直木賞のすべて
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第125回

=受賞者=
藤田宜永

=候補者=
奥田英朗
真保裕一
田口ランディ
東野圭吾
山之口 洋


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Last Update[H20]2008/1/3

藤田宜永
Fujita Yoshinaga
生没年月日【注】 昭和25年/1950年4月12日〜
受賞年齢 51歳3ヵ月
経歴 福井県福井市生まれ。早稲田大学第一文学部中退。パリに渡り、フランス・ミステリーの翻訳などを手掛ける。エールフランス勤務後、エッセイを執筆する傍ら、『野望のラビリンス』で作家デビュー。妻は直木賞受賞作家でもある推理作家の小池真理子
受賞歴 第48回日本推理作家協会賞[長編部門](平成7年/1995年)『鋼鉄の騎士』
第13回日本冒険小説協会大賞[黄金の鷲部門大賞](平成6年/1994年)『鋼鉄の騎士』
第14回日本冒険小説協会大賞[短編部門大賞](平成7年/1995年)『巴里からの遺言』
第6回島清恋愛文学賞(平成11年/1999年)『求愛』
サイト内リンク 付録-山本周五郎賞受賞作・候補作一覧(第8回)
小研究-ミステリーと直木賞
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「余聞と余分」内
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1件/最新は平成19年/2007年6月24日記事(このページの下部にリンクあり)
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こうてつ きし
鋼鉄の 騎士』
(平成6年/1994年11月・新潮社/新潮ミステリー倶楽部)
書誌
>>平成10年/1998年2月・新潮社/新潮文庫『鋼鉄の騎士』(上)(下)
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他文学賞 山本周五郎賞 8回候補 一覧へ
選評の概要
選考委員 評価 行数 評言
阿刀田高 36 4点「とにかく大変な力業ですが、欠点を挙げようと思ったらたくさんある小説だと思います。」「この人は嘘をここまでつき切るという能力を、これからさらにこの上に積み重ねていってくれるだろうという気がするし、エンターテインメントでありながら、一つの思想も作品に垣間見えています。」「もうひとつチャーミングでない点が惜しいですね。」
井上ひさし 27 4点「この筆力、腕力、努力に対しては素直に脱帽します。」「しかし、これだけ厚いものを読んでくれている読者に対してはちょっと見返りが少ないんじゃないか。例えば、人間関係の感動です。どうだ、人間っていうのはすごいだろうという、そのへんの報われ方が少ない。」「せっかくつくった宇宙、つまり時間と空間がだんだん痩せ細って行っている印象がある。」
逢坂剛 64 4点「それぞれの人を実に誠実に面倒を見ているので、時間がかかり過ぎて、話が真っ直ぐ行かずジグザグに進んでいる。」「ただ、ヨーロッパ現代史を背景にして、日本人が活躍する小説というのは、非常に数が少ないし、まだ未開拓の分野なんですね。そこに挑戦したというところを、私は高く評価したいと思います。」「私の最大の不満は、主人公がほとんど成長せずに小説が終わってしまう、というところです。」「せめて千八百枚ぐらいで、もうちょっと締まればなあ。」
長部日出雄 37 3.5点「レースの話だけにしぼってもよかったんじゃないでしょうか。」「途中で、ついていくのに苦労する気がしたのは、あまりに何もかも欲張って要素を入れ過ぎて、焦点をしぼり切れなかったところがあったからだと思うんです。」
山田太一 44 4.5点「非常に長い作品なのに、大勢の人物全部の面倒をきちっと、最後まで見ていて、これはやはりたいした事だと思いました。」「レースと革命は同じだというか、プロセスの部分での情念は同じだという作者の思いには、かなり説得力があり、ひきこまれました。」「ただ、これだけの大作なのに、読み終わっても主人公が、癖とか身振りに人とちがう魅力を持つ人物として浮かんできませんでした。」
選評出典:『小説新潮』平成7年/1995年7月号
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直木賞 114回候補  一覧へ

