芥川賞のすべて・のようなもの
芥川賞のすべて・のようなもの

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Last Update[H21]2009/6/7

村上龍
Murakami Ryu
生没年月日【注】 昭和27年/1952年2月19日〜
在任期間 第123回〜(通算9年・18回)
在任年齢 48歳4ヶ月〜
経歴 本名=村上龍之助。長崎県佐世保市生まれ。武蔵野美術大学造形学部中退。昭和51年/1976年に作家デビュー。
受賞歴 第19回群像新人文学賞[小説部門](昭和51年/1976年)「限りなく透明に近いブルー」
第11回新風賞(昭和51年/1976年)『限りなく透明に近いブルー』
第3回野間文芸新人賞(昭和56年/1981年)『コインロッカー・ベイビーズ』
第24回平林たい子文学賞(平成8年/1996年)『村上龍映画小説集』
第49回読売文学賞小説賞(平成9年/1997年)『イン・ザ・ミソスープ』
第36回谷崎潤一郎賞(平成12年/2000年)『共生虫』
第58回野間文芸賞(平成17年/2005年)『半島を出よ』
第59回毎日出版文化賞[文学・芸術部門](平成17年/2005年)『半島を出よ』
芥川賞候補歴 第75回受賞 「限りなく透明に近いブルー」(『群像』昭和51年/1976年6月号)
備考
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下記の選評の概要には、評価として◎か○をつけたもの(見方・注意点を参照)、または受賞作に対するもののみ抜粋しました。さらにくわしい情報は、各回の「この回の全概要」をクリックしてご覧ください。

芥川賞 123 平成12年/2000年上半期   一覧へ
選評の概要 芥川賞選評 総行数25 (1行=24字)
候補 評価 行数 評言
松浦寿輝 5 「候補作の中でもっともよくまとまっていると思ったが、わたしは受賞作の水準を故中上健次の『岬』に定めていたので、推薦はしなかった。」
町田康 7 「魅力を感じなかった。」「『きれぎれ』の文体は、作者の「ちょっとした工夫」「ちょっとした思いつき」のレベルにとどまっている。そういったレベルの文体のアレンジは文脈の揺らぎを生むことがない。」
  「候補作を読んでの感想を一言で言うと、何もない、ということだった。」
選評出典:『芥川賞全集 第十九巻』平成14年/2002年12月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』平成12年/2000年9月号)
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芥川賞 124 平成12年/2000年下半期   一覧へ
選評の概要 選評 総行数30 (1行=24字)
候補 評価 行数 評言
吉田修一 17 「面白く読んだ。」「自然発生的に起こるエピソードにも、周囲の人々との会話にもリアリティを感じた。だが、同棲している子持ちの女性が、主人公に向かって最後にほうで言う台詞が致命的だったように思う。」「しかし、好きなディテールがたくさんあり、受賞に値する作品だと思ったので、わたしは一番に推した」
堀江敏幸 10 「候補作の中で(引用者注:「熱帯魚」に次いで)二番目に好きな作品だった。他者とのコミュニケーションというのは簡単ではない、ということを作者は描いているのだと判断した。」「コミュニケーション不全という普遍的なモチーフが、ペダンチックに単純に堕するのを、かろうじて防いでいる。ただ冒頭の夢のシーンは不要なのではないかと思った。」
青来有一 0  
  「今回は前回より、作品の密度が相対的に高かった。」
選評出典:『芥川賞全集 第十九巻』平成14年/2002年12月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』平成13年/2001年3月号)
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芥川賞 125 平成13年/2001年上半期   一覧へ
選評の概要 選評 総行数28 (1行=24字)
候補 評価 行数 評言
玄侑宗久 3 「わたしの関心と遠い作品なので感想は控えたい。ただその筆力は間違いないと判断したので、最終投票では受賞に賛成の票を入れた。」
選評出典:『芥川賞全集 第十九巻』平成14年/2002年12月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』平成13年/2001年9月号)
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芥川賞 126 平成13年/2001年下半期   一覧へ
選評の概要 選評 総行数66 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
長嶋有 60 「前作へのわたしの批判が今回反映されていたわけではなかった。」「長嶋氏は別の方法でハードルをクリアした。つまり、時代に適応できない家族・親子を描くのではなく、状況をサバイバルしようと無自覚に努力する母と子を描いたのだった。」「一人で子どもを産み、一人で子どもを育てている多くの女性が、この作品によって勇気を得るだろうとわたしは思う。」
選評出典:『文藝春秋』平成14年/2002年3月号
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芥川賞 127 平成14年/2002年上半期   一覧へ
選評の概要 選評 総行数65 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
吉田修一 20 「小細工や借り物のエピソードが一切なかった。」「作者は意識して偽物の緊張や恥ずかしい小細工を避けたのだ。その結果、吉田氏の作品は「何かが常に始まろうとしているが、まだ何も始まっていない」という、現代に特有の居心地の悪さと、不気味なユーモアと、ほんのわずかな、あるのかどうかさえはっきりしない希望のようなものを獲得することに成功している。」
選評出典:『文藝春秋』平成14年/2002年9月号
