直木賞のすべて
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第116回

=受賞者=
坂東眞砂子

=候補者=
馳 星周
宮部みゆき
篠田節子
黒川博行


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Last Update[H21]2009/11/30

坂東眞砂子
Bando Masako
生没年月日【注】 昭和33年/1958年3月30日〜
受賞年齢 38歳9ヵ月
経歴 高知県生まれ。奈良女子大学住居学科卒。
受賞歴 第1回ノンノ・ノンフィクション賞
第7回毎日童話新人賞優秀賞
第1回日本ホラー小説大賞佳作(平成6年/1994年)『蟲』
第3回島清恋愛文学賞(平成8年/1996年)『桜雨』
第15回柴田錬三郎賞(平成14年/2002年)『曼荼羅道』
処女作 『ミラノの風とシニョリーナ イタリア紀行』
(昭和61年/1986年7月・あかね書房/あかね紀行文学)《随筆》
サイト内リンク 付録-山本周五郎賞受賞作・候補作一覧(第7回)
付録-柴田錬三郎賞受賞作一覧(第15回)
直木賞受賞作全作読破への道Part2
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「余聞と余分」内
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2件/最新は平成20年/2008年1月13日記事(このページの下部にリンクあり)
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いぬがみ
狗神』(平成5年/1993年11月・角川書店刊)
書誌
>>平成8年/1996年1月・角川書店/カドカワノベルズ『狗神』
>>平成8年/1996年12月・角川書店/角川文庫『狗神』
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他文学賞 山本周五郎賞 7回候補 一覧へ
選評の概要
選考委員 評価 行数 評言
阿刀田高 53 4点「職業作家としてホラーを書いていく時、あまり厳密なことを考えていくと、作品が書けなくなってしまう。この小説ぐらいの程のよさだと、どんどん書けていくだろう」「非常にうまい人ですが、多少稚拙な面もあります。細かい点なのですが、たとえば、人間のプレゼンテーションの仕方があまりうまくない。」「推理作家協会の理事長としては、言いにくいことなんですが、ホラーを離れた味わいみたいなものも欲しかったなという気がしますね。」
井上ひさし 47 4点「計算がきちっとできていて、読んでゆくにつれ少しずつ面白くなっていきます。文章が非常に頑丈で、いい形容もたくさんある。」「最後がきっちり終わってないんですね。」「プロローグとエピローグという枠はいらなかったんじゃないかという気もしますね。」
逢坂剛 46 4点「期待を上回るほどの新しさはあまりなく、横溝正史さんが終戦直後に色々な形でやっていることと、さして違わないという気がしますね。」「文章は非常に女性らしい感性があっていいと思いますが、とくに際立ってうまいといえるかどうか……。」「すっと読めて、可もなく不可もなく、終わってしまったわけです。」「この人は、風景描写とか生活描写はうまいですね。」
長部日出雄 62 4.5点「ヒロインの坊之宮美希が、紙漉きをやっていますが、和紙を漉く手作業が、付け焼き刃ではない知識で書かれています。」「一度目は興趣に惹かれて一気に読んで、二度目に読んだ時に、筋の組み立てが実によく計算されているなと思いました。」
山田太一 56 4点「この小説はコンストラクションがとてもしっかりしていて気持ちがよかった。」「美点だし、新しいと思ったのは、美希という主人公は、高知の土俗的な土地を一度も離れたことがないのですが、それにもかかわらず、土俗的な臭いがあまりしません。」「このような終り方をするなら、現実と縁を切る、物語の枠がもう一つ必要なのではないかと思いました。」「怖いとか恐怖小説だとかというような点で期待され、その期待に応えようとあまりなさらないほうがいいと思いますね。」
選評出典:『小説新潮』平成6年/1994年7月号
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直木賞 111回候補  一覧へ

