芥川賞のすべて・のようなもの
芥川賞のすべて・のようなもの

第51回

=受賞者=
柴田 翔

=候補者=
佐江衆一
坂口[れい]子
長谷川 敬
五代夏夫
立原正秋
小牧永典
三好三千子
山川方夫


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 昭和39年/1964年上半期
 (昭和39年/1964年7月21日決定発表/『文藝春秋』昭和39年/1964年9月号選評掲載)
選考委員  石川達三 中村光夫 高見順 瀧井孝作 丹羽文雄 永井龍男 石川淳 舟橋聖一 川端康成 井上靖 井伏鱒二
選評総行数  28 31 31 32 22 27 33 43      
評言 評言 評言 評言 評言 評言 評言 評言 選評なし 選評なし 選評なし
候補作 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数
柴田翔 「されどわれらが日々――」 評言 15 15 7 5 10 7 30 22            
佐江衆一 「素晴しい空」 評言 0 2 4 3 4 0 2 0            
坂口[れい]子 「風葬」 評言 4 2 5 4 5 0 0 4            
長谷川敬 「青の儀式」 評言 0 2 3 3 0 3 1 0            
五代夏夫 「那覇の木馬」 評言 1 3 3 5 4 4 2 0            
立原正秋 「薪能」 評言 7 2 3 6 0 2 0 8            
小牧永典 「影絵」 評言 0 0 3 3 0 0 0 0            
三好三千子 「どくだみ」 評言 0 3 1 3 0 4 0 0            
山川方夫 「愛のごとく」 評言 0 5 6 3 0 5 0 8            
    欠席
書面回答
          欠席 欠席 欠席
見方・注意点

このページの選評出典:『芥川賞全集 第七巻』昭和57年/1982年8月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和39年/1964年9月号)
1行当たりの文字数:26字


選考委員石川達三×各候補作  見方・注意点
青春のロマン 総行数28 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
柴田翔 全委員 15 「芥川賞は一応短篇小説と言うことになっているので、此の作品は長過ぎる。しかし他の候補作品にくらべて力倆は抜群であると思われるので、特に推すことにした。」「青春小説である。そして青春のロマンが歌われている。そこに稚なさもあり香気もある。読み終って心の中に一種の香気が残る。それが貴重だと私は思う。」
佐江衆一 全委員 0  
坂口[れい]子 全委員 4 「面白く読んだ。」「苦心の作であると思う。異色のある小説であるが、作者の考え過ぎか、いじり過ぎのようなものがありはしなかったか。」
長谷川敬 全委員 0  
五代夏夫 全委員 1 「面白く読んだ。」
立原正秋 全委員 7 「私は(引用者注:受賞作に次いで)第二に推した。尖鋭なきらめくような表現があちこちにあって、この作者の才能は充分に示されているが、二三の無理な構成があって作品を傷つけている。」「しかし主人公の女性をこれだけに描けるというのは凡手でない。」
小牧永典 全委員 0  
三好三千子 全委員 0  
山川方夫 全委員 0  
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他の選考委員
中村光夫
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選考委員中村光夫×各候補作  見方・注意点
若さの唄 総行数31 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
柴田翔 全委員 15 「長さの点から、候補作とみとめるかどうかについて、論議が交されましたが、それがきまると、授賞作もこれに自然落付いてしまったのは、作品の比重から云って当然でしょう。」「小説としての欠点はいくらでもあげられます。」「しかしその代り、この小説の根底には、ほとんど生臭いほどみずみずしい抒情の欲求があり、読みおわると稚拙な表現を通じて、それがはっきり伝わってきます。作者の人生にたいする姿勢の問題です。」
佐江衆一 全委員 2 「この作者にいま少し飛躍がほしい」
坂口[れい]子 全委員 2 「しっかりした筆致ですが、せっかくの空想が途中から型にはまってしまいます。」
長谷川敬 全委員 2 「内容の稚なさはともかく、文章が粗雑すぎます。」
五代夏夫 全委員 3 「粗雑な文章と未熟な小説意識が面白い材料を殺していて、その意味で惜しい作品です。」
