芥川賞のすべて・のようなもの
芥川賞のすべて・のようなもの

第100回

=受賞者=
南木佳士
李 良枝

=候補者=
司 修
清水邦夫
吉本ばなな
岩森道子
多田尋子
大岡 玲


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Last Update[H20]2008/10/12

南木佳士
Nagi Keishi
生没年月日【注】 昭和26年/1951年10月13日〜
受賞年齢 37歳3ヵ月
経歴 本名=霜田哲夫。群馬県吾妻郡嬬恋村生まれ。秋田大学医学部卒。長野県の佐久総合病院に内科医として勤める。
受賞歴 第53回文學界新人賞(昭和56年/1981年)「破水」
第6回佐久文化賞(昭和63年/1988年)
第36回泉鏡花文学賞(平成20年/2008年)『草すべり その他の短篇』
備考
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芥川賞 87回候補  一覧へ

おも ようこう
重い 陽光」(『文學界』昭和57年/1982年4月号)
書誌
>>平成8年/1996年5月・文藝春秋刊『エチオピアからの手紙』所収
>>平成12年/2000年3月・文藝春秋/文春文庫『エチオピアからの手紙』所収
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選評の概要
選考委員 評価 行数 評言
丸谷才一 11 「題材が珍しいし、わりによくまとまつてゐる。文章もまあ下手ぢやない。しかし要するにスケッチであつて、短篇小説にはなつてゐないと見た。」「短篇小説に高まるためには、ものの見方がもうすこし個性的になることが必要だらう。このままでは、大人しくて、平凡で、印象が淡いのである。」
丹羽文雄 0  
中村光夫 6 「文章がひきしまつてゐて、点景として使はれた白人の医師や看護婦なども、生き生き描かれてゐて、戦場の血の匂ひが感じられます。作者の体験の力と思はれますが、それにあまり安心してよりかかりすぎたところが、物足りぬ読後感をあたへます。」
安岡章太郎 0  
遠藤周作 0  
開高健 0  
井上靖 6 「気持よく纏っているが、スケッチの域を出ないという評が出ると、それに対抗するだけのものは持っていなかった。」「スケッチであるにしても、作者の眼はすみずみまで行き届いており、短いタッチで書いているところにも、ある爽やかさがあった。」
大江健三郎 3 「経験(引用者中略)を、これから小説につくる、その手前にある。」
吉行淳之介 4 「着実な筆致で特殊な状況を描いて無難だが、題材をもっと日常的なものにしたとき同じ筆力が発揮できるかどうかの不安が残る。」
選評出典:『芥川賞全集 第十二巻』昭和58年/1983年1月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和57年/1982年9月号)
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芥川賞 88回候補  一覧へ

かつかざん
活火山」(『文學界』昭和57年/1982年10月号)
書誌
>>平成8年/1996年5月・文藝春秋刊『エチオピアからの手紙』所収
>>平成12年/2000年3月・文藝春秋/文春文庫『エチオピアからの手紙』所収
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選評の概要
選考委員 評価 行数 評言
中村光夫 0  
吉行淳之介 0  
安岡章太郎 0  
丸谷才一 0  
大江健三郎 0  
丹羽文雄 0  
井上靖 4 「一応の候補と考えていたが、強引に推すだけの強さはなかった。いいところもあるが、欠点もあった。」
遠藤周作 0  
開高健 0  
選評出典:『芥川賞全集 第十三巻』平成1年/1989年2月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和58年/1983年3月号)
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芥川賞 92回候補  一覧へ

いえ
木の 家」(『文學界』昭和59年/1984年8月号)
書誌
>>平成8年/1996年5月・文藝春秋刊『エチオピアからの手紙』所収
>>平成12年/2000年3月・文藝春秋/文春文庫『エチオピアからの手紙』所収
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選評の概要
選考委員 評価 行数 評言
丹羽文雄 0  
安岡章太郎 0  
遠藤周作 0  
三浦哲郎 11 「無理のない落ち着いた作風に好感を持った。導入部がすこし軽いかと思われたが、読み進めているうちに腰が沈み、足がしっくりと地についてきて、あぶなげがない。」「けれども、他の委員から、人の死をこう軽く扱われるのは困るという意見が出て、考えさせられた。」
吉行淳之介 0  
開高健 0  
丸谷才一 0  
中村光夫 4 「時代の産物として興味をひかれました」
選評出典:『芥川賞全集 第十三巻』平成1年/1989年2月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和60年/1985年3月号)
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芥川賞 94回候補  一覧へ

