たちは、清潔だけれども、そろって愚鈍です。ここまで愚鈍では、関係など成立しない。なんだか唖然として三点です。巧者な小説ですが、とてもだるい。」
逢坂剛 32 3.5点「これが、三十歳前後の人の作品だとすると、もう少し年相応の小説であってほしい、という感じがしました。感性とスタイルがあれば、とりあえず小説は書けるという、ひとつの例じゃないかとおもいました。」「華子があまり魅力的じゃないんですよね。(引用者中略)私だったら惚れないし、私と同世代の男たちも、惚れないと思う。」
長部日出雄 15 4点「とてもうまい小説で、文章も軽快で明晰で読みやすいと思いました。」「なるほど、こうした感覚というのはたしかに今あるだろうなということを、僕みたいな読者にも感じさせてくれたんで、これはなかなかいい小説だというふうに読みました。」
山田太一 26 4点「僕は散文詩みたいな世界だというふうに思いました。描かれているのは、現実ではなくて、ヴァーチャルな夢みたいなものですね。」「これだけの才能の人が、他者を呼びこまずに自分の頭の中だけで、趣味趣向、感覚の世界で完結してはもったいないんじゃないかと思いました。」
選評出典:『小説新潮』平成9年/1997年7月号
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かみさま
神様のボート』(平成11年/1999年7月・新潮社刊)
書誌
>>平成14年/2002年6月・新潮社/新潮文庫『神様のボート』
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他文学賞 山本周五郎賞 13回候補 一覧へ
選評の概要
選考委員 評価 行数 評言
長部日出雄 69 4点「非常に現実感がなくて、至るところ、納得出来ないようなところがあって、私は二度読んだんですが、二度目のほうがはるかに面白く読めました。」「とても精緻に仕組まれた小説で、「あのひと」という草子の父親が、現実には一度も出てこない。」「観念的に思い描く姿が言葉だけで語られていくという小説でしかありえない世界で、それが最後に至って一挙にリアリティを帯びてくる。」「「ぼっけえ、きょうてえ」という本とおなじ回に出会ったのが不運だったと思いますね。」
北原亞以子 68 5点「この作品が一番素晴らしいと思いましたので、五点です。」「私も母子家庭に近いところで育ったので、母親と娘のべったりというかな、ある意味でいやらしい感じというのがよく出ていたと思います。」「肉体感のないところがよかったんですよ。「あのひと」が葉子の頭の中にしかいないというのが。」「これ、落ちちゃうのがもったいない。」
久世光彦 56 4.5点「相当好感をもちました。女の人じゃなきゃ書けない文章だなと思うし、僕らにとって新鮮な言葉が多かったし、いいリズムがあったと思います。」「やっぱり問題はラストシーンで、「あのひと」が出てきて、というのが幻想なのか現実なのか。」「ラストがこんな風に唐突で、しかも曖昧でなかったら、僕は五点だと思うんです。」「文章力は劣るところはないと思うけど、小説というのは、その上もうひとつ行かなきゃいけないんじゃないか。」
花村萬月 65 4点「技術的にかなりのものだと思います。ただ読み始めた当初から、なんていうのかな、微妙な違和感をずっと感じてました。」「体臭のほとんど感じられない、現実感もない、それでいて奇妙にねじれた、生々しい変な話でした。」「そういう意味では、俺に嫌悪感を抱かせ続けた筆力はすごいものだと思います。」「俺、「神様のボート」、納得出来ねえとこがあるんですけど。すごい惹かれている部分もあるんです。」
山田詠美 39 3点「江國さんの文章は大好きで、いつも読んでいるんですが、彼女の中では、私はそんなにいいものとは思わないんです。なぜかというと、やっぱり一番最後の結末。」「なんで男の人が離れていったのか、それが本当にあったことなのか、ないことなのかというのを、はっきり書くべきだったと思うんですね。」「これ、最後、いらないと思いますけどね。「ドアがあいたとき」から。」
選評出典:『小説新潮』平成12年/2000年7月号
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いす
『ウエハースの 椅子』
(平成13年/2001年1月・角川春樹事務所刊)
書誌
>>平成16年/2004年5月・角川春樹事務所/ハルキ文庫『ウエハースの椅子』
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大衆選考会 125回推薦候補 一覧へ
