杜氏さんインタビュー

杜氏の高橋勝男さん
杜氏の高橋勝男さん
南部関の杜氏は、地元石鳥谷町出身の高橋勝男さんです。高橋さんは現在、岩手県内で2番目に若い南部杜氏です。高校を卒業後蔵入りして30余年、<南部関>一筋に歩んできました。20代で杜氏資格を取得し、10年ほどで<頭>に抜擢。ひたすらに酒造の道を進み続けてきた高橋さんに杜氏になったきっかけや仕事上の信条などについて伺います。

最も大切な<素材>に最大の注意を払う

高橋
 最初から杜氏を目指していたわけではなかったのですが、自分よりキャリアのある蔵人たちに負けたくないと検定を受けて、合格してしまったんです。負けん気は強かったのでしょう。酒造りで一番注意していることは、「出麹のタイミング」と「掛け米の硬さ」だと思う。米の味を引き出す見極めが難しく、数値化できない勘が大事なんです。

 米は素材として最も重要ですから、県内外の酒造好適米を使用します。その年の出来具合のよしあしよりも品種の違いが重要です。また仕込み水ももちろん重要で、私たちは敷地内から汲み上げた地下水を使用しています。水質は中軟水で、ゆっくりと低温発酵させるにはちょうど良いと思います。酒の60〜70%は水ですから、水に合った酒造りをしないと良い酒はできません。蔵の水を知ることです。

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志を高く、ともに理想のお酒を追究する蔵人たちとともに。

蔵人を気づかい、現場中心主義で。


高橋 
杜氏が自分の仕事に納得できなければ何もなりません。納得することは責任もとることになりますから、とにかく杜氏は常に現場で働くようでなければダメ。その点で、私は麹師も兼務しています。

 また、蔵人たちの能力を引き出し、チームワークを形成していくことも杜氏の重要な職分です。酒造りというのは思いのほか重労働なんです。蔵人たちも年々高齢化しています。ですから、酒蔵としては珍しいかもしれませんが、夜にゆっくり休養してもらうために通勤する場合もあります。

 酒ですか? 私が選ぶとすれば、大吟醸<品評会の酒>です。香りと味のバランスがとても良く、口当たりが軽くて飽きることがありません。自信を持ってお勧めできます。


南部杜氏の里で酒造りに携わる者のプライドと、信念をもって一本の道を歩み続けてきた誇りとが強く感じられるお人柄の、高橋勝男杜氏でした。