直木賞のすべて
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第111回

=受賞者=
中村彰彦
海老沢泰久

=候補者=
久世光彦
安部龍太郎
東郷 隆
坂東眞砂子


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Last Update[H21]2009/2/11

中村彰彦
Nakamura Akihiko
生没年月日【注】 昭和24年/1949年6月23日〜
受賞年齢 45歳0ヵ月
経歴 本名=加藤保栄。栃木県生まれ。東北大学文学部卒。
受賞歴 第34回文學界新人賞佳作(昭和47年/1972年)「風船ガムの海」
第10回エンタテイメント小説大賞「明治新選組」
第1回中山義秀文学賞(平成5年/1993年)『五左衛門坂の敵討』
第24回新田次郎文学賞(平成17年/2005年)『落花は枝に還らずとも―会津藩士・秋月』
処女作 『決断!新選組』(昭和60年/1985年3月・ダイナミックセラーズ出版刊)
サイト内リンク 付録-吉川英治文学新人賞受賞作・候補作一覧(第15回)
直木賞受賞作全作読破への道Part2
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「余聞と余分」内
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3件/最新は平成21年/2009年2月15日記事(このページの下部にリンクあり)
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直木賞 107回候補  一覧へ

ござえもんざか あだうち
五左衛門坂の 敵討』
(平成4年/1992年4月・新人物往来社刊)
書誌
>>平成8年/1996年4月・角川書店/角川文庫『五左衛門坂の敵討』
>>平成12年/2000年9月・埼玉福祉会/大活字本シリーズ『五左衛門坂の敵討』(上)(下)
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収録作品の書誌
五左衛門坂の敵討
>>初出『時代小説』1991年春号「五左衛門坂の旋風」改題
>>平成12年/2000年12月・リブリオ出版/大きな活字で読みやすい本『げんだい時代小説 第11巻 中村彰彦集』所収
白坂宿の驟雨
>>初出『時代小説』1990年秋号
龍ノ口の美少年
>>初出『時代小説』1992年春号
伊吹山の忠臣
>>初出『時代小説』1991年秋号
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選評の概要
選考委員 評価 行数 評言
黒岩重吾 25 「面白く読んだ。私が四篇のうち最も魅力を感じたのは「龍ノ口の美少年」である。(引用者中略)他の作品と違い、資料に振り廻されていない。」「主人公である美少年が、情を移しかけている〓(引用者注:禾+最)所元常を殺す場面も、短い描写の中に、男色家である武将の最期が鮮明に描かれ、興趣をそそった。」
藤沢周平 27 「新鮮な魅力があった。それは多分、この作家が、(引用者中略)自分で渉猟した資料を使って、しかも出来るだけ手を加えずに、事実をして語らしめる手法を自分の小説の方法として書いているからだろうと思う。」「ただこの方法で書いて行くためには、資料の吟味をもっときびしくする必要があるだろう。」
五木寛之 17 「細部にこだわって、髪型や服装などをきっちり書きこんだ視点に感心し、背景を目にみえるように描写する文章にも惹かれたが、ところどころに出てくるあまりに月並みな表現には閉口することもあった。」
陳舜臣 18 「デテールがきちんとした重厚な作品である。だがその重みは小説を読むときの手ごたえというよりは、史実のもつものであるようだ。」「小説づくりがうまいとはいえない、と評した委員がいたが、私は「下手ともいえない」と弁護した。私は中村氏のこれからの長篇の仕事で、構成力をみたいとおもう。」
山口瞳 3 「もっともっと良いものが書けるはずだと思った。」
平岩弓枝 12 「江戸時代の敵討というものの定義やその実態を把握した上で、この幕末の事件を書くと作家の史観がはっきりわかってテーマを読者に伝えやすい。資料は百パーセント集めて、噛み砕いたら八十パーセントを捨てると良い作品が誕生すると、これは私が師父から教えられたこと。なかなか難しいが。」
井上ひさし 25 「作者は大いに企んでいる。その企みは主として「後日譚」という方法で行われる。」「文章がいかにも古風である。」「書き手が御自分の古風な文章に酔っているような気配を感じた。そのために読む側にはやや興醒めの格低い文章になった気味がある。」
田辺聖子 18 「力作だと思った。措辞に古風なところがあるが、それはそれでかえって一種の風格をもたらす。」「敵を討った男たちも、私闘と知って討ったのだ。それゆえ、異常な緊迫感があって、ごつごつした筆致もそれにふさわしかった。」
渡辺淳一 15 「文章は古風ながら安定し、史実的な面にもよく目が行き届いているように見えたが、他の選者から、敵討ちの背景に過ちがあるという指摘があったことは残念である。」「一歩すすんで、史実や人物に対して、作者なりの新しい視点や発見がないところが、いささかもの足りない。」
選評出典:『オール讀物』平成4年/1992年9月号
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文量
短篇集
五左衛門坂の敵討
章立て
「一」〜「十三」
時代設定 場所設定
幕末  南大和〜京都
登場人物
藪田極人(郡山藩軍奉行)
松坂三内(会津藩士、斬死)
原掟之進(三内の弟、極人への敵討を画策)
松坂鯛二(三内の子)
白坂宿の驟雨
章立て
「一」〜「七」
時代設定 場所設定
明治初期  白河
登場人物
田辺軍次(元会津藩士)
大平八郎(白河周辺の顔役)
龍ノ口の美少年
章立て
「一」〜「九」
時代設定 場所設定
戦国  備前
登場人物
岡清三郎(亀山城の小姓、美少年)
宇喜多直家(亀山城主)
〈禾+最〉所元常(龍ノ口城主)
伊吹山の忠臣
章立て
「一」〜「十」
時代設定 場所設定
戦国〜江戸初期  関ヶ原〜江戸
登場人物
宇喜多秀家(西軍の武将)
進藤三左衛門(秀家の鳥見役)
本多正純(家康の懐刀)





