芥川賞のすべて・のようなもの
芥川賞のすべて・のようなもの

選評の概要
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Last Update[H20]2008/6/1

丹羽文雄
Niwa Fumio
生没年月日【注】 明治37年/1904年11月22日〜平成17年/2005年4月20日
在任期間 第21回〜第92回(通算36年・72回)
在任年齢 44歳7ヶ月〜80歳1ヶ月
経歴 三重県四日市市生まれ。早稲田大学文学部国文科卒。尾崎一雄らと同人誌『新正統派』を創刊、文筆の道に進む。戦後には舟橋聖一と並んで中間小説誌に精力的に作品を発表、流行作家となる。そのかたわら、同人誌『文學者』の中心的存在として後進作家の育成に尽力。
受賞歴 第2回中央公論社文芸賞(昭和18年/1943年)『海戦』
第6回野間文芸賞(昭和28年/1953年)『蛇と鳩』
第2回毎日芸術賞(昭和36年/1961年)『顔』
第18回読売文学賞小説賞(昭和41年/1966年)『一路』
第4回仏教伝道文化賞(昭和45年/1970年)『親鸞』
第22回菊池寛賞(昭和49年/1974年)
文化勲章(昭和52年/1977年)
早稲田大学芸術功労者(昭和62年/1987年)
個人全集 『丹羽文雄文学全集』全28巻(昭和49年/1974年4月〜昭和51年/1976年8月・講談社刊)
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下記の選評の概要には、評価として◎か○をつけたもの(見方・注意点を参照)、または受賞作に対するもののみ抜粋しました。さらにくわしい情報は、各回の「この回の全概要」をクリックしてご覧ください。

芥川賞 21 昭和24年/1949年上半期   一覧へ
選評の概要 私小説反対 総行数90 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
峰雪栄 22 「「煩悩の果て」をまっこうから瀧井さんが否定したのには、私はびっくりした。」「芥川賞を一本にして強引に押し出すとすれば、峯雪栄だと私は思った。」「峯なら芥川賞として一人だけ発表したところで、決して恥しくないと思った」
小谷剛 6 「小谷は若くて、これからどんなものを書くか判らない。瀧井さんは、この作者は傲慢不遜だという意味のことを言ったが、かえってそのために私は支持したいのである。この小説には疵は多い。が、何よりもその将来性がたのもしい。」
由起しげ子 11 「烈しさはないが、「本の話」にはまた違った味がある。とりたてて良い作品とは言えないが、口を極めて悪口をいう作品でもない。」「私は別に「本の話」の由起しげ子に期待はかけていない。話がきまらないのでそうなったが、投票ということは、滑稽だ。」
  「芥川賞の枠をひろげたいというのが私ののぞみであった。」
選評出典:『芥川賞全集 第四巻』昭和57年/1982年5月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和24年/1949年9月号)
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芥川賞 22 昭和24年/1949年下半期   一覧へ
選評の概要 一陣の風 総行数38 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
井上靖 32 「係りから推薦作品を知らせよと電報が来たので、「猟銃」と書いた。」「「闘牛」の推薦は、まあ一番無難だ。(引用者中略)もう完全に出来上った作家だ。何もいうことはない。(引用者中略)が、第二作のこれを読んだ時、正直なところ私は何の驚異も覚えなかった。」「「猟銃」には、往年の石坂洋次郎君の短篇にびっくりさせられたような或るものがあった。ロマンチックな一陣の風を感じたものである。」
  「審査の日、私は旅先で流行性感冒にやられて、やっと床に起き上ることが出来る程度だったので、欠席と通知を出した。」
選評出典:『芥川賞全集 第四巻』昭和57年/1982年5月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和25年/1950年4月号)
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芥川賞 23 昭和25年/1950年上半期   一覧へ
選評の概要 選後感 総行数48 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
辻亮一 11 「難はあるが、深刻な環境にあって、木枯国人とまじわり、素直に、あそこまであたたかく描き出したのはみごとだと思った。」「坂口君が推すほど私は買ってはいないにしろ、この持味は珍しいものである。小説技術で女の味を出しているのでなく、作者の人柄が滲み出ているという点で、今までの日本文学ではユニイクではないかと思った。」「「木枯国にて」は、「異邦人」の二番煎である。」
選評出典:『芥川賞全集 第四巻』昭和57年/1982年5月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和25年/1950年10月号)
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芥川賞 24 昭和25年/1950年下半期   一覧へ
選評の概要 感想 総行数44 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
  「候補になるということは、もうそれだけでも精一杯の努力だということがよく判った。この人はもっと書けるのだ、次のを待とうということが、どんなに冷淡な言い方か、しみじみと私には反省させられた。」
選評出典:『芥川賞全集 第四巻』昭和57年/1982年5月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和26年/1951年4月号)