じゃきょう
蛇鏡』(平成6年/1994年2月・マガジンハウス刊)
書誌
>>平成9年/1997年6月・文藝春秋/文春文庫『蛇鏡』
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選評の概要
選考委員 評価 行数 評言
黒岩重吾 0  
井上ひさし 36 「堅固に構成した物語を巧みな形容をちりばめた安定感のある文章でしっかりと語り進めて行く力がデビュー作から備わっていた。」「いくつか読みついでくると、やはり話の先が見えてしまう。」「それにないものねだりを承知で言えば、「人の営みとはなにか、その営みを積み重ねてつくられていく歴史とはなにか」を書きながら、この主題についての、肝心かなめの作者の考えが希薄だ。」
山口瞳 0  
平岩弓枝 15 「同じ作者の「狗神」という作品のほうが強烈なイメージがあったという意見が出て不利になった。」「怪奇をテーマにする作品は同じ筆法で何度も書いて行くと、どうしても二番煎じとみられがちである。私としては、あまり「雨月物語風」にこだわらないで、作品の間口を広げることをお勧めしたい。」
藤沢周平 5 「古い怪異譚を現代に甦らせる試みはおもしろいけれども、文章に無駄が多くて、せっかくの興趣が殺がれてしまう。」
田辺聖子 10 「旧い土俗の世界に新しい戦慄を開拓された氏のお仕事を、私はかねてより見守っている。今回の作品は構成上、やや捻子の締め方が緩い、という気がするし、蛇のもつエロスがもっと出れば、と思った」
五木寛之 13 「小説の運命に果敢に挑戦しようという野心を感じた」「この二作(引用者注:「蛇鏡」と「終りみだれぬ」)のうちのどちらかが受賞してもおかしくないと思ったのだが、少数意見であったようだ。」
渡辺淳一 4 「今回の作品にかぎっていえば、いささかご都合主義が先行して荒すぎたようである。」
選評出典:『オール讀物』平成6年/1994年9月号
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文量
長篇
章立て
「1」〜「11」
時代設定 場所設定
[同時代]  奈良
登場人物
永尾玲(奈良出身のOL)
広樹(古道具屋の跡取り、玲の許嫁)
田辺一成(考古学者、玲の知人)
綾(玲の異母姉、7年前に自殺)
東辻高遠(神社の神官)
多黄子(綾の母親)




直木賞 112回候補  一覧へ

ももいろじょうど
桃色浄土』(平成6年/1994年10月・講談社刊)
書誌
>>平成9年/1997年11月・新潮社/新潮文庫『桃色浄土』
>>平成21年/2009年10月・角川書店/角川文庫、角川グループパブリッシング発売『桃色浄土』
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選評の概要
選考委員 評価 行数 評言
藤沢周平 27 「圧巻は嵐の合間に現われた桃色満月の夜景の描写。こういう夢幻的な光景があって、むかしも補陀落渡海へと僧侶たちを誘惑したかと思わせる個所だ。受賞の水準に達した力のある作品だった。」「注文をひとつ言うと、読んだあとにざらつくような感触が残る個所がある。」
渡辺淳一 14 「緊張感のある文章で、虚構の小説空間を築きあげた力技に感服した。もっとも虚構の土台となる物語りには、ときにご都合主義や手軽さも見える」「あえて授賞ということになればこれ一作かとも思ったが、大勢を制するにはいたらなかった。」
田辺聖子 17 「力作である。」「ただ、この力作は読むのにずいぶんエネルギーが要る。」「構成に枝葉が多すぎ、テーマが分散したのだろうか。そのせいか読後、欝屈が残るが、海の描写、土佐弁のなつかしさが佳かった。しかし長すぎる。」
黒岩重吾 36 「受賞に価する作品だと今でも私は信じている。」「珊瑚に憑かれた若い漁師達をあこぎな商売人以上に醜く描いており、海の小説に新境地を開いた。大勢の登場人物も類型的ではなく一人一人の躍動感が伝わって来る。」「ただ作者は、登場人物の総てに平等に力を注いだ結果、読者は読み進めるうちに、息切れして来る。」「筆力が空転したのが惜しい。」
山口瞳 22 「必ずバケルだろうと思っていた。」「最初明るい土佐の海が出てくるが、後半になってどんどん暗くなり、何か歌舞伎のダンマリを見せられている感じになった。ダンマリが延々と続くと読者は靠れる。」「坂東さんは「小説のわかる少々煩い編集者」について確りと、特に文章を勉強されたらいいと思っている。」
平岩弓枝 24 「労作であるとは思った。難をいえば、(引用者中略)リアルに考えるとこの部分はおかしいのではないかと醒めた疑問が浮んで来てしまう。一例をあげれば作者は補陀落渡海をどう考えているのかが、はっきりしない。作品の焦点が定まりにくいのは、そのせいではないか。」
井上ひさし 21 「たしかに膂力がある。ほとんど脱帽する。けれどもどうしてこう、なにもかも厚塗りにしなくてはいけないのだろうか。登場人物の心理をくどく説明するのは今の流行かもしれないが、氏はもっと読者の読解力と想像力とを信じていい。」「せっかく積み上げた人間の葛藤を大嵐で一気に解決してしまうのは惜しい。」
五木寛之 8 「その書き手にしかない独特の個性を私に感じさせた」「このまま今の道を迷うことなく直進して欲しい」
選評出典:『オール讀物』平成7年/1995年3月号
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文量
長篇
章立て
「序章」「第一部 異人船」「第二部 珊瑚樹」「第三部 補陀落」
時代設定 場所設定
大正  高知櫻が浦
登場人物
健士郎(高校生、鰹節製造屋の息子)
りん(海女)
映俊(廃寺の住人、補陀落浄土への渡海を画策)
エンゾ(珊瑚船に乗るイタリア人)
多久馬(健士郎の幼なじみ、若者組の親分格)