ゆうげきたいしまつ
遊撃隊始末』(平成5年/1993年5月・文藝春秋刊)
書誌
>>平成9年/1997年12月・文藝春秋/文春文庫『遊撃隊始末』
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他文学賞 吉川英治文学新人賞 15回候補 一覧へ
選評の概要
選考委員 評価 行数 評言
井上ひさし 0  
尾崎秀樹 6 「上総請西一万石の藩主・林昌之助忠崇をはじめ、人見勝太郎、伊庭八郎らそれぞれの運命をたどることでその悲傷の歴史を浮びあがらせているが、人間像の彫りこみに不満があった。」
佐野洋 0  
野坂昭如 0  
半村良 13 「昭和まで生きた最後の大名林忠崇は、書き手の意欲をそそり続けている人物だけに、徹底的に書きつくそうとしたあまり、力の入れ過ぎでダフった感じがありました。全十章のうち小説的な味わいが滲んだのは、最後の第十章だけになったようです。」「賞は逸してもこの素材を持ったことは作者の勝利だと思います。」
選評出典:『群像』平成6年/1994年5月号
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直木賞 110回候補  一覧へ

ほしなひごのかみ みみちょう
保科肥後守お 耳帖』
(平成5年/1993年7月・双葉社刊)
書誌
>>平成9年/1997年2月・角川書店/角川文庫『保科肥後守お耳帖』
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収録作品の書誌
第四話 第二の助太刀
>>平成5年/1993年5月・光風社出版刊『代表作時代小説 平成5年/1993年度』所収
>>平成12年/2000年12月・リブリオ出版/大きな活字で読みやすい本『げんだい時代小説 第11巻 中村彰彦集』所収
>>平成16年/2004年7月・双葉社/双葉文庫『偉人八傑推理帖 名探偵時代小説』所収
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選評の概要
選考委員 評価 行数 評言
井上ひさし 17 「一途で後味のよい話が並んでいる。」「がしかし読み進むにつれて、どの話も同じ鋳型に嵌められていることが判ってくる。いつも「お殿様が知っていてくださった」、「お殿様が覚えていてくださった」というのを感動の梃子にしているので、どの話もその作りが似てくるのだ。」
陳舜臣 0  
藤沢周平 9 「作者のべつの可能性を示した作品だった。推理小説ふうの話のつくりもおもしろく、保科正之の名君ぶりがいやみなく書けているのがいい。しかしこの小説では、史的事実と虚構の間にまだ隙間があるように思った。」
田辺聖子 5 「興趣ふかい短篇群、成熟度を増していられるが、今回はちょっと「花」のない憾みが残った。」
黒岩重吾 5 「前回よりものびのびと作品に向ってはいるが、善玉、悪玉がはっきりし過ぎた。」
五木寛之 0  
平岩弓枝 0  
渡辺淳一 6 「資料と小説部分がうまく溶け合わず、作者が作品から距離をおきすぎていることも、興を薄めているようである。」
山口瞳 0  
選評出典:『オール讀物』平成6年/1994年3月号
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文量
連作短篇集
時代設定 場所設定
登場人物
保科肥後守正之(会津藩主)
第一話 夏目伊織の門人
章立て
「一」〜「六」
時代設定 場所設定
登場人物
私(語り手、島崎菊次郎、小普請)
夏目伊織(馬術の名手)
保科民部(御城代)
第二話 会津騒動ふたたび
章立て
「一」〜「十」
時代設定 場所設定
登場人物
松姫(正之の娘、前田家との婚礼直前)
媛姫(松姫の異母姉)
三好(媛姫の母の附人)
黒河内栄次郎(使い番)
第三話 弥太之進は踊る
章立て
「一」〜「八」
時代設定 場所設定
登場人物
勝俣小弥太(足軽の嫡男)
飯田兵左衛門(公事奉行)
伍助(小弥太の学友、農民)
第四話 第二の助太刀
章立て
「一」〜「七」
時代設定 場所設定
登場人物
田中三郎兵衛(城代家老)
小俣市兵衛(田中家若党)
金蔵(笹沼家の草履取り)
水田吉太夫(笹沼家の家来)
第五話 馬之助綺譚
章立て
「一」〜「九」
時代設定 場所設定
登場人物
鶴平(鳥方、のち拾われて信吉の名)
富屋清兵衛(大内宿の村役人)