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芥川賞 25 昭和26年/1951年上半期   一覧へ
選評の概要 感想 総行数57 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
石川利光 12 「この作者は一作ごとによいものを書いていく。「冬の蝶」は書出は自伝調だが、「春の草」になると、がらりと変っている。シチュエーションの設定にも細心の注意がゆきとどき、一字一句をゆるがせにしていない。」「新鮮なレモンと評した人があったが、適評である。」「「夜の貌」「手の抄」と、審査の方々もこの作者の力量は認めていた。賞となる小説には、一つのきまりがあるものだが、石川利光はそのきまりをうち破った。」
安部公房 5 「寓意とか諷刺をことさら期待せずに、最後まで面白くよんだ。一つの才能。こういう風にも書けるものだと感心した。途中気になるところがあった。二十六歳というのに、堂々と腰を据えた文章はみごとである。」
  「今度も帯に短く襷に長しと極まり文句を言われたが、私はそうだとは思わない。」
選評出典:『芥川賞全集 第四巻』昭和57年/1982年5月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和26年/1951年10月号)
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芥川賞 26 昭和26年/1951年下半期   一覧へ
選評の概要 感想 総行数43 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
堀田善衛 11 「「広場の孤独」を第一に推していた。すでに単行本になっているので、発表に差支えがあるというのなら「漢奸」でもよいと。いずれにしても堀田君以外に今期の授賞者はないと考えた。」「大抵の候補者は二度つづくと三度目は現れなくなるものだが、堀田君は三度候補者として現れ、しかも今度がいちばんよかった。ということは、なみなみならぬ実力がある証拠だ。」
  「二十日に北海道へ飛ぶことになっていたので、推薦作を留守宅に言い残した。電話で当日通告するように頼んでおいた」
選評出典:『芥川賞全集 第四巻』昭和57年/1982年5月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和27年/1952年3月号)
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芥川賞 27 昭和27年/1952年上半期   一覧へ
選評の概要 一言 総行数24 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
  「今回は、当選作がないと私は考えていた。十一篇の小説には大して甲乙はなかった。特に強力なものもなければ、拙劣なものもなかった。」
選評出典:『芥川賞全集 第四巻』昭和57年/1982年5月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和27年/1952年9月号)
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芥川賞 28 昭和27年/1952年下半期   一覧へ
選評の概要 一筆 総行数21 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
松本清張 9 「私は最後に、(引用者中略)推した。」「文章もしっかりしていてこの人はもう出来上っている。」「ちょっと井上靖君に似た実力をたくわえている人だと思った。この小説は鴎外におんぶしていると私が評した。一方に鴎外のイメージを描いてこの小説をよむ場合と、無名の人間の過去をさがして読まれる小説の場合と、いずれがとくかという意味であった。」
近藤啓太郎 7 「私は最後に、(引用者中略)推した。」「「飛魚」の方がよかったという人があったが、今度も漁師の生態が出てくる。(引用者中略)作品としては「黒南風」の方がはるかに秀れている。作者も成長している。」「むろん欠点もあるが、自然主義的だというので片付けられる作品ではないのだ。」
五味康祐 6 「決して悪い作品ではない。しかし受賞作品としては難がある。時代小説の童話と思えば納得できないこともないが、そこに現れる哲学にしろ決闘の場面にしろ、童話的な興味をおぼえるだけで、私にはそんなに深いものとは思えなかった。」
  「今度の受賞は意外な結果になったと私は驚いている。多数決という方法がそうさせた。」
選評出典:『芥川賞全集 第五巻』昭和57年/1982年6月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和28年/1953年3月号)
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芥川賞 29 昭和28年/1953年上半期   一覧へ
選評の概要 選評 総行数26 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
伊藤桂一 8 「私は(引用者中略)推していたが、最後まで銓衡にのこったので満足だった。このまえの候補作品にくらべると、一段と精進のあとがみえた。」「通俗的な興味や構成の失敗はみとめられる。しかしこのひとの精進には信頼がおける。その意味で推したのだが、芥川賞としては十分な作品ではなかった。」
安岡章太郎 15 「「悪い仲間」より「陰気な愉しみ」の方を、私はとる。このひとの受賞は妥当であった。戦後にあらわれた作家のなかで、私にはこのひとほど才能のゆたかな、ユニークな作家を知らない。こういう作風はえてして借りものが多いのだが、このひとのは素質だ。」「このひと独自の才能がじっくり腰をおちつけ、己の才能を十二分につかうことが出来るようになった点では、今度の作品にしてはじめて言われることである。一作一作とよくなっていくのはたのもしい。」
