直木賞のすべて
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第101回

=受賞者=
笹倉 明
ねじめ正一

=候補者=
隆 慶一郎
古川 薫
多島斗志之
高橋義夫
阿久 悠


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Last Update[H20]2008/2/24

笹倉明
Sasakura Akira
生没年月日【注】 昭和23年/1948年11月14日〜
受賞年齢 40歳7ヵ月
経歴 兵庫県生まれ。早稲田大学文学部卒。
受賞歴 第4回すばる文学賞佳作(昭和55年/1980年)「海を越えた者たち」
第6回サントリーミステリー大賞(昭和63年/1988年)「漂流裁判」
杉の木賞(平成1年/1989年)
処女作 「海を越えた者たち」(昭和56年/1981年)
サイト内リンク 小研究-ミステリーと直木賞
直木賞受賞作全作読破への道Part2
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「余聞と余分」内
関連記事
4件/最新は平成21年/2009年8月23日記事(このページの下部にリンクあり)
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直木賞 100回候補  一覧へ

ひょうりゅうさいばん
漂流裁判』(昭和63年/1988年7月・文藝春秋刊)
書誌
>>平成3年/1991年6月・文藝春秋/文春文庫『漂流裁判』
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選評の概要
選考委員 評価 行数 評言
田辺聖子 10 「女がよく書けており、推理小説の域をこえて人間の追求という文学性を獲得している。私はこの小説を日本では未開拓(すでに二三の秀作も見られるが)の法廷小説・裁判小説の佳品として推したのだが、やや晦渋とうけとられて票を集めなかったのは惜しい。」
黒岩重吾 0  
陳舜臣 6 「裁判小説として、小杉健治氏の『絆』に及ばない。」
村上元三 8 「レイプという告訴に振りまわされる弁護士や裁判官が、よく描かれている。あるいは、という疑問どおりになって、いささか失望した。」
藤沢周平 13 「文章は未熟、推理小説としても成功しているとは言えない作品だったが、矛盾をかかえる人間が丸ごと描かれているという感じをあたえる作品だった。さらに筆が確かに人間の暗部にとどいている感触があって、大変気になる作品というほかはない。」「将来性のあるひとだと思う。」
山口瞳 0  
平岩弓枝 13 「法廷が主な舞台になっているのに読みやすかったのは、登場人物がよく描けているせいだと思った。」「欲をいえば、事件そのものにかかわり合っている人間達がいきいきしているのに、事件を扱う側の弁護士や女検事がいささかパターン化しているのが気になった。」
井上ひさし 11 「血の匂いや硝煙抜きで、殺伐な事件を扱うことなしに裁判小説が、それも長篇が成立するかという野心的な冒険が試みられていた。」「「とにかく読み手を楽しませなければならぬ」という苛酷な条件の下で試みられた(引用者中略)冒険や実験に評者はまず脱帽し低頭する。」
五木寛之 9 「その力量は誰しも認めるところだったが、登場人物たちの過去がどことなく安易に設定されているような気がしないでもない。次作を期待したいというのがおおかたの意見だった。」
渡辺淳一 13 「裁判の一審における粗雑さがいささか気になるが、心理劇としても読みごたえがある。ありきたりの殺人事件が登場しないところも新鮮で新しい推理小説の萌芽を感じさせられたが、意外に支持する人は少なかった。」
選評出典:『オール讀物』平成1年/1989年3月号
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文量
長篇
章立て
「第一章」〜「第十六章」「エピローグ」
時代設定 場所設定
昭和60年/1985年  東京
登場人物
深水耕介(弁護士)
紺野喜一(強姦罪の被疑者)
中山知子(喫茶店ウェイトレス)
黒崎淳二(米国留学中の大学生)




