芥川賞のすべて・のようなもの
芥川賞のすべて・のようなもの

第65回

=候補者=
高橋たか子
畑山 博
金 石範
森 万紀子
山田智彦
森内俊雄
李 恢成
花輪莞爾


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 昭和46年/1971年上半期
 (昭和46年/1971年7月16日決定発表/『文藝春秋』昭和46年/1971年9月号選評掲載)
選考委員  石川達三 丹羽文雄 瀧井孝作 大岡昇平 中村光夫 永井龍男 舟橋聖一 井上靖 石川淳 川端康成
選評総行数  32 26 31 31 25 23 41 17 20  
評言 評言 評言 評言 評言 評言 評言 評言 評言 選評なし
候補作 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数
高橋たか子 「彼方の水音」 評言 2 0 0 0 0 3 0 0 0    
畑山博 「はにわの子たち」 評言 0 0 0 2 0 2 0 0 0    
金石範 「万徳幽霊奇譚」 評言 0 0 6 12 0 3 0 9 19    
森万紀子 「黄色い娼婦」 評言 3 3 7 16 9 4 23 4 0    
山田智彦 「実験室」 評言 3 4 6 0 7 4 8 0 0    
森内俊雄 「骨川に行く」 評言 3 0 0 0 0 2 0 0 0    
李恢成 「青丘の宿」 評言 0 0 5 3 0 2 0 0 0    
花輪莞爾 「渋面の祭」 評言 3 0 6 11 7 4 0 5 0    
                欠席  
見方・注意点

このページの選評出典:『芥川賞全集 第八巻』昭和57年/1982年9月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和46年/1971年9月号)
1行当たりの文字数:26字


選考委員石川達三×各候補作  見方・注意点
目標喪失の文学 総行数32 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
高橋たか子 全委員 2 「何が書きたかったのか、作者はどんな必然的な理由でこの作品を書いたのか、それが解らない。」
畑山博 全委員 0  
金石範 全委員 0  
森万紀子 全委員 3 「何が書きたかったのか、作者はどんな必然的な理由でこの作品を書いたのか、それが解らない。」
山田智彦 全委員 3 「何が書きたかったのか、作者はどんな必然的な理由でこの作品を書いたのか、それが解らない。」
森内俊雄 全委員 3 「何が書きたかったのか、作者はどんな必然的な理由でこの作品を書いたのか、それが解らない。」
李恢成 全委員 0  
花輪莞爾 全委員 3 「何が書きたかったのか、作者はどんな必然的な理由でこの作品を書いたのか、それが解らない。」
  「小説がノイローゼによって書かれるような傾向、そういう作品が読者から歓迎されるらしい傾向を見聞するにつれて、もはや私が芥川賞の選に当るべき時期は過ぎたと思った。」「芥川賞は短篇ということになっている。その短篇が次第に長くなって、二百枚を越える作品も幾つか有る。なぜ長くなったか。ここにも問題がある。なぜ切れ味の良い、すっきりとした短篇が書かれないのか。」
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選考委員丹羽文雄×各候補作  見方・注意点
感想 総行数26 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
高橋たか子 全委員 0  
畑山博 全委員 0  
金石範 全委員 0  
森万紀子 全委員 3 「森万紀子さんの仕事には期待をむけているが、いま一歩壁をつきやぶってほしかった。」
山田智彦 全委員 4 「「実験室」のように、小説の技巧を心得ているひとは信頼ができる」「いまひとつぴりっとしたものがほしかった。」
森内俊雄 全委員 0  
李恢成 全委員 0  
花輪莞爾 全委員 0  
  「文学の世界にも流行はあるのだから、いまの青年が女か男かわからないように、むさくるしい長髪にして自我に満足しているのも致し方ない。が、大学生が漫画を愛好するように文学が愛好されてはたまらない。」「前回の古井由吉君の「杳子」が新しいといわれる文学の頂点であったような気がする。」
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選考委員瀧井孝作×各候補作  見方・注意点