  「今度の審査会の雰囲気は、いつになく活溌で、私にはおもしろかった。だんだんと調子が出てきたようである。」
選評出典:『芥川賞全集 第五巻』昭和57年/1982年6月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和28年/1953年9月号)
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芥川賞 30 昭和28年/1953年下半期   一覧へ
選評の概要 読後感 総行数25 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
広池秋子 11 「私は(引用者中略)推したが、小粒なのが気になった。」「女の哀しさや、いく人かの女をあざやかに書き分けている。」「長篇にするべき題材であった。これだけでは惜しいのだ。異常な題材によりかかっているという評もあったが、別の解釈もあるわけだ。戦後今日までああした女を書いた小説は、箒ではくほどある。しかしいまだかつて「オンリー達」ほどにスッキリと書かれたことはなかった。この小説を三人の委員が推した。」
  「今度はもしかしたら当選作がないのではないかという気が、候補作品を全部よんだときに感じた。案の定そうなった。」
選評出典:『芥川賞全集 第五巻』昭和57年/1982年6月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和29年/1954年3月号)
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芥川賞 31 昭和29年/1954年上半期   一覧へ
選評の概要 曾野綾子を推す 総行数41 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
曾野綾子 13 「断然光っている。」「新鮮な感覚であり、感度もユニークである。これは素質的のものではないか。」「そんなに天才じゃないですよ、丹羽君の好きな作品でしょうと川端さんは笑ったが、惚れこんだ私はすこしも後悔していない。」「瀧井、佐藤両氏も一応はみとめてはいた。が、この一作だけでは心細い、見送ると言うのである。私も時々は見送る場合はあるが、これは見送る必要はないと抗弁した。」
川上宗薫 5 「川上宗薫の「その掟」もよかった。」「なかなか勉強家である。勉強のあとがギザギザになって残っているところが気になったが、この人はこれからがたのしみである。」
吉行淳之介 15 「他に推薦作のない場合は、私も吉行の度々の候補作を出した功績に対して授賞ということに吝ではないが、曾野綾子がある以上、不賛成であった。ことに「薔薇」はみとめない。」
  「意見の合ったことのない石川達三と完全に同意見であったのは愉快であった。」
選評出典:『芥川賞全集 第五巻』昭和57年/1982年6月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和29年/1954年9月号)
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芥川賞 32 昭和29年/1954年下半期   一覧へ
選評の概要 再認識 総行数22 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
小島信夫 3 「授賞には文句はなかった」「芥川賞なるものに対する私の意見を撤回するとなれば、今回の場合は小島信夫君である。」
赤木けい子 3 「私は多数人に読んでもらいたかった。欠点もあるが、読みごたえは十分にある作品である。」
庄野潤三 4 「功労賞の意味だと私自身はひそかに考えて妥協した。庄野君には「プールサイド小景」よりももっと他にいいものがある。」
  「「野に遺賢あり」という一文を発表した私は、芥川賞には新人がほしいと申し出たのだったが、否定をされた。それだけに拘泥することはないという融通無碍な意見であった。」
選評出典:『芥川賞全集 第五巻』昭和57年/1982年6月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和30年/1955年3月号)
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芥川賞 33 昭和30年/1955年上半期   一覧へ
選評の概要 読後感 総行数24 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
岡田徳次郎 5 「好きだった。しみじみとした感銘をうけた。今度の中では、これがいちばん好きであったが、強いものがないので、「白い人」のように問題にはならなかった。こういう小説が若し私にも書けるなら、書きたいと思ったくらいである。」
遠藤周作 3 「全くダークホースであった。私と川端さんだけが、最後まで多少不安を感じた。が、反対を唱えるような作品ではなかった。」
選評出典:『芥川賞全集 第五巻』昭和57年/1982年6月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和30年/1955年9月号)
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芥川賞 34 昭和30年/1955年下半期   一覧へ
選評の概要 感想 総行数38 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
石原慎太郎 7 「若さと新しさがあるというので、授賞となったが、この若さと新しさに安心して、手放しで持ちあげるわけにはいかなかった。才能は十分にあるが、同時に欠点もとり上げなければ、無責任な気がする。」「結局推す気にはなれなかった。私には何となくこの作者の手の内が判るような気がする。」
