雨男(北海道・Tさん)


僕がが小学生の頃、雨男の話というのが流行りました。

口裂け女や人面犬のような物です。

雨男と言うのは雨の日に現れる妖怪で、紺色に黄色の4本線が入ったジャージを着て、肩に大きな袋を担ぎ、雨の中、傘も差さずに立っているのです。

身長は2メートル近くあり、腕は物凄く太くて、着ているジャージには黒い染みが沢山ついていて、物凄く臭いと言われていました。

雨男の顔は、見ても覚えておく事が絶対出来なくて、雨男に遇った人も顔だけはどうしても忘れてしまうのだそうです。

また、写真に撮っても雨男の顔だけはどうしてもボケて映らないという話でした。

なので、普段雨の降っていない日に雨男に遇ってもそうとは判らず、その所為で警察に捕まらないのだそうです。

もし雨男に遇ってしまったら、傘を深くかぶり、けっして口をきいてはいけません。

運悪く雨男に顔を見られたり、うっかり声を聞かれたりすると、雨男は家までついて来るのです。

そして夜中に家に忍び込んで、さらっていってしまうという事でした。

聞いた話では、雨男に遇ったら真っ直ぐ家に帰らずに、一番大好きな友達の家に寄って、台所で西を向きながら、頭から塩をかけてもらうと、雨男はどこかに行ってしまうという事でした。

特に木曜日に雨が降ると危ない、と言われていました。

色々な噂があって、ある少年が雨男に遇い、友達の家で塩をかけたのだけれども、その友達が一番の友達ではなかった為にさらわれてしまった、という噂もありました。

ある時、中学校の美術の先生が、生徒たちがあまりに騒ぐので、木曜日の雨の日に雨男を探しに行き、そのまま行方不明になってしまったという話を聞きました。

心配した同僚の先生が、その美術の先生の家に行って見ると、家はもぬけの空で、窓が開け放しになっていて、部屋の中がびしょ濡れになっていたそうです。

机の上に開かれたままのスケッチブックが一冊置いてあり、そこには雨男の似顔絵が描いてあったそうです。

袋を担いだジャージ姿の男の絵で、他の部分は良く描けているのですが

顔の部分だけは
 奇妙にのたくった線が
  何本か引かれているだけだったと言います。

実際、ある木曜日の雨の日に友達が急にやって来て、泣きながら、早く塩をかけてくれ、と言われた時には、随分気味が悪かったのを覚えています。

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