パリ ゆいごん
巴里からの 遺言』
(平成7年/1995年10月・文藝春秋刊)
書誌
>>初出『オール讀物』平成5年/1993年☆月号〜平成7年/1995年☆月号
>>平成10年/1998年12月・文藝春秋/文春文庫『巴里からの遺言』
>>平成11年/1999年10月・埼玉福祉会/大活字本シリーズ『巴里からの遺言』(上)(下)
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選評の概要
選考委員 評価 行数 評言
阿刀田高 19 「にぎやかで、エピソードも多く、時代も交錯し、登場する人名も多彩である。」「軽いと思えば、また重い。しかし、どれもみな中途半端で、その中途半端は作者の意図したものであったろうが、一流の技にまで達していない、と私には思えてしまった。」
黒岩重吾 27 「祖父・忠次の存在が作品を束縛し、作者はストーリーを作ることに筆の自由を押えられた感じがする。」「私は第一話の「大無頼漢通りの大男」を比較的買った。」「第二話以下はストーリーを追い過ぎ余韻が消えてしまった。」
井上ひさし 20 「一話一話の出来栄えはよろしく、文章も平明であり、目立たぬやり方で言葉の巧緻を尽くしてもいる。にもかかわらず、読後の印象はどんよりと澱んでいる。展開の軸になっている影の主人公、祖父の在りよう生きようが少し弱いからだ。」
田辺聖子 27 「(引用者注:受賞作の)二作についで票をあつめた」「凝ったしかけで、今世紀初頭のパリという都の魅力をも伝える。たしかに趣向に一点投じたい面白さがあるが、そのぶん、しかけが少々あざとくなる恐れがないでもない。」「かなりの才筆だと思った。」
平岩弓枝 23 「一番、小説らしいと思えた」「穏やかで安定感があり、しかも粋である。」「六話の中では、とりわけ「凱旋門のかぐや姫」が心に残ったし、好きである。」「この作品を最後まで支持出来なかったのは多数決のせいでもあるが、もう一つ、現代の小説の上を流れているエネルギッシュで奇妙なほどの迫力を持った何かがその作品に集結していると、少々の欠点なんぞをはねとばしてしまって読者の心をわしづかみにする。そういった傾向に抗し得なかったようにも思う。」
渡辺淳一 0  
津本陽 0  
五木寛之 7 「独特の才能を感じさせるところがあったが、(引用者中略)受賞作二作の強さには及ばなかったと思う。」
選評出典:『オール讀物』平成8年/1996年3月号
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文量
連作短篇集
章立て
「第一話 大無頼漢通りの大男」「第二話 ジャン・ギャバンを愛した女」「第三話 凱旋門のかぐや姫」「第四話 剣士たちのパリ祭」「第五話 マキシムの半貴婦人」「第六話 モン・スニ街の幽霊」
時代設定 場所設定
1970年代後半  フランス・パリ
登場人物
僕(語り手、片桐隆一、元高校教師)
片桐忠次(僕の祖父、昭和初期にパリに滞在)
マカベ(元プロレスラー)
田畑政之介(無免許の医師)
左近徳治(亡妻の墓を探してパリ在住)
岩上順吉(剣道の師範)
味方睦夫(議員である父親の秘書)
大垣太郎(画家)
バルバラ・ジロー(元モデル、忠次の知人)