直木賞 101受賞  一覧へ

とお くに さつじんしゃ
遠い 国からの 殺人者』
(平成1年/1989年4月・文藝春秋刊)
書誌
>>『オール讀物』平成1年/1989年9月号
>>平成4年/1992年4月・文藝春秋/文春文庫『遠い国からの殺人者』
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選評の概要
選考委員 評価 行数 評言
陳舜臣 20 「前回の候補作「漂流裁判」から一歩も二歩も前進している。ただ話の進行のつなぎに、もうすこし工夫が欲しかった。」「強い問題意識をもった執筆姿勢に好感がもてる。じゃぱゆきさんの境遇というテーマが作者の正義感によって光っている。」
黒岩重吾 23 「受賞圏にあると考え、選考会に出席した。」「浩という人間の屑の存在感が自然でリアリティがあるのも、作者が主人公の女性の心理のひだを書き込んでいるせいである。」「ただ読み終って、この種の小説にしては躍動感がないのが気になったが、受賞を否定するほどのものではない。」
山口瞳 23 「確実に前回候補作に較べて腕をあげている。」「私は、特に、フィリピンから来た若い踊り子の頼りなげな様子がよく書けているのに感動した。しかし、裁判小説は、事件の謎を解く重要な事実(たとえば被害者がレイプ常習犯で殺人者であったこと)を作者が伏せておいて、その発見が弁護人の手柄になるのが興醒めになる。これは避け難いことなのだろうか。」
田辺聖子 17 「氏は遂に現代小説の新しい一つの活路、新鮮な切り口を追求し、それに成功された、という気がする。裁判小説というか、法廷に於ける虚々実々の応酬を重要なモチーフとして事件や人生を切り取る、その手口がいかにもあざやかで興趣横溢、しかも読後、さわやかだが、ずしんとくる何かがある。」「佳品であった。」
藤沢周平 21 「読むほどに、次第に寄るべない一人のフィリピン女性の孤独と犯罪がうかび上がって来る感触がすばらしく、重厚な筆力が感じ取れた。」「一見したところは地味な小説であるけれども、中身は十分に濃くて、私はフィクションの本道を行く、いわゆる虚構の真実に手がとどいた作品とみた。」
五木寛之 54 「笹倉明さんの小説には、いつも、小説の枠におさまりきれないところがある。一歩ふみはずせば〈大説〉と化しそうな危うさをはらんでおり、そこがまた魅力でもあると思う。」「雑な文章は作品の興趣をそぐことはなはだしい。しかし、アジアと日本人、そして被差別者がさらに弱い者への差別者となってゆく無残な現実がしっかりと見すえられている〈遠い国からの殺人者〉を、今回の受賞作として推すことにためらいはなかった。」
村上元三 19 「題名は、ややこけおどしの気味もないではない。しかし内容は題名とは違って、地味なストーリイを、こつこつとまじめに書いている。」「ストリップガールたちの生態、照明係との関係など、へんに思わせぶりのところがなく、作者は筆を抑えて書いている。凡手ではない、どころではなく、この作者は大成するに違いない。」
平岩弓枝 17 「よくまとまった作品であった。テーマも、前作「漂流裁判」よりわかりやすく、今日的である。難をいえば、得体の知れない外国人の女性を、初対面の日本の男達が、比較的、あっさり味方になってしまうのが、一つ間違うと法に触れることだけに、どんなものだろうかと気になった。」
渡辺淳一 31 「前回、わたしはこの人の作品をかって推したが受賞できず、今回、この作品で受賞となったが、わたしは前回のほうをかう。」「主人公のストリッパーは遠い国からきた可哀相な女という域を出ず、前回のレイプされた女の妖しさと不思議さには及ばない。」「ピンスポ一本のつながりという着想も面白いが、いま一つ説得力に欠ける。」
井上ひさし 29 「物語になりそうもない小事件の背景を捜査して骨太の物語をつくりあげた」「たしかにこの作者の文章は型どおりである。」「われわれ日本人の深層に根深くひそむアジア蔑視をなんとしてでもえぐり出そうという作者の意思力が、型どおりの感動をすべて黄金に変えてしまったのだ。」
選評出典:『オール讀物』平成1年/1989年9月号
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文量
長篇
章立て
「プロローグ」「第一部」「第二部」
時代設定 場所設定
1980年代  東京〜福岡
登場人物
シエラ・ラウロン(芸名サリー・ブラウン、フィリピン人)
木山浩(被害者、シエラの男)
赤間愛三(弁護士)
岩上龍一(ジャズ・バー店主、赤間の友人)
綿谷四郎(ストリップ劇場の証明係)
あい渚(ベテランのストリッパー)
蔭山茂美(木山の幼なじみ)




ブログ版 直木賞のすべて 余聞と余分
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