直木賞のすべて
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第124回

=受賞者=
山本文緒
重松 清

=候補者=
岩井志麻子
田口ランディ
天童荒太
横山秀夫


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Last Update[H26]2014/2/11

重松清
Shigematsu Kiyoshi
生没年月日【注】 昭和38年/1963年3月6日〜
受賞年齢 37歳10ヵ月
経歴 筆名=田村章(タムラ・アキラ)、岡田幸四郎。岡山県久米郡久米町生まれ。早稲田大学教育学部卒。出版社勤務を経て、フリーライター。ドラマや映画のノベライズなどを手掛ける。
受賞歴・候補歴
  • |候補| 第8回山本周五郎賞(平成6年/1994年度)『見張り塔から ずっと』
  • |候補| 第18回吉川英治文学新人賞(平成8年/1996年度)『幼な子われらに生まれ』
  • |候補| 第11回山本周五郎賞(平成9年/1997年度)『ナイフ』
  • |候補| 第119回直木賞(平成10年/1998年上期)『定年ゴジラ』
  • 第14回坪田譲治文学賞(平成10年/1998年)『ナイフ』
  • 第12回山本周五郎賞(平成10年/1998年度)『エイジ』
  • |候補| 第123回直木賞(平成12年/2000年上期)『カカシの夏休み』
  • 第124回直木賞(平成12年/2000年下期)『ビタミンF』
  • |第5位| 第3回2006年本屋大賞(平成18年/2006年)『その日のまえに』
  • |第10位| 第5回2008年本屋大賞(平成20年/2008年)『カシオペアの丘で』
  • 第44回吉川英治文学賞(平成22年/2010年)『十字架』
処女作 『ビフォア ラン』(平成3年/1991年8月・KKベストセラーズ/Best Library)
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備考 「家族」という、あまりにも現代的すぎるテーマに、果敢に取り組んだ作が多い。
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みは とう
見張り 塔から ずっと』
(平成7年/1995年1月・角川書店刊)
書誌
>>平成11年/1999年9月・新潮社/新潮文庫『見張り塔から ずっと』
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収録作品
「カラス」「扉を開けて」「陽だまりの猫」
 
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他文学賞 山本周五郎賞 8回候補 一覧へ
選評の概要
選考委員 評価 行数 評言
阿刀田高 34 4点「この小説は怖いですよ。これだけ怖い小説というのは、なかなか簡単に書けない。」「しかし、これは今回、一貫して言っている事ですが、やはり懐が狭い。この方法論では出来ないのかもしれないが、もう少し大きい作品をつくるということを心がけると、この人はもっともっと可能性があるんじゃないかという気がします。」
井上ひさし 44 3点「この小説に書かれているような世の中、なんだかいやだなということがほんの少し評価に影響したかもしれません。」「とても知的なんですが、人事百般に対してやや冷笑的になっている。それが少し鼻についてくるところがあります。」「表面的に、ではなく、深いところから読者を元気づけるような作品へも挑戦してくださったらと、思います。」「「陽だまりの猫」という短篇はいい作品ですね。前に進む力があります。」
逢坂剛 47 4点「選考のために読みましたが、読めば読むほど気分が落ち込んでくる小説ですね。」「エンターテインメントという読み方からすると、どうしても気分が乗らない。」「ただ、とても小説づくりのうまい人だと思います。」「候補作中では、帚木さんと並ぶくらいの文章のうまさだと思いました。」「心理の読みも非常にすぐれた作家です。」
長部日出雄 42 3.5点「この人の作風は、あまり細かく書き込まず簡略化した筆致なので、とても読みやすいし、よくわかります。ただ、「カラス」のようにこれが成功すればいいのですが、うまくいかない場合は、図式的な感じがしてくるんです。「扉を開けて」、「陽だまりの猫」と続けて読んでいくと、それぞれにテーマが違って、狙いも違うんですが、同工異曲だと感じてしまう。」
山田太一 35 4.5点「(引用者注:「陽だまりの猫」は)とてもよく出来てると思いました。「分身」という手法自体は平凡かもしれませんが、その書き分けがとてもうまく行っています。」「「陽だまりの猫」だけだったら、五・〇でもいいというくらい入れ込んでいるんです。」
選評出典:『小説新潮』平成7年/1995年7月号
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おさ
幼な 子われらに 生まれ』
(平成8年/1996年7月・角川書店刊)
書誌
>>平成11年/1999年8月・幻冬舎/幻冬舎文庫『幼な子われらに生まれ』
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他文学賞 吉川英治文学新人賞 18回候補 一覧へ
選評の概要
選考委員 評価 行数 評言
阿刀田高 2 「現代の家族を描いて澱みがなく、私は好感を持った。」
井上ひさし 6 「(引用者注:重松清の)存在は、いまの波乱万丈物語全盛の流れにあって、じつに貴重である。けれども今回は、主人公を見つめる目にどうも甘さが感じられる。」
尾崎秀樹 0  
野坂昭如 0  
半村良 0  
選評出典:『群像』平成9年/1997年5月号
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『ナイフ』(平成9年/1997年11月・新潮社刊)
書誌
>>平成12年/2000年7月・新潮社/新潮文庫『ナイフ』
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収録作品
「ワニとハブとひょうたん池で」「ナイフ」「キャッチボール日和」「エビスくん」「ビタースィート・ホーム」
 