  「今度は七十五篇の中から六篇の作品が残された。」「七十五篇もよんで、六篇を残したのは、編輯者の努力であり、見識である。私は無条件に編輯部の努力と見識をみとめるものである。」
選評出典:『芥川賞全集 第五巻』昭和57年/1982年6月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和31年/1956年3月号)
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芥川賞 35 昭和31年/1956年上半期   一覧へ
選評の概要 健康な後味 総行数36 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
近藤啓太郎 10 「「飛魚」「黒南風」の場合には、海に対する興味が強烈すぎて、小説の安定性を欠いていた。「海人舟」は、海と人間が渾然と一体となっている。」「新風というわけにはいかないが、健康な後味のよさである。永年小説を書いていて常に気にかかることは「童心」ということである。初心忘るべからずであるが、この小説の中から私はそれを強く感じた。」
選評出典:『芥川賞全集 第五巻』昭和57年/1982年6月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和31年/1956年9月号)
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芥川賞 36 昭和31年/1956年下半期   一覧へ
選評の概要 ひと言 総行数27 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
岡葉子 7 「褒めたのは、私と井上靖君だけであったが、それを芥川賞にどこまでも推すかとなると、躊躇せざるを得なかった。材料がいやらしいから嫌だといったひともあるが、それはあくまで個人的感情であって、この作の欠点ではない。奔放な作品だと思った。」「小説というもののもっとも素朴な面白さを持っている、いまどき珍しい小説である。」
  「やはり授賞作品のなかったことは、淋しい。しかし、最後まで頑張りたい作品がなかったのだから致し方がない。」
選評出典:『芥川賞全集 第五巻』昭和57年/1982年6月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和32年/1957年3月号)
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芥川賞 37 昭和32年/1957年上半期   一覧へ
選評の概要 読後感 総行数27 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
菊村到 7 「これほど小説作りに上手になっているのには、おどろいたが、「文學界」に発表していた当時からこの素質はあった。文壇の姑根性に毒されず、どしどし書きまくってもらいたい。」
選評出典:『芥川賞全集 第五巻』昭和57年/1982年6月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和32年/1957年9月号)
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芥川賞 38 昭和32年/1957年下半期   一覧へ
選評の概要 今日の作品に缺けているもの 総行数22 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
開高健 12 「私は推した」「今日の作品に欠けているものを「裸の王様」は力強く打ち出していた。やぼったいという人もあるかも知れない。が、やぼったく思われるような人間的な情熱を小馬鹿にして、知的ごまかしをやっている小説が多いのだ。」「欠点はある。最後の展覧会など書きすぎであった。」
大江健三郎 6 「作品の出来ばえからいえば、(引用者中略・注:「裸の王様」より)「他人の足」の方がはるかに巧緻な短篇であった。」「「死者の奢り」は、最後まで落すに惜しい作品であったが、大江の二篇はいわばもっとも今日的な作品であった。」
  「今回の審査会ほど難航を極めたのは珍しい。妥協性の強い私はしまいに二篇(引用者注:「裸の王様」と「死者の奢り」)を芥川賞にと言い出したものだが、互に一篇を主張する人が多くて、容易にまとまらず、ついに数で決定をみることになった。」
選評出典:『芥川賞全集 第五巻』昭和57年/1982年6月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和33年/1958年3月号)
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芥川賞 39 昭和33年/1958年上半期   一覧へ
選評の概要 「飼育」を推す 総行数24 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
大江健三郎 7 「「飼育」には文句はない。私は作者のジャーナリズムにおける位置を考慮に入れず、いちばんよい作品というので最初から推した。しかし、作品の構成では「鳩」の方が秀れている。」「「鳩」をよんでいると、この作者には何か病的なところがあるのではないかと心配になったが、それも若い作者の気質ではないかと考え直した。」
選評出典:『芥川賞全集 第五巻』昭和57年/1982年6月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和33年/1958年9月号)
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芥川賞 40 昭和33年/1958年下半期   一覧へ
選評の概要 感想 総行数22 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
