直木賞のすべて
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第110回

=受賞者=
佐藤雅美
大沢在昌

=候補者=
内海隆一郎
小嵐九八郎
中村彰彦
熊谷 独
内田春菊


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Last Update[H20]2008/2/25

大沢在昌
Osawa Arimasa
生没年月日【注】 昭和31年/1956年3月8日〜
受賞年齢 37歳10ヵ月
経歴 愛知県生まれ。慶応義塾大学法学部中退。
受賞歴 第1回小説推理新人賞(昭和54年/1979年)「感傷の街角」
第4回日本冒険小説協会大賞[最優秀短編賞](昭和60年/1985年)『深夜曲馬団』
第44回日本推理作家協会賞[長編部門](平成3年/1991年)『新宿鮫』
第12回吉川英治文学新人賞(平成2年/1990年)『新宿鮫』
第19回日本冒険小説協会大賞[日本軍大賞](平成12年/2000年)『心では重すぎる』
第20回日本冒険小説協会大賞[日本軍大賞](平成13年/2001年)『闇先案内人』
第17回柴田錬三郎賞(平成16年/2004年)『パンドラ・アイランド』
第25回日本冒険小説協会大賞[日本軍大賞](平成16年/2004年)『新宿鮫IX 狼花』
処女作 「感傷の街角」(『小説推理』昭和54年/1979年)
サイト内リンク 小研究-ミステリーと直木賞
直木賞受賞作全作読破への道Part2
付録-柴田錬三郎賞受賞作一覧(第17回)
付録-吉川英治文学新人賞受賞作・候補作一覧(第12回)
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しんじゅくざめ
新宿鮫』
(平成2年/1990年9月・光文社/カッパノベルス)
書誌
>>平成9年/1997年8月・光文社/光文社文庫『新宿鮫』
>>平成17年/2005年6月・双葉社/双葉文庫 日本推理作家協会賞受賞作全集64『新宿鮫』
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他文学賞 吉川英治文学新人賞 12受賞 一覧へ
選評の概要
選考委員 評価 行数 評言
井上ひさし 15 「どこをどっても一級品である。わたしは、読者としては熱狂しつつ、同業としてはいくらかの妬ましさを覚えながら、この常事ではない傑作を読み終えた。読んで損はなく、かえってお釣りがくる小説である。ほんとうに立派な仕事だ。」
尾崎秀樹 16 「印象にのこった。」「六本木を背景に鮮やかなハードボイルド物を書いてきた作者が、新たに新宿を舞台に話を展開した作品である。」「新宿という街を縦横に描いたハードボイルドの一収穫である。」
佐野洋 9 「最初の投票で満票を獲得した。新しい主人公の創造、警察機構に対する冷静な目、ときにはユーモアもあり、作者の飛躍が読み取れた。副主人公の女性は、六作品中の随一である。」
野坂昭如 17 「『新宿鮫』とは、またミもフタもない題名だが、読んでみれば、これすらもしごく妥当に思える、つまり大沢在昌はもはや、斯の道の商売人に違いない、選考委員すべてが推したのも当然。この水準を維持しつづければ、分野をこえて、小説業界に風穴を開けること請合い。」
半村良 16 「新宿の新しい風物(敢えて風俗とは言わない)がよく書けていたし、昔はいなかった種類の新しい人物もよく書けていた。」「今回はみごとに自分の型を作ったという感じである。型は人が作って見せれば途端に陳腐にも思えるものだが、『新宿鮫』を自分でやってみれば、もう大沢氏の新宿を抜けないことが判るだろう。化けた、という意味でも受賞は嬉しい。」
選評出典:『群像』平成3年/1991年5月号
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直木賞 110受賞  一覧へ