不明瞭と饒舌 総行数31 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
高橋たか子 全委員 0  
畑山博 全委員 0  
金石範 全委員 6 「初めの二三頁は説明文で少しくどい(原文傍点)ようで、読みづらかったが、しかし次第にこの作者の饒舌に馴れると、漸と作の中に入れた。」「饒舌で(引用者注:「青丘の宿」と同様に)これも長すぎる。」
森万紀子 全委員 7 「筆の線が太く荒荒しく、描写の筆力は、今回の予選作八篇の中では一番強いと思った。この作者は以前の候補作「単独者」「密約」など、小説の題から見ても、何か得体のしれないものを持つようだが、この何物かがうまく出てくれば面白いと思った。」
山田智彦 全委員 6 「何かやろうとした作者の意図は感じられるが、読んでは楽しくなかった。」
森内俊雄 全委員 0  
李恢成 全委員 5 「明るい若若しい平易な素直な筆に、この作者の持味があって、好感が持てた。各人物を見る作家の眼も光ってきたが、ただ少し長すぎる。」
花輪莞爾 全委員 6 「話のやわらか味のある語り口は宜いが、少し饒舌で茶化しすぎるきらいがあった。しかし、このやわらかい言葉は作者の持味のようで、私は注目したい。」
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選考委員大岡昇平×各候補作  見方・注意点
多彩な候補作 総行数31 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
高橋たか子 全委員 0  
畑山博 全委員 2 「アクチュアルな題材を切り取って、巧みな短篇にする手腕に感心した。」
金石範 全委員 12 「(引用者注:「黄色い娼婦」「渋面の祭」と共に)新鮮味があり、技巧もすぐれていて、どれが受賞してもおかしくない、と思われた。」「主題にも文体にもあいまいさはなく、デッサンがしっかりしている作品である。」「しかし現在の日本の「純文学」の基準では、この自然な物語性は直木賞にふさわしいということになるのである。」
森万紀子 全委員 16 「(引用者注:「万徳幽霊奇譚」「渋面の祭」と共に)新鮮味があり、技巧もすぐれていて、どれが受賞してもおかしくない、と思われた。」「この作者の持ち味の、人生と社会に対する独自な観点が、主人公を娼婦と設定して、一層直截な表現を得ていると私には思われた。」「一種の切迫感のある力作だが、一方やや肩に力が入りすぎた感じもある。」「しかしこの作家にはもう芥川賞は必要ないだろう。」
山田智彦 全委員 0  
森内俊雄 全委員 0  
李恢成 全委員 3 「題材の扱いに、安易さが見られるように思われた。」
花輪莞爾 全委員 11 「(引用者注:「黄色い娼婦」「万徳幽霊奇譚」と共に)新鮮味があり、技巧もすぐれていて、どれが受賞してもおかしくない、と思われた。」「主題と文体の調和のとれた作品である。」「異色ある作品と、私には思われたが、極めて少数の支持しかなかった。」
  「こん期は多彩でよい候補作が集ったと思った。」
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選考委員中村光夫×各候補作  見方・注意点
もう一工夫ほしい 総行数25 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
高橋たか子 全委員 0  
畑山博 全委員 0  
金石範 全委員 0  
森万紀子 全委員 9 「今度のなかで一番抵抗なく読めただけでなく、これまで何度か候補にあがった氏の作品にくらべても進歩していると思われました。」「生々しさがなくなり、悪い意味で文学的になった感じもして、女主人公の心の動きにも何かいま一歩人を打つものが足りません。惜しい作品だが当選はむりだ、と思われました。」
山田智彦 全委員 7 「最後まで話題になりました。」「(引用者注:「渋面の祭」と共に)一種の諷刺を狙った小説で、そこに新鮮さが感じられます。しかし諷刺というひとつの型あるいは思いつきに安住してしまって、材料とじかに組みあっていないせいか、あまり効果があがっていないのは残念です。」
森内俊雄 全委員 0  
李恢成 全委員 0  
花輪莞爾 全委員 7 「最後まで話題になりました。」「(引用者注:「実験室」と共に)一種の諷刺を狙った小説で、そこに新鮮さが感じられます。しかし諷刺というひとつの型あるいは思いつきに安住してしまって、材料とじかに組みあっていないせいか、あまり効果があがっていないのは残念です。」