直木賞 111受賞  一覧へ

ふた さんが
二つの 山河」
(『別冊文藝春秋』207号[平成6年/1994年4月])
書誌
>>『オール讀物』平成6年/1994年9月号
>>平成6年/1994年9月・文藝春秋刊『二つの山河』所収
>>平成9年/1997年9月・文藝春秋/文春文庫『二つの山河』所収
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選評の概要
選考委員 評価 行数 評言
黒岩重吾 18 「受賞圏に入ると感じた。」「松江豊寿の人間像が、爽やかな魅力を放っている。」「戊辰戦争や斗南での飢餓が主人公の反軍的な行動の裏打となっており、良い資料を選び出すのも、作者の眼力であることを示している。」
井上ひさし 52 「六作中、もっとも感心した」「たとえ会津物に抵抗がある読者でもここまで巧みに仕組まれれば文句のつけようがあるまい。」「なによりもめざましいのは、氏が会津という固有の土地を掘っているうちに日本人の普遍的な行動原理に突き当たったこと。」
山口瞳 10 「稀に見る清々しい小説で好感度百パーセント。これはおそらくは作者の人柄によるものだと思われる。」「松江豊寿の美挙は大いに顕彰されてしかるべきだと思うが、私には、やや小説的結構に乏しいという憾みが残った。」
平岩弓枝 31 「六篇の候補作の中、まず「二つの山河」に心惹かれた。」「中村さんは良い素材を、極めて中村さんらしい素朴な語り口で、じっくり読ませる作品に仕立て上げた。この力量は大きく評価されるべきだと思う。」
藤沢周平 30 「直球でストライクを取ったような、単純だが気持よく読める作品だった。」「読者を作品世界の中にひきこむのはヒューマニズムである。」「中村さんの従来の小説にみられた資料からくるわずらわしい感じがなかった。」「受賞に値いする長足の進歩と思われた。」
田辺聖子 15 「良質な材料の助走を得て一気にゴールへ入ったという感じの作品、読者の共感をよぶ。ただ私としては小説的技巧の点で、ある部分、無作為すぎるのが残念だった。」「しかしこんな形での会津発掘があるのかと快い衝撃と示唆を与えられた秀作。」
五木寛之 14 「私も気分よく読んだが、その自分の感覚にどこか素直になれないかすかな軋みをおぼえたことも事実である。小説としては、いささかひよわな面があるとも思った。」
渡辺淳一 20 「氏が追い求めてきた会津藩のなかから、松江豊寿という魅力的な人物を探し出してきたことが、第一の手柄であった。その主人公を、よく整理された資料をもとに、安定した文章で適確に描き出し、姿のいい小説に仕上っている。」「その姿のよさが、ときに優等生を見るようなもの足りなさに変ることもあるが、この主人公の魅力と読後感の爽やかさは、それを補って余りある。」
選評出典:『オール讀物』平成6年/1994年9月号
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文量
短篇
章立て
「一」〜「十一」
時代設定 場所設定
大正〜[明治〜昭和]  徳島〜福島県若松
登場人物
松江豊寿(坂東俘虜収容所所長)
松江久平(豊寿の父、会津藩士)
クルト・マイスナー(ドイツ人捕虜、日本語通)
パウル・エンゲル(ドイツ人捕虜、オーケストラ指揮者)




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