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芥川賞 128 平成14年/2002年下半期   一覧へ
選評の概要 選評 総行数54 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
松井雪子 42 「もっとも面白く読んだ。」「だが受賞には至らないだろうと思った。ある意味で稚拙だったからだ。本当は単に稚拙というわけではなく、ポップなのだが、そのことを他の選考委員に理解してもらうのは無理だろうとあきらめた。他の選考委員にポップへの理解がないというわけではない。近代化がそう刷り込まれているか、その違いによって、ポップへの評価は分かれる。」
大道珠貴 11 「わたしの元気を奪った。」「小説として単につまらないからだ。文章は洗練されているが、その洗練は、現実への安易な屈服・あきらめと、終焉した近代化への媚びと依存に支えられたもので、それがわたしの力を奪ったのである。」
選評出典:『文藝春秋』平成15年/2003年3月号
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芥川賞 129 平成15年/2003年上半期   一覧へ
選評の概要 選評 総行数54 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
吉村萬壱 9 「テクニックも実力もある作品だと思ったし、登場人物のキャラクターも会話も巧みだった。だがまるでスラップスティックムービーを見ているようで、切実さがなかった。」
  「今回は、「洗練」された作品が多かったが、新人作家にとって、洗練は敵である。」
選評出典:『文藝春秋』平成15年/2003年9月号
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芥川賞 130 平成15年/2003年下半期   一覧へ
選評の概要 細部と全体 総行数54 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
金原ひとみ 42 「最初読んだときは、妙な居心地の悪さを感じた。その居心地の悪さは(引用者中略)作者の才能が作品の細部に表れていないということだった。」「だが、再度読み返し、麒麟と龍の刺青を入れたあと主人公がわけもわからず生きる力を失っていく箇所を読んで、わたしの異和感がほぐれていった。」「突出した細部ではなく、破綻のない全体を持つ小説もあるということだ。」「推そうと思い、反対意見が多くあるはずだと、良いところを箇条書きにして選考会に臨んだが、あっさりと受賞が決まってしまった。」
綿矢りさ 5 「破綻のない作品で、強く推すというよりも、受賞に反対する理由がないという感じだった。」
  「選考会の翌日、若い女性二人の受賞で出版不況が好転するのでは、というような不毛な新聞記事が目についた。当たり前のことだが現在の出版不況は構造的なもので若い作家二人の登場でどうにかなるものではない。」
選評出典:『文藝春秋』平成16年/2004年3月号
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芥川賞 132 平成16年/2004年下半期   一覧へ
選評の概要 選評 総行数55 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
阿部和重 52 「推した。肝心な部分が書かれていない中途半端な小説だと思ったが、今回の候補作の中で「伝えるべき情報」を持っているのは『グランド・フィナーレ』だけだった。少女に対する偏愛という、いろいろな意味で危険なモチーフについて、作者が踏み込んで書いていないのが最大の不満だった。」「それでもわたしは阿部氏の作品を推した。その理由はただ一つ、小説にしかできないことに作者が挑戦しているように感じたからだ。」
  「(引用者注:「グランド・フィナーレ」以外の)他の候補作は、たとえば作文でも漫画でもエッセイでも表現可能だと思えるものばかりだった。」
選評出典:『文藝春秋』平成17年/2005年3月号
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芥川賞 133 平成17年/2005年上半期   一覧へ
選評の概要 選評 総行数57 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
中村文則 42 「虐待を受けた人の現実をリアルに描くのは簡単ではない。」「他人には理解しがたいものであり、本人も理解できていない場合も多い。」「『土の中の子供』は、そういう文学的な「畏れ」と「困難さ」を無視して書かれている。深刻さを単になぞったもので、痛みも怖さもない。そういう作品の受賞は、虐待やトラウマやPTSDの現実をさらにワイドショー的に陳腐化するという負の側面もあり、わたしは反対した。」
  「今回は全体的に作品の質が低かった。また子供時代の心的外傷が背景となっている作品がいくつか目についた。」
選評出典:『文藝春秋』平成17年/2005年9月号
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芥川賞 134 平成17年/2005年下半期   一覧へ
選評の概要 選評 総行数52 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
佐川光晴 52 「わたしは(引用者中略)推した。理由は、主人公の心理と状況が冒頭から過不足なく描写されていて、物語の輪郭をつかむことができたからだ。」「美恵子に関するエピソードが甘いとかわかりにくいという批判もあるだろう。だがわたしは美恵子の過去を示さないという方法は正しいと思った。」「美恵子の過去は作品全体から想像することができるはずだという確信犯的な方法論なのだ。」
絲山秋子 0  
選評出典:『文藝春秋』平成18年/2006年3月号
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芥川賞 135 平成18年/2006年上半期   一覧へ
選評の概要 選評 総行数63 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
