私のシネマ館 第2話 ミッション・インポッシブル

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 ある程度以上の年代の人にとっては懐かしい、かつてのヒットテレビシリーズ「スパイ大作戦」の映画化第2弾。

 冒頭「おはようフェルプス君」で始まる実行困難な指令を、4,5人のチームでスパイが遂行して行くというストーリーだが、派手なアクションよりも、緻密に計算された心理作戦、予想外の出来事で迫る危機を乗り越える主人公の活躍にハラハラしたものだった。

 今から思うと、アメリカ中心の価値観に基づく指令で、他国の主権を無視し、内政干渉とも言うべき陰謀の数々とも言うべきストーリーだったが、当時こどもだった私は、そんなことを思うこともなく、単に娯楽として結構楽しんだものだ。

 「例によって君もしくは君のメンバーが捕らえられ、或いは殺されても、当局は一切関知しないからそのつもりで。なおこのテープは自動的に消滅する。」という声優大平透独特の口調での指令、マッチで導火線につけられた火が画面を横に走っていくタイトルバックに歯切れのよいテンポのテーマ・ミュージック、テンポあるストーリー展開が緊張感をかもし出していた。

 今でも、時間に間に合うかどうかギリギリのときなど、時計を見ながらこのテーマを口ずさんでしまうほどだ。

 最近ハリウッドでは、かつてのヒットテレビ番組を映画化することが多いようだが、主演兼製作のトム・クルーズも、テレビ版への愛着が強いと言う。第1作のオープニング・シーンなどは、かつてのテレビ版そのもので、「つかみ」としては完璧と言ってよい。

 しかし、第1作で本来の主役であったリーダーのジム・フェルプスが仲間を裏切った悪役として死んでしまい、映画版での主役はトム・クルーズ演ずるイーサン・ハントという人物になっている。

 映画化にあたって独自性を打ち出すためだろうが、テレビ版のファンだった者としては、フェルプスという主役のキャラクターには手をつけずにいて欲しかったような気がする。

 その点はともかくとして、第1作の悪役が元リーダー、第2作の悪役が元同僚ということで、ソ連崩壊後のアメリカの「ライバルのいない悩み(?)」を感じさせる。

 そう言えば、ピアーズ・ブロスナンが新ジェームズ・ボンドに抜擢された007シリーズ第1作「ゴールデン・アイ」でも、敵役はボンドのかつての同僚だった。

 ソ連崩壊後、アメリカ政府は「ごろつき国家」への対応の準備の必要を説き、日本政府は北朝鮮のミサイルの脅威を説く。

 アクション映画と現実の軍隊には「敵役」がどうしても必要であるという点で何故か似ている。

 もっとも、前者は楽しめるが後者はいただけないという大きな違いがあるが。

 第1作はブライアン・デ・パルマ監督でサスペンス・タッチだったが、今回のパート2は、ジョン・ウー監督の華麗なアクション。香港でのアクション映画からハリウッドに進出し、活躍目覚しい監督だが、残念ながら香港時代の作品は予告編くらいしか観たことはないし、ハリウッド進出後の作品でも、「フェイス・オフ」はみそこねた。わずかに「ブロウクン・アロー」を観ただけである。
 つまりわずか2作品にしか触れていないのであるが、その個性は強烈である。

 全編を流れる哀愁を帯びた音楽をバックに流れるようなカメラ・ワーク。スロー・モーションを多用した舞のようなアクションとスタイリッシュな演技と演出。それでいて歯切れのよい展開。
 定番とも言うべきシーンは、主人公が横っ飛びに飛びながら両手の銃を連射するスロー・モーションのシーン。

 娯楽作品としては結構楽しませてくれるが、これだけ個性が強いと、そのうち飽きが来るのではないかと、余計な心配もしてしまう。

 さて、ここでも題名について一言。

 言うまでもなくかつてのテレビのヒット作の映画化だが、さすがに20世紀も終わろうとしている今日、「スパイ大作戦」という当時のタイトルは時代遅れの感があるのだろう、原題をそのままカタカナにするという、いつもの安易な方法がとられている。

 しかし、日本人にとってピンと来にくいタイトルには違いない。

 直訳すれば「不可能な任務」となろうが、映画の題名にふさわしい邦題を、あなたならどうつけますか。

 ちなみに、第1話で紹介した「勝手邦題」というウェブでは、「無理難題」という案があった。これではハリウッド製アクション映画というより一昔前のクレージーキャッツの映画みたいで、思わずクスッと笑ってしまった。