芥川賞のすべて・のようなもの
芥川賞のすべて・のようなもの

第15回

=候補者=
石塚友二
中島 敦
波良 健
藤島まき
森田素夫
中野武彦
=推薦候補=
西川 満
倉本兵衛
永松元雄
本間立也
船山 馨
若杉 慧
野村尚吾
福村 久
田宮虎彦
正治清英
金 逸善
青山光二
広尾新一
桜井 造
森玉美雄

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Last Update[H20]2008/6/1

石塚友二
Ishizuka Tomoji
生没年月日【注】 明治39年/1906年9月20日〜昭和61年/1986年2月8日
経歴 本名=石塚友次。新潟県北蒲原郡笹岡村生まれ。農業に従事したのち上京して書店勤務のかたわら、横光利一に師事。また俳句を水原秋桜子のもとで学ぶ。俳人としても活動する。
受賞歴 第9回池谷信三郎賞(昭和17年/1942年)「松風」
備考
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芥川賞 15回候補  一覧へ

まつかぜ
松風」(『文學界』昭和17年/1942年2月号)
書誌
>>昭和18年/1943年1月・小山書店刊『日本小説代表作全集9 昭和17年・前半期』所収
>>昭和18年/1943年8月・小山書店刊『松風』所収
>>昭和21年/1946年☆月・鳳文書林刊『現代珠玉集 第1輯』所収
>>昭和23年/1948年☆月・松和書房刊『松風』所収
>>昭和24年/1949年☆月・万里閣刊『現代文学代表作全集 第6巻』所収
>>昭和27年/1952年10月・河出書房刊『現代日本小説大系 第57巻 昭和10年代12』所収
>>昭和30年/1955年11月・角川書店/角川文庫『松風 他四篇』所収
>>昭和32年/1957年☆月・河出書房刊『現代日本小説大系 第59巻 昭和10年代12』所収
>>昭和45年/1970年1月・集英社刊『日本文学全集88 名作集3』所収
>>昭和50年/1975年6月・集英社刊『日本文学全集88 名作集3』[豪華版]所収
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選評の概要
選考委員 評価 行数 評言
瀧井孝作 6 「一応は好い作品だが、この作者はこれ一つだけしか出してないようで、これ一つ出してすぐ芥川賞ということもあるまいと思って、この一つはそれ程の優作でもないので、(引用者中略)こんどは候補者にあげなかった。」
小島政二郎 23 「面白かった。」「出来栄から云うと、やはり「松風」かな。」「これだけの作品がある以上、授賞なしとするには当らないと思った」「が、予選委員連が頑として応じないのだ。」「反対のおもなる説の一つは、一生一度の結婚体験を書いてこの程度の佳品をなすことは敢えて偉とするに足らないと云うにあった。私はそうは思わない。作品と作者との距離の正しい美しさには、そうは云い切れないものがあると思うのだ。」
室生犀星 5 「次席にした」「達者な作者であるがこういう作品には真実というものの俤を捉えることが甚だ困難であって、読んで面白かったが、それとは別に私のほしいものが見られなかった。」
横光利一 8 「ある私の知人は、この作のために結婚の意志を固めてついに結婚した。私も年ごろで結婚に迷うものには、ぜひこの作を一読するように奨めている。小説としては多少の欠点もあるとはいえ、文学としてはこれほどの名文は近ごろ稀であり、美しさを内に包んだ含羞の趣き捨てがたいものがあった。」
宇野浩二 12 「感じはわるくないけれど、初めの三分の一以上が、ごたごたしている上に、無駄なところがあり、肝心の二人の主人公のちょっと風変りの生活は書き足りないところがあり、終りの方が、作中の主人公だけでなく、作者まで、いい気になっているところがある。」
川端康成 14 「(引用者注:「松風」と「光と風と夢」の)いずれかに、或いは二篇共に授賞したかった。」「発表の当時、反響が高く、相当の人々に読まれもしたので、一応世に出て認められた作品であるから、そういう意味では、作者と共に私も慰められるわけである。」「私は先ず「松風」を推し、」
久米正雄 15 「心を牽かれた。」「素直で清らかに、又相当に深く沈んだ心境小説だった。吾々の作家修業時代には誰人も一度は通った道を、此の誠実なる作者は、新らしく通り抜けようとしていた。そしてその通り抜けようには、好意が持てたが、所々、うまく通り抜けようとして、厳しさが無くなった。」「今にして授賞せずんば、次の期をも併せ失うであろう、と言う奨励説もあり、私も充分それを考慮したが、結局、此の獅子を一度は谷底に落す事にした。」
選評出典:『芥川賞全集 第三巻』昭和57年/1982年4月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和17年/1942年9月号)
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