直木賞のすべて
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第100回

=受賞者=
藤堂志津子
杉本章子

=候補者=
佐々木 譲
もりたなるお
笹倉 明
堀 和久
古川 薫


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Last Update[H19]2007/8/3

藤堂志津子
Todo Shizuko
生没年月日 昭和24年/1949年3月14日〜
受賞年齢 39歳10ヵ月
経歴 本名=熊谷政江。北海道生まれ。藤女子短期大学国文科卒。
受賞歴 第21回北海道新聞文学賞(昭和62年/1987年)「マドンナのごとく」
北海道栄誉をたたえて賞(平成1年/1989年)
札幌市民芸術賞(平成2年/1990年)
第8回島清恋愛文学賞(平成13年/2001年)『ソング・オブ・サンデー』
第16回柴田錬三郎賞(平成15年/2003年)『秋の猫』
処女作 『マドンナのごとく』(昭和63年/1988年5月・講談社刊)
サイト内リンク 付録-柴田錬三郎賞受賞作一覧(第16回)
直木賞受賞作全作読破への道Part2
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「余聞と余分」内
関連記事
1件/最新は平成20年/2008年4月20日記事(このページの下部にリンクあり)
備考 第100回受賞作を、これまで
単行本の『熟れてゆく夏』(中篇集)としていましたが、
『オール讀物』平成1年/1989年3月号の決定発表文・選評文などをもとに、
単行本収録の一中篇「熟れてゆく夏」に改めさせていただきました。
(2006.12.28)
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直木賞 99回候補  一覧へ
『マドンナのごとく』(昭和63年/1988年5月・講談社刊)
書誌
>>平成3年/1991年4月・講談社/講談社文庫『マドンナのごとく』
>>平成15年/2003年11月・新風舎/新風舎文庫『マドンナのごとく』
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選評の概要
選考委員 評価 行数 評言
黒岩重吾 24 「受賞圏にあると考えて選考委員会に出席した。」「大人の童話として読むと不自然さが消えた。主人公の優しさの中に潜む女性のエゴや性愛描写、三角関係も納得出来る。」「ただ幾ら童話でも、二人の男性、唐沢と郁馬が同一人物に思えるのは本小説の欠点である。」
陳舜臣 14 「主人公以外の人間が生きていないのが惜しい。二人の恋人も、自衛隊の制服を着せられたゼンマイ人形のようである。おもうに主人公の唯我的発光源があまりにも強烈にすぎて、周辺がくらんでしまうのであろう。」
村上元三 8 「読後感もよくないし、作者は純文学志向だろうと思う。恋愛をおもちゃにしている感じをうける。私という一人称の主人公も「青空」の女性たちも、表面を撫でているだけで真実性がない。」
田辺聖子 41 「恋愛小説がもっと現われてほしいと思う私にとって、この作品を支持し、理解を示す選者が多くいられたことはまことに慶賀に堪えないのだが、私自身はやや不満であった。ヒロインはともかく、男たちが書きこまれていないので、魅力に乏しい。作品にみなぎるナルシシズムも気になる。」
藤沢周平 12 「新快楽主義といったような主張もあって新鮮だった。ただ二人の自衛官の描き方には、いくら観念的な小説だとしても、受け入れがたいいかがわしさがあった。」
山口瞳 15 「ハッキリ言って私にはわからない。こういう題名をつける神経も理解できない。いい気なもんだと思ってしまう。しかし、この作者には何かヒッカカルものを感ずる。もしかしたら大化けに化けるのではないかという予感がある。」
五木寛之 17 「印象的な作品だった。」「一般の見る目と逆かもしれないが、私はここに出てくる人物や、描写にローカルな味を強く感じた。」「この女性作家のどこか「鈍感」な才能に、私はひそかに期待している。」
平岩弓枝 16 「女一人に男二人の関係が乾いた筆致で書けていて面白いと感じた。」「現代の或る女の感覚が作品の中で生きている。」「それにしても「青空」という過去の作品を候補作に並べられたのは、藤堂さんにとって、お気の毒なことだった。」
井上ひさし 32 「文章が端正で彫が深く格調高いように見えて、そのじつ甘いと思う。また男性像の造型がのっぺりしていて、時として彼等は人形のようにみえる。」「この作品を書かずにいられなかった動機のひとつは、疑いもなく自己愛だと思うが、それをも作者と共有することはとてもできなかった。」「見るべきは女性像の造型で、傍役たちがみごとである。」
渡辺淳一 34 「(引用者注:最終的に残った西木、景山、藤堂のうち)最も票の少なかった藤堂志津子氏の「マドンナのごとく」を推した。この作品は一見、軽い風俗を描いているようで、読みすすむうちに、男女というよりは、オスとメスの孤独と虚ろさが浮きぼりにされてくる。」「新しい才能の出現であった。」「この種の小説を平板なリアリズムだけから批評するのは、酷というものであろう。」
選評出典:『オール讀物』昭和63年/1988年10月号
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文量
短篇集
マドンナのごとく
章立て
なし
時代設定 場所設定
[同時代]  札幌
登場人物
私(語り手、優子、広告会社勤務)
唐沢潤一(自衛隊員)
藤堂郁馬(唐沢の同期生)
松田(私の同級生、広告会社経営)
青空
章立て
なし
時代設定 場所設定
[同時代]  札幌
登場人物
真弓(ブティックのオーナー)
栄子(真弓の同級生でパートナー)
園田文彦(真弓の元・教え子)
佐伯彰(真弓の別れた夫)