選評出典:『芥川賞全集 第五巻』昭和57年/1982年6月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和34年/1959年3月号)
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芥川賞 41 昭和34年/1959年上半期   一覧へ
選評の概要 斯波四郎のこと 総行数31 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
斯波四郎 31 「芥川賞にいつかこのような文学があらわれることを、私はながいあいだ待っていた。」「特異な作家であり、今日彼と類似をもとめることはまったく不可能である。」「「山塔」にも、かなりひとり合点のところがある。が、それを埋合わせするに十分な魅力がある。」「たくさん書ける作家ではない。ジャーナリズムの要求に応じて書きとばすようになれば、斯波四郎は霧散してしまうだろう。」
選評出典:『芥川賞全集 第六巻』昭和57年/1982年7月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和34年/1959年9月号)
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芥川賞 42 昭和34年/1959年下半期   一覧へ
選評の概要 「基地」について 総行数31 (1行=26字)
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選評出典:『芥川賞全集 第六巻』昭和57年/1982年7月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和35年/1960年3月号)
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芥川賞 43 昭和35年/1960年上半期   一覧へ
選評の概要 内容のある重量感 総行数28 (1行=26字)
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北杜夫 5 「ひと際秀れたものだった。これだけの内容のある重量感を出すことは、今日の作家の中でもむつかしいのではないか。」「安心してよめる、大人びた才能は高く評価されてよい。豊かな才能の持主だ。」
選評出典:『芥川賞全集 第六巻』昭和57年/1982年7月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和35年/1960年9月号)
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芥川賞 44 昭和35年/1960年下半期   一覧へ
選評の概要 人間の哀しさ 総行数25 (1行=26字)
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坂口[れい]子 11 「一位」「私と蕃婦ハツエの話の中でこれだけロポウを描き出した技巧は、大したものである。霧社事件のことだが、すこしも古く感じさせなかった。」「物語は低調になりやすいものだが、人間の哀しさがしみじみと感じられた。」「「忍ぶ川」にくらべて新しいともいえる。」「二、三の審査員も一位に推していた。」
三浦哲郎 5 「私は第二位に置いていた。」「上手な小説である。小説のコツをのみこんでいる。新しい感じはすこしもないが、気持のよい小説である。」
選評出典:『芥川賞全集 第六巻』昭和57年/1982年7月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和36年/1961年3月号)
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芥川賞 45 昭和36年/1961年上半期   一覧へ
選評の概要 象徴的な作品 総行数24 (1行=26字)
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大森光章 9 「読んでから時日が経つにつれて感銘がふかまってくるような作品である。説明の部分が多くて、ごたごたとしているが、一般の読者には未知の世界であり、ある程度の説明もやむをえなかったのかも知れない。」「ことに最後の種馬とされるあたりには、無情な、哀れな人間の生涯を思った。この作品に芥川賞をあたえてこそ、意義があるような気がした。」
選評出典:『芥川賞全集 第六巻』昭和57年/1982年7月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和36年/1961年9月号)
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芥川賞 46 昭和36年/1961年下半期   一覧へ
選評の概要 豊かな描写力 総行数26 (1行=26字)
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吉村昭 7 「この小説はよけいなことは一切書いていない。人間関係をあざやかに描いている。娘が急性肺炎で死ぬあたり、筆が足りないうらみがあったが、人間の執念をよくまとめあげてあると思った。腕のたしかな作家であるので、これまでの候補作品も考えて、推薦した。」
宇能鴻一郎 7 「その豊かな筆力は、ひとを驚かすに足る。筆が走りすぎて、文章が上すべりしているところがあるが、前回の「光りの飢え」に比較すれば、格段のちがいである。」「どんな風になっていくのか、私達とあんまり縁のないところへとび出していくような気がする。」
選評出典:『芥川賞全集 第六巻』昭和57年/1982年7月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和37年/1962年3月号)