立原正秋 全委員 2 「(引用者注:山川方夫と)同じうますぎる危険は立川正秋氏の「薪能」にも感じられます。」
小牧永典 全委員 0  
三好三千子 全委員 3 「素質は感じられますが、まだそれだけのもので、小説につくろうとする意識が強すぎるのが気になります。」
山川方夫 全委員 5 「技術としては格段にすぐれていながら、作者が文学の世界に迷いこんでいるような物足りなさを感じさせます。」
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選考委員高見順×各候補作  見方・注意点
病床の感想 総行数31 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
柴田翔 全委員 7 「最初「文學界」で読んだとき、「六全協」前後ということにこだわりすぎたせいか、文学的気どりのようなものが感じられ、また傍観的な見方が物たりなく思われた。」「他の候補作と一緒に再読してみて、やはりこれが一番と思った。ひとつの世代が――現代の青春と言ってもいい、それがあざやかに描かれている。やはり近来出色の作品だと思う。」
佐江衆一 全委員 4 「妻や娘に逃げられた孤独な老人と少年という組合せが何かいかにも小説くさく、そうなると過去の回想の点綴までが小説的装飾を思わせて損をしている。」
坂口[れい]子 全委員 5 「前世(原文傍点)の私が島へ送られる話がくどく、現在の私の日常性と物語の異常さに分裂がある。最後の子供の死体の話はすごみがあって面白いが。」
長谷川敬 全委員 3 「新人らしい野性的な魅力があるが、それが時に大ゲサな見ぶり(表現)とも見られる。」
五代夏夫 全委員 3 「強烈なストーリーの面白さ」「幼さが感じられる。」
立原正秋 全委員 3 「すでに職業作家を思わせるうまさだ。非のうちどころのないほどのうまさが、かえって新人のみずみずしさから遠ざけているうらみがある。」
小牧永典 全委員 3 「男女の心理のこまかいひだを書きこんだうまさに感心したが、タブローでなくデッサンの感がある。」
三好三千子 全委員 1 「習作のうまさだ。」
山川方夫 全委員 6 「(引用者注:受賞作の)次に私が心をひかれた」「特に最後において強烈な印象を私に与えた。それだけに自己の異常を説得的に説明しようとしているはじめの部分が私にはいささか気にいらない。」
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選考委員瀧井孝作×各候補作  見方・注意点
立原氏の文章 総行数32 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
柴田翔 全委員 5 「力はあるようだが、筆も荒っぽく、理窟ぽく、仰々しく、長すぎて、読むのに少し退屈した。」
佐江衆一 全委員 3 「何かキメのこまかい筆のようだが、弱くて、印象は淡かった。」
坂口[れい]子 全委員 4 「読みごたえはあるが、昔の話やら今の話やら混雑して、筋のわからぬ所もあった。」
長谷川敬 全委員 3 「小説に作りすぎて、浅果かなものになって居た。」
五代夏夫 全委員 5 「うまい筆とは云えなかった。」
立原正秋 全委員 6 「文章も、この題材にふさわしい、しなやかな絹糸のような感触があり、私は、今回の予選作の中ではこれが一番よいかと思った。ただ、小説としても、余りに芝居じみて、小道具も多くて、少し古い感じがしたのは惜しい。」
小牧永典 全委員 3 「印象が淡かった。」
三好三千子 全委員 3 「好意は持ったが、当選作には少し軽いかと思った。」
山川方夫 全委員 3 「図式的の性小説のようで、私は好きにはなれなかった。」
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選考委員丹羽文雄×各候補作  見方・注意点
多すぎる挿話 総行数22 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
柴田翔 全委員 10 「力量には、感心した。が、二八〇枚を努力してよまねばならなかった。理論家の小説のせいかも知れない。その意味では、日本文学にとってユニークな存在となるだろう。しかし、(引用者中略)自分のために妊娠中絶、自殺する女子学生の運命まで単に照明役だけに使うというのは、納得できなかった。」
佐江衆一 全委員 4 「私はこういう小説が好きだ。平凡な一人の運命をしみじみと感じさせる。が、授賞となるとその上に何かが加わらねばならない。」
坂口[れい]子 全委員 5 「楢山節考を聯想させるが、このひとにこれほどの奔放な才能があることをよろこびたいと思った。期待がもてる。この作品は構成に難があった。」
長谷川敬 全委員 0  
