芥川賞のすべて・のようなもの
芥川賞のすべて・のようなもの

第110回

=受賞者=
奥泉 光

=候補者=
角田光代
笙野頼子
石黒達昌
引間 徹
辻 仁成


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 平成5年/1993年下半期
 (平成6年/1994年1月13日決定発表/『文藝春秋』平成6年/1994年3月号選評掲載)
選考委員  大江健三郎 大庭みな子 丸谷才一 吉行淳之介 日野啓三 田久保英夫 黒井千次 三浦哲郎 河野多恵子 古井由吉
選評総行数  26 21 27 26 28 32 27 25 27 24
評言 評言 評言 評言 評言 評言 評言 評言 評言 評言
候補作 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数
奥泉光 「石の来歴」 評言 15 12 7 6 13 5 17 12 7 17
角田光代 「もう一つの扉」 評言 0 0 0 0 0 0 0 0 4 0
笙野頼子 「二百回忌」 評言 6 3 0 3 0 2 6 0 7 0
石黒達昌 「平成3年5月2日、後天性免疫不全症候群にて
急逝された明寺伸彦博士、並びに……」
評言 5 4 0 4 9 23 5 5 0 2
引間徹 「19分25秒」 評言 0 0 20 15 0 2 0 8 5 0
辻仁成 「母なる凪と父なる時化」 評言 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
                   
見方・注意点

このページの選評出典:『芥川賞全集 第十六巻』平成14年/2002年6月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』平成6年/1994年3月号)
1行当たりの文字数:24字


選考委員大江健三郎×各候補作  見方・注意点
ハネネズミ 総行数26 (1行=24字)
候補 評価 行数 評言
奥泉光 全委員 15 「これまでの氏の力作と並び、創作意図は強くつらぬかれている。こうしてみれば、講談調にうわずる文体も粗雑な細部も、つまりは氏の個性なのだ。それを見きわめての、氏の剛腕への評価は、選考会でよく納得できた。したがって授賞に積極的な反対はしない。」
角田光代 全委員 0  
笙野頼子 全委員 6 「最初に特殊な調性で語りはじめた小説は、ごく短いものならいざ知らず、中篇に近い長さでは、転調が必要となる。それがなされないことに不満が残る。」
石黒達昌 全委員 5 「小説の技法として意図されたものと、そうでないものと、未熟な混交を表わしているが、「ハネネズミ」の発明、文体、細部こぞってもっとも刺戟的だった。」
引間徹 全委員 0  
辻仁成 全委員 0  
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他の選考委員
大庭みな子
丸谷才一
吉行淳之介
日野啓三
田久保英夫
黒井千次
三浦哲郎
河野多恵子
古井由吉
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選考委員大庭みな子×各候補作  見方・注意点
石の叫び 総行数21 (1行=24字)
候補 評価 行数 評言
奥泉光 全委員 12 「「石」というものを中心に据えて、石の叫びを聞こうとするところに、今までよりぐっと突き進んだ深さを感じた。しかし、私としてはわからない部分もかなりあり、判断に苦しんだが、(引用者中略)闇と光の間を、今後もがきながら進むことでむしろ作品としての力が加わるのではないか。」
角田光代 全委員 0  
笙野頼子 全委員 3 「頷きながら読んだが、少し詰め込みすぎてイメージが拡散するのが惜しい。」
石黒達昌 全委員 4 「受賞にはならなかったが、さまざまな視点、角度から議論の対象になった。科学分野の人らしいが、どのような形で伸びるか愉しみである。」
引間徹 全委員 0  
辻仁成 全委員 0  
  「選考過程は大体、予想していた通りに進み、そのように決った。」
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他の選考委員
大江健三郎
丸谷才一
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田久保英夫
黒井千次
三浦哲郎
河野多恵子