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芥川賞 47 昭和37年/1962年上半期   一覧へ
選評の概要 題名の秘密 総行数21 (1行=26字)
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河野多恵子 6 「私は当選させたかった。だんだんと種明かししていくあたり、心にくい技巧だが、推理めいていると評したひとがある。」「作者はそのことをすてても気にすることはいらないのだ。この作者は本質的に何かがある。豊かな情感をあたえる。文章もよろしい。」
川村晃 3 「題名がこの小説の秘密をさらしている。そういうつもりでこの小説が書かれたのだと思うと、興ざめがする。」
選評出典:『芥川賞全集 第六巻』昭和57年/1982年7月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和37年/1962年9月号)
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芥川賞 48 昭和37年/1962年下半期   一覧へ
選評の概要 「美少女」を推す 総行数25 (1行=26字)
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河野多恵子 8 「前作「雪」にくらべると、格段の文章の上達がみとめられる。」「いまどきこれほど文章に神経を使う若い文学者は、他に例がないのではないか。へんな男も、三人の少女もあざやかに描き分けている。私はこれを当選作にきめていた。」
  「選者の顔がちがっているように、各人の評がまちまちなのが、毎度のことながら私には面白かった。」「批評とは、自分ひとりの考えを、面白おかしく演出するだけのことらしい。」
選評出典:『芥川賞全集 第六巻』昭和57年/1982年7月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和38年/1963年3月号)
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芥川賞 49 昭和38年/1963年上半期   一覧へ
選評の概要 上質の文学と極彩色の小説 総行数23 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
河野多恵子 13 「上質の文学である。」「候補作品の中で群を抜いていた。彼女の作品にはマゾ的な傾向がある。」「しかし、これを機会にジャーナリズムが、河野君のそうした点を要求して、あやまらせないようにしてもらいたいと、私は思っている。」
後藤紀一 10 「極彩色の小説である。これはジャーナリズムの喜ぶ作品である。」「しかし、私は、そうしたジャーナリズムの傾向に抵抗がしたかった。そうでないと、とり返しがつかないことになると思った。」「私が主人公であるだけに、客観的ということにもっと慎重であってほしかった。」
選評出典:『芥川賞全集 第六巻』昭和57年/1982年7月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和38年/1963年9月号)
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芥川賞 50 昭和38年/1963年下半期   一覧へ
選評の概要 ねつこい小説 総行数37 (1行=26字)
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田辺聖子 7 「当選させてよい作品だと私が口を切った。すばらしく、新しい小説というのではない。えたいの知れない、ねつこい、何かしら渦巻いているような小説である。」「放送シナリオ作家の作品をいくつか読んできたが、やっとその中からものになったのを発見した。」
選評出典:『芥川賞全集 第六巻』昭和57年/1982年7月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和39年/1964年3月号)
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芥川賞 51 昭和39年/1964年上半期   一覧へ
選評の概要 多すぎる挿話 総行数22 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
柴田翔 10 「力量には、感心した。が、二八〇枚を努力してよまねばならなかった。理論家の小説のせいかも知れない。その意味では、日本文学にとってユニークな存在となるだろう。しかし、(引用者中略)自分のために妊娠中絶、自殺する女子学生の運命まで単に照明役だけに使うというのは、納得できなかった。」
選評出典:『芥川賞全集 第七巻』昭和57年/1982年8月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和39年/1964年9月号)
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芥川賞 52 昭和39年/1964年下半期   一覧へ
選評の概要 「さい果て」の作者 総行数33 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
津村節子 16 「何でもない人物もあざやかにとらえている。ほろりとさせるが、決して低俗ではない。」「読後感は、すがすがしい。無理がない。悲壮感をむき出しにしていない。」「作者の素質はすばらしい――」「私は最大限のことばをもって芥川賞当選作と推薦したが、出席した審査員のことごとくが褒めていながら、結局、芥川賞としては小粒であり、弱いということで見送られた。」「落ちたことは残念であったが、この作者の素質に希望をつなぐことにした。」