  「八篇の作風はそれぞれ異っていますが、全体としてある共通の印象が残りました。」「相当な技巧をこらして、めいめい才を競っているが、なぜこの小説を書くのか、書いたことで何を得ているのかという、一番初歩の疑問に答える力がないことで、新人としての魅力の乏しさとも云えましょう。」
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選考委員永井龍男×各候補作  見方・注意点
「実験室」を推す 総行数23 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
高橋たか子 全委員 3 「一度完了した作品に、日を置いてさらに書き足したというような、齟齬あるいは分裂の印象をうけた。」
畑山博 全委員 2 「これだけの枚数でこれだけの材料をまとめるのは無理だと思った。」
金石範 全委員 3 「筆力は強靭爽快で、英雄伝にふさわしいものがあった。実力を買った上で、直木賞向きの作品だという評に傾いた。」
森万紀子 全委員 4 「ムンク風な風景画を感じた。しかし、作者の意図した主題を、私はとうとう読みとれなかった。」
山田智彦 全委員 4 「私は推した。もっとも短篇小説らしく、計算も相当行き届いていると思ったが、私の一票と他に半票では、他の作品と太刀打ち出来かねた。」
森内俊雄 全委員 2 「予選を通過したということは、私には不可解であった。」
李恢成 全委員 2 「長所と欠点のはっきりした作品であった。」
花輪莞爾 全委員 4 「主人公がかなりむずかしい眼鏡をこわすにもかかわらず、その後の外界のすこしも変らぬ描法に、大きな不審と落胆をおぼえた。」
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選考委員舟橋聖一×各候補作  見方・注意点
惜しかった森 総行数41 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
高橋たか子 全委員 0  
畑山博 全委員 0  
金石範 全委員 0  
森万紀子 全委員 23 「水準に達していた。」「ニヒリズムと反社会性がある。従って、景気のいい建設的な作品ではない。全体に憂鬱で、退屈でもある。」「とにかく問題意識や、過剰な性描写のないところがこの小説の身上である。」「最後に留置場の窓から、自分と同じ黄色い娼婦の幻覚を見るシーンも、私には美しく思われた。」「大岡、瀧井、丹羽委員らと私との四票を得たが、過半数を得られないので授賞の機会を逸した。」
山田智彦 全委員 8 「(引用者注:「黄色い娼婦」の)次に興味を惹いた。これは実験心理学風のリポートを読む感じで、ノンフィクションに近いものである。」「私は森一篇では苦戦なので、正反対の作品である「実験室」との二作授賞を提案したが、賛成委員が少く、とうとう該当作なしになった。」
森内俊雄 全委員 0  
李恢成 全委員 0  
花輪莞爾 全委員 0  
  「今回は芳しい作品が乏しく、長短は別としても、読むのに抵抗があった。」「銓衡委員が若い作家に無理解だという攻撃が、匿名欄あたりに出そうな気もするがそんなことはない。戦後二十年以上、芥川賞は有力な作家を輩出せしめていることを忘れないで欲しい。時にはミステイクもないことはなかったが、大過なきを得ていると思う。」
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選考委員井上靖×各候補作  見方・注意点
佳作三篇 総行数17 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
高橋たか子 全委員 0  
畑山博 全委員 0  
金石範 全委員 9 「(引用者注:「渋面の祭」の)次に面白かった」「文章も達者であるし、ひたむきに一人の人間を描こうと食いさがっている作品である。直木賞向きの作品であるという見方もできるが、その直木賞的なところがなかなかいいと思った。」「文学する根源的なものが失われていない感じで、全篇を貫いている素朴さが却って新鮮に見えるから不思議である。」
森万紀子 全委員 4 「作家としてすでに出来あがっており、この作品など部分的に非常にうまいところがあるが、読後の印象の弱いのが惜しまれた。」
山田智彦 全委員 0  
森内俊雄 全委員 0  
李恢成 全委員 0  
