直木賞のすべて
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第108回

=受賞者=
出久根達郎

=候補者=
内海隆一郎
東郷 隆
小嵐九八郎
宮部みゆき


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Last Update[H19]2007/11/4

出久根達郎
Dekune Tatsuro
生没年月日【注】 昭和19年/1944年3月31日〜
受賞年齢 48歳9ヵ月
経歴 茨城県行方郡北浦町(現:行方市)生まれ。中学卒業後、東京・月島の古書店に勤務。昭和48年/1973年独立、杉並区で古書店「芳雅堂」を開く。
受賞歴 第8回講談社エッセイ賞(平成4年/1992年)『本のお口よごしですが』
サイト内リンク 直木賞受賞作全作読破への道Part2
子サイト
「余聞と余分」内
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1件/最新は平成20年/2008年7月27日記事(このページの下部にリンクあり)
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直木賞 104回候補  一覧へ

むみょう ちょう ねこ ねこ よにん
無明の 蝶」「 猫じゃ 猫じゃ」「 四人め」「とろろ」
(平成2年/1990年10月・講談社刊『無明の蝶』より)
書誌
>>平成5年/1993年8月・講談社/講談社文庫『無明の蝶』所収
>>平成7年/1995年10月・埼玉福祉会/大活字本シリーズ『無明の蝶』所収
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他の収録作品
「靴」「雲烟万里」「赤い鳩」
 
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選評の概要
選考委員 評価 行数 評言
渡辺淳一 15 「なかなかの小説巧者で、小太刀の名手という感じを受けた。表題作(引用者注:「無明の蝶」)と「四人め」がとくに印象に残ったが、少し人物やストーリーを動かしすぎる嫌いがある。読者へのサービスのつもりかもしれないが、あまり話をつくりすぎるとリアリティを失い、興醒めする。」
平岩弓枝 8 「好感を持ちました。たしかに文章には少々、無造作なところがあるのですが、独特の小世界が巧みに書かれていて、気持のよい作品だと思います。」
陳舜臣 5 「達者な作品である。劇画化がオーバーで、そのため登場人物の存在感がかえって薄れてしまった。」
井上ひさし 5 「細部の豊かさおもしろさと自在な文章。」「一読して三嘆すべき立派な作品だった。」
田辺聖子 16 「面白い素材を、上手な話術で、しかも人生の蓄積深い(ということは、人生に一家言ある、ということだ)オトナが書いているのだから、大人が読んで面白からぬはずはない、……というような小説。しかしこの作品のよさも危うさも、一にかかって、そこのところに在る。」「しかしまあ、私は大いに楽しまされた。」
五木寛之 8 「独特の小世界をつむぎ出した佳作である。味のある文章と肩肘張らない語り口で気楽に読みすすむことができるが、その実、なかなかしたたかな小説づくりの仕掛けが隠されていると見た。」
黒岩重吾 10 「古本屋という商売が醸し出す黴臭い雰囲気、また裏に隠されている商魂などがよく描かれている。ただ小説を作り過ぎているために、作品が浅く感じられたのは残念である。作者がそのことに気付いたなら凄い小説が生まれそうな気がする。」
山口瞳 0  
藤沢周平 16 「手の内の古本商売にかかわる話はいきいきと描かれているのに対し、話を作ったと思われる部分、あるいははっきりと虚構とわかるものになると、作意が目立つ弱点があった。」「候補作四篇の中では、(引用者中略)「猫じゃ猫じゃ」がいいと思った。猫の生態の描写も巧みで、佳作である。」
選評出典:『オール讀物』平成3年/1991年3月号
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文量
短篇4篇
無明の蝶
章立て
なし
時代設定 場所設定
[時代不定]  ある町〜鎌倉
登場人物
私(語り手、古本屋)
花田章一(私の店の常連客、夭折)
猫じゃ猫じゃ
章立て
なし
時代設定 場所設定
[時代不定]  ある町
登場人物
私(語り手、古本屋)
福郎(私の店に迷い込んだ猫)
小金井(高校の数学教師)
四人め
章立て
なし
時代設定 場所設定
[時代不定]  ある町
登場人物
私(語り手、古本屋)
粟田(建設会社社長)
吉村(世話好きの未亡人)
とろろ
章立て
なし
時代設定 場所設定
[時代不定]  ある町
登場人物
私(語り手、古本屋)
倉田檀思(老国文学者、蔵書家)




