芥川賞のすべて・のようなもの
芥川賞のすべて・のようなもの

第60回

=候補者=
斎藤昌三
山田 稔
阿部 昭
佐江衆一
山田智彦
山崎柳子
宮原昭夫
黒井千次
後藤明生


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 昭和43年/1968年下半期
 (昭和44年/1969年1月20日決定発表/『文藝春秋』昭和44年/1969年3月号選評掲載)
選考委員  石川淳 三島由紀夫 石川達三 瀧井孝作 中村光夫 井上靖 丹羽文雄 舟橋聖一 永井龍男 大岡昇平 川端康成
選評総行数  37 38 42 26 28 19 24 51 17 37 30
評言 評言 評言 評言 評言 評言 評言 評言 評言 評言 評言
候補作 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数
斎藤昌三 「夜への落下」 評言 10 0 0 0 0 0 0 5 4 0 0
山田稔 「犬のように」 評言 0 10 0 0 0 3 0 8 2 0 0
阿部昭 「未成年」 評言 0 0 0 5 0 4 0 10 4 10 10
佐江衆一 「客」 評言 0 7 0 0 13 3 0 6 1 3 9
山田智彦 「父の謝肉祭」 評言 0 0 0 4 0 0 5 10 4 0 10
山崎柳子 「針魚」 評言 17 0 0 0 0 0 2 0 1 0 0
宮原昭夫 「待っている時間」 評言 0 0 0 0 0 0 0 0 4 3 8
黒井千次 「穴と空」 評言 17 10 0 11 7 6 0 0 9 5 5
後藤明生 「私的生活」 評言 0 0 0 3 6 6 15 5 3 5 7
                     
見方・注意点

このページの選評出典:『芥川賞全集 第八巻』昭和57年/1982年9月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和44年/1969年3月号)
1行当たりの文字数:26字


選考委員石川淳×各候補作  見方・注意点
三篇三様 総行数37 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
斎藤昌三 全委員 10 「「夜への落下」「針魚」「穴と空」の三篇をわたしは取る。」「賞を出すとすれば、この中のどれか一篇を選ぶほかない。」「人生の醜と見られるものにつよい表現をあたえてそこに価値を作っている。」「この表現力は出しきったあとでまた出て来るはずのものとおもう。つぎの作品を待つことができるという意味である。」
山田稔 全委員 0  
阿部昭 全委員 0  
佐江衆一 全委員 0  
山田智彦 全委員 0  
山崎柳子 全委員 17 「「夜への落下」「針魚」「穴と空」の三篇をわたしは取る。」「賞を出すとすれば、この中のどれか一篇を選ぶほかない。」「虚脱感と緊張感とが一つに結びついたようなところに生きている。この作品の底にながれいるのは作者の認識ではなくて、おそらく作者の素質である。」「このひとは謂うところの小説家の目ではなくて、生活者の目をもって世界を見ているようである。ただし素質を食っている生活者である。それだから、その書くものが自然に小説になりうる。」
宮原昭夫 全委員 0  
黒井千次 全委員 17 「「夜への落下」「針魚」「穴と空」の三篇をわたしは取る。」「賞を出すとすれば、この中のどれか一篇を選ぶほかない。」「丹念に書いてあるのに、最後のところがどうも気になった。」「このオチは軽すぎた。いや、浅すぎた。」「しかし、このキズ一つをもって全体を捨てるわけにゆかない。そうおもわせるところに、この作品はできあがっている。」
後藤明生 全委員 0  
  「銓衡の結果、該当作品なしときまった。これもまたよし。」
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選考委員三島由紀夫×各候補作  見方・注意点
文学精神の低さ 総行数38 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
斎藤昌三 全委員 0  
山田稔 全委員 10 「押せばズブズブと指がはまる豆腐のような文章だが、犬がバスに乗って来て又下りてしまうエピソードは、巧みであり、記憶に残る。」「しかしこのけだるいような、淡い灰いろの孤独の清潔さは、やはり一種の知的抽象化で、日本と日本人のなかに包まれていたら忽ち浮いてしまうものが、たまたまフランスのおかげで活きたというものであろう。」
阿部昭 全委員 0  
佐江衆一 全委員 7 「今度の候補作品でうんざりするほど多かった父母の主題のうちで、もっとも古くさいリアリズムで書かれているのが、却って効果を発揮して、何一つ新しいものはないけれど一片の真実だけは確保した、という趣きがみとめられる。」「とってつけたようなラストに難がある。」
山田智彦 全委員 0  
山崎柳子 全委員 0  
宮原昭夫 全委員 0  
