直木賞のすべて
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第119回

=受賞者=
車谷長吉

=候補者=
重松 清
なかにし礼
東郷 隆
梁 石日
宇江佐真理
乙川優三郎


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Last Update[H20]2008/6/1

車谷長吉
Kurumatani Chokitsu
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生没年月日【注】 昭和20年/1945年7月1日〜
受賞年齢 53歳0ヵ月
経歴 本名=車谷嘉彦。兵庫県生まれ。慶應義塾大学独文科卒。
受賞歴 第86回芥川賞候補(昭和56年/1981年)「万蔵の場合」
第43回芸術選奨文部大臣新人賞(平成4年/1992年度)『鹽壺の匙』
第6回三島由紀夫賞(平成5年/1993年)『鹽壺の匙』
第113回芥川賞候補(平成7年/1995年)「漂流物」
第25回平林たい子文学賞(平成9年/1997年)『漂流物』
第27回川端康成文学賞(平成13年/2001年)「武蔵丸」
サイト内リンク 直木賞受賞作全作読破への道Part1
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まんぞう ばあい
万蔵の 場合」(『新潮』昭和56年/1981年8月号)
書誌
>>平成4年/1992年10月・新潮社刊『鹽壺の匙』所収
>>平成7年/1995年11月・新潮社/新潮文庫『鹽壺の匙』所収
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芥川賞 芥川賞 86回候補 一覧へ
選評の概要
選考委員 評価 行数 評言
吉行淳之介 0  
丹羽文雄 0  
大江健三郎 0  
遠藤周作 0  
瀧井孝作 3 「筆はしっかりしている。若い恋愛小説だが、筋がないような風で、何が書きたいか、よくわからぬ。」
丸谷才一 0  
安岡章太郎 0  
井上靖 3 「才能は感じられる。もう一度書き直したら、いい作品になったのではないかと思う。」
開高健 0  
中村光夫 9 「ありふれた職業の、もうあまり若くない男女が、気狂ひじみるほどひたむきに惚れあふ話ですが、二人の魅力がほとんど描かれてゐないので、何故お互にこんな狂気を演ずるのか納得が行かず、水の涸れた湖で心中しそこなふ結末を象徴的に理解するだけです。」
選評出典:『芥川賞全集 第十二巻』昭和58年/1983年1月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和57年/1982年3月号)
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ひょうりゅうぶつ
漂流物」(『文學界』平成7年/1995年2月号)
書誌
>>平成8年/1996年4月・講談社刊『文学1996』所収
>>平成8年/1996年12月・新潮社刊『漂流物』所収
>>平成11年/1999年11月・新潮社/新潮文庫『漂流物』所収
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芥川賞 芥川賞 113回候補 一覧へ
選評の概要
選考委員 評価 行数 評言
日野啓三 0  
河野多恵子 4 「車谷長吉さんは、人生に対する姿勢の上でのある種のスタイリストであるようだ。そのスタイリストぶりが、この作品では聊か強引に出すぎて、灰汁の浮んでいる印象を受けた。」
黒井千次 7 「筆力において他に擢んでている。終ったところから自分の人生をはじめるという男達の漂流感は伝わるが、ただ語り手と聞き手と作者の重なり具合が明らかな効果を生み出さず、構成上に難がある。」
三浦哲郎 14 「うまさという点では、(引用者中略)頭一つ抜け出ていた。さりげない随筆風な話題にはじまり、(引用者中略)人生というものの不条理さを濃く漂わせて語り終える巧みさには、感心した。けれども、書くことと違って、語りにはともすれば自己陶酔に陥りがちな危険がある。語っているうちに抑制を忘れ、舌がもつれたりする。」
大江健三郎 11 「物語の作り方についてこれからむかいあわねばならぬ――受賞されなくても、この人はすでに独特の作家である――課題があると思う。意識的に社会からズレて生きるあり方を選びとっている男が、理由なく少年を殺す。その展開には説得力がない。ウソくさい。ところが、じつは殺さなかった、と語られる物語に置きかえてみると、小説はよりリアルになり、より底深くなるのではないか。」
丸谷才一 17 「いちおう上手に書けてゐる。」「しかし読後の印象は空虚だつた。まづ、筋の中心部にある子供殺しがリアリティがない。」「語り手と聞き手は実は同じ人物で、差異も対立もない。この短篇小説は全体がモノローグであり、モノフォニックである。それゆゑ世界は立体的でなく、人生は貧しい。かういふ現実に対してならば、人間は容易に虚無的になることができるし、あるいはさうなるしかない。しかしそのとき小説は限りなく痩せてゆくのである。」
大庭みな子 4 「(引用者注:「ジェロニモの十字架」「フルハウス」と共に)心にかかってはいた」「技のある点では「漂流物」(引用者中略)だった」
古井由吉 0  
田久保英夫 3 「作家として醸成しつつある重みを感じたが、生の素材と子供殺しの接合に、無理が見えた。」
選評出典:『芥川賞全集 第十七巻』平成14年/2002年8月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』平成7年/1995年9月号)
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直木賞 119受賞  一覧へ