大衆選考会での推薦
推薦者 推薦日 推薦文
沙菜子 平成13年/2001年6月13日 辻仁成さんとの赤と青の著書でも有名な方ですね。映画化もされる予定だそうです。絵本作家、翻訳、エッセイなどを手がけている女流作家さん。それなりのキャリアです。注目すべき点として、お父上がその筋では著名な文学者です。それで今回の最終候補に残るのではないかと、直木賞のその筋の読み手として予想します。(な〜んちゃってね)
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直木賞 127回候補  一覧へ

およ あんぜん てきせつ
泳ぐのに、 安全でも 適切でもありません』
(平成14年/2002年3月・ホーム社刊、集英社発売)
書誌
>>平成17年/2005年2月・集英社/集英社文庫『泳ぐのに、安全でも適切でもありません』
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選評の概要
選考委員 評価 行数 評言
黒岩重吾 9 「現代の若者の感性が光っている。」「ただラストの方の作品はエッセイで小説とはいえない。私としては本短篇集を候補作品として真剣に論ずる気にはなれなかった。」
林真理子 17 「繊細で美しく、若い女性に人気があるのはとてもよくわかる。けれども私のように、小説というのは登場人物の心にムーブメントを起こし、それを描写していくものだと思っている者にとっては、とても物足りない。この物足りなさが、現代であり、若い女性が求めたものだとわかっていても、私は納得出来ない。」
津本陽 10 「細部に心配りのゆきとどいた繊細な、短篇集である。この作者の特徴は、一篇ごとに切れ味のいい締めくくりかたをしていることであろう。」
渡辺淳一 16 「シャープで、かつ飛躍的な言葉で、現代の若者をとらえて刺激的である。だが、いずれも過去からいまの状態を描いているだけで、いまから未来へ発進しない。」「小説はやはり、いまから未来へ動くべきで、その間の人間や人生のうねりと実感を描かなければ、散文の本当の強さは生まれてこないだろう。」
阿刀田高 18 「一つの完成品である。あかぬけた感性、巧みな表現、目線の確かさ、どれもみごとである。が、スケッチに留まって、小説としての深さに不足を感じてしまう。」「私には直木賞はもっとストーリー性豊かなものであってほしい、という願いがある。受賞に到らなかったのは小説観のちがいかもしれない。」
田辺聖子 24 「ビーズのように、きらきらした美しい短篇が詰っている。」「こういう小説を待っている読者はいつの時代にもいるし、供給する作家もいるのは、私は、すてきだと思うものだ。」「でもそのうち、ヒロインたちは漠然とした不満がかたまり、快適さの靄を息で吹き払いたくなるかもしれない。」「展開を期待している。」
宮城谷昌光 15 「(引用者注:この小説の)なかにある語句は時間を包含しているのである。」「江國氏の文からは時の厚みを感じる」
五木寛之 15 「興味ぶかく読んだ」「詩人としての才能が小説を書く上でマイナスになっていない、めずらしい作家である。」「すでに山本周五郎賞を受けていることもあって受賞を逸したが、それもまたこの人らしいという思いもあった。私は好きな作品である。」
北方謙三 14 「才気に満ちた、洒落た小説である。」「鋭さも抑制されているので、短篇のいいところが嫌味なく出ていた。小説世界として私は肯定したが、泥臭い情況を潜ったのちの境地、という要素がいくらかは欲しかったという気がした。」
平岩弓枝 10 「受賞されなかった候補作の中で、もっともインパクトが強かった」「凄い才能をオブラートに包んでさらりと読ませるところが、また凄い。」
井上ひさし 33 「短篇集というより、スケッチ集成といった方が適切かもしれない。共通しているのは、一人称の語りによる「わたし、わたし」の大安売り。」「若い人たちの夢の報告書として意味があるかもしれないし、文章の快い速度感があって、そこに豊かな才能を感じはするものの、あまりの作意のなさと自己批評の乏しさに半ば呆然とせざるを得ない。」
選評出典:『オール讀物』平成14年/2002年9月号
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他文学賞 山本周五郎賞 15受賞 一覧へ
選評の概要
選考委員 評価 行数 評言