黒井千次 全委員 10 「相対的な評価だが、中ではわずかに「穴と空」にその(引用者注:文学の)小さな芽がみとめられた。」「アレゴリーの直接性が気になるのだが、あらゆる政治的情熱の有効性への嘲笑が、この小説の書かれた意味とからんでくる。その嘲笑自体が、一向晴朗ではなく、それすらもかすれて、やや痰のからんだ自虐的な笑いなのであるが……。」
後藤明生 全委員 0  
  「今度の予選作品を通読してみて、その文学精神の低さにおどろいた。大学も荒廃しているが、文学も荒廃している、という感を禁じえなかった。」
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選考委員石川達三×各候補作  見方・注意点
青年作家の衰弱 総行数42 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
斎藤昌三 全委員 0  
山田稔 全委員 0  
阿部昭 全委員 0  
佐江衆一 全委員 0  
山田智彦 全委員 0  
山崎柳子 全委員 0  
宮原昭夫 全委員 0  
黒井千次 全委員 0  
後藤明生 全委員 0  
  「候補作品九篇を読み通して、私は損をしたような気がした。心に残るもの、心を打たれるもの、全く何も無い。」「いわゆる純文学を志す青年たちは、大衆小説と言えば一概に軽蔑する風がある。しかし(引用者中略)むしろ純文学の精神は純文学の作家に於て失われつつあり、大衆作家の側によって受け継がれつつある。」「文藝春秋社内において三千前後の新人の作品が読まれた訳だ。その第一次銓衡段階に於て、どのような態度で、どのような規準で選出が行なわれたか。それもまた研究する必要がある。このような小粒な、けち臭い、創造性の乏しい作品だけが選び出されたというのは、すべてがそういう種類の小説であったのか。」
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選考委員瀧井孝作×各候補作  見方・注意点
小粒の感じ 総行数26 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
斎藤昌三 全委員 0  
山田稔 全委員 0  
阿部昭 全委員 5 「暗いジメジメした小説で、私はこの筆にもっと色彩と光が欲しかった。」
佐江衆一 全委員 0  
山田智彦 全委員 4 「一応読ませる筆で、善良な老父には、私は好意を持ったが、何か腰の弱い所が惜しかった。」
山崎柳子 全委員 0  
宮原昭夫 全委員 0  
黒井千次 全委員 11 「読むと、何かあり相な風刺小説らしいが……。」「私は、この作は未完成と見たが、何か感じはあるようで、この人の次の作に期待したい。」
後藤明生 全委員 3 「達者な筆だが、私はこの無頼小説を好きとは云えなかった。」
  「今回、九篇の予選作品は、どれも粒の小さい、低い感じがした。」
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選考委員中村光夫×各候補作  見方・注意点
「客」その他 総行数28 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
斎藤昌三 全委員 0  
山田稔 全委員 0  
阿部昭 全委員 0  
佐江衆一 全委員 13 「比較的できのよい作品」「成人した子供が父親をもてあます話は、今度目立って多く、現在の世相の反映と思われましたが、そのなかで「客」がもっとも現実性を感じさせます。」「しかしそれだけ手法に型にはまったところがあり、新鮮味がどこにも感じられないのが致命的」
山田智彦 全委員 0  
山崎柳子 全委員 0  
宮原昭夫 全委員 0  
黒井千次 全委員 7 「小説そのものをからかっているようなところがあり、他の人々と異質な精神を感じさせました。まだ手法の上では、稚拙な模倣が目立ち、意図したように読者に背負い投げを食わすわけには到底行きませんが、ともかくここに将来を期待してよい、一箇の人物がいます。」
後藤明生 全委員 6 「脂の乗った感じです。どんな材料もこなして、一通り小説に仕上げる自信がその筆づかいに感じられます。」「この自信がいささか過剰で、素材も読者を嘗めているような印象をあたえるのは残念で、そのために背丈の低い悪達者な作品になっています。」
  「今度は同じような出来の作品が多く、とくに授賞の対象にしたいものは見当りませんでした。」
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選考委員井上靖×各候補作  見方・注意点
候補作を読んで 総行数19 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
斎藤昌三 全委員 0  
山田稔 全委員 3 「素直で、汚れのない筆だが、小説としては物足らなかった。」
阿部昭 全委員 4 「そつなく書いており、(引用者中略)光ったところはあるのだが、読後強く打って来るもののないのが惜しまれた。」
佐江衆一 全委員 3 「そつなく書いており、(引用者中略)光ったところはあるのだが、読後強く打って来るもののないのが惜しまれた。」
山田智彦 全委員 0  
山崎柳子 全委員 0  
宮原昭夫 全委員 0  