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選考委員丸谷才一×各候補作  見方・注意点
引間徹さんを推す 総行数27 (1行=24字)
候補 評価 行数 評言
奥泉光 全委員 7 「この前の『三つ目の鯰』のほうがよかつた。登場人物が生き生きしてゐたし、ゆつたりした感じで呼吸してゐて、親愛感をいだくことができた。」「受賞はまことにめでたいことだが、これを機会にあの『三つ目の鯰』の調子に戻つてもらひたいと思ふ。」
角田光代 全委員 0  
笙野頼子 全委員 0  
石黒達昌 全委員 0  
引間徹 全委員 20 「久方ぶりに属望するに足る才能に出会つたといふ気がする。」「第一に発想がいいし、筋の展開がいちいち気がきいてゐる。」「第二に登場人物たちがみな隣人のやうになつかしい。」「第三に文章が、ときどき変なこともあるけれど、全体としてはしつかりしてゐて、着実に前へ進む。第四に、いまの日本人の生活感、をかしな時代に生きて困つてゐる感じがよくつかまへてある。」
辻仁成 全委員 0  
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選考委員吉行淳之介×各候補作  見方・注意点
どこか光るもの 総行数26 (1行=24字)
候補 評価 行数 評言
奥泉光 全委員 6 「(引用者注:奥泉光の作品には)いつもその腕力と言葉の氾濫に負けそうになっていたが、今回は素直に降参することにした。」
角田光代 全委員 0  
笙野頼子 全委員 3 「時間や距離の捩れも面白く、二百回忌でのいろいろの趣向は、うっかりすると子供だましになるところを持ちこたえている。」
石黒達昌 全委員 4 「題名をつけないシロウト写真十六枚入り横組みの作品」「その悪趣味を跳ね飛ばすだけの力はなかったが、次作を読みたい。」
引間徹 全委員 15 「左足の膝から下が義足で競歩の世界記録を狙える男というのは、お伽話の世界のもののようでいて、しだいにリアリティを増してくる。と同時に、余分の場面と余分の言葉が増えてきて、惜しいと思った。」
辻仁成 全委員 0  
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選考委員日野啓三×各候補作  見方・注意点
気流が変るのか 総行数28 (1行=24字)
候補 評価 行数 評言
奥泉光 全委員 13 「受賞は、私としては少し意外でもあり、また当然であるようにも思えた。この作品にはこれまでの氏の作品と同じように、あるいはそれ以上の力がある。」「書物から集めた戦場の情景や地質学的知識などを承知の上で使い、それらを講談調の物語形式で強引につなぎ合わせてゆく観念の腕力。それはこの数年間の受賞作に目だった内向きの繊細な感性の求心力とは、違うヴェクトルである。」
角田光代 全委員 0  
笙野頼子 全委員 0  
石黒達昌 全委員 9 「私は底深い悲しみと恐れをもって読んだ。」「最後の二匹が仄かに光りながら死んでゆく箇所に、私は涙を流しかけた。人類という種の最期を思った。多分全くの虚構の物語を、緊迫して支え続ける科学論文調の特異な文体の“静かな力”はほとんど美しい。」
引間徹 全委員 0  
辻仁成 全委員 0  
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選考委員田久保英夫×各候補作  見方・注意点
小さなメス 総行数32 (1行=24字)
候補 評価 行数 評言
奥泉光 全委員 5 「候補四回目の実績や能力が、認められたといえよう。」「今度の作品は、言葉の過剰な使い方、何人も殺し殺される話のつくりすぎ、反面で中心の殺人事件の曖昧さなど、私にはうけ入れかねた。」
角田光代 全委員 0  
笙野頼子 全委員 2 「注目した。」
石黒達昌 全委員 23 「スリリングなのは、明寺がハネネズミは「永遠に近い寿命を持つが、生殖と死が同時」など、さまざまな仮説を立て、それを検証していく経過だ。」「ここにはハネネズミの死滅が、外からの感染症なのか、内からの生態系なのか、という問いがあって、冒頭の明寺と榊原の「急逝」という言葉に、現代文明の恐怖に通じるメッセージも、潜んでいるように思われる。人物写真の挿入など、作者のプレイのしすぎもあるが、私はこれを推した。」
引間徹 全委員 2 「注目した。」
辻仁成 全委員 0  
  「今回はいろいろな面で、小さなメスの刃さきを、受け手の私自身つきつけられるような思いがした。」