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他文学賞 山本周五郎賞 11回候補 一覧へ
選評の概要
選考委員 評価 行数 評言
阿刀田高 45 3.5点「だんだん小説が小さくなってきているような気がしました。」「一番物足りないのは、こういう短篇集という方法ではなく、この短篇集で書いている全体を一つの坩堝の中で戦わせてほしかった。」「短篇にばらして一つ一つ書いちゃうと、小さな、広がりのない話になっていくと思うんですね。」「短篇として見た時に、終わりが非常に弱い作品がいくつかありますね。」
井上ひさし 36 4点「主題が統一されていて、しっかりしたいい文章ですが、ちょっと人工的に小説をこしらえるところが、それが好きな読者にはいいでしょうが、私にはちょっとクサイという感じがしました。作品の中で完全に扱いきれない仕掛けをちらつかせるところも疑問です。」
逢坂剛 30 4点「「ビタースィート・ホーム」以外の四編は、同工異曲ですね。いじめを、子供側からするとゲームだと規定して、それをルールのようにしてどの話も進めていくのは、見方が狭いんじゃないかと思います。」「四つも五つも分けて書いてしまったところに、この作品集のインパクトの弱さを感じました。」「読後感をよくするためか、かえって蛇足が多い。」
長部日出雄 24 4.5点「僕は「見張り塔からずっと」をあまり評価してなくて、今度はほんとに感心しました。(引用者中略)自分の鑑賞眼のなさを恥じたくらい。」「現代の重要で深刻なテーマを描きながら、しかも重苦しくならない。そしてラストにかすかな希望の曙光を感じさせる。それが偽善的でも公式的でもない。」「実に斬新で軽快で、洗練された社会派が登場したと思って、この作品集は高く評価したいと思います。」
山田太一 30 5点「小説としては、私は今度の候補作中ベストだと思いました。」「本来どれも非常に陰気な話で、それを、これだけあれこれ工夫して面白く読ませています。多少頑固なところや小説的な仕掛けのあざとさがあっても、許されると思いました。」
選評出典:『小説新潮』平成10年/1998年7月号
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直木賞 119回候補  一覧へ