しんじゅくざめ むげんにんぎょう
新宿鮫  無間人形』
(平成5年/1993年10月・読売新聞社刊)
書誌
>>初出『週刊読売』平成4年/1992年10月18日号〜平成5年/1993年10月3日号
>>平成6年/1994年7月・光文社/カッパ・ノベルス『無間人形 新宿鮫4』
>>平成12年/2000年5月・光文社/光文社文庫『無間人形 新宿鮫IV』
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選評の概要
選考委員 評価 行数 評言
井上ひさし 26 「物語の展開は快調、とにかくおもしろい。舌を巻くばかりの筆力である。」「登場人物たちの織り出す人生の織物は厚くて豪奢である。もちろん欠点はある。たとえば今回の悪玉には「悪の哲学」がない。あるとしても弱い。」「現在感覚に溢れて生き生きとした作品だ。今回は水準が高かったが、その高い水準をこの作品はさらに頭ひとつ抜いている。」
陳舜臣 18 「設定にやや無理があるという意見もあったが、ハードボイルドでは、不条理性が登場人物をよりあざやかに造型する素材でもあるので、大きく減点するにあたらないとおもう。この作家の『毒猿』という作品に感心したおぼえがあるが、ハードボイルドの新しい星として活躍が期待できる。」
藤沢周平 19 「「新宿鮫」シリーズは、四作目の「新宿鮫 無間人形」に至って、三作目までの娯楽性が勝った作風を超えたように思われた。主人公鮫島の超人的な設定など、二、三気になっていたところが整理されて、派手なおもしろみは減ったかわりに、ずしりと重い現実感が前面に出てきたのが四作目の特色である。」「直木賞にこのエンタテイメントの傑作を加え得たことをよろこびたい。」
田辺聖子 35 「スピードと緊迫感にみち、それでいて、ちょっと甘いところのある味つけが口あたりいい。(引用者中略)大沢氏のお作にある品の良さが、かいなでの作品と一線を劃する。」「構成上やや破綻と思われる個所もあるが、ともかく脂の乗った作家の、みなぎる熱情と荒肝をひしぐ腕力に魅せられ、女の子の描きかたの趣味のよさにも共感。」
黒岩重吾 29 「新しい迫力がある。」「問題は前半の汗ばむような緊張感が後半に到って崩れることである。政界人を操るような地方財閥の息子が、危険な覚醒剤を売らなければならない理由が、読者に納得出来るまで描かれていない。」「本家の息子など実に屈折した人物なので、もっと書き込んで貰いたかった。」「苦言を呈したが、私の時代には存在しなかったであろう晶は、作者の筆力においてのみ創り得た女性であることは間違いない。」
五木寛之 49 「文句タラタラで読んだが、それでも抜群におもしろかった。決して「文句なしの」おもしろさではない。そこにこの作家の力があると思った。」「総じてこの小説には、タフなジャケットの下から甘さが見え隠れするが、それを排除してしまうと、批評家にはほめられても、売れないだろう。ロックの感覚を生かした歌謡曲、というあたりが、この作品の取り柄なのである。」「大沢さんの一篇を受賞作として推した」
平岩弓枝 33 「週刊誌に連載中から愛読していて、次の回が楽しみであった。」「で、(引用者中略)読者として苦情を申し上げたい。」「巨大な権力の中心人物が姿もみせず、その一族にあの老いぼれは、じきに死ぬ、と一人言で片づけてしまったのは、まことに残念。更にいえば、(引用者中略、注:キャンディを作っていた)理由が、でき上った自分のまわりの世界を汚したかったのかも知れない、という、これも独白だけで終らせたのでは、おそらく誰も納得出来ないと思う。」
渡辺淳一 25 「いま登り坂の作家の勢いが感じられる。」「裕福な彼等(引用者注:登場人物の香川兄弟)が、麻薬の売買に手を出した理由も弱く、最後が腰砕けになっている。」「あまりにエンターテインメントに過ぎて、手応えが軽すぎるが、シリーズ作品で、他にそうでもないものもあるところから納得した。この作品で最も惹かれたのは晶という女性で、この女性の魅力と、全体を貫く乾いた感性をかって、受賞に賛成した。」
山口瞳 25 「こういう小説、私は読み馴れないのだが、なかなか面白くて上等だと思った。文章のテムポがいい。」「その上で無いもの強請りを言うのだが、この小説には哲学がない。(引用者中略)麻薬犯も鮫島も愛人の晶も、恰好はついているが、奥が無くて薄いものになってしまっている。」
選評出典:『オール讀物』平成6年/1994年3月号
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文量
長篇
章立て
「1」〜「48」
時代設定 場所設定
[同時代]  東京〜ある県
登場人物
鮫島(新宿署防犯課の刑事)
晶(歌手、鮫島の恋人)
香川昇(香川財閥分家、運送会社社長、裏で覚醒剤を密造)
香川進(昇の弟、暴力団との交渉役)
香川景子(香川財閥本家の長女、スナック「K&K」オーナー)
国前耕二(「K&K」従業員)
平瀬(耕二の仲間、チンピラ)
石渡(耕二の仲間)




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