花輪莞爾 全委員 5 「一番面白かった。現代社会機構の怪奇さを諷刺した作品で、文章も、筋立ても相当なものである。久しぶりで神経の行き届いた知的な作品にぶつかった思いだったが、残念ながら当選作としての支持は得られなかった。」
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丹羽文雄
瀧井孝作
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舟橋聖一
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選考委員石川淳×各候補作  見方・注意点
一つえらぶとすれば… 総行数20 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
高橋たか子 全委員 0  
畑山博 全委員 0  
金石範 全委員 19 「八篇の中からぜひ一つえらぶとすれば、わたしは「万徳幽霊奇譚」を取る。」「表現がユーモアの仕立になっているのは必至と見える。幽霊がおかしいのではなくて、喜劇的にしか状況を表現することができないとすれば、「主体的な自由」は化けて出ないわけにはゆかぬのだろう。これはこれで読めないものではないが、なんといっても、叙述の仕方が十分に熟していないことを惜しむ。」
森万紀子 全委員 0  
山田智彦 全委員 0  
森内俊雄 全委員 0  
李恢成 全委員 0  
花輪莞爾 全委員 0  
  「今回はとくにこれはというほどのものは見あたらないから、該当作品なしとすることはやむをえない。」
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舟橋聖一
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高橋たか子「彼方の水音」×各選考委員  見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
石川達三 全候補 2 「何が書きたかったのか、作者はどんな必然的な理由でこの作品を書いたのか、それが解らない。」
丹羽文雄 全候補 0  
瀧井孝作 全候補 0  
大岡昇平 全候補 0  
中村光夫 全候補 0  
永井龍男 全候補 3 「一度完了した作品に、日を置いてさらに書き足したというような、齟齬あるいは分裂の印象をうけた。」
舟橋聖一 全候補 0  
井上靖 全候補 0  
石川淳 全候補 0  
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他の候補作
畑山博 「はにわの子たち」
金石範 「万徳幽霊奇譚」
森万紀子 「黄色い娼婦」
山田智彦 「実験室」
森内俊雄 「骨川に行く」
李恢成 「青丘の宿」
花輪莞爾 「渋面の祭」
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畑山博「はにわの子たち」×各選考委員  見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
石川達三 全候補 0  
丹羽文雄 全候補 0  
瀧井孝作 全候補 0  
大岡昇平 全候補 2 「アクチュアルな題材を切り取って、巧みな短篇にする手腕に感心した。」
中村光夫 全候補 0  
永井龍男 全候補 2 「これだけの枚数でこれだけの材料をまとめるのは無理だと思った。」
舟橋聖一 全候補 0  
井上靖 全候補 0  
石川淳 全候補 0  
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他の候補作
高橋たか子 「彼方の水音」
金石範 「万徳幽霊奇譚」
森万紀子 「黄色い娼婦」
山田智彦 「実験室」
森内俊雄 「骨川に行く」
李恢成 「青丘の宿」
花輪莞爾 「渋面の祭」
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金石範「万徳幽霊奇譚」×各選考委員  見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
石川達三 全候補 0  
丹羽文雄 全候補 0  
瀧井孝作 全候補 6 「初めの二三頁は説明文で少しくどい(原文傍点)ようで、読みづらかったが、しかし次第にこの作者の饒舌に馴れると、漸と作の中に入れた。」「饒舌で(引用者注:「青丘の宿」と同様に)これも長すぎる。」
