N.K.B.の紹介

記:大 久保和子 & 大城悦子    

         NKBの発足

 大学卒業後20年近い1987年、法律学科L組( 昭和44年卒 )の担任で あった中谷瑾子慶応義塾大学名誉教授に有難いご鞭撻の言葉を頂いたことに啓発され、会が発足。
 先生は「 子育てもそろそろ終わりという女性が、 大学は出たけれど何も社会に役立てていない。 意欲があるのなら再教育してあげます。」とまで言われました。   L組の女性有志を中心に10人が集まり、月1回の例会というペースでスタート。  会の名称は「中谷先生を囲む勉強会」NKB(中谷のN、囲むのK、勉強のB)と決定。中谷ゼミの2,3年先輩OG,10年先輩OGの入会を得て、現在会 員19名となっています。
 中谷瑾子先生は刑法学者ですが、近年は臓器移植問題・生殖医療問題・精神医療問題等の「医事法」と生命倫理の問題にウェイトを置かれ、研究と活動を続け ていらっしゃいます。
 先生がお持ちの貴重な最新情報を頂戴し、レポーターの報告形式で学習を始めました。
 NKBのこれまでの活動は、以下の3期に分けられますので、紹介いたします。

第1期( 「臓器移植法案」試案作成まで )1987年〜1993年

 当初は、「特別養子法」(1988年施行)など新しく成立した各種法律につい て、レポーターの報告をもとに、法制定の経緯・内容・新たな問題点を勉強してきました。そこに中谷先生のご示唆もあり、次第に皆の関心が医事法・生命倫理 問題に集約されるようになってきました。  この分野での体系的な基礎知識を得るため、『法と医の倫理』(J.K.メイソン・R.A.マッコールスミス著)を輪番購読、レポート発表を行いました。
更に、慶応義塾大学で以前より開催されておりました法律・医学の一流の学者によるシンポジウム「医療をめぐる法律問題研究会」に、オブザーバーとして出席 することを許可していただきました。
 また、山田卓生横浜国立大学教授(当時)の「私事と自己決定」に関するご講演 等、多くの先生に直接教えを頂く機会に恵まれました。
 次いで、当時制定に向け論議が盛んであった「臓器移植法(案)」について、医 学・法学の専門家ではない一般生活者の視点に立った「NKB試案」を作成すべく、さまざまな角度から取り組んできました。
 具体的には、佐倉腎センター見学、国別比較表作成、学者の試案情報収集、条文作成、検討推敲、発表という過程です。
 「NKB試案」の第1の特徴は、「ドナーの同意」の同意は不可欠としたところ です。現実味が薄いと批判があろうとも、一国民の立場、感性を代表したという自負がありました。   

 

第2期(老人問題への取り組み)1994年〜1996年

 老親を介護する会員が増え、NKBとして老人問題に取り組もうという気運が高 まりました。
福祉制度としての老人ホームのしくみ・実体の資料収集を行い、公的介護保険の内容・必要性・問題点については、昭和大学付属烏山病院CP岡部紘一氏に「在 宅介護のありかた」、千葉大学教授新井誠氏に「老いの現実」をご講演いただくなど、法律ができる前から勉強してきました。
社会的弱者となりうる老人の人権を如何にして保護するかを学習していくなか で、「成年後見法」の勉強にも発展しました。
 また、メンバーの中には大学院マスター終了という人も数人いるが、この時期から大学院に通い始め、マスターどころかドクター・コースにまで進むという快 挙を成し遂げた人がいます。


 

第3期(「生命倫理資料集」作成の試み)1996年〜2000年現時点

 会の創立メンバーが大学卒業以来30年、1987年11月にNKB発足以来か なりの歳月を経て、この辺で 今までの勉強の纏めをしてはどうかとの意見が出て、検討の結果「生命倫理資料集」作成を試みています。
 不妊治療の問題など、各国の比較、英国法の翻訳の試みたり、クローンの情報収集など、各界で発表されるものを追いかけて行くのも現実の勉強でした。
 生・老・死の班に分かれて取りかかりましたが、この分野は刻々と変化が目まぐ るしく、ここで纏めてしまうより、更なる勉強を続けるべきではないかという意見が強まり改めて「生」の分野を勉強し直して現在に至っています。
 なお、前述の大学院ドクター・コースに進んだメンバーは、法学博士号まで取得し、現在大学教授として活躍しています。