五代夏夫 全委員 4 「面白いと思った。拙劣というのではないが、古くさい文章が気になった。」「調子で書いている文章が折角のすばらしい材料を殺した。惜しいと思った。」
立原正秋 全委員 0  
小牧永典 全委員 0  
三好三千子 全委員 0  
山川方夫 全委員 0  
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中村光夫
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瀧井孝作
永井龍男
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選考委員永井龍男×各候補作  見方・注意点
本来の短篇を 総行数27 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
柴田翔 全委員 7 「短篇にしては長過ぎ、長篇にしては肉が足りない。」「構成の点に難があり平面的な感をまぬかれないが、私は同じ作者の「ロクタル管の話」に感心したおぼえもあり、中村光夫氏の説にもあった若さという点を買って、授賞の大勢にしたがうことにした。」
佐江衆一 全委員 0  
坂口[れい]子 全委員 0  
長谷川敬 全委員 3 「若さに溢れていて、好感を持った。すぐれた習作と思いたい。」
五代夏夫 全委員 4 「惜しい作品である。これだけの材料を描破しながら、文章が未熟であったり、結末を持ってまわった欠点のために、興味を持たれつつ支持を失ってしまった。」
立原正秋 全委員 2 「達者なもので、すでに一家をなしている感がある。小説の味に堪能な人なのであろう。」
小牧永典 全委員 0  
三好三千子 全委員 4 「同人雑誌擦れがなくて、気持のよい作品である。だいたい習作という評が多かったが、私はそれ以上に、短篇小説として認めた。」
山川方夫 全委員 5 「山川方夫氏の持ち前を生かした代表的な作品かと思う。美点も嫌らしさも、巧さも思い上りも(人生上の)、すべて縒り合わせて独自の作品を成している。すでに数冊の作品集を出している作者が、候補作なぞということで騒がれるのは、迷惑なことかも知れない。」
  「候補作品の枚数について、委員の間に申合わせが行われたが、近来力作型の作品が重んじられ、芥川賞本来の短篇というものが表てに出にくい。そういう点を、委員の一人として反省もするし、待望したいと思う。」
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選考委員石川淳×各候補作  見方・注意点
不可解な傷痕 総行数33 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
柴田翔 全委員 30 「(引用者注:これを)推すほかない。」「作者はあり来りのことばをもって、すなわちたくみならざる技術をもって、ところどころ不恰好に、ともかく六全協前後の青春の歴史の一節を叙している。」「最後に女の傷痕が「もし痛むのなら、抱いて暖めてやりたいのだが――」という何の変哲もないことばを措いて、それがあまったれの感情にひびかないのは、作者みずから受けとめた傷痕の作用のように目測される。稚拙な筆つきではあるが、この界隈は小説の場に力がうごきはじめる一端でないこともない。」
佐江衆一 全委員 2 「力よわく、」
坂口[れい]子 全委員 0  
長谷川敬 全委員 1 「作者の料簡がわからず、」
五代夏夫 全委員 2 「可憐というのみ。」
立原正秋 全委員 0  
小牧永典 全委員 0  
三好三千子 全委員 0  
山川方夫 全委員 0  
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丹羽文雄
永井龍男
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選考委員舟橋聖一×各候補作  見方・注意点
柴田・山川・立原・坂口 総行数43 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
柴田翔 全委員 22 「私は七〇パーセントほど支持した。」「それまで信じていた党の根本的な政策がぐらつき、共産党軍事組織の秘密が、解体させられるその動機と指令の実体がよく出ていないのが弱い。」「然し、安保デモ当時の学生のせっぱ詰った状況と絶望を、単なる安保ルポ以上に、小説化したのはお手柄」「既成文壇人の好みには適わなくても、こういう小説は存在していいと思う。」
佐江衆一 全委員 0  
坂口[れい]子 全委員 4 「無理な気取りがあるようで、前作に劣ると見た。然し度々候補作になるのを見ると、腕のある女流作家には違いない。」
長谷川敬 全委員 0  
五代夏夫 全委員 0  
