芥川賞のすべて・のようなもの
芥川賞のすべて・のようなもの

第140回

=受賞者=
津村記久子

=候補者=
鹿島田真希
墨谷 渉
田中慎弥
山崎ナオコーラ
吉原清隆


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Last Update[H23]2011/12/12

津村記久子
Tsumura Kikuko
生没年月日【注】 昭和53年/1978年1月23日〜
受賞年齢 30歳11ヵ月
経歴 大阪府大阪市生まれ。大谷大学文学部国際文化学科卒。会社勤務のかたわら創作を始める。
受賞歴・候補歴
  • 第21回太宰治賞(平成17年/2005年)「マンイーター」津村記久生名義
  • |候補| 第138回芥川賞(平成19年/2007年下期)「カソウスキの行方」
  • |候補| 第139回芥川賞(平成20年/2008年上期)「婚礼、葬礼、その他」
  • 第30回野間文芸新人賞(平成20年/2008年)『ミュージック・ブレス・ユー!!』
  • 第140回芥川賞(平成20年/2008年下期)「ポトスライムの舟」
  • 第26回咲くやこの花賞[文芸その他部門](平成20年/2008年度)
  • 第28回織田作之助賞(平成23年/2011年)『ワーカーズ・ダイジェスト』
備考
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芥川賞 138回候補  一覧へ

ゆくえ
「カソウスキの 行方」(『群像』平成19年/2007年9月号)
書誌
>>平成20年/2008年2月・講談社刊『カソウスキの行方』所収
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選評の概要
選考委員 評価 行数 評言
池澤夏樹 10 「なぜか最近の候補作には、寝そうで寝ない男女の仲をゆるゆると書いた話が多い。」「小説というのはもっと仕掛けるものではないか。」
小川洋子 0  
村上龍 0  
黒井千次 4 「時代の空気のようなものを感じた。」
高樹のぶ子 0  
宮本輝 0  
川上弘美 0  
石原慎太郎 6 「(引用者注:「カツラ美容室別室」等と共に、生活の無為性や無劇の劇性が)人間の最も芯にあるものに触れてくるなら結構だが、それもまた稀薄な作品ばかりだった。」
山田詠美 8 「本来、漢字、平仮名で表記する言葉を片仮名にして雰囲気を持たせるやり方は、もう、ちょっと古い。そして、ちょっと古いものは、一番、古臭い。」
選評出典:『文藝春秋』平成20年/2008年3月号
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芥川賞 139回候補  一覧へ

こんれい そうれい
婚礼、 葬礼、その 他」
(『文學界』平成20年/2008年3月号)
書誌
>>平成20年/2008年7月・文藝春秋刊『婚礼、葬礼、その他』所収
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選評の概要
選考委員 評価 行数 評言
石原慎太郎 8 「一種の現代風俗を描いた作品だが、それにしても題名に、『その他』とつける神経はいかなることか。」
高樹のぶ子 0  
池澤夏樹 0  
村上龍 0  
川上弘美 5 「始まりかた、好きです。決めた方向に進むことに関して、作者自身が几帳面すぎるのかもしれない。」
黒井千次 4 「ドタバタのエネルギーとユーモアに興味を覚える。」
宮本輝 11 「(引用者注:「眼と太陽」と共に)多少の高い点をつけたが、あくまでも多少であって、受賞作に推せるほどではなかった。」「律儀でお人好しな主人公が一日のうちに経験する婚礼と葬礼は丁寧に描かれているのに、肝腎の「その他」に筆が届いていないのだ。」
小川洋子 0  
山田詠美 7 「これは、そこらで良くある話。すったもんだよりも、むしろ題名にある「その他」に重点を置いたら、本当の特別な小説になった。」
選評出典:『文藝春秋』平成20年/2008年9月号
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芥川賞 140受賞  一覧へ

ふね
「ポトスライムの 舟」
(『群像』平成20年/2008年11月号)
書誌
>>平成21年/2009年2月・講談社刊『ポトスライムの舟』所収
>>平成23年/2011年4月・講談社/講談社文庫『ポトスライムの舟』所収
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選評の概要
選考委員 評価 行数 評言
宮本輝 15 「大仕掛けではない小説だけに、機微のうねりを活写する手腕の裏には、まだ三十歳の作者が内蔵する世界の豊かさを感じざるを得ない。春秋に富む才能だと思う。」
小川洋子 4 「津村さんはこれからどんどん書いてゆくだろう。それは間違いないことであるし、一番大事なことである。」
山田詠美 10 「目新しい風俗など何も描写されていないのに、今の時代を感じさせる。と、同時に普遍性もまた獲得し得た上等な仕事。『蟹工船』より、こっちでしょう。」
村上龍 18 「よく書けていると思ったので受賞には反対しなかったが、推さなかった。コントロールできる世界だけを描いていると思ったからだ。」
川上弘美 16 「揺れていない。「このように書こう」として、ちゃんと「このように書いている」。」「どんなことを書こうという時も、ごまかさず最後まで詰めて考え、書き表しているから、だと思います。」「わたしは「女の庭」と「ポトスライムの舟」を、少しずつ推しました。」
黒井千次 32 「(引用者注:「神様のいない日本シリーズ」と共に)特に印象に残った。」「とりわけ大きな出来事が起るわけでもないのに、澄んだ水が正面から勢いよくぶつかって来るような読後感が生れるのは、奈良にある築五十年の古い家に母親と暮す主人公の日々が、確かな筆遣いで捉えられているからだろう。」「二十九歳から三十歳になろうとする現代女性の結婚や離婚、仕事や家族達の様相がくっきりと浮かび上る作品となった。」
高樹のぶ子 20 「俯瞰せずひたすら地を這って生きる関西の女たちの視線が、切ない生活実感を生み出している。」「しかし舞台を東京に置いたなら、忍耐、がんばり、苦労、不条理への抗議などなど、ゴツゴツした問題提起の様相を帯びてくるだろうし、この作品の不思議なぬくもりは失われるに違いない。視線を低く保つ関西人の気質と言葉使いが、うまく時代を掴まえたとも言える。」
池澤夏樹 28 「巧緻な作品である。」「ぼくには(引用者注:主人公の女性)ナガセが生活の優等生のように見えた。作者もまた細部まで計算の行き届いた優等生、というのは言い過ぎだろうか。問題はこの生きかたを肯定する今の社会の側にあるのだから。」「うまいことは認める。しかし、みんな、こんなに内向きでいいのか?」
石原慎太郎 20 「無劇性の劇ともいうべき、盛りをすぎた独身女性の日々の生活の根底に漂う空しさを淡々と描いていて、」「私としてはこの作者の次の作品を見て評価を決めたいと思っていたが、他の作品のあまりの酷さに、相対的に繰り上げての当選ということにした。」
選評出典:『文藝春秋』平成21年/2009年3月号
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