選評出典:『芥川賞全集 第七巻』昭和57年/1982年8月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和40年/1965年3月号)
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芥川賞 53 昭和40年/1965年上半期   一覧へ
選評の概要 読後感 総行数25 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
津村節子 20 「「さい果て」より小粒だと思ったが、二、三日が経つとこまかく書きこまれた一つ一つが、豊饒な情感となって私の胸をひたすようになった。」「この種の文学を、私たちはともすればわすれ勝ちになっていたのではないか。誰が他にこのような小説が書けるだろうか。」「このひとの才能には端倪すべからざるものがある。」「私は小さすぎることは、「玩具」の場合それほどの罪ではないと思った。」
選評出典:『芥川賞全集 第七巻』昭和57年/1982年8月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和40年/1965年9月号)
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芥川賞 54 昭和40年/1965年下半期   一覧へ
選評の概要 無難と奔放 総行数22 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
長谷川修 7 「奔放な、野放図なくらいの態度に私は心をうたれた。これを当選作として敢えて推したが、私自身の中の反撥心がそうさせたものであった。この小説には、夢がある。」「(引用者注:日本の文学は)絶望や虚無はお好きだが、人間が生きていく上には、もっと他の要素も大切であることが、この小説で教えられた。」
高井有一 11 「こういう小説は当選しやすい作品である。もちろん良かったから当選したのだが、こういう作者の身の構えが、審査員の気に入るということは、作品のよし悪し以外に考え直してもよいことであろうと思った。」「審査員もこういう小説を当選させておけば、無難である。いいかえると、曲がなさすぎる。」「審査員のひとりとして考えねばならないことだと思った。」
選評出典:『芥川賞全集 第七巻』昭和57年/1982年8月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和41年/1966年3月号)
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芥川賞 55 昭和41年/1966年上半期   一覧へ
選評の概要 秀れた抑制 総行数21 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
山崎柳子 7 「今回の候補作品の中ではいちばん秀れていると思った。よくこれだけ抑えて書いていると感心した。」「が、最後に自動車にぶつかり自殺するのは早すぎた。」「が、このひとには期待がもてる。」
選評出典:『芥川賞全集 第七巻』昭和57年/1982年8月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和41年/1966年9月号)
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芥川賞 56 昭和41年/1966年下半期   一覧へ
選評の概要 印象に残った六篇 総行数18 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
竹内和夫 5 「授賞に考えたのだが、悪い意味の文学青年的な文章が災となった。こういう題材はだれかが書かねばならなかったのだ。文章にこらずにぶつかっていけばよかったのではないか。」
丸山健二 0  
選評出典:『芥川賞全集 第七巻』昭和57年/1982年8月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和42年/1967年3月号)
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芥川賞 57 昭和42年/1967年上半期   一覧へ
選評の概要 最後が印象的 総行数27 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
大城立裕 13 「いちばん読みごたえがあった。」「最後がことに印象的であった。」「勝味のない告訴をあえてやらずにはいられない主人公の気持が胸を打つ。そしてこの気持が沖縄のひとびとをはじめ、われわれの胸を通うものである。」
選評出典:『芥川賞全集 第七巻』昭和57年/1982年8月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和42年/1967年9月号)
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芥川賞 58 昭和42年/1967年下半期   一覧へ
選評の概要 誠実な筆に一票 総行数18 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
柏原兵三 5 「前半はあれほど書かなくともよかったのではないか。しかし後半がよいので、前半には目をつむってもよいと思った。」「(引用者注:決選投票では)誠実な筆の感じに一票を投ずることにした。」
選評出典:『芥川賞全集 第七巻』昭和57年/1982年8月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和43年/1968年3月号)
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芥川賞 59 昭和43年/1968年上半期   一覧へ
選評の概要 ショッキングな作 総行数23 (1行=26字)