大岡昇平 全候補 12 「(引用者注:「黄色い娼婦」「渋面の祭」と共に)新鮮味があり、技巧もすぐれていて、どれが受賞してもおかしくない、と思われた。」「主題にも文体にもあいまいさはなく、デッサンがしっかりしている作品である。」「しかし現在の日本の「純文学」の基準では、この自然な物語性は直木賞にふさわしいということになるのである。」
中村光夫 全候補 0  
永井龍男 全候補 3 「筆力は強靭爽快で、英雄伝にふさわしいものがあった。実力を買った上で、直木賞向きの作品だという評に傾いた。」
舟橋聖一 全候補 0  
井上靖 全候補 9 「(引用者注:「渋面の祭」の)次に面白かった」「文章も達者であるし、ひたむきに一人の人間を描こうと食いさがっている作品である。直木賞向きの作品であるという見方もできるが、その直木賞的なところがなかなかいいと思った。」「文学する根源的なものが失われていない感じで、全篇を貫いている素朴さが却って新鮮に見えるから不思議である。」
石川淳 全候補 19 「八篇の中からぜひ一つえらぶとすれば、わたしは「万徳幽霊奇譚」を取る。」「表現がユーモアの仕立になっているのは必至と見える。幽霊がおかしいのではなくて、喜劇的にしか状況を表現することができないとすれば、「主体的な自由」は化けて出ないわけにはゆかぬのだろう。これはこれで読めないものではないが、なんといっても、叙述の仕方が十分に熟していないことを惜しむ。」
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他の候補作
高橋たか子 「彼方の水音」
畑山博 「はにわの子たち」
森万紀子 「黄色い娼婦」
山田智彦 「実験室」
森内俊雄 「骨川に行く」
李恢成 「青丘の宿」
花輪莞爾 「渋面の祭」
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森万紀子「黄色い娼婦」×各選考委員  見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
石川達三 全候補 3 「何が書きたかったのか、作者はどんな必然的な理由でこの作品を書いたのか、それが解らない。」
丹羽文雄 全候補 3 「森万紀子さんの仕事には期待をむけているが、いま一歩壁をつきやぶってほしかった。」
瀧井孝作 全候補 7 「筆の線が太く荒荒しく、描写の筆力は、今回の予選作八篇の中では一番強いと思った。この作者は以前の候補作「単独者」「密約」など、小説の題から見ても、何か得体のしれないものを持つようだが、この何物かがうまく出てくれば面白いと思った。」
大岡昇平 全候補 16 「(引用者注:「万徳幽霊奇譚」「渋面の祭」と共に)新鮮味があり、技巧もすぐれていて、どれが受賞してもおかしくない、と思われた。」「この作者の持ち味の、人生と社会に対する独自な観点が、主人公を娼婦と設定して、一層直截な表現を得ていると私には思われた。」「一種の切迫感のある力作だが、一方やや肩に力が入りすぎた感じもある。」「しかしこの作家にはもう芥川賞は必要ないだろう。」
中村光夫 全候補 9 「今度のなかで一番抵抗なく読めただけでなく、これまで何度か候補にあがった氏の作品にくらべても進歩していると思われました。」「生々しさがなくなり、悪い意味で文学的になった感じもして、女主人公の心の動きにも何かいま一歩人を打つものが足りません。惜しい作品だが当選はむりだ、と思われました。」
永井龍男 全候補 4 「ムンク風な風景画を感じた。しかし、作者の意図した主題を、私はとうとう読みとれなかった。」
舟橋聖一 全候補 23 「水準に達していた。」「ニヒリズムと反社会性がある。従って、景気のいい建設的な作品ではない。全体に憂鬱で、退屈でもある。」「とにかく問題意識や、過剰な性描写のないところがこの小説の身上である。」「最後に留置場の窓から、自分と同じ黄色い娼婦の幻覚を見るシーンも、私には美しく思われた。」「大岡、瀧井、丹羽委員らと私との四票を得たが、過半数を得られないので授賞の機会を逸した。」
井上靖 全候補 4 「作家としてすでに出来あがっており、この作品など部分的に非常にうまいところがあるが、読後の印象の弱いのが惜しまれた。」
石川淳 全候補 0  
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他の候補作
高橋たか子 「彼方の水音」
畑山博 「はにわの子たち」
金石範 「万徳幽霊奇譚」
山田智彦 「実験室」
森内俊雄 「骨川に行く」
李恢成 「青丘の宿」
花輪莞爾 「渋面の祭」