長部日出雄 99 5点「ほぼ文句なし、脱帽して五点をつけさせていただきます。」「一冊の本に収められた十本の短篇が全部書き下ろしで、しかも趣向が全て異なっていて、揃って水準を超えている。」「よく考え抜かれて、徹底的に凝縮されながら、しかも重くない。」「私は小説の楽しみを十分に味わいました。」「実にあっさり書いていて、奥行きが非常にありますよ。」
北原亞以子 39 4.5点「江國さんの作品は好き嫌いがわかれるのではないかと思うのですが、私は大好きです。」「江國さんの小説は、細い鉛筆の先を尖らせて書いたような繊細な小説です。」「ただ、私はあとがきは必要なかったと思います。」「私は、作家江國香織に山本賞をあげたい。」
久世光彦 29 4.5点「シチュエーションとか語り口を変えて、スタイル的にもいろいろ工夫がなされているんだけれども、むしろ相殺しあっていて、どの主人公も同じ女の人に見える。」「短篇集を読んでいる楽しみがもう一つ足りない。」「やっぱり文章がうまいし、表現にも輝きがあって好きです。」
花村萬月 31 3点「今回は肩の力が抜け過ぎじゃないかと思いました。あまりにもありきたりというか、テレビのトレンディ・ドラマを気取って見せられているような、そんな印象がずっと拭えなかったです。」「才能ある人が自分の才に溺れるというか……。」
山田詠美 22 2.5点「「不思議ちゃん」って私たちが呼んでいる人種が時々出て来て、それが大人の女を書くときにうまい具合に働く場合と、そうでない場合ですごく差があるんですね。」「たぶん海辺なんかで読んだらロマンティックに読めて、素晴らしい本なのかもしれないけれども、山本周五郎賞という賞にはどうかなと思う」「少女漫画の世界に近いと思う。」
選評出典:『小説新潮』平成14年/2002年7月号
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文量
短篇集
泳ぐのに、安全でも適切でもありません
章立て
なし
時代設定 場所設定
[同時代]  鎌倉
登場人物
私(語り手、葉月、無職の男と同居)
薫子(私の妹、離婚して現在独身)
母(祖母と同居)
うんとお腹をすかせてきてね
章立て
なし
時代設定 場所設定
[同時代]  東京
登場人物
あたし(語り手、美代、会社員)
国崎裕也(あたしの恋人、広告写真のカメラマン)
サマーブランケット
章立て
なし
時代設定 場所設定
[同時代]  海のそば
登場人物
私(語り手、道子、40代独身)
大森(大学生)
まゆき(大森の恋人、大学生)
りんご追分
章立て
なし
時代設定 場所設定
[同時代]  東京
登場人物
あたし(語り手、バー『ねじ』の従業員)
智也(あたしの同棲相手、無職)
美樹(あたしの高校時代からの友人、保険外交員)
うしなう
章立て
なし
時代設定 場所設定
[同時代]  東京
登場人物
私(語り手、持田、主婦)
新村由起子(私のボウリング仲間、3人の子供の母親)
山岸静子(同左、夫が仙台から転勤)
堤文枝(同左、元アルコール依存症)
ジェーン
章立て
なし
時代設定 場所設定
1987年  ニューヨーク
登場人物
私(語り手、紘子、無職)
ジェーン(私の一時のルームメイト)
向坂(私の学生時代からの恋人、妻帯者)
動物園
章立て
なし
時代設定 場所設定
[同時代]  東京
登場人物
私(語り手、陽子)
樹(私の息子)
聖(私の夫、別居中、外車セールスマン)
犬小屋
章立て
なし
時代設定 場所設定
[同時代]  東京
登場人物
私(語り手、主婦)
郁子(私の兄の元・妻)
奈津彦(私の夫で、兄の友人)
十日間の死
章立て
なし
時代設定 場所設定
[同時代]  フランス・ボルドー
登場人物
あたし(語り手、加藤めぐみ、高校生)
マーク(アメリカ人、ハーレーのライダー)
ナディア(マークの妻、ワインシャトー経営者の娘)
愛しいひとが、もうすぐここにやってくる
章立て
なし
時代設定 場所設定
[同時代]  東京
登場人物
私(語り手、帽子製作者)
久紀(私の好きな男、妻帯者)




直木賞 130受賞  一覧へ

ごうきゅう じゅんび
号泣する 準備はできていた』
(平成15年/2003年11月・新潮社刊)
書誌
>>平成18年/2006年7月・新潮社/新潮文庫『号泣する準備はできていた』
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収録作品の書誌
前進、もしくは前進のように思われるもの
>>初出『小説新潮』平成14年/2002年7月号
>>平成15年/2003年6月・徳間書店/徳間文庫『短篇ベストコレクション:現代の小説2003』所収
じゃこじゃこのビスケット