立原正秋 全委員 8 「面白く読んだ。最後の心中場面がなければ、授賞作たり得たかもしれない。あんな仰々しい、大時代な心中はウソが目立って、かなわない。」「然し、夫の公三と女が寝ている旅館へ、昌子がはいって行く前後は、迫力があって、読ませる。」
小牧永典 全委員 0  
三好三千子 全委員 0  
山川方夫 全委員 8 「彼の前作「演技の果て」や「海岸公園」などより、肚の出来た作品だが、やや悪達者な点があって、一委員のごときは、彼を巧みな売文業者と極めつけた。山川が(引用者中略)それに反撥して、浴びせかけられる非難を押し破れるようなら、これも鞭撻の一つと思って書いておく。」
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他の選考委員
石川達三
中村光夫
高見順
瀧井孝作
丹羽文雄
永井龍男
石川淳
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柴田翔「されどわれらが日々――」×各選考委員  見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
石川達三 全候補 15 「芥川賞は一応短篇小説と言うことになっているので、此の作品は長過ぎる。しかし他の候補作品にくらべて力倆は抜群であると思われるので、特に推すことにした。」「青春小説である。そして青春のロマンが歌われている。そこに稚なさもあり香気もある。読み終って心の中に一種の香気が残る。それが貴重だと私は思う。」
中村光夫 全候補 15 「長さの点から、候補作とみとめるかどうかについて、論議が交されましたが、それがきまると、授賞作もこれに自然落付いてしまったのは、作品の比重から云って当然でしょう。」「小説としての欠点はいくらでもあげられます。」「しかしその代り、この小説の根底には、ほとんど生臭いほどみずみずしい抒情の欲求があり、読みおわると稚拙な表現を通じて、それがはっきり伝わってきます。作者の人生にたいする姿勢の問題です。」
高見順 全候補 7 「最初「文學界」で読んだとき、「六全協」前後ということにこだわりすぎたせいか、文学的気どりのようなものが感じられ、また傍観的な見方が物たりなく思われた。」「他の候補作と一緒に再読してみて、やはりこれが一番と思った。ひとつの世代が――現代の青春と言ってもいい、それがあざやかに描かれている。やはり近来出色の作品だと思う。」
瀧井孝作 全候補 5 「力はあるようだが、筆も荒っぽく、理窟ぽく、仰々しく、長すぎて、読むのに少し退屈した。」
丹羽文雄 全候補 10 「力量には、感心した。が、二八〇枚を努力してよまねばならなかった。理論家の小説のせいかも知れない。その意味では、日本文学にとってユニークな存在となるだろう。しかし、(引用者中略)自分のために妊娠中絶、自殺する女子学生の運命まで単に照明役だけに使うというのは、納得できなかった。」
永井龍男 全候補 7 「短篇にしては長過ぎ、長篇にしては肉が足りない。」「構成の点に難があり平面的な感をまぬかれないが、私は同じ作者の「ロクタル管の話」に感心したおぼえもあり、中村光夫氏の説にもあった若さという点を買って、授賞の大勢にしたがうことにした。」
石川淳 全候補 30 「(引用者注:これを)推すほかない。」「作者はあり来りのことばをもって、すなわちたくみならざる技術をもって、ところどころ不恰好に、ともかく六全協前後の青春の歴史の一節を叙している。」「最後に女の傷痕が「もし痛むのなら、抱いて暖めてやりたいのだが――」という何の変哲もないことばを措いて、それがあまったれの感情にひびかないのは、作者みずから受けとめた傷痕の作用のように目測される。稚拙な筆つきではあるが、この界隈は小説の場に力がうごきはじめる一端でないこともない。」
舟橋聖一 全候補 22 「私は七〇パーセントほど支持した。」「それまで信じていた党の根本的な政策がぐらつき、共産党軍事組織の秘密が、解体させられるその動機と指令の実体がよく出ていないのが弱い。」「然し、安保デモ当時の学生のせっぱ詰った状況と絶望を、単なる安保ルポ以上に、小説化したのはお手柄」「既成文壇人の好みには適わなくても、こういう小説は存在していいと思う。」
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他の候補作
佐江衆一 「素晴しい空」
坂口[れい]子 「風葬」
長谷川敬 「青の儀式」
五代夏夫 「那覇の木馬」
立原正秋 「薪能」
小牧永典 「影絵」
三好三千子 「どくだみ」
山川方夫 「愛のごとく」
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佐江衆一「素晴しい空」×各選考委員  見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