てがみ
「エチオピアからの 手紙」
(『文學界』昭和60年/1985年12月号)
書誌
>>平成8年/1996年5月・文藝春秋刊『エチオピアからの手紙』所収
>>平成12年/2000年3月・文藝春秋/文春文庫『エチオピアからの手紙』所収
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選評の概要
選考委員 評価 行数 評言
吉行淳之介 10 「大きく脱皮しているので驚いた。」「主人公の爽やかな人柄はそのまま作者のものであろうが、それが作品全体に行きわたった。ただ、肝心の「エチオピアからの手紙」が、うるさい。この手紙を抜きにして、作品を成立させたほうがよかった。」
水上勉 8 「好感をもった」「癌で死ぬ人を毎日のように見送らねばならぬ医師の日々もよくわかって心を打たれたが、授賞作となると、もう一つというものを感じた。」
田久保英夫 8 「終始その作品に漂う静かさに惹かれた。これは今回のほかの作にないものだ。」「しかし要所要所、もっと絵具をつよく使ってほしい。」
安岡章太郎 0  
古井由吉 0  
中村光夫 0  
遠藤周作 9 「好感をもった」「これまでの南木さんの作品では一番いいものではないか。抑えられていて主人公の心情も私にはよく伝わり、ひょっとしてと思ったほどである。」「私の気持としてはこれら四作(引用者注:「過越しの祭」「ベッドタイムアイズ」「エチオピアからの手紙」「果つる日」)はほんの僅かの差しかない。」
三浦哲郎 2 「今回は、予想通り米谷、石和、山田、南木の四氏に絞られた」
開高健 0  
選評出典:『芥川賞全集 第十四巻』平成1年/1989年5月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和61年/1986年3月号)
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芥川賞 100受賞  一覧へ
「ダイヤモンドダスト」 (『文學界』昭和63年/1988年9月号)
書誌
>>平成1年/1989年2月・文藝春秋刊『ダイヤモンドダスト』所収
>>『文藝春秋』平成1年/1989年3月号
>>平成1年/1989年5月・文藝春秋刊『芥川賞全集 第14巻』所収
>>平成4年/1992年2月・文藝春秋/文春文庫『ダイヤモンドダスト』所収
>>平成13年/2001年1月・群馬県立土屋文明記念文学館刊『群馬文学全集 第19巻 現代作家集』所収
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選評の概要
選考委員 評価 行数 評言
水上勉 15 「ぼくは「ダイヤモンドダスト」「月潟鎌を買いにいく旅」「由煕」の順に考えていた。」「看護士を主人公に、登場する人物がぜんぶ生きている。」「最後の水車づくりにまとめられてゆく、人の世の生のはなやぎというか、はかなさというか、病床描写は簡にして生彩を放っていた。」
黒井千次 7 「完成度は他をぬきんでていた。医師の書く小説が、時として人間を患者ふうに扱う弊がありがちなのに対し、主人公を看護士に設定したのが成功のもとではなかったか。」
開高健 15 「これまでのにくらべると一歩抜け出て新しい視野に立ったという印象である。欠陥はあるけれど全体によくバランスがとれたことがあるので気にならない。」「これまでこの人によく見られた偏執やのめりこみが昇華されて、地味だけれど好感の抱けるものがしみこみ、うまく漂い、苦労は無駄ではなかったと、よくわかった。」
大庭みな子 7 「ほとんど難点のないよい出来の作品である。古風とも言える方法でかなり大胆な夢想をさりげなく語っているところが光っている。」
吉行淳之介 17 「私は(引用者中略)第一位(引用者中略)に置いていた」「最初から好感がもてる作風だったが、切れ味が悪かったり切りそこなったりしていた。切れ過ぎるナイフも困るが、前回の「エチオピアからの手紙」から、にわかに良くなった。」「後半、アメリカ人の宣教師が出てきて、これがとてもいい。」「地味だが文学の本筋をゆく作品」
日野啓三 13 「(引用者注:「由煕」と共に)推した。この二作には外界の風の感触がある。」「“母なるもの”が急速に希薄化してゆく日本の現実に立ち向かっている。」「ただ文章そのものの魅力に幾分欠ける。」
河野多恵子 13 「完成度ということでは一番よく書けている。」「印象的な部分も幾つかあった。が、冴えているとは言い難い。評価された死や土地や農村の問題にしても、出てくる事柄や見方が決して私の承知していることばかりではないにも拘らず、次々にみな何となく、既に知っている気持にさせられてしまうのである。」
三浦哲郎 14 「南木佳士氏と清水邦夫氏を推すつもりで選考会に出席した。」「変貌する別荘地の病院を中心にそこの自然と住人たちの生活を、リズミカルでしっとりと落ち着いた文章で厚み豊かに描き出すことに成功している。」「百回記念の芥川賞にふさわしい出色の作品だと思う。」
田久保英夫 12 「私は何より癌を病む米国人宣教師マイクと、主人公の父親松吉との交流に惹かれた。」「カリフォルニアの留学から戻った農家の娘や、看護士をつとめる主人公の妻の死の経緯など、いくつか描き方に隙間があるが、私はこの作者の生と死を貫く垂直な視線に、一票を入れた。」
古井由吉 13 「佳い作品である。この作家の美質の、寒冷に冴えた感性が作中にゆるやかに行き渡り、神経の軋みがようやくおさまったという境地か。」「最後の、ある朝、水車が停まりまた人が死んだ、という感動の仕舞いは、どんなものか。この二つの死の、時差のほうに、せっかく表現に苦しむ者なら、力をかけるべきなのだ。」
選評出典:『芥川賞全集 第十四巻』平成1年/1989年5月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』平成1年/1989年3月号)
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