あかめしじゅうやたきしんじゅうみすい
赤目四十八瀧心中未遂』
(平成10年/1998年1月・文藝春秋刊)
書誌
>>初出『文學界』平成8年/1996年11月号〜平成9年/1997年10月号
>>『オール讀物』平成10年/1998年9月号
>>平成13年/2001年2月・文藝春秋/文春文庫『赤目四十八瀧心中未遂』
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選評の概要
選考委員 評価 行数 評言
田辺聖子 28 「導入部とラストが精緻にととのい、構成をゆるぎないものにしている。」「小説を読む楽しさを満喫させてくれる佳作である。」「暗いようでいて、仄明るく、読後、さわやかな余韻を与えられ、生への活力を感じとれる。文章に気骨と品位があった。」
阿刀田高 20 「特別にドラマチックな出来事があるわけではないのだが、――これが小説を読む楽しさだ――と、こころよく脳味噌を預けて最後まで読み進むことができた。私にはとてもおもしろい小説であった。」「純文学とかエンターテインメントとかいう区分は、多くの場合、それほどの意味を持たない。直木賞は大人の鑑賞にたえるおもしろさをしっかりと見据えていけばよいのだ、と思う。」
黒岩重吾 40 「「赤目四十八瀧心中未遂」一作を推した。」「どういう世界にあっても人間が生きねばならない物悲しい呟きに似た呻吟が、行間から低音の旋律となって私に纏いつき、狂おしいほど私を昂揚させまた痛めつけた。」「彫眉の女であったアヤ子が主人公に惚れ、心中未遂現場まで連れて行った気持も納得させられる。」
津本陽 19 「振幅のすくない作品で、雑誌で読んだとき、いくらかくりかえしが目につくようにも思ったが、一冊を読み通すと納得した。」「尼の出屋敷あたりにいる、くすぼりの男女の暗澹としたいろどりのなかに、稲妻のようにひらめく性のいとなみは、夢幻のような残像を残す。小説の醍醐味を覚えた一篇である。」
平岩弓枝 18 「私小説として読むべきかどうかに問題があるように思った。」「秀れた筆力に違いない。凄いと感じたのは、これだけ底面の社会を書きながら、作品がなんとも品がよいことで、これは作者の人生観と抑制のきいた表現力のたまものだろうか。」
渡辺淳一 23 「なによりもまず文章が力強く、人物の出し入れも奇智に富んで、ときに凄味さえ覚える。」「しかし一篇の小説として読むとそれなりに不満がないわけではなく、(引用者中略)主人公の「世を避けて……」という生きざまがいささか甘く、いわゆる私小説としての切実感は薄い。」「ラストの心中行が大袈裟なわりに通俗で、いささか拍子抜けの感がある。」
五木寛之 24 「私は梁、車谷、両氏の二作受賞を提案した」「文句なしの受賞だった。」「一気に読み終えたあと、奇妙な満足感をおぼえた。ふと椎名麟三のことを思い出した、という友人がいたが、私も同じ印象を受けた。」
井上ひさし 33 「(引用者注:「血と骨」を)凌駕する秀作」「小説は、ことばで人間を、そしてその人間と他の人間との関係を映し出す仕事だが、その完璧な見本がここにある。」「心中未遂は、いったん「死」を通って「生」へ再生する儀式である。その儀式を終えたアヤちゃんが、「たとえそこが地獄でも生きねばならぬ」と思い定める結末に、人間という存在に寄せる作者の深い愛を読んで、思わず涙がこぼれた。」
選評出典:『オール讀物』平成10年/1998年9月号
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文量
長篇
章立て
「一」〜「二十五」
時代設定 場所設定
昭和50年代  大阪尼ヶ崎〜赤目など
登場人物
私(語り手、生島与一、串刺しづくり人)
アヤちゃん(彫眉の女、朝鮮人)
彫眉(私と同じアパートに住む刺青師)
セイ子ねえさん(焼鳥屋の女主人)




ブログ版 直木賞のすべて 余聞と余分
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  [H19]2007/12/9 書店風雲録  
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