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山田智彦「実験室」×各選考委員  見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
石川達三 全候補 3 「何が書きたかったのか、作者はどんな必然的な理由でこの作品を書いたのか、それが解らない。」
丹羽文雄 全候補 4 「「実験室」のように、小説の技巧を心得ているひとは信頼ができる」「いまひとつぴりっとしたものがほしかった。」
瀧井孝作 全候補 6 「何かやろうとした作者の意図は感じられるが、読んでは楽しくなかった。」
大岡昇平 全候補 0  
中村光夫 全候補 7 「最後まで話題になりました。」「(引用者注:「渋面の祭」と共に)一種の諷刺を狙った小説で、そこに新鮮さが感じられます。しかし諷刺というひとつの型あるいは思いつきに安住してしまって、材料とじかに組みあっていないせいか、あまり効果があがっていないのは残念です。」
永井龍男 全候補 4 「私は推した。もっとも短篇小説らしく、計算も相当行き届いていると思ったが、私の一票と他に半票では、他の作品と太刀打ち出来かねた。」
舟橋聖一 全候補 8 「(引用者注:「黄色い娼婦」の)次に興味を惹いた。これは実験心理学風のリポートを読む感じで、ノンフィクションに近いものである。」「私は森一篇では苦戦なので、正反対の作品である「実験室」との二作授賞を提案したが、賛成委員が少く、とうとう該当作なしになった。」
井上靖 全候補 0  
石川淳 全候補 0  
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他の候補作
高橋たか子 「彼方の水音」
畑山博 「はにわの子たち」
金石範 「万徳幽霊奇譚」
森万紀子 「黄色い娼婦」
森内俊雄 「骨川に行く」
李恢成 「青丘の宿」
花輪莞爾 「渋面の祭」
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森内俊雄「骨川に行く」×各選考委員  見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
石川達三 全候補 3 「何が書きたかったのか、作者はどんな必然的な理由でこの作品を書いたのか、それが解らない。」
丹羽文雄 全候補 0  
瀧井孝作 全候補 0  
大岡昇平 全候補 0  
中村光夫 全候補 0  
永井龍男 全候補 2 「予選を通過したということは、私には不可解であった。」
舟橋聖一 全候補 0  
井上靖 全候補 0  
石川淳 全候補 0  
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他の候補作
高橋たか子 「彼方の水音」
畑山博 「はにわの子たち」
金石範 「万徳幽霊奇譚」
森万紀子 「黄色い娼婦」
山田智彦 「実験室」
李恢成 「青丘の宿」
花輪莞爾 「渋面の祭」
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李恢成「青丘の宿」×各選考委員  見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
石川達三 全候補 0  
丹羽文雄 全候補 0  
瀧井孝作 全候補 5 「明るい若若しい平易な素直な筆に、この作者の持味があって、好感が持てた。各人物を見る作家の眼も光ってきたが、ただ少し長すぎる。」
大岡昇平 全候補 3 「題材の扱いに、安易さが見られるように思われた。」
中村光夫 全候補 0  
永井龍男 全候補 2 「長所と欠点のはっきりした作品であった。」
舟橋聖一 全候補 0  
井上靖 全候補 0  
石川淳 全候補 0  
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他の候補作
高橋たか子 「彼方の水音」
畑山博 「はにわの子たち」
金石範 「万徳幽霊奇譚」
森万紀子 「黄色い娼婦」
山田智彦 「実験室」
森内俊雄 「骨川に行く」
花輪莞爾 「渋面の祭」
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花輪莞爾「渋面の祭」×各選考委員  見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
石川達三 全候補 3 「何が書きたかったのか、作者はどんな必然的な理由でこの作品を書いたのか、それが解らない。」
丹羽文雄 全候補 0  
瀧井孝作