黒井千次 全委員 6 「はっきりした意図のもとに主題をうち出そうとしている」「構成の上で破綻もあり、ひとりよがりのところも、説明不足のところもあり、残念ながら推せなかった。」「若し書きこなせたら、諷刺小説として気のきいたものになったと思う。」
後藤明生 全委員 6 「主人公のエゴイズムの分析追求がこの作品の主題だが、田中という作品に現れぬ男の批判が利いていないので、多少いい気なものだという気持を起させる。文句はいくらでもつけられるが、筆力は候補作の中では抜群だと思った。」
  「候補作九篇を読んだが、特にこれを推そうという気になる作品はなかった。」
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選考委員丹羽文雄×各候補作  見方・注意点
感想 総行数24 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
斎藤昌三 全委員 0  
山田稔 全委員 0  
阿部昭 全委員 0  
佐江衆一 全委員 0  
山田智彦 全委員 5 「私はこの人の前回の作を推していたが、あの作品の方がよかったということになった。運不運というほかはない。」
山崎柳子 全委員 2 「すこし長く書きすぎた。橋上の少女の描写がすばらしかっただけに、惜しいと思った。」
宮原昭夫 全委員 0  
黒井千次 全委員 0  
後藤明生 全委員 15 「作風に異質なものを感じて興味があった。」「もやもやとした材料をもやもやとした筆で描いている。簡潔、的確をことさらに避けている。そのためそれなりに雰囲気をとらえ、そうした筆法でなければ描き上げられないものを描いていると思った。」「私はこれを当選作と推した」
  「今回の候補作品は全体的に弱かった。が、興味のある作品がないわけではなかった。」
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選考委員舟橋聖一×各候補作  見方・注意点
受賞作見当らず 総行数51 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
斎藤昌三 全委員 5 「「拘禁」と素材はちがうが、つっこんだ書き方をしている点では、やはり似ている。フランス留学中だそうだが、この二作を読んだ限りでは、二股かけるのはどっちつかずになりそうだ。」
山田稔 全委員 8 「授賞作に推すにはなんとしても力が足りない。が、前作「幸福へのパスポート」より進境が見られた。」
阿部昭 全委員 10 「達者な筆で、年季の入っている点では、今度の候補作中第一である。」「最後のところで、鶏の首を出し、「アッと云わせ」ようとする作者の狙いがどぎついため、惜しいところで失格した。」「最後を病父の描写で結んだならば、授賞に価していたかも知れない。」
佐江衆一 全委員 6 「夜中に部屋を飛び出し、車の中で一夜を明かす主人公の心理はちょっと面白い。しかし、最後になって両親が死んだか生きたかわからないような暗示的な書き方をしているのが、やはり疑問だ。」
山田智彦 全委員 10 「最後まで残ったとは云い条、二票では票数が足りなかった。」「父が(引用者中略)息子夫婦に対しても遠慮っぽいところが面白く書けている。」「が、若い細君が主人公の留守中に、酒に酔った弟の友だちに犯されかけるのはわざとらしい、と云う批評があったが、私も同感だ。しかし、前作「予言者」にも、ちょっと惹かれていたので、私は○をつけた。」
山崎柳子 全委員 0  
宮原昭夫 全委員 0  
黒井千次 全委員 0  
後藤明生 全委員 5 「二票と半星を取ったが、反対投票も強かった。私も前作「S温泉からの報告」のほうに好意が持てた。」「しかし十分書ける人だから、次作を期待したい。」
  「候補作九篇のうちで、ずばぬけて秀れた作品はなかった。そのかわり、はじめっから問題にならないような駄作もない。」「今回は部分的に大へんうまい個所があるものの、スケールが、いかにも小さい点に、難色があった。」
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選考委員永井龍男×各候補作  見方・注意点
黒井氏に期待 総行数17 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
斎藤昌三 全委員 4 「読了するのに相当な努力を要した。力作には違いなかろうが、私の得たものはほとんど疲労だけだった。」
山田稔 全委員 2 「悪びれた処がなく好意を持ったが、授賞作ではない。」
阿部昭 全委員 4 「悪びれた処がなく好意を持ったが、授賞作ではない。」
佐江衆一 全委員 1 「古く、」
山田智彦 全委員 4 「悪びれた処がなく好意を持ったが、授賞作ではない。」
山崎柳子 全委員 1 「極めて平面的であった。」
宮原昭夫 全委員 4 「悪びれた処がなく好意を持ったが、授賞作ではない。」
黒井千次 全委員 9 「とにかく、穴掘りの結末を見届けなければ、当方の責任が果せない、どこへどう持って行くつもりかと思っているうちに、見事に背負投げを食っていた。」「最近の候補作中異色ある作風だし、才能を感じた。諷刺もきいていた。作全体を包む雰囲気に、もう一息神経が行きわたっていたら、私はこの作品を推薦していたであろう。」