直木賞 117回候補  一覧へ

じゅか おも
樹下の 想い』(平成9年/1997年3月・講談社刊)
書誌
>>初出『小説現代』平成7年/1995年☆月号〜平成8年/1996年☆月号
>>平成12年/2000年7月・講談社/講談社文庫『樹下の想い』
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選評の概要
選考委員 評価 行数 評言
田辺聖子 13 「珍しい題材で、私は花道に昏いけれども興味がもてた。読みやすい文章、主人公に存在感があった。」「ただ私には主人公が四十八という年齢設定にしては渋すぎ、枯れすぎているように感じた。」
黒岩重吾 7 「家元の娘と花材に生命を賭ける主人公との恋を過不足なく描いている。読んでいて抵抗は感じないが、読後の感動と余韻がどうも薄い。」
阿刀田高 15 「ちょっと古風な、型通りの作品である。」「が、その型を越えて訴えてくる魅力が乏しい。私としては、――一つの型をこれだけきっちりと書ければ、よいのではないのか――と、プラスの評価に傾いたが、同じことをマイナスに見る委員も多く、その意見は充分に首肯できるものであった。」
平岩弓枝 18 「戦後、順風満帆で全盛期を迎えた日本の華道界が、その後の時代の流れや変化になんの対応も出来ず、ここに至ってさまざまの問題が噴出し、或る意味では窮地に追いつめられつつある現状を正確に取材された上で、この作品を書かれたら、という無念の思いにも似た感情を持った。」
渡辺淳一 21 「はっきりいって、どこといって悪いところはないが、逆にいうと、どこといって抜きんでたところがない。」「藤田氏のこれまでの小説と比べ、こちらのほうが向いているように思えるが、この種の小説は、作家自身が裸になって書くような開き直りが必要である。」
津本陽 15 「相応の見せ場は幾ヵ所にもあり、練達の才腕により長篇恋愛小説を一貫して仕上げている。だが、作者は全体のバランスに注意をかけるあまり、感情を流露させるところがすくなかったのではなかろうか。かたくるしい技巧が目につく。」
井上ひさし 16 「作者は、考えに考えて、小説的人物を、そして小説的筋を創っている。それには大いに感服するものの、じつは計算が行き届きすぎて、計算外のことが起こらないところに難点があるかもしれない。」
五木寛之 20 「もしも三作受賞が可能ならば、私は迷わずに藤田宜永さんの「樹下の想い」を推しただろう。すこぶる古風な味わいを持つ恋愛小説で、欠点も多々あるものの、この作家の一筋の「想い」が読む側に強くつたわってくるのを感じた。」
選評出典:『オール讀物』平成9年/1997年9月号
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文量
長篇
章立て
「1」〜「39」「エピローグ」
時代設定 場所設定
[同時代]  長野県北佐久郡〜東京
登場人物
平賀誠吉(花材屋)
向山絹子(華道の向山流家元代行)
平賀百合子(誠吉の一人娘)
田久保良介(百合子の恋人、のち誠吉の弟子)
安田久仁枝(バーのママ、誠吉の逃げた妻の友達)