伊藤たかみ 27 「共感できる部分がなかったわけではない。」「ただ、(引用者注:私がテレビで見た各飲料メーカーの営業の)そのドキュメンタリー番組には何かを「伝えよう」という意志が感じられ、伊藤氏の「虚構」はそれが希薄だったと、個人的にそう思った。」
  「今回の候補作はどれもレベルが低く、小説や文学というものを「なぞっている」ような気がした。」「問題は、何を伝えようとしているのかわからないということに尽きる。」「小説はメディアなので「伝えたいこと」がなければ存在価値がない。」
選評出典:『文藝春秋』平成18年/2006年9月号
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芥川賞 136 平成18年/2006年下半期   一覧へ
選評の概要 芥川賞選評 総行数52 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
青山七恵 42 「わたしは(引用者中略)推した。読んでいる途中から候補作であることを忘れ、小説の世界に入っていた。」「駅のホームは、作者が自らの視線と観察力を基に「構築」したものであり、作品全体のモニュメントのような象徴にもなり得ている。」「作者はそのような場所とその意味を、「意識的に」設定したわけではないだろう。」「作家は、視線を研ぎ澄ますことによって、意識や理性よりさらに深い領域から浮かんでくるものと接触し、すくい上げるのだ。」
選評出典:『文藝春秋』平成19年/2007年3月号
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芥川賞 137 平成19年/2007年上半期   一覧へ
選評の概要 芥川賞選評 総行数62 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
諏訪哲史 9 「わたしは推さなかった。退屈な小説だったからだ。」「装飾を引き剥がすと「コミュニケーション不全」と「生きにくさ」だけが露わになる。」
  「今回は全体的に低調で候補作を読むのが辛かった。」「女性作家は、男の作家が持ち得ないものを最初から持っている。」「男性作家との違いは明確で、それは女には妊娠・出産が可能だということだ。」「そういった生物学的な普遍性と社会との接点を描けば、それは優れて現代的なモチーフになりうる。」
選評出典:『文藝春秋』平成19年/2007年9月号
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芥川賞 138 平成19年/2007年下半期   一覧へ
選評の概要 選評 総行数61 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
川上未映子 17 「3作(引用者注:「ワンちゃん」「カツラ美容室別室」「乳と卵」)を推薦しようと思った。」「「乳と卵」だけが受賞したのだが、作者の力量と作品の完成度からすると妥当な結果だと言える。」「長い長い地の文は充分にコントロールされていて、ときおり関西弁が挿入されるが、読者のために緻密に「翻訳」されている。」
山崎ナオコーラ 23 「3作(引用者注:「ワンちゃん」「カツラ美容室別室」「乳と卵」)を推薦しようと思った。」「非常に好感が持てる作品で、最初から最後まで破綻がなく面白く読んだ。」「特に、「疲れる女といるよりも、アパートで牛乳を温める方がいい。」という一節は、正統な欲望・欲求を持ち得ない成熟社会の若い男の台詞として象徴的だと思った。だが他の選考委員の評価は低く、「スカスカで何もない」という批判が多かった。」
楊逸 26 「3作(引用者注:「ワンちゃん」「カツラ美容室別室」「乳と卵」)を推薦しようと思った。」「日本語表現が「稚拙」という理由で受賞には至らなかった。だがわたしは、移民二世や在日外国人による今後の日本語表現にモチベーションを与えるという意味でも受賞してほしかった。」「それにしても、ヒロインの中国人女性の視点で描かれた日本の地方の「惨状」はリアルだった。」
選評出典:『文藝春秋』平成20年/2008年3月号
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芥川賞 139 平成20年/2008年上半期   一覧へ
選評の概要 選評 総行数64 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
楊逸 64 「受賞にわたしは賛成しなかった。前作『ワンちゃん』のほうが、小説として優れていたと思った。」「主要登場人物の学生時代などに代表される「純粋さ」を評価するという意見もあった。だがわたしには、純粋さではなく、単なる無知に映った。」「『時が滲む朝』の受賞によって、たとえば国家の民主化とか、いろいろな意味で胡散臭い政治的・文化的背景を持つ「大きな物語」のほうが、どこにでもいる個人の内面や人間関係を描く「小さな物語」よりも文学的価値があるなどという、すでに何度も暴かれた嘘が、復活して欲しくないと思っている。」
  「今回の候補作は全体的にレベルが非常に低く、また例によって「どうしてこんなことを小説として書かなくてはならないのか」というような些末で閉鎖的なモチーフの作品が目立った」
選評出典:『文藝春秋』平成20年/2008年9月号
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芥川賞 140 平成20年/2008年下半期   一覧へ
選評の概要 選評 総行数59 (1行=13字)
候補 評価 行数 評言
山崎ナオコーラ 16 「わたしは(引用者中略)推したが、同じ作者の前作の水準を越えるものではなく、受賞には至らなかった。」「『手』の作者は、少なくとも、コントロールできそうにないものを何とかコントロールしたいという意思を持っているように思った。」
津村記久子 18 「よく書けていると思ったので受賞には反対しなかったが、推さなかった。コントロールできる世界だけを描いていると思ったからだ。」
選評出典:『文藝春秋』平成21年/2009年3月号
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