ていねん
定年ゴジラ』(平成10年/1998年3月・講談社刊)
書誌
>>平成13年/2001年2月・講談社/講談社文庫『定年ゴジラ』所収
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選評の概要
選考委員 評価 行数 評言
田辺聖子 8 「文章は甚だよみやすく、テーマも面白いが、実際の定年人種たちはもっとどろどろしているだろう。淡々としすぎる気がする。」
阿刀田高 15 「巧みな作家である。ユーモアもあるし、うまい表現も多い。泣かせる場面も心得ている。が、傍観者の印象が拭いきれない。」「作りものの弱点が見え隠れし、――六十代、七十代の男は、こうじゃないなあ――と、もの足りなさを感じてしまった。」
黒岩重吾 0  
津本陽 7 「進めかたがうまいので、読まされるが、さほど盛りあがることもなく、特に感じるところもすくなかった。」
平岩弓枝 20 「もっとも楽しく読めて、読後感がさわやかだった」「殊に作者の、父親ほどの年代の男達への優しい視線がこの作品を上質のユーモア小説に仕上げていると思う。推察するに、六十以上の男性読者にはそのあたりが不快だったのかも知れない。なんにせよ、私はこの作品を高く評価している。」
渡辺淳一 8 「爽やかなタッチだが、それだけ印象は薄く、とくに老年の人物像にリアリティがない。自分が体験したことのない年代を書くことは、余程のことがないかぎり、危険である。」
五木寛之 16 「この二作(引用者注:「血と骨」「赤目四十八瀧心中未遂」)についで感心した」「人間の存在があらためていとおしくなってくるような作品だった。前作の「ナイフ」のほうがヒリヒリと強く心に刺さってくる感じはあるが、「定年ゴジラ」もまたこの作家の独特の世界であることはまちがない。いずれ必ず受賞して一家をなす才能だと信じている。」
井上ひさし 28 「文章も小説技術もうまい。」「だが、全体に信用できないところがあって、一例をあげれば、六十代の人間のセクシュアリテ(性、性現象、性生活、性的欲求など)を、いったいどうお考えなのだろうか。(引用者中略)ここに登場するのは、セクシュアリテと縁を切った人たちばかりで、あまりにもきれいごとにすぎる。」
選評出典:『オール讀物』平成10年/1998年9月号
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文量
連作短篇集
時代設定 場所設定
[同時代] 東京郊外くぬぎ台ニュータウン〜銀座〜新宿など
登場人物
山崎隆幸(元・都銀勤務、定年)
奥さん(山崎の妻)
千穂(山崎の長女、既婚)
万里(山崎の次女、アパレルメーカー勤務)
藤田(くぬぎ台開発担当者、定年)
古葉和正(元・広告代理店勤務、町内会長)
野村(元・運送会社勤務、定年)
須藤康彦(万里の恋人、既婚者)
第一章「定年ゴジラ」
章立て
「1」〜「6」
第二章「ふうまん」
章立て
「1」〜「7」
第三章「きのうのジョー」
章立て
「1」〜「7」
登場人物
永田(定年離婚して一人暮らしの住民)
第四章「夢はいまもめぐりて」
章立て
「1」〜「8」
登場人物
岸本忠義(山崎の同窓生、詐欺師)
第五章「憂々自適」
章立て
「1」〜「9」
第六章「くぬぎ台ツアー」
章立て
「1」〜「8」
登場人物
宮田真理子(新進の社会学者)
モリナガ(大学生、宮田の生徒)
第七章「家族写真」
章立て
「1」〜「9」




『エイジ』(平成11年/1999年2月・朝日新聞社刊)
書誌
>>平成11年/1999年11月・朝日新聞社刊『newspaper version エイジ 1998 6.29〜8.15』
>>平成13年/2001年8月・朝日新聞社/朝日文庫『エイジ』
>>平成16年/2004年7月・新潮社/新潮文庫『エイジ』
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他文学賞 山本周五郎賞 12受賞 一覧へ
選評の概要
選考委員 評価 行数 評言
阿刀田高 46 4.5点「今回は特に、今までと比べてユーモアが躍動していました。」「文章も、油断をするとこの世界はあざとくなるんだけれども、今の人でなくては書けない独特の表現力を持っている。」「非常に現代性のあるよい小説だなと感じ、楽しく、嬉しく読みました。」
井上ひさし 54 5点「この作品で重松さんは、ストーリーもさることながら、「ある時間」を書こうとして、それに見事に成功しています。」「サスペンスを読者と作っていくあたりは、なみの手際じゃない。感心しました。」「“今”を書いて破綻がない。一九九九年前後の東京郊外の記録としても、時間的腐食に堪えるでしょう。」
逢坂剛 30 5点「(引用者注:過去の候補作は)小説は非常に巧みなんだけれど、後味が悪いんですよね。」「(引用者注:今回は)実にストレートで後味のよい小説でした。」「ほとんど文句のつけようがありません。」「最後のくだりでは、やっぱり泣かされました。これは、もちろん大人が読んでもいいけれど、ぜひ子供にも読ませたい作品ですね。」
長部日出雄 63 5点「非常に爽快な小説でした。」「一番最初の学級委員の選挙。この設定が実にうまい。」「会話がとてもリアリティがある。今の中学生の心理と感受性の複雑な襞というのが感じられる。」「人物の描き分けも、その性格の隅々まで明快です。単純な性格だからでなく、とても複雑なところまでよくわかる。」
山田太一 33 5点「なんとかこの小説を人生肯定まできちんと持っていこうとしている。ニヒリズムで終わればリアリティはわりとたやすく手に入るけど、そうしないで頑張ったと思います。」「最後の、通り魔のタカやんが教室へ戻ってきた時に、写真週刊誌をまるくしてパンと叩いて「バカ野郎、わかれよ」ということころ。(引用者中略)実にうまく重松さんはジャンプしたし、その辺りは小説の白眉でもあります。」
選評出典:『小説新潮』平成11年/1999年7月号
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直木賞 123回候補  一覧へ