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他の選考委員
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丸谷才一
吉行淳之介
日野啓三
黒井千次
三浦哲郎
河野多恵子
古井由吉
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選考委員黒井千次×各候補作  見方・注意点
力量 総行数27 (1行=24字)
候補 評価 行数 評言
奥泉光 全委員 17 「才能とか資質という言葉よりも、力量という表現のまず頭に浮かぶ」「石への執念、誰が誰を殺したかという疑惑などがストーリーを強引に押し進めて行く展開には、読者を引きずり込む力が認められる。それでいて、どこかにふと寂しい風の吹き抜ける気配もある。」「この作品を受賞作として推すことに躊躇いはなかった。」
角田光代 全委員 0  
笙野頼子 全委員 6 「油絵具を厚く塗りたくったような書き方の内に、怒りと勢いが感じられて面白かった。」
石黒達昌 全委員 5 「種の絶滅のテーマを小動物とそれを扱う医学者のドラマとして描いた報告書の形式に注目した。」
引間徹 全委員 0  
辻仁成 全委員 0  
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吉行淳之介
日野啓三
田久保英夫
三浦哲郎
河野多恵子
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選考委員三浦哲郎×各候補作  見方・注意点
感想 総行数25 (1行=24字)
候補 評価 行数 評言
奥泉光 全委員 12 「読後の疲労感はこれまでよりも快かったといっていい。これはおそらく、この作者の持ち味である淀みのない語りくち、読ませる力、読者を引きずっていく力技に、いよいよ磨きがかかってきた証拠かと思われる。」「多少強引にすぎるところ、どぎつさが目立つところがなきにしもあらずだが、この光彩に満ちた文章力は顕彰されてしかるべきだろう。」
角田光代 全委員 0  
笙野頼子 全委員 0  
石黒達昌 全委員 5 「無題とはどういうことであろうか。ほかに、いくつかの点で読む者の意表を突く労作だが、行間に不用の気取りがちらついて邪魔だった。それでも、次作が待たれる作者ではある。」
引間徹 全委員 8 「全体にフレッシュな活力がみなぎっていて、面白く読めた。ただ、文章が、スポーツ小説にふさわしく平易明解なのはいいとしても、ところどころ荒さの目立つのが難点であった。それに、文学作品としてはやはり深みが不足だと感じた。」
辻仁成 全委員 0  
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他の選考委員
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黒井千次
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選考委員河野多恵子×各候補作  見方・注意点
見事な標題 総行数27 (1行=24字)
候補 評価 行数 評言
奥泉光 全委員 7 「人を殺した者のその後の様相を捉えている。」「結末で、(引用者中略)石に全編が重層的抽象性をもって結ばれており、標題の中心の意味もその石にある。読み終えてみて、見事な題であることがよく判った。」
角田光代 全委員 4 「意外に票が集まらなかったが、私はこれまでの二候補作からずっと成長していると思った。モチーフが鮮明になり、取り込まれている事柄もなかなか効いている。」
笙野頼子 全委員 7 「先祖や身内や郷里との、無関係をも含む関係を、反リアリズムで表現しようとした作品で、一見荒唐無稽な内容にしたたかなリアリティがある。致命的ではないけれども、見逃し得ない二、三の部分的な欠点が授賞を阻んだ。」
石黒達昌 全委員 0  
引間徹 全委員 5 「舌たらずの文章が幾つもある。」「一方、すばらしい表現も随所にある。この作者には、生来のすぐれた資質がある。」
辻仁成 全委員 0  
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他の選考委員
大江健三郎
大庭みな子
丸谷才一
吉行淳之介
日野啓三
田久保英夫
黒井千次
三浦哲郎
古井由吉
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選考委員古井由吉×各候補作  見方・注意点