石川達三 全候補 0  
中村光夫 全候補 2 「この作者にいま少し飛躍がほしい」
高見順 全候補 4 「妻や娘に逃げられた孤独な老人と少年という組合せが何かいかにも小説くさく、そうなると過去の回想の点綴までが小説的装飾を思わせて損をしている。」
瀧井孝作 全候補 3 「何かキメのこまかい筆のようだが、弱くて、印象は淡かった。」
丹羽文雄 全候補 4 「私はこういう小説が好きだ。平凡な一人の運命をしみじみと感じさせる。が、授賞となるとその上に何かが加わらねばならない。」
永井龍男 全候補 0  
石川淳 全候補 2 「力よわく、」
舟橋聖一 全候補 0  
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他の候補作
柴田翔 「されどわれらが日々――」
坂口[れい]子 「風葬」
長谷川敬 「青の儀式」
五代夏夫 「那覇の木馬」
立原正秋 「薪能」
小牧永典 「影絵」
三好三千子 「どくだみ」
山川方夫 「愛のごとく」
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坂口[れい]子「風葬」×各選考委員  見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
石川達三 全候補 4 「面白く読んだ。」「苦心の作であると思う。異色のある小説であるが、作者の考え過ぎか、いじり過ぎのようなものがありはしなかったか。」
中村光夫 全候補 2 「しっかりした筆致ですが、せっかくの空想が途中から型にはまってしまいます。」
高見順 全候補 5 「前世(原文傍点)の私が島へ送られる話がくどく、現在の私の日常性と物語の異常さに分裂がある。最後の子供の死体の話はすごみがあって面白いが。」
瀧井孝作 全候補 4 「読みごたえはあるが、昔の話やら今の話やら混雑して、筋のわからぬ所もあった。」
丹羽文雄 全候補 5 「楢山節考を聯想させるが、このひとにこれほどの奔放な才能があることをよろこびたいと思った。期待がもてる。この作品は構成に難があった。」
永井龍男 全候補 0  
石川淳 全候補 0  
舟橋聖一 全候補 4 「無理な気取りがあるようで、前作に劣ると見た。然し度々候補作になるのを見ると、腕のある女流作家には違いない。」
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他の候補作
柴田翔 「されどわれらが日々――」
佐江衆一 「素晴しい空」
長谷川敬 「青の儀式」
五代夏夫 「那覇の木馬」
立原正秋 「薪能」
小牧永典 「影絵」
三好三千子 「どくだみ」
山川方夫 「愛のごとく」
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長谷川敬「青の儀式」×各選考委員  見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
石川達三 全候補 0  
中村光夫 全候補 2 「内容の稚なさはともかく、文章が粗雑すぎます。」
高見順 全候補 3 「新人らしい野性的な魅力があるが、それが時に大ゲサな見ぶり(表現)とも見られる。」
瀧井孝作 全候補 3 「小説に作りすぎて、浅果かなものになって居た。」
丹羽文雄 全候補 0  
永井龍男 全候補 3 「若さに溢れていて、好感を持った。すぐれた習作と思いたい。」
石川淳 全候補 1 「作者の料簡がわからず、」
舟橋聖一 全候補 0  
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他の候補作
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佐江衆一 「素晴しい空」
坂口[れい]子 「風葬」
五代夏夫 「那覇の木馬」
立原正秋 「薪能」
小牧永典 「影絵」
三好三千子 「どくだみ」
山川方夫 「愛のごとく」
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五代夏夫「那覇の木馬」×各選考委員  見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
石川達三 全候補 1 「面白く読んだ。」
中村光夫 全候補 3 「粗雑な文章と未熟な小説意識が面白い材料を殺していて、その意味で惜しい作品です。」
高見順 全候補 3 「強烈なストーリーの面白さ」「幼さが感じられる。」
瀧井孝作 全候補 5 「うまい筆とは云えなかった。」
丹羽文雄 全候補 4 「面白いと思った。拙劣というのではないが、古くさい文章が気になった。」「調子で書いている文章が折角のすばらしい材料を殺した。惜しいと思った。」