後藤明生 全委員 3 「読了するのに相当な努力を要した。力作には違いなかろうが、私の得たものはほとんど疲労だけだった。」
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選考委員大岡昇平×各候補作  見方・注意点
「未成年」の欠点 総行数37 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
斎藤昌三 全委員 0  
山田稔 全委員 0  
阿部昭 全委員 10 「私の採点で一番よかった」「「季刊藝術」秋号「大いなる日」と読み合わせると、延びようとする気配が感じられる。この作品で授賞してもよいのではないか、と考えていたが、結末が、主題との関連において必然性がなく、そこに欠点があった。」
佐江衆一 全委員 3 「多くの現代的なモチフが組み合されているが、映画的あるはテレビドラマ的な場面仕立てに、ごたごたした印象を受けた。」
山田智彦 全委員 0  
山崎柳子 全委員 0  
宮原昭夫 全委員 3 「デリカシイと確実さがあるタッチに好感が持てた。しかしこれは大正以来あまりにも書き古された主題である。」
黒井千次 全委員 5 「一番面白かった」「当選作とするには、なんとなく変な作品ということで見送られた。」
後藤明生 全委員 5 「(引用者注:「未成年」の)次にいい点をつけた」「この現代風の団地生活と不安定な男女関係が一応巧みに処理されている。しかしこの不安はもっと現実的条件をわざと描かないことによって成り立っているのではないかと感じさせるところに隙がある。」
  「私は芥川賞に限らず、新人賞にはなるべく当選作を出すべきであるという意見で、いつもその方針で銓衡に当っている。しかしこんどはどうも該当作がないのではないか、という気がしていた。」「今回は「父もの」という言葉が出たくらい、父親と息子、その妻との三つ巴の関係を書いたものが多かった。」
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舟橋聖一
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選考委員川端康成×各候補作  見方・注意点
なまぬるい談議 総行数30 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
斎藤昌三 全委員 0  
山田稔 全委員 0  
阿部昭 全委員 10 「候補作九篇のうち四篇まで、老父母と若い息子夫婦との間を扱った作品があったのは、今回の特色で、偶然かもしれないが、今の社会の問題の一つとして、必然のことかもしれなかった。」「実感は自ら動いている。」「いい作品であった。」
佐江衆一 全委員 9 「候補作九篇のうち四篇まで、老父母と若い息子夫婦との間を扱った作品があったのは、今回の特色で、偶然かもしれないが、今の社会の問題の一つとして、必然のことかもしれなかった。」「実感は自ら動いている。」
山田智彦 全委員 10 「候補作九篇のうち四篇まで、老父母と若い息子夫婦との間を扱った作品があったのは、今回の特色で、偶然かもしれないが、今の社会の問題の一つとして、必然のことかもしれなかった。」「実感は自ら動いている。」「いい作品であった。」
山崎柳子 全委員 0  
宮原昭夫 全委員 8 「候補作九篇のうち四篇まで、老父母と若い息子夫婦との間を扱った作品があったのは、今回の特色で、偶然かもしれないが、今の社会の問題の一つとして、必然のことかもしれなかった。」「実感は自ら動いている。」
黒井千次 全委員 5 「今日的な着想と手法がおもしろいものの、平板な感じを受ける。」「直ぐに終りまでのなりゆきが感じ取れてしまって、読み進むにつれての興味が伴わないのはどうであろうか。」
後藤明生 全委員 7 「読者をひっぱってゆく工夫もあり、後にも残る謎、つまり作中人物の心理の動きの不透明、不徹底のようなところに、今日の意味もあるかと思えた。これになお加わるものがほしいと望むのは、望む方のまちがいかもしれないけれども、通俗的でない通俗的な臭いが感じられる。」
  「今回の銓衡会ははなはだ気勢があがらず、なまぬるい談議であった。」「しかし、随所に才能のうかがえるもの、あるいは真実を突いたものを含む作品は、決して少くはなかった。」
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他の選考委員
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丹羽文雄
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永井龍男
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斎藤昌三「夜への落下」×各選考委員  見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