虚構への再接近 総行数24 (1行=24字)
候補 評価 行数 評言
奥泉光 全委員 17 「われもまた死の専制の下にありき、というようなエピグラムを、私なら振りたくなるところだ。」「石が人の生死を超越した救済の光を真に放つためには、いま一度、死の専制が出現しなくてはならぬ、とそんな運命のけはいである。」「ある情熱(ルビ:パトス)が作家に呼びかける。世の至るところから叫び立てているようにさえ感じられるが、さてその情熱にふさわしい運命の形を周囲に見つけ出すことはむずかしい。」「途上の作だが、受賞はよろこぶべきだ。」
角田光代 全委員 0  
笙野頼子 全委員 0  
石黒達昌 全委員 2 「無表題作の、偽書の緊張には、私も大いに関心をもった。」
引間徹 全委員 0  
辻仁成 全委員 0  
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他の選考委員
大江健三郎
大庭みな子
丸谷才一
吉行淳之介
日野啓三
田久保英夫
黒井千次
三浦哲郎
河野多恵子
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奥泉光「石の来歴」×各選考委員  見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
大江健三郎 全候補 15 「これまでの氏の力作と並び、創作意図は強くつらぬかれている。こうしてみれば、講談調にうわずる文体も粗雑な細部も、つまりは氏の個性なのだ。それを見きわめての、氏の剛腕への評価は、選考会でよく納得できた。したがって授賞に積極的な反対はしない。」
大庭みな子 全候補 12 「「石」というものを中心に据えて、石の叫びを聞こうとするところに、今までよりぐっと突き進んだ深さを感じた。しかし、私としてはわからない部分もかなりあり、判断に苦しんだが、(引用者中略)闇と光の間を、今後もがきながら進むことでむしろ作品としての力が加わるのではないか。」
丸谷才一 全候補 7 「この前の『三つ目の鯰』のほうがよかつた。登場人物が生き生きしてゐたし、ゆつたりした感じで呼吸してゐて、親愛感をいだくことができた。」「受賞はまことにめでたいことだが、これを機会にあの『三つ目の鯰』の調子に戻つてもらひたいと思ふ。」
吉行淳之介 全候補 6 「(引用者注:奥泉光の作品には)いつもその腕力と言葉の氾濫に負けそうになっていたが、今回は素直に降参することにした。」
日野啓三 全候補 13 「受賞は、私としては少し意外でもあり、また当然であるようにも思えた。この作品にはこれまでの氏の作品と同じように、あるいはそれ以上の力がある。」「書物から集めた戦場の情景や地質学的知識などを承知の上で使い、それらを講談調の物語形式で強引につなぎ合わせてゆく観念の腕力。それはこの数年間の受賞作に目だった内向きの繊細な感性の求心力とは、違うヴェクトルである。」
田久保英夫 全候補 5 「候補四回目の実績や能力が、認められたといえよう。」「今度の作品は、言葉の過剰な使い方、何人も殺し殺される話のつくりすぎ、反面で中心の殺人事件の曖昧さなど、私にはうけ入れかねた。」
黒井千次 全候補 17 「才能とか資質という言葉よりも、力量という表現のまず頭に浮かぶ」「石への執念、誰が誰を殺したかという疑惑などがストーリーを強引に押し進めて行く展開には、読者を引きずり込む力が認められる。それでいて、どこかにふと寂しい風の吹き抜ける気配もある。」「この作品を受賞作として推すことに躊躇いはなかった。」
三浦哲郎 全候補 12 「読後の疲労感はこれまでよりも快かったといっていい。これはおそらく、この作者の持ち味である淀みのない語りくち、読ませる力、読者を引きずっていく力技に、いよいよ磨きがかかってきた証拠かと思われる。」「多少強引にすぎるところ、どぎつさが目立つところがなきにしもあらずだが、この光彩に満ちた文章力は顕彰されてしかるべきだろう。」
河野多恵子 全候補 7 「人を殺した者のその後の様相を捉えている。」「結末で、(引用者中略)石に全編が重層的抽象性をもって結ばれており、標題の中心の意味もその石にある。読み終えてみて、見事な題であることがよく判った。」
古井由吉 全候補 17 「われもまた死の専制の下にありき、というようなエピグラムを、私なら振りたくなるところだ。」「石が人の生死を超越した救済の光を真に放つためには、いま一度、死の専制が出現しなくてはならぬ、とそんな運命のけはいである。」「ある情熱(ルビ:パトス)が作家に呼びかける。世の至るところから叫び立てているようにさえ感じられるが、さてその情熱にふさわしい運命の形を周囲に見つけ出すことはむずかしい。」「途上の作だが、受賞はよろこぶべきだ。」