永井龍男 全候補 4 「惜しい作品である。これだけの材料を描破しながら、文章が未熟であったり、結末を持ってまわった欠点のために、興味を持たれつつ支持を失ってしまった。」
石川淳 全候補 2 「可憐というのみ。」
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他の候補作
柴田翔 「されどわれらが日々――」
佐江衆一 「素晴しい空」
坂口[れい]子 「風葬」
長谷川敬 「青の儀式」
立原正秋 「薪能」
小牧永典 「影絵」
三好三千子 「どくだみ」
山川方夫 「愛のごとく」
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立原正秋「薪能」×各選考委員  見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
石川達三 全候補 7 「私は(引用者注:受賞作に次いで)第二に推した。尖鋭なきらめくような表現があちこちにあって、この作者の才能は充分に示されているが、二三の無理な構成があって作品を傷つけている。」「しかし主人公の女性をこれだけに描けるというのは凡手でない。」
中村光夫 全候補 2 「(引用者注:山川方夫と)同じうますぎる危険は立川正秋氏の「薪能」にも感じられます。」
高見順 全候補 3 「すでに職業作家を思わせるうまさだ。非のうちどころのないほどのうまさが、かえって新人のみずみずしさから遠ざけているうらみがある。」
瀧井孝作 全候補 6 「文章も、この題材にふさわしい、しなやかな絹糸のような感触があり、私は、今回の予選作の中ではこれが一番よいかと思った。ただ、小説としても、余りに芝居じみて、小道具も多くて、少し古い感じがしたのは惜しい。」
丹羽文雄 全候補 0  
永井龍男 全候補 2 「達者なもので、すでに一家をなしている感がある。小説の味に堪能な人なのであろう。」
石川淳 全候補 0  
舟橋聖一 全候補 8 「面白く読んだ。最後の心中場面がなければ、授賞作たり得たかもしれない。あんな仰々しい、大時代な心中はウソが目立って、かなわない。」「然し、夫の公三と女が寝ている旅館へ、昌子がはいって行く前後は、迫力があって、読ませる。」
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他の候補作
柴田翔 「されどわれらが日々――」
佐江衆一 「素晴しい空」
坂口[れい]子 「風葬」
長谷川敬 「青の儀式」
五代夏夫 「那覇の木馬」
小牧永典 「影絵」
三好三千子 「どくだみ」
山川方夫 「愛のごとく」
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小牧永典「影絵」×各選考委員  見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
石川達三 全候補 0  
中村光夫 全候補 0  
高見順 全候補 3 「男女の心理のこまかいひだを書きこんだうまさに感心したが、タブローでなくデッサンの感がある。」
瀧井孝作 全候補 3 「印象が淡かった。」
丹羽文雄 全候補 0  
永井龍男 全候補 0  
石川淳 全候補 0  
舟橋聖一 全候補 0  
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他の候補作
柴田翔 「されどわれらが日々――」
佐江衆一 「素晴しい空」
坂口[れい]子 「風葬」
長谷川敬 「青の儀式」
五代夏夫 「那覇の木馬」
立原正秋 「薪能」
三好三千子 「どくだみ」
山川方夫 「愛のごとく」
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三好三千子「どくだみ」×各選考委員  見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
石川達三 全候補 0  
中村光夫 全候補 3 「素質は感じられますが、まだそれだけのもので、小説につくろうとする意識が強すぎるのが気になります。」
高見順 全候補 1 「習作のうまさだ。」
瀧井孝作 全候補 3 「好意は持ったが、当選作には少し軽いかと思った。」
丹羽文雄 全候補 0  
永井龍男 全候補 4 「同人雑誌擦れがなくて、気持のよい作品である。だいたい習作という評が多かったが、私はそれ以上に、短篇小説として認めた。」
石川淳 全候補 0  
舟橋聖一 全候補 0  
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他の候補作
柴田翔 「されどわれらが日々――」
佐江衆一 「素晴しい空」
坂口[れい]子 「風葬」
長谷川敬 「青の儀式」
五代夏夫 「那覇の木馬」
立原正秋 「薪能」
小牧永典 「影絵」
山川方夫 「愛のごとく」