石川淳 全候補 10 「「夜への落下」「針魚」「穴と空」の三篇をわたしは取る。」「賞を出すとすれば、この中のどれか一篇を選ぶほかない。」「人生の醜と見られるものにつよい表現をあたえてそこに価値を作っている。」「この表現力は出しきったあとでまた出て来るはずのものとおもう。つぎの作品を待つことができるという意味である。」
三島由紀夫 全候補 0  
石川達三 全候補 0  
瀧井孝作 全候補 0  
中村光夫 全候補 0  
井上靖 全候補 0  
丹羽文雄 全候補 0  
舟橋聖一 全候補 5 「「拘禁」と素材はちがうが、つっこんだ書き方をしている点では、やはり似ている。フランス留学中だそうだが、この二作を読んだ限りでは、二股かけるのはどっちつかずになりそうだ。」
永井龍男 全候補 4 「読了するのに相当な努力を要した。力作には違いなかろうが、私の得たものはほとんど疲労だけだった。」
大岡昇平 全候補 0  
川端康成 全候補 0  
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他の候補作
山田稔 「犬のように」
阿部昭 「未成年」
佐江衆一 「客」
山田智彦 「父の謝肉祭」
山崎柳子 「針魚」
宮原昭夫 「待っている時間」
黒井千次 「穴と空」
後藤明生 「私的生活」
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山田稔「犬のように」×各選考委員  見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
石川淳 全候補 0  
三島由紀夫 全候補 10 「押せばズブズブと指がはまる豆腐のような文章だが、犬がバスに乗って来て又下りてしまうエピソードは、巧みであり、記憶に残る。」「しかしこのけだるいような、淡い灰いろの孤独の清潔さは、やはり一種の知的抽象化で、日本と日本人のなかに包まれていたら忽ち浮いてしまうものが、たまたまフランスのおかげで活きたというものであろう。」
石川達三 全候補 0  
瀧井孝作 全候補 0  
中村光夫 全候補 0  
井上靖 全候補 3 「素直で、汚れのない筆だが、小説としては物足らなかった。」
丹羽文雄 全候補 0  
舟橋聖一 全候補 8 「授賞作に推すにはなんとしても力が足りない。が、前作「幸福へのパスポート」より進境が見られた。」
永井龍男 全候補 2 「悪びれた処がなく好意を持ったが、授賞作ではない。」
大岡昇平 全候補 0  
川端康成 全候補 0  
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他の候補作
斎藤昌三 「夜への落下」
阿部昭 「未成年」
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山田智彦 「父の謝肉祭」
山崎柳子 「針魚」
宮原昭夫 「待っている時間」
黒井千次 「穴と空」
後藤明生 「私的生活」
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阿部昭「未成年」×各選考委員  見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
石川淳 全候補 0  
三島由紀夫 全候補 0  
石川達三 全候補 0  
瀧井孝作 全候補 5 「暗いジメジメした小説で、私はこの筆にもっと色彩と光が欲しかった。」
中村光夫 全候補 0  
井上靖 全候補 4 「そつなく書いており、(引用者中略)光ったところはあるのだが、読後強く打って来るもののないのが惜しまれた。」
丹羽文雄 全候補 0  
舟橋聖一 全候補 10 「達者な筆で、年季の入っている点では、今度の候補作中第一である。」「最後のところで、鶏の首を出し、「アッと云わせ」ようとする作者の狙いがどぎついため、惜しいところで失格した。」「最後を病父の描写で結んだならば、授賞に価していたかも知れない。」
永井龍男 全候補 4 「悪びれた処がなく好意を持ったが、授賞作ではない。」
大岡昇平 全候補 10 「私の採点で一番よかった」「「季刊藝術」秋号「大いなる日」と読み合わせると、延びようとする気配が感じられる。この作品で授賞してもよいのではないか、と考えていたが、結末が、主題との関連において必然性がなく、そこに欠点があった。」
川端康成 全候補 10 「候補作九篇のうち四篇まで、老父母と若い息子夫婦との間を扱った作品があったのは、今回の特色で、偶然かもしれないが、今の社会の問題の一つとして、必然のことかもしれなかった。」「実感は自ら動いている。」「いい作品であった。」
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他の候補作
斎藤昌三 「夜への落下」
山田稔 「犬のように」
佐江衆一 「客」
山田智彦 「父の謝肉祭」
山崎柳子 「針魚」
宮原昭夫 「待っている時間」
黒井千次 「穴と空」
後藤明生 「私的生活」
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佐江衆一「客」×各選考委員  見方・注意点