なつやす
『カカシの 夏休み』(平成12年/2000年5月・文藝春秋刊)
書誌
>>平成15年/2003年5月・文藝春秋/文春文庫『カカシの夏休み』
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収録作品の書誌
カカシの夏休み
>>書き下ろし
ライオン先生
>>初出『別冊文藝春秋』228号、229号[平成11年/1999年7月、10月]
未来
>>初出『文學界』平成8年/1996年10月号「あなたの生きなかった未来」
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選評の概要
選考委員 評価 行数 評言
北方謙三 18 「三本のどれをとっても佳品であった。ただ、わずかずつそれぞれに齟齬を感じ、そのあたりで物語に入っていけなくなる。」「「未来」の出来が最もいいと感じたが、クラス全員の名を記した何十通もの遺書が出てくるところで、微妙な違和感に襲われる。」
田辺聖子 29 「(引用者注:「虹の谷の五月」と)優劣つけがたく、あるいは二本受賞かと思い選考に臨んだ。」「私には当選圏内の作品と思える。」「三作の中で『カカシ……』の滑脱な口吻を採りたい。作品世界の安定調和ぶりがやや過剰気味で、少しもたれる気もするが、読後感のすがすがしさがいい。」
宮城谷昌光 23 「氏が作品の中心にすえたカカシが象徴であることはあきらかであり、それならば、この作品の細部にまで象徴がきらめいてもらいたかった。」「(引用者注:氏の)感覚の過去に作者の幽い哀しみが横たわっているように感じられたので、私は最後まで氏の作品に同情的であった。」
平岩弓枝 16 「二つの受賞作の狭間に入ってしまって損をしたようなところがあった。」「現代の日常性の中にあるものを書こうとする際、その書き手の心に時代に対する先読みの姿勢がないと、良質のレポートになる危険がある」
渡辺淳一 18 「「未来」が優れている。しかしこの作品にかぎらず、表題作など、全体にどこか甘くてかったるく、小説の書き方が、周りを気にしすぎてヒリヒリしすぎているようなところがある。」「全篇悪くはないが、際立つものに欠けていて、いささか損をしているようである。」
五木寛之 23 「私がまず推したのは、重松清さんの『カカシの夏休み』である。」「『未来』につよく惹かれるところがあった。」「彼のめざす道のかなたには、ドストエフスキーやトルストイではなく、ゴーゴリやチェホフの背中がみえているように思う。」
林真理子 17 「非常に面白く読んだ。」「新鮮な切り口と筆力とで読みごたえのある一篇に仕上げた。今とてものっている作家らしく、文章の運びもなめらかであったが、受賞にいたらなかったのはまことに残念だ。」
阿刀田高 14 「私としては「カカシの夏休み」を推そうと考えた。子どもたちを取りまく現在の情況を捕らえて淀みがない。会話が巧みである。人物の設定も造形もそつがない。」
黒岩重吾 12 「〈未来〉が最も優れていた。」「なるほどなと感じさせる現代の歪みが、毒気となって読者に伝わってくる。」「最終的に押し切れなかったのは、他の二作にいささかだが弱さを感じたせいである。」
津本陽 10 「現在の社会問題をとりあげ、水準の高い作品にしあげている。」「ただ、全体に甘さがただよっていて、対象をグサッと突き刺すようなリアリティの迫力がすくないように思えた。」
井上ひさし 22 「評者も、「人生ってたいへん、だれもがキツい時代にキツい歳を生きている」という感傷にあふれた、この小説集に好意を抱いた一人であることはたしかだ。」「けれども、作者の持味だった、あの鋭く、深く、皮肉な観察眼が、今回は意外に思うほど姿を消している。三編とも仕上がりが甘くなったのは、そのせいかもしれない。」
選評出典:『オール讀物』平成12年/2000年9月号
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文量
中篇集
カカシの夏休み
章立て
「1」〜「12」
時代設定 場所設定
[同時代]  東京〜[日羽山町]
登場人物
僕(語り手、小谷、小学校教師)
田端和之(小学5年生)
高木幸司(僕の中学時代の同級生、事故死)
小川由美子(愛称ユミ、僕の中学時代の同級生)
ライオン先生
章立て
「1」〜「11」
時代設定 場所設定
[同時代]  ある町
登場人物
雄介(カツラの高校教師)
智子(雄介の亡妻、22歳で癌死)
恵理(雄介の娘)
安藤修司(不登校の高校生)
榊原(雄介の同僚)
未来
章立て
「1」〜「9」
時代設定 場所設定
[同時代]  ある町
登場人物
わたし(語り手、笹岡、19歳)
長谷川(わたしの高校時代の同級生、自殺死)
政人(わたしの弟、中学生)
赤堀(政人の同級生、いじめられっ子、自殺死)