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他の候補作
角田光代 「もう一つの扉」
笙野頼子 「二百回忌」
石黒達昌 「平成3年5月2日、後天性免疫不全症候群にて
急逝された明寺伸彦博士、並びに……」
引間徹 「19分25秒」
辻仁成 「母なる凪と父なる時化」
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角田光代「もう一つの扉」×各選考委員  見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
大江健三郎 全候補 0  
大庭みな子 全候補 0  
丸谷才一 全候補 0  
吉行淳之介 全候補 0  
日野啓三 全候補 0  
田久保英夫 全候補 0  
黒井千次 全候補 0  
三浦哲郎 全候補 0  
河野多恵子 全候補 4 「意外に票が集まらなかったが、私はこれまでの二候補作からずっと成長していると思った。モチーフが鮮明になり、取り込まれている事柄もなかなか効いている。」
古井由吉 全候補 0  
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他の候補作
奥泉光 「石の来歴」
笙野頼子 「二百回忌」
石黒達昌 「平成3年5月2日、後天性免疫不全症候群にて
急逝された明寺伸彦博士、並びに……」
引間徹 「19分25秒」
辻仁成 「母なる凪と父なる時化」
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笙野頼子「二百回忌」×各選考委員  見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
大江健三郎 全候補 6 「最初に特殊な調性で語りはじめた小説は、ごく短いものならいざ知らず、中篇に近い長さでは、転調が必要となる。それがなされないことに不満が残る。」
大庭みな子 全候補 3 「頷きながら読んだが、少し詰め込みすぎてイメージが拡散するのが惜しい。」
丸谷才一 全候補 0  
吉行淳之介 全候補 3 「時間や距離の捩れも面白く、二百回忌でのいろいろの趣向は、うっかりすると子供だましになるところを持ちこたえている。」
日野啓三 全候補 0  
田久保英夫 全候補 2 「注目した。」
黒井千次 全候補 6 「油絵具を厚く塗りたくったような書き方の内に、怒りと勢いが感じられて面白かった。」
三浦哲郎 全候補 0  
河野多恵子 全候補 7 「先祖や身内や郷里との、無関係をも含む関係を、反リアリズムで表現しようとした作品で、一見荒唐無稽な内容にしたたかなリアリティがある。致命的ではないけれども、見逃し得ない二、三の部分的な欠点が授賞を阻んだ。」
古井由吉 全候補 0  
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他の候補作
奥泉光 「石の来歴」
角田光代 「もう一つの扉」
石黒達昌 「平成3年5月2日、後天性免疫不全症候群にて
急逝された明寺伸彦博士、並びに……」
引間徹 「19分25秒」
辻仁成 「母なる凪と父なる時化」
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石黒達昌「平成3年5月2日、後天性免疫不全症候群にて
急逝された明寺伸彦博士、並びに……」
×各選考委員 
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
大江健三郎 全候補 5 「小説の技法として意図されたものと、そうでないものと、未熟な混交を表わしているが、「ハネネズミ」の発明、文体、細部こぞってもっとも刺戟的だった。」
大庭みな子 全候補 4 「受賞にはならなかったが、さまざまな視点、角度から議論の対象になった。科学分野の人らしいが、どのような形で伸びるか愉しみである。」
丸谷才一 全候補 0  
吉行淳之介 全候補 4 「題名をつけないシロウト写真十六枚入り横組みの作品」「その悪趣味を跳ね飛ばすだけの力はなかったが、次作を読みたい。」