直木賞 125受賞  一覧へ

あい りょうぶん
愛の 領分』(平成13年/2001年5月・文藝春秋刊)
書誌
>>初出『別冊文藝春秋』223号[平成10年/1998年4月]〜231号[平成12年/2000年4月]
>>平成16年/2004年6月・文藝春秋/文春文庫『愛の領分』
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選評の概要
選考委員 評価 行数 評言
井上ひさし 21 「どこをとっても寸分の瑕もない、みごとな作品」「過去と現在の、二つの時間が一つになるという構造が比類なく美しい。」「なによりも淳蔵という得恋の五十男が紙の中から立ち上がり、いまにも読者の体の寸法を採ってくれそうなほど、よく書かれている。」
黒岩重吾 42 「「愛の領分」一作を推す積りで選考会に出席した。」「氏は本作によってこれまでの優等生的な化粧雲を突き破り、それぞれの業に身を灼く男女を描くことに成功した。」「精神異常や人格障害者、またバイオレンスに頼り切った小説の氾濫にいささかうんざりしていたせいか、本小説に奇妙な心の安らぎさえ覚えた。」
田辺聖子 23 「堂々たる恋愛小説であった。」「人生の機微がよく捉えられた〈大人の小説〉となっていた。」「人間がよく書きこまれ、それによって土地の風色も生気を帯びて顕ちあがった。〈オトナの現代〉とでもいうべき、現実の風が作品のページに吹き、読後風はまことに清爽だった。」
渡辺淳一 24 「なによりも好ましいのは、文章にいい意味での気取りがあり、恋愛小説らしい艶が滲んできたことである。全体にやや古いという評もあったが、それは形の問題で、登場する女性たちはいずれもヴィヴィッドで、情熱的でもある。」「このところ、バイオレンスや推理小説が多いなかで、氏はひたすら恋愛小説を書き続けてきたが、なかでも今回のがもっとも充実して、優れている。」
宮城谷昌光 114 「悟性によって決定された語句は、作品自体がもっている原理を超越するという特徴をもち、藤田氏の作品のみがそれを有し、他の作品は自身の原理にとどまっている。つまりそれは藤田氏のみが、作家としてではない生活をもおろそかにせず、周辺を凝視し観察してきたということである。」「藤田氏はちかごろの作家にしてはめずらしく風景描写をする。(引用者中略)風景にさわった手をひきもどす力が弱いようである。」
林真理子 25 「恋愛小説を読む醍醐味をたっぷり味わわせていただいた一作だ。」「静謐で、ねっとりとした魅力を持つ。ヒロインの官能的な描写も素晴らしい。」「強いて申し上げるとしたら、登場人物が年齢のわりにやや老けて見えることであろうか。」
阿刀田高 23 「古典的な恋愛小説で、新しいところがないと言われれば、その通りだが、多くの人にとって恋愛は月並な形しか採りえないものではないのか。(引用者中略)月並ではあるけれど、それぞれにとって切実であり、ユニークであり、かけがえのないもの、それがこの世の恋ではあるまいか。「愛の領分」は、そんな恋愛を描いて、つきづきしい。」「小説を読む素朴な楽しさがある、と感じた。」
津本陽 19 「平凡な内容ではない恋愛小説を、きわめて静かな調子で語り、数人の男女の姿を陰影ふかくえがきだした。」「低く尾をひく音色の調子は、しまいまで変らない。受賞作にふさわしい佳品である。」
北方謙三 23 「細かい欠点はいくつか指摘できるが、中年男の静かな情念を描いて、秀逸であった。過去の傷も、燃える思いも、晩年を迎えつつある人生の感慨も、静謐な日常の中に閉じこめるだけの抑制があり、恋愛小説としてひとつの境地を獲得したと感じた。」
平岩弓枝 18 「一つ間違うとレトロと捕えられかねない素材と人間像を作者独特の情感でじっくりと練り上げて、その行間に現代の風をさわやかに流れ込ませている。私はもともと藤田さんの小説が好きで、小粋でダンディな作風を愛好していたのだが「愛の領分」ではそれとは異ったリリシズムを感じて、これはこれはと思っている。」
五木寛之 24 「今回ほどすんなりと決まった受賞作もめずらしい。」「私は『愛の領分』と、田口ランディさんの『モザイク』に一票を投じた」「古風な小説である。しかし、立原正秋とも、加堂秀三ともちがう独自の世界を創りだしているところがいいと思った。登場する人物たちひとりひとりに存在感があるのも、この作家の才能だろう。」
選評出典:『オール讀物』平成13年/2001年9月号
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文量
長篇
章立て
「一」〜「二十三」
時代設定 場所設定
[同時代]〜昭和40年代  東京〜長野県上田市〜軽井沢など
登場人物
宮武淳蔵(仕立屋、元・田山旅館の息子)
馬淵佳世(植物画家)
高瀬昌平(淳蔵の昔の遊び仲間)
高瀬美保子(昌平の妻、紬工房の娘)
馬淵太一(佳世の父親、田山旅館の使用人)
宮武信也(淳蔵の息子、大学生)




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  [H19]2007/6/24 文藝別冊 半村良 SF伝奇ロマンそして…  
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