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エフ
『ビタミン F』(平成12年/2000年8月・新潮社刊)
書誌
>>平成15年/2003年6月・新潮社/新潮文庫『ビタミンF』
>>平成17年/2005年11月・埼玉福祉会/大活字本シリーズ『ビタミンF』(上)(下)
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収録作品の書誌
ゲンコツ
>>初出『小説新潮』平成12年/2000年5月号
>>『オール讀物』平成13年/2001年3月号
はずれくじ
>>初出『小説新潮』平成12年/2000年3月号
パンドラ
>>初出『小説新潮』平成12年/2000年2月号
セッちゃん
>>初出『小説新潮』平成11年/1999年3月号「身代わり雛」
>>『オール讀物』平成13年/2001年3月号
>>『オール讀物』平成26年/2014年3月臨時増刊号
なぎさホテルにて
>>初出『小説新潮』平成12年/2000年6月号
かさぶたまぶた
>>初出『小説新潮』平成12年/2000年4月号
母帰る
>>初出『小説新潮』平成12年/2000年7月号
>>『オール讀物』平成13年/2001年3月号
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選評の概要
選考委員 評価 行数 評言
田辺聖子 34 「家庭・家族にレンズを据えっぱなしで、そこから現代を発見するという氏の発想と手法に、私は共感する。」「『セッちゃん』の哀憐、『はずれくじ』の微妙な違和感のとらえかた、小説づくりのうまさに快く酔っているうち、それらの世界がひきしぼられ、あとになごやかな温みが残る。」「これまた、満票に近い受賞作。」
津本陽 17 「七つの短篇がそれぞれおだやかな進めかたで、ほどよい余韻をのこして話を終えている。」「そのなかでは、もちろん「セッちゃん」が図抜けていい。ベテランの余裕のある、受賞に値する作品集である。」
平岩弓枝 26 「一つの山脈を越えて行かれたという印象を強く持った。」「重松さんの書かれる世界は、これからもじわじわと奥深い人間性にふみ込んで行かれるだろうし、それをこの作者らしいソフトな語り口で読者に語りかけてもらいたいと願っている。」
宮城谷昌光 15 「ふと気づいたことは、時間的に遠い出来事を語ると清涼感がおのずと生じている、ということである。氏の小説空間におかれている人と物との距離が短すぎて息苦しい。その点「母帰る」は従来のものとはちがった気のながれがあって、ほっとさせられた。」
黒岩重吾 31 「軽く描いているが、現代に生きる人間の重さに迫まっている。」「「セッちゃん」が最も優れていた。(引用者中略)加奈子なる少女が憐れで、とどまることのないこの病弊に憤り、無力な対策にうちのめされた。」「次に惹かれたのは「母帰る」である。主人公の姉と離婚した浜野が口にした「家族っていうのは、みんながそこから出ていきたい場所なんだよ」との言葉は鋭い。」
林真理子 20 「「家族」というテーマをずっと書いてこられた重松さんは、この短篇で成熟の時を迎えられた。」「重松さんは、丁寧な職人技で地味な素材を滋味溢れるものに変えた。子どもたちのいきいきしていること、中年を迎える男や女たちの描き方のうまさというのは、まさに佳作という名に価いする。」
阿刀田高 15 「取材力、会話の巧みさ、上質なユーモア、小説家に必要な条件を備えている。」「「母帰る」と「セッちゃん」が特によい出来だと思った。ページを繰るたびに人生の手触りが伝わってくる。」
渡辺淳一 10 「日常に潜む、些細な感性の痛みを巧みに描いて、それなりにリアリティがある。登場するのはいずれも小市民で、それだけに華やかさには欠けるが、荒々しい小説が多い現代には、こういうひっそりと咲く花の良さも、評価してもいいだろう。」
