芥川賞のすべて・のようなもの
芥川賞のすべて・のようなもの

第50回

=受賞者=
田辺聖子

=候補者=
清水寥人
井上光晴
佐藤愛子
森 泰三
木原象夫
平田 敬
鴻みのる
阿部 昭


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Last Update[H20]2008/10/28

田辺聖子
Tanabe Seiko
このページの情報は「直木賞のすべて」内の「選考委員の群像 田辺聖子」と同じものです。
生没年月日【注】 昭和3年/1928年3月27日〜
受賞年齢 35歳9ヵ月
経歴 大阪府大阪市生まれ。樟蔭女子専門学校国文科卒。
大阪の問屋に勤務。昭和26年/1951年より同人誌『文藝首都』に参加、
昭和30年/1955年から2年間、大阪文学学校に通う。ラジオドラマの脚本を手がけるかたわら、昭和35年/1960年に同人誌『航路』創刊に参加し、昭和39年/1964年「感傷旅行(センチメンタル・ジャーニイ)」で芥川賞受賞。
「女の日時計」「夕ごはんたべた?」「私的生活」「ひねくれ一茶」など著作は数多く、
伝記小説として「千すじの黒髪――わが愛の与謝野晶子」「花衣ぬぐやまつわる――わが愛の杉田久女」「道頓堀の雨に別れて以来なり」(岸本水府伝)などを書き、また古典の造詣も深い。
ちなみに、エッセイにたびたび登場する、カモカのおっちゃんこと、パートナーの川野純夫とは、純夫の妻で直木賞候補作家でもあった川野彰子が急逝した折り、思い出の文を書いたことが縁で知り合った。
受賞歴 大阪市民文芸賞(昭和31年/1956年)「虹」
第50回芥川賞(昭和39年/1964年)「感傷旅行」
大阪芸術賞(昭和51年/1976年)
兵庫県文化賞(昭和57年/1982年)
第26回女流文学賞(昭和61年/1986年)『花衣ぬぐやまつわる…』
第10回日本文芸大賞(平成2年/1990年)
第27回吉川英治文学賞(平成5年/1993年)『ひねくれ一茶』
第42回菊池寛賞(平成6年/1994年)
紫綬褒章(平成7年/1995年)
大阪女性基金プリムラ賞大賞(平成9年/1997年)
エイボン女性年度賞女性大賞(平成10年/1998年)
第26回泉鏡花文学賞(平成10年/1998年)『道頓堀の雨に別れて以来なり』
第50回読売文学賞評論・伝記賞(平成10年/1998年)『道頓堀の雨に別れて以来なり』
文化功労者(平成12年/2000年)
第5回キワニス大阪賞(平成14年/2002年)
第8回蓮如賞(平成15年/2003年)『姥ざかり花の旅笠』
朝日賞(平成18年/2006年)「『田辺聖子全集』(全24巻・別巻1)完結にいたる文学活動の業績」
文化勲章(平成20年/2008年)
個人全集 『田辺聖子長篇全集』全18巻(文藝春秋)
『田辺聖子全集』全24巻・別巻(平成16年/2004年5月〜平成18年/2006年8月・集英社刊)
備考
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芥川賞 50受賞  一覧へ

センチメンタル・ジャーニー
感傷旅行」(『航路』7号[昭和38年/1963年8月])
書誌
>>『文藝春秋』昭和39年/1964年3月号
>>昭和39年/1964年3月・文藝春秋新社刊『感傷旅行』所収
>>昭和43年/1968年☆月・春陽堂書店/春陽文庫『感傷旅行』所収
>>昭和47年/1972年☆月・角川書店/角川文庫『感傷旅行』所収
>>昭和49年/1974年☆月・毎日新聞社刊『現代の女流文学 第3巻』所収
>>昭和50年/1975年8月・文藝春秋刊『感傷旅行』所収
>>昭和54年/1979年3月・新潮社刊『新潮現代文学68 感傷旅行』所収
>>昭和56年/1981年10月・文藝春秋刊『田辺聖子長篇全集1』所収
>>昭和57年/1982年7月・文藝春秋刊『芥川賞全集 第6巻』所収
>>平成10年/1998年9月・角川書店刊『女性作家シリーズ7 佐藤愛子・田辺聖子』所収
>>平成16年/2004年5月・集英社刊『田辺聖子全集 第5巻』所収
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選評の概要
選考委員 評価 行数 評言
中村光夫 9 「軽薄な世界を軽薄な筆致で描ききった作品で、そこに意外な効果が生れていますが、その独創性が意識されていない、というより意識したらこわれてしまうような性質のものであることが問題です。」「この作品にとは云えなくても、少なくも作者のなかに文学があるのはたしかです。」
石川達三 22 「私は、第一候補(引用者中略)と確信して出席した。」「その新しさを軽薄さと評することは容易だが、軽薄さをここまで定着させてしまえば、既に軽薄ではないと私は思う。これは音楽で言えばジャズのような、無数の雑音によって構成された作品であり、そのアラベスクの面白さは「悲しみよ今日は」を思い出させる。」「しかしこの作者の危険は、こうした作風が間もなくマンネリズムに陥り易いということである。」
石川淳 15 「(引用者注:「地の群れ」以外の中から)一篇を選ぶとすれば、(引用者中略)取るほかない。」「おもしろいといえば、おもしろい。」「文章にもちとの才気がある。」「ただ現状ではこの作者にあまり多くを望むべきではないだろう。わたしはこの作品があたらしい文学なんぞと買いかぶらないが、作者はともかくあたらしいと錯覚されるような方向に姿勢をとっているものと見える。」「このひとがこれからどこまで伸びるか、あるいは伸びなやみか、ちょっとあぶなっかしい気もするが、まあまあと、わたしはこれを推した。」
瀧井孝作 5 「浮薄なマス・コミに追回される、関西の放送台本作家の、その情事が描かれて、メチャクチャに歪んだ姿が見える。只それが、実体ではない、影像のように映るだけで、甚だ淡いのが物足りない。人物も煙のように幽霊かお化けの感じだ。」
永井龍男 6 「「感傷旅行」「機関士ナポレオンの退職」「砧」の三篇にしぼられることは、だいたい予測するこが出来たが、それ以上積極的にどれを推すという気持にはなれなかった。」「才筆の中から、なにかの生れるのを期待してよいか、すでにこの中に独自の世界があるのか、私には判断がつかない。」
丹羽文雄 7 「当選させてよい作品だと私が口を切った。すばらしく、新しい小説というのではない。えたいの知れない、ねつこい、何かしら渦巻いているような小説である。」「放送シナリオ作家の作品をいくつか読んできたが、やっとその中からものになったのを発見した。」
井上靖 12 「私は「機関士ナポレオンの退職」、「砧」、「感傷旅行」といった順位にしました。」「作者の資質という点では、恐らく候補作家中で一番光っていると思いました。私はこの作品が未整理で、未完成であるという点で推すのを躊躇しましたが、あるいはそうしたところをこの作品の新しさと見るべきであるかも知れません。大成して戴きたいと思います。」
高見順 11 「(引用者注:「地の群れ」以外であれば)一票を投じようと思った。劇画化に筆がすべりすぎているところなどに疑問があるが、それをもふくめて、そこに現代的な一種の新鮮感がある。」「たとえ品が悪くても、お行儀のいい上手な小説より新人らしい活力がある。」
舟橋聖一 4 「私の点は、(引用者中略)次点で、該当作はナシであったが、田辺を推す委員が多く、考え直して私も同調した。」
選評出典:『芥川賞全集 第六巻』昭和57年/1982年7月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和39年/1964年3月号)
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