>>初出『小説新潮』平成15年/2003年1月号
>>『オール讀物』平成16年/2004年3月号
熱帯夜
>>初出『サントリークォータリー』第70号[平成14年/2002年9月]
煙草配りガール
>>初出『サントリークォータリー』第68号[平成13年/2001年12月]
>>『オール讀物』平成16年/2004年3月号
>>初出『小説新潮』平成14年/2002年10月号
こまつま
>>初出『サントリークォータリー』第72号[平成15年/2003年4月]
>>『オール讀物』平成16年/2004年3月号
洋一も来られればよかったのにね
>>初出『サントリークォータリー』第67号[平成13年/2001年9月]
住宅地
>>初出『小説新潮』平成15年/2003年4月号
どこでもない場所
>>初出『サントリークォータリー』第71号[平成14年/2002年12月]
>>初出『サントリークォータリー』第69号[平成14年/2002年5月]
号泣する準備はできていた
>>初出『小説新潮』平成14年/2002年3月号
そこなう
>>初出『小説新潮』平成15年/2003年7月号
>>『オール讀物』平成16年/2004年3月号
>>平成16年/2004年6月・徳間書店/徳間文庫『短篇ベストコレクション:現代の小説2004』所収
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選評の概要
選考委員 評価 行数 評言
北方謙三 17 「音程がはずれそうではずれない、というような危うい文体が魅力だった。」「この独自の手法はすでに確立されていて、デリケートに描かれた日常から、不意に非日常が顔を出すさまは、圧巻ですらある。」
五木寛之 36 「(引用者注:「号泣する準備はできていた」「後巷説百物語」の)二作を推した。」「江國香織さんは見事に小説家として離陸した。」「牛どんとバグダッドカフェとを、まったく同じトーンで文章のなかにはさんでみせる手際は大したものだ。小説家は剣術つかい(原文傍点)と同じように、言葉つかい(原文傍点)でなくてはならないのだから、この人の日本語感覚は貴重である。」
田辺聖子 12 「文章は平易だが滋味あり、ただごとの世界のようにみえつつ、人生の怖い深淵を示唆する。小説的風景を構築する力量もたしか。」「私は、特に「溝」の怖さを推す。」
林真理子 21 「印象に残った。」「洗練されたタッチで、主人公たちの心は実にデリケートに表現されている。けれども私はこの江國ワールドに今回ぬぐいがたい異和感を持った。」「人生の真実の毒を描くというより、うまくツジツマを合わせたという感じがするのである。」
津本陽 25 「時間をインスタントカメラで切りとって幾枚もアルバムに張ったような作品である。」「うまく生きてゆけない主人公に、読者は心に涙をいっぱい溜めて震えている人間像を見るがそのうえのひろがりはない。」「受賞を無条件に支持したわけではないが、(引用者中略)将来を期待できるすぐれた素質があることを認めた。」
阿刀田高 22 「人間心理の微細な揺れ動き……。微細ではあるけれど、実際的には人間を動かす動機ともなりうるもの。そんな気配を的確に捕らえることにおいて江國香織さんは舌を巻くほど巧みな書き手である。」「――もう少しストーリー性があってほしいのだが――という望蜀の思いがないでもないが、それもこの作家らしい才気の中で、遠からず“なるほど”と果されるにちがいない。」
渡辺淳一 57 「かなりの議論がたたかわされた。」「小説の表現を、ある意味で合目的的で、それなりの論理性を必要と考える人には、この種の小説は曖昧でまとまりがない、ということになるのかもしれない。」「小説は条理や論理を描くものではない。むしろその裏に潜む、非論理のリアリティを描くもの」「今回の江國作品は、この微妙で難しいテーマに果敢に挑み、前回よりさらなる進歩を見せている。」
平岩弓枝 28 「感受性の鋭い、都会的ないい作品であった。」「時折出て来る省略がスパイスの役目をしている。この節、今回の作品と似たような小説を書く人が増えて来ているような印象を持っているが、江國さんの感性は真似をしようと思っても容易に真似の出来るものではない。」
宮城谷昌光 6 「京極氏が立っている土俵にのぼる力をもっておらず、私は京極氏の不戦勝だ、とおもった。」
井上ひさし 45 「十二の短編には、すみずみにまで巧緻な工夫がほどこされている。」「作者はあなたの恋愛物語(個人的で絶対的な真実)の爆発に点火するだけですよと。これまであまり例のなかった〈読者参加の恋愛小説〉が、作者の緻密な言葉遣いによって、ここにみごとに成就した。」