北方謙三 13 「日常生活、父と子、夫婦、というものが鮮やかに描きあげられていて、短篇のよさをしみじみ感じさせる一冊になっていたと思う。」「強いて不満を述べれば、飛躍を拒んだような手堅さが小説作法にあり、それが小さくまとまった世界という印象を与えることぐらいか。授賞には賛成した。」
五木寛之 10 「あえて言うことはない堂々たる佳作である。」「手だれの書き手であり、キャリアも十分、新しい野心作も期待できるはずだ。」
井上ひさし 26 「人間には今のままの人生しかない、大切なことは、これまでの営為に、今日もなにがしかの努力をささやかに重ねて行くことだと、自分を、そして読者を説得する。その小説的手続きのみごとさを買って、最終投票で一票投じた、もちろん重松さんのこれまでの質の高い仕事に敬意を表しながら。」
選評出典:『オール讀物』平成13年/2001年3月号
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大衆選考会での推薦
推薦者 推薦日 推薦文
オカリナ 平成12年/2000年8月11日 なんといっても重松清は直木賞候補筆頭でしょう。実は123回も発表直前まで重松&金城で決まりかけていたということだし。
この作品は重松清にとって出世作となった「ナイフ」以来、久々の新潮社だし、相当力の入った短編集。連載からあっという間に単行本になったことからも「取りに行ってる」と見たいところです。
栗原文子 平成12年/2000年9月11日 重松作品には毎度泣かされます。今度こそ直木賞だと思います。
田中 辰徳 平成12年/2000年10月20日 重松清に直木賞をとってもらい、多くの人、特に小中学生に手にとってもらいたい。(19歳、学生)
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文量
短篇集
ゲンコツ
章立て
「1」〜「6」
時代設定 場所設定
[同時代]  東京
登場人物
加藤雅夫(自販機メーカー営業課主任)
岡田洋輔(中学三年生、加藤と同じマンションの住人)
はずれくじ
章立て
「1」〜「6」
時代設定 場所設定
[同時代]  東京
登場人物
野島修一(会社員)
淳子(修一の妻、手術で入院中)
勇輝(修一の息子、中学一年生)
パンドラ
章立て
「1」〜「5」
時代設定 場所設定
[同時代]  東京
登場人物
孝夫(会社員)
奈穂美(孝夫の娘、中学二年生)
陽子(孝夫の妻)
ヒデ(スケートボーダー、奈穂美の彼氏)
セッちゃん
章立て
「1」〜「7」
時代設定 場所設定
[同時代]  ある町
登場人物
高木雄介(会社員)
和美(雄介の妻)
加奈子(雄介の娘、中学二年生、生徒会長)
なぎさホテルにて
章立て
「1」〜「7」
時代設定 場所設定
2000年〜1983年  [伊豆]
登場人物
岡村達也(37歳)
久美子(達也の妻)
有希枝(達也の大学時代の恋人)
かさぶたまぶた
章立て
「1」〜「6」
時代設定 場所設定
[同時代]  ある町
登場人物
橋本政彦(広告企画業)
綾子(政彦の妻)
秀明(政彦の息子、大学浪人)
優香(政彦の娘、小学六年生、優等生)
母帰る
章立て
「1」〜「6」
時代設定 場所設定
[同時代]  東京〜ある地方
登場人物
僕(語り手、拓己)
和恵(僕の姉、化粧品の訪問販売員)
父(僕の父親、元・セメント工員)
浜野(和恵のかつての夫)




ブログ版 直木賞のすべて 余聞と余分
  [H25]2013/1/20 佐藤憲一(読売新聞文化部記者) 2000年代、新聞紙上の文学賞ニュースを牽引する、強烈な文学賞脳。  
  [H24]2012/1/29 山本文緒(第124回 平成12年/2000年下半期受賞) 直木賞の候補になりそうにない本は意識的に出さないようにしていたとは。おお。ダークだ。  
  [H19]2007/7/15 小説新潮 平成19年/2007年7月号〈第20回山本周五郎賞決定発表号〉  
  [H19]2007/6/24 文藝別冊 半村良 SF伝奇ロマンそして…  
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