日野啓三 全候補 9 「私は底深い悲しみと恐れをもって読んだ。」「最後の二匹が仄かに光りながら死んでゆく箇所に、私は涙を流しかけた。人類という種の最期を思った。多分全くの虚構の物語を、緊迫して支え続ける科学論文調の特異な文体の“静かな力”はほとんど美しい。」
田久保英夫 全候補 23 「スリリングなのは、明寺がハネネズミは「永遠に近い寿命を持つが、生殖と死が同時」など、さまざまな仮説を立て、それを検証していく経過だ。」「ここにはハネネズミの死滅が、外からの感染症なのか、内からの生態系なのか、という問いがあって、冒頭の明寺と榊原の「急逝」という言葉に、現代文明の恐怖に通じるメッセージも、潜んでいるように思われる。人物写真の挿入など、作者のプレイのしすぎもあるが、私はこれを推した。」
黒井千次 全候補 5 「種の絶滅のテーマを小動物とそれを扱う医学者のドラマとして描いた報告書の形式に注目した。」
三浦哲郎 全候補 5 「無題とはどういうことであろうか。ほかに、いくつかの点で読む者の意表を突く労作だが、行間に不用の気取りがちらついて邪魔だった。それでも、次作が待たれる作者ではある。」
河野多恵子 全候補 0  
古井由吉 全候補 2 「無表題作の、偽書の緊張には、私も大いに関心をもった。」
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他の候補作
奥泉光 「石の来歴」
角田光代 「もう一つの扉」
笙野頼子 「二百回忌」
引間徹 「19分25秒」
辻仁成 「母なる凪と父なる時化」
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引間徹「19分25秒」×各選考委員  見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
大江健三郎 全候補 0  
大庭みな子 全候補 0  
丸谷才一 全候補 20 「久方ぶりに属望するに足る才能に出会つたといふ気がする。」「第一に発想がいいし、筋の展開がいちいち気がきいてゐる。」「第二に登場人物たちがみな隣人のやうになつかしい。」「第三に文章が、ときどき変なこともあるけれど、全体としてはしつかりしてゐて、着実に前へ進む。第四に、いまの日本人の生活感、をかしな時代に生きて困つてゐる感じがよくつかまへてある。」
吉行淳之介 全候補 15 「左足の膝から下が義足で競歩の世界記録を狙える男というのは、お伽話の世界のもののようでいて、しだいにリアリティを増してくる。と同時に、余分の場面と余分の言葉が増えてきて、惜しいと思った。」
日野啓三 全候補 0  
田久保英夫 全候補 2 「注目した。」
黒井千次 全候補 0  
三浦哲郎 全候補 8 「全体にフレッシュな活力がみなぎっていて、面白く読めた。ただ、文章が、スポーツ小説にふさわしく平易明解なのはいいとしても、ところどころ荒さの目立つのが難点であった。それに、文学作品としてはやはり深みが不足だと感じた。」
河野多恵子 全候補 5 「舌たらずの文章が幾つもある。」「一方、すばらしい表現も随所にある。この作者には、生来のすぐれた資質がある。」
古井由吉 全候補 0  
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他の候補作
奥泉光 「石の来歴」
角田光代 「もう一つの扉」
笙野頼子 「二百回忌」
石黒達昌 「平成3年5月2日、後天性免疫不全症候群にて
急逝された明寺伸彦博士、並びに……」
辻仁成 「母なる凪と父なる時化」
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辻仁成「母なる凪と父なる時化」×各選考委員  見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
大江健三郎 全候補 0  
大庭みな子 全候補 0  
丸谷才一 全候補 0  
吉行淳之介 全候補 0  
日野啓三 全候補 0  
田久保英夫 全候補 0  
黒井千次 全候補 0  
三浦哲郎 全候補 0  
河野多恵子 全候補 0  
古井由吉 全候補 0  
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他の候補作
奥泉光 「石の来歴」
角田光代 「もう一つの扉」
笙野頼子 「二百回忌」
石黒達昌 「平成3年5月2日、後天性免疫不全症候群にて
急逝された明寺伸彦博士、並びに……」
引間徹 「19分25秒」
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