選評出典:『オール讀物』平成16年/2004年3月号
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大衆選考会 130回推薦候補 一覧へ
大衆選考会での推薦
推薦者 推薦日 推薦文
あき 平成15年/2003年12月4日 江國香織さん。
受賞はありえないでしょうが,候補にはなるのでは。
ほっとまん 平成16年/2004年1月8日 (なし)
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文量
短篇集
前進、もしくは前進のように思われるもの
章立て
なし
時代設定 場所設定
[同時代]  東京〜[成田]
登場人物
長坂弥生(40代女性、会社員)
夫(弥生の夫)
アマンダ(外国人大学生)
じゃこじゃこのビスケット
章立て
なし
時代設定 場所設定
[ある夏]  東京郊外
登場人物
私(語り手、真由美、17歳)
河村寛人(私の幼馴染、精肉店の息子)
熱帯夜
章立て
なし
時代設定 場所設定
[同時代]  ある住宅街
登場人物
私(語り手、千花、人形アーティスト)
秋美(私の同居人、モーターサイクル店勤務)
煙草配りガール
章立て
なし
時代設定 場所設定
[同時代]  あるバーの店内
登場人物
私(語り手、39歳女性、会計士)
夫(私の再婚相手、会計士)
百合(私の友人)
明彦(百合の夫、製薬会社勤務)
章立て
なし
時代設定 場所設定
[同時代]  ある街
登場人物
裕樹(妻と離婚間近の男)
志保(裕樹の妻)
あずさ(裕樹の妹、一歳の子の母親)
こまつま
章立て
なし
時代設定 場所設定
[同時代]  あるデパート
登場人物
美代子(結婚20周年の主婦)
唯幸(美代子の夫)
信二(美代子の学生時代の恋人)
洋一も来られればよかったのにね
章立て
なし
時代設定 場所設定
[同時代]  伊豆
登場人物
なつめ(主婦)
静子(なつめの姑、小料理屋おかみ、74歳)
ルイ(日仏のハーフ、ブティック店員)
住宅地
章立て
なし
時代設定 場所設定
[同時代]  東京郊外
登場人物
林常雄(トラック運転手)
真理子(ピアノ教師、眼科医の妻)
都倉和一(林の同僚)
どこでもない場所
章立て
なし
時代設定 場所設定
[同時代]  東京
登場人物
私(語り手、奈々、会社員)
光司(私の息子、小学校4年生)
龍子(私の友人、テレビ局ディレクター)
章立て
なし
時代設定 場所設定
[同時代]  ある街
登場人物
私(語り手、レイコ)
たける(私の友達、製菓会社勤務)
恭子(私の妹)
号泣する準備はできていた
章立て
なし
時代設定 場所設定
[同時代]  東京
登場人物
私(語り手、文乃、作家)
隆志(私の以前の同居人)
なつき(私の姪)
そこなう
章立て
なし
時代設定 場所設定
[同時代]  ある温泉街
登場人物
私(語り手、みちる、38歳女性)
新村(私の恋人、51歳男性)





かみさま
神様のボート』に始まる作品全て
(平成11年/1999年7月・新潮社刊)
書誌
>>平成14年/2002年6月・新潮社/新潮文庫『神様のボート』
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大衆選考会 130回推薦候補 一覧へ
大衆選考会での推薦
推薦者 推薦日 推薦文
末期の眼 平成16年/2004年1月8日 江国さんは純文学なんだと思うが、いい加減、選考委員は賞を与えるべきだと思う。選考委員の作品よりも、質が高いとすら感じる。
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ブログ版 直木賞のすべて 余聞と余分
  [H21]2009/1/11 第140回直木賞(平成20年/2008年下半期)候補のことをもっと知るために、その重みを知る。  
  [H20]2008/7/8 第139回候補・荻原浩 10年9ヵ月前に第10回小説すばる新人賞受賞 「この書き手はどんな応用篇もこなしてゆける腕の持ち主ではないか」  
  [H20]2008/7/7 第139回候補・井上荒野 19年5ヵ月前に第1回フェミナ賞受賞 「ちょっと純文学臭が強すぎるが、女主人公のまなざしが魅力的」  
  [H19]2007/10/28 ダカーポ 平成18年/2006年7月19日号(587号)  
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