直木賞 108受賞  一覧へ

つくだじま しょぼう
佃島ふたり 書房』(平成4年/1992年10月・講談社刊)
書誌
>>平成5年/1993年5月・日本点字図書館刊『佃島ふたり書房』4冊
>>平成7年/1995年7月・講談社/講談社文庫『佃島ふたり書房』
>>平成11年/1999年10月・埼玉福祉会/大活字本シリーズ『佃島ふたり書房』(上)(下)
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選評の概要
選考委員 評価 行数 評言
田辺聖子 75 「小説に翻弄されるという醍醐味を久しぶりに味わった。」「文章で昂奮させられる作品、というのは、うれしいものだ。」「過去と現在のもつれかたに、えもいえぬ詩情がたちのぼる。」「最後のページを閉じたとき、実にあとあじよく、感慨が心を濡らすのに気付く。」
黒岩重吾 47 「私はこの作品一本に絞り選考会に出席した。」「某委員が指摘したように、ところどころに作者の作意を感じなくもないが、これだけの登場人物の一人一人に個性を持たせ、最後まで読者を飽かせない腕力は貴重といえよう。」「作者は小説の本質を?んだような気がする。」
山口瞳 117 「一言一句が粒立っているとか、活字が立ち上ってくるとかいう言い方があるが、そういう文章に久し振りにお目にかかったような気がしている。」「第四章の「鬼火あやしき黒い大川」が傑出している。」「畜生! うめえなあと思い、私は何度も唸ったのである。」「これは瑕瑾の多い小説である。(引用者中略)出久根さんにはキリッとした中年男女の恋愛小説の短篇を書いてもらいたいと切に願っている。」
陳舜臣 14 「きめのこまかい文章で、前半はみごとで、これはと思わせたが、幸徳秋水や管野スガといった実在の人物が出てくると、とみに厚みを失ったかんじがした。自分ひとりで面白がっていて、その面白さが読者に伝わってこないうらみがある。」
渡辺淳一 21 「頭一つ抜けていた。なによりもこの作者の優れているところは、人間を見る目がたしかなことで、その目が老獪ともいえる文章できっかりと裏打ちされている。」「気になったのは、全体としてじじくさく華がないところだが、もしかするとこの作家は、表面じじくささを装いながら、意外に化ける余力を秘めているのではないか。そのあたりへの期待もこめて、授賞に賛成した。」
平岩弓枝 34 「如何にも小説的小説というか、よくも悪くも技巧的という印象を受けた。」「主人公のパートナーの人のいい、気の弱い、しかも誠実な男というのも或るパターンではあった。一つ間違うと、えらく古くさい作品になるのを、そう仕上げなかったのは、作者の腕であり、キャリアであろう。」
井上ひさし 41 「文章にやや臭み(「いかにも玄人の、プロならではの」という言い方も出来るが)はあるものの、単に意味を伝達するだけではない徳、つまり作者の駆使する言葉そのものがおもしろさと美しさを備えており、かつ的確(とくに、主人公が彫物をする場面)でもある。」「読者はとても気分よく巻を閉じることができるわけで、すべてをひっくるめて作者はまことに練達である。」
藤沢周平 55 「作品全体を読み終ってみると、二、三気持にひっかかるものが残る作品でもあった。」「しかし(引用者中略)第一章の最後にあらわれる文章、あるいは関東大震災当日の光景など、この作者が正面から取り組んだ文章には懐の深い、見事な表現力が示されていた。隅田川がブリキの切片を一面にまきちらしたようにさざなみ立ったなどという文章は容易に書けるものではない。」
五木寛之 29 「余裕の受賞という感じで今回の選考会は終った。」「なによりも文章が練れているというか、こなれた筆である。」「この作品のなによりの成功は、物語りの舞台に佃島という場所を選んだことだ。(引用者中略)このあたりには、まだまだ沢山の物語りが埋まっていそうである。」
選評出典:『オール讀物』平成5年/1993年3月号
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文量
長篇
章立て
「第一章 雪ふる佃の渡し」「第二章 藤の花薫る」「第三章 その人は年上の庇髪」「第四章 鬼火あやしき黒い大川」「第五章 雪のした卒塔婆小町」「第六章 螢の光佃の渡し」
時代設定 場所設定
昭和39年/1964年〜[明治末期〜太平洋戦争戦中]  東京
登場人物
梶田郡司(古本屋)
工藤六司(郡司の商売仲間)
ダクばあさん(かつての「ふたり書房」店主)
千加子(ダクばあさんの姪、六司の妻)
澄子(千加子の娘、「ふたり書房」を継ぐ)
木里初男(「明神書房」店主)




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  [H20]2008/7/27 編集者が丁寧に短篇を選び分けていた最後の世代。 第104回候補 東郷隆「水阿弥陀仏」  
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