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なつ
熟れてゆく 夏」
(昭和63年/1988年11月・文藝春秋刊『熟れてゆく夏』より)
書誌
>>『オール讀物』平成1年/1989年3月号
>>平成3年/1991年10月・文藝春秋/文春文庫『熟れてゆく夏』所収
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他の収録作品
「鳥、とんだ」
「三月の兎」
 
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選評の概要
選考委員 評価 行数 評言
田辺聖子 27 「むつかしいところである。小説としてはむつかしくないが、恐らく女性読者の反撥を買うんじゃないか、という所がある。しかし作者はあるいはそういう点をふまえた上で書かれたのかもしれない。」
黒岩重吾 22 「私はこの作品は買わなかった。だが藤堂氏の才能を否定しているわけではない。」「私が今回の作品に酩酊出来なかったのは、人間の屑のような紀夫に雄が全く感じられなかったからである。」「もし紀夫に雄(女性を擲るという行為は雄とは関係がない)を感じることが出来たなら、この作品は凄いものになっていたような気がする。」
陳舜臣 26 「このまえの候補作『マドンナのごとく』にくらべると、格段によくなっている。」「藤堂氏の文章は、読者をうまく乗せてしまうリズムがある。そのリズムに頼りすぎると危険ではあるまいか。リズムは常に変化しなければ平板になる。藤堂氏の作品の醸し出すふしぎな魅力は、不安定の美、であるかもしれない。」「安定していないというのは、大成の可能性が大きいという意味である。」
村上元三 14 「一ばん文章もしっかりしていた。人間を見る眼も確かだが、ここに登場する男も女も好感は持てない。そういう人間たちを描くのが作者の目的だろうが、ここから新しい文学が芽生えるにしても、ほかのテーマを扱った作品を読みたい。」
藤沢周平 19 「才気煥発の作品。」「ただ、この小説の結末の部分は案外な不出来で、その理由は筆を惜しんだひとり合点にあるとしか思えず、私はきわめて不満足だった。」「しかしその一点の不満を我慢すれば、この作品はやはり受賞圏内のものである。」
山口瞳 84 「とても女臭い小説である。」「初め僕には拒絶反応が働いた。」「松木夫人、紀夫、律子、道子の誰ともつきあいたくないなァと思った。」「良いところは、登場人物の誰もが確りと描かれていることだ。夏の海辺の描き方も上手だ。相当な腕力の持主だと思う。」「今回の作品で化けたとは思わないが、大化けに化けるかもしれないという期待感は一層強くなった。」
平岩弓枝 9 「主人公の女子大生が憧れている金持の中年の女が、どうにも魅力的には思えないのが不満であった。女子大生の一人よがりが、作者の一人よがりと重ならなければよいと思っている。勿論、この作者の受賞を否定する気持はない。」
井上ひさし 38 「小説としてどうかということになれば、(引用者中略)ひとつもふたつも抜き出ていたように思われる。」「人物たちの関係の微妙な反響の仕合い、その関係の移り渡りの鮮やかさはどうであろう。」「さらに云えば、この小説には物語を完成させることをすくなからず拒否しているところがある。」「作者のその姿勢に寄り添うことができれば、これはじつに上等な小説として読める。」
五木寛之 27 「杉本氏の受賞が満場一致ですんなり決まったあと、ふと一瞬の空白ののちに藤堂志津子さんの「熟れてゆく夏」が浮上してきたのは、ある意味では当然のことだったとも思われる。「東京新大橋雨中図」の清澄な世界を照らし返すためにも、藤堂氏の「毒」のある作品が必要だ、と感じられたのだ。」「その毒には舌をくすぐる愉楽の味も希薄なのだが、それでもなおこの作家が独自の世界をもつ書き手であることを信じさせる力がある。」
渡辺淳一 30 「一見、浮わついた風俗を描いているようで、その底に醒めた虚無や孤独が潜んでいるところが、この作品を一段、奥の深いものにしている。」「いくつかの欠点もあるが、それを越えてこれだけのロマネスクを構成した力は評価すべきであろう。」「むしろ芥川賞向きという意見もあったが、ややエンターテインメントに傾きすぎた直木賞のバランスのためにも、こうした作品の受賞は歓迎すべきである。」
選評出典:『オール讀物』平成1年/1989年3月号
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文量
中篇
章立て
なし
時代設定 場所設定
[同時代]  海沿いの街
登場人物
律子(学生)
松木夫人(律子のアルバイト先「ラン美容室」の顧客)
紀夫(松木夫人の若い愛人)
道子(律子の親戚)




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  [H20]2008/4/20 本屋でぼくの本を見た 作家デビュー物語  
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