直木賞 116受賞  一覧へ

やまはは
山妣』(平成8年/1996年11月・新潮社刊)
書誌
>>平成12年/2000年1月・新潮社/新潮文庫『山妣』(上)(下)
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選評の概要
選考委員 評価 行数 評言
渡辺淳一 32 「今回は一読して、坂東さんの「山妣」を推そうと思った。」「この作品には大きな難点がある。(引用者中略)三部にいたって、その緊張感が急速に崩れ、予定調和的な収束になっている。」「それを承知でなお推したのは、前作の「桃色浄土」を読んだときから、この作者の資質に惹かれていたからである。野球でいえば、球質が重いとでもいうのだろうか。」
阿刀田高 15 「描写力には舌をまいた。個々のエピソードは実におもしろい。」「が、これだけ長いページを使って、なにを訴えようとしたのか。着地点がはっきりしないのは小説にとって致命的である。そのあたりに不満を覚えたが、他の委員の意見を聞くうちに“これは山妣を通して女の一生を語るものだ”と知って、作品のモチーフが見えて来た。」
津本陽 27 「じつに重い手ごたえの小説を読んだと思った。」「一章と二章は、よくできていると思った。惜しむらくは、三章の結末がドタバタとなって抑えがきかなかったことである。」「だが、熱気のこもった作品であることに、変りはない。」
田辺聖子 25 「力ずくの作品でその腕力に圧倒される感じ、日常と非日常が目もあやに交錯して一・二章は息もつがせないが、三章で破綻する。」「ラストで古典的均斉美を欠くのが惜しいが、しかし一・二章の妖美に作者の力量は充分溢れており、この作品もまた坂東氏のお作、今までのうちでの最高であろう。」
黒岩重吾 52 「疵を筆力でカバーした」「第一章と第二章の筆力は、私を唸らせるものがあった。」「だが第三章で氏は、折角作りあげてきた小説世界を、自分の手で打ち壊してしまった。」「私は氏の前作「桃色浄土」の筆力を買っていたし、今回の第一章第二章の肉厚な迫力は第三章の疵を覆うものがあると判断し、受賞に賛成した」
平岩弓枝 48 「鄙びた浄瑠璃をうっとりと聞いているような気分にさせられるのが、坂東さんの語り口の魅力でもあり、同時に小説としての限界があるとすれば、そうした部分でもあろうかと思う。」「芝居でいえば、一幕、二幕と静かに重く語り進んで来たものが、三幕になって前の二つの幕と長さや重さのバランスを取るために突如、大道具の仕掛で多くの登場人物に片をつけて幕を下ろす結果になってしまったような感じを受けた。」
井上ひさし 32 「御都合主義が目につく第三部と大きな欠点があるのに読了後、思わず物語の余韻に耳を澄ませてしまうのは、厚塗りの文章に導かれながら悲痛この上ない人間たちの営みをたしかに見たからにちがいない。とりわけ鍵蔵の妻てる(じつは山妣の娘)に感心した。」
五木寛之 20 「直木賞近来の収穫と言っていい長篇、と脱帽しておこう。」「この作品の場合は、後半三分の一あたりから詠み進むために努力を必要としたあたりに問題がありそうだ。前半の見事な物語づくりに舌を巻かされただけに惜しまれる。」
選評出典:『オール讀物』平成9年/1997年3月号
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文量
長篇
章立て
「第一部 雪舞台」「第二部 金華銀龍」「第三部 獅子山」
時代設定 場所設定
明治末期  秋田〜越後
登場人物
涼之助(花富座の役者、ふたなり)
市川扇水(涼之助の師匠)
阿部健蔵(地主・阿部家の跡取り)
てる(健蔵の妻)
琴(盲目の瞽女)
君香(本名いさ、鉱山町の遊女、てるの母親)
文助(病弱な鉱夫)
重太郎(山でいさを助ける渡り又鬼)




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