幸福の黄色いハンカチ

 北海道が舞台で、釧路をはじめ、網走から夕張まで観光気分も味わえる。でも決して北海道の自然の魅力を美しい映像で表現しているわけでもない。では、ストーリーがいいのかというと、悪くはないが、そんなにいい脚本だとも思わない。確かにラストは泣かせるシーンである。でも、それまでのストーリーはそれほど盛り上がらない。単純すぎるくらいである。それでもこの映画に魅力を感じるのは、きっと3人の出演者なのだと思う。
 女にふられて一人で北海道まで新車のマツダ・ファミリアで行く花田欣也を演じる武田鉄矢。ナンパされてその車に同乗する朱実を演じる桃井かおり。そして網走刑務所を出所して偶然同乗することになった島勇作を演じる高倉健。この非常に個性の強い3人が旅をするのである。この組み合わせを誰が考えたのだろうか。この3人がいたからこそ、自然豊かな北海道の風景がなくても、ラスト以外たいしたことのない脚本でも傑作と呼べるほどの映画になったのだと思う。

 とは言うものの、ちゃんと北海道の春は映っている。フキノトウやタンポポ。そして残雪の山々がところどころに映されている。小清水原生花園や阿寒にも観光で寄っている。
 北海道ブームがいつからあったのか知らないが、きっとこの映画の影響もあったんじゃないかと思う。

 そういう私は、この映画を観たからというわけではないと思うが、でも無意識にこの映画で観た北海道を多少はイメージしていたのかもしれないが、夏に二度訪れている。一度目はワンゲルの夏合宿で2週間、山以外にはどこにも寄らずに行ったのだが、二度目は一人で車で一ヶ月半ほど行ったのである。そして利尻、礼文、知床、大雪、阿寒などで山にも登り、夏の北海道を満喫した。

 3人の出演者以外は、『男はつらいよ』シリーズで顔なじみの面々である。倍賞千恵子や渥美清まで出ている。

 1977年日本アカデミー賞作品賞、主演男優賞、助演男優賞、助演女優賞、監督賞、脚本賞、同年ブルーリボン賞作品賞、主演男優賞、助演女優賞、監督賞を受賞している。

評価:69点

【監督】山田洋次
【脚本】山田洋次、朝間義隆
【原作】Pete Hamill ピート・ハミル
【撮影】高羽哲夫
【音楽】佐藤勝
【出演】
 高倉健(島勇作役)、
 武田鉄矢(花田欽也役)、
 桃井かおり(小川朱実役)、
 倍賞千恵子(島光枝役)、
 渥美清(渡辺課長役)、
 たこ八郎(帯広のヤクザ風役)、
 太宰久雄(旅館の親父役)、
 岡本茉利(ラーメン屋の女の子役)、
 笠井一彦(検問の警官役)、
 小野泰次郎(農夫役)、
 赤塚真人(チンピラ役)、
 統一劇場(フォーク・グループ役)、
 梅津栄、三崎千恵子、里木佐甫良、河原さぶ、山本幸栄、川井みどり、長谷川英敏、谷よしの、羽生昭彦
【製作】松竹
【上映時間】1時間48分
1977年作品

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