過少申告の場合であっても、税理士に過失がある場合は保険会社を免責させないとの最高裁判決を受けて、税理士賠償保険は、さらに役に立たない保険に変質しました。現時点での約款を紹介します。
税理士職業危険特別約款
第1条(当会社のてん補責任)
当会社は、賠償責任保険普通保険約款(以下「普通保険約款」といいます。)第1条(責任の範囲)の規定にかかわらず、被保険者が、日本国内において税理士としての業務(被保険者が税理士法人である場合は税理士法人としての業務をいいます。以下あわせて「業務」といいます。)の遂行にあたり、職業上相当な注意をしなかったことに基づき提起された損害賠償請求(以下「請求」といいます。)について、法律上の損害賠償責任を負担することによって被る損害をてん補します。
第2条(被保険者の範囲)
この特別約款において、被保険者の業務の補助者たる税理士(被保険者が税理士法人の場合は、当該税理士法人の社員または使用人である税理士)は、被保険者の補助者として業務(被保険者が税理士法人の場合は、当該税理士法人の業務)を行う限りにおいて被保険者とします。
2 前項の規定は、この特別約款の規定をそれぞれの被保険者ごとに個別に適用するものではなく、また、普通保険約款第2条(損害の範囲および責任の限度)第2項および第3項に定める当会社のてん補限度額または免責金額を増額するものではありません。
第3条(業務の範囲)
この特別約款において、「業務」とは、被保険者が行う(履行補助者として行う場合を含みます。また、被保険者が税理士法人のときは、当該税理士法人が税理士法第48条の5の規定に従って行う場合及び同法48の6の規定によって事務の委託を受ける場合を含みます。)次の仕事をいいます。
(1) 税理士法第2条第1項第1号に規定する税務代理
(2) 税理士法第2条第1項第2号に規定する税務書類の作成
(3) 税理士法第2条第1項第3号に規定する税務相談
(4) 前3号の業務に付随して行う財務書類の作成または会計帳簿の記帳の代行
(5) 税理士法第2条の2に規定する裁判所での補佐人としての陳述
第4条(保険期間と保険責任の関係)
当会社は、普通保険約款第3条(責任の始期および終期)第1項に掲げる保険期間中に、日本国内において、被保険者に対し請求が提起された場合に限り、損害をてん補します。
第5条(免責−その1)
当会社は、過少申告加算税、無申告加算税、不納付加算税、延滞税もしくは利子税または過少申告加算金、不申告加算金もしくは延滞金に相当する損害につき、被保険者が被害者に対して行う賠償債務の弁済としての支出については、てん補しません。
2 当会社は、次の各号に掲げる本税(累積増差額を含みます。)等の全部または一部に相当する金額につき、被保険者が被害者に対して行う支払い(名目のいかんを問いません。)については、被保険者もしくは納税者(法人である場合はその使用人も含みます。)の不正行為の目的の有無、または被保険者の税制選択上の過失の有無もしくはその他の過失の有無を問わず、これをてん補しません。
(1) 納税申告書を法定申告期限までに提出しなかった場合に期限後申告・更正・決定等により納付する本税
(2) 法定納期限までに全部または一部を納付しなかった場合の本税
(3) 納付すべき税額を過少に申告した場合に修正申告・更正・決定等により納付する本税
(4) 還付をうけるべき還付金の額に相当する税額を過大に申告した場合に、修正申告・更正・決定等により、還付を受けられなかった税額および納付する本税もしくは還付申告が無効とされた場合(還付申告を取下げた場合を含みます。)に還付を受けられなかった税額および納付する本税
3 前項において、納付すべき税額または還付をうけるべき還付金の額に相当する税額とは、当該申告の法定申告期限において満たされている要件に基づき租税法により定められる税額をいいます。
本税について賠償保険の適用があるのは次の通りでしょうか。
期限後申告━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━(1)×
期限内申告┳━ 過少申告┳━ 利益の計上漏れの過少申告━━━━━━━━ ×
┃ ┗━ 税理士ミスの過少申告━━━━━━━━━━(3)×(注1)
┣━ 過大申告━━ 売上の過大計上━┳━ 期限内に納付━━━ ○(注2)
┃ ┗━ 期限内未納付━━━(2)×
┗━ 過大申告━━ 特例の選択ミス━┳━ 期限内に納付━━━ ○(注3)
┗━ 期限内未納付━━━(2)×
還付請求 ┳━ 過大還付請求をしてしまった┳━ 修正申告で訂正━━━━(4)×
┃ ┗━ 更正決定で訂正━━━━(4)×
┣━ 期限経過など還付申請にミスがあった場合━━━━━━━━(4)×
┣━ 期限経過などの理由で還付申請を取り下げた場合━━━━━(4)×
┗━ 期限経過などの理由で還付申請を行わなかった場合━━━━(4)×
消費税の簡易課税選択不適用届を提出すべきところ、提出したと勘違いし、過少申告をした場合 …… 救済されない(注1)
計算ミスによる過大申告をして、期限内に納付した場合に、更正の請求期間が経過し、減額更正が受けられなかった場合 …… 救済される(注2)
消費税の簡易課税選択不適用届を提出すべきところ、提出を失念したが、それに気がついて適正な申告をして、かつ、期限内に納税した場合 …… 救済される(注3)
第6条(免責−その2)
当会社は、直接であると間接であるとを問わず、普通保険約款第5条(免責)および第6条(免責)に規定する損害のほか、被保険者が次の賠償責任を負担することによって被る損害をてん補しません。ただし、普通保険約款第6条(免責)第2号の規定は、本条第5号ただし書の場合は、これを適用しません。
(1) 被保険者(被保険者が税理士法人の場合は、当該税理士法人の社員または使用人である税理士とします。4号の場合を除き、本条において以下同じとします。)の犯罪行為(過失犯を除きます。)もしくは不誠実行為または当該行為が法令に反することもしくは他人に損害を与えるべきことを認識しながら(認識していたと判断できる合理的な理由がある場合を含みます。)行った行為(不作為を含みます。)に起因する賠償責任
(2) 被保険者が、不正に国税もしくは地方税の賦課もしくは徴収を免れ、または不正に国税もしくは地方税の還付を受けることにつき、指示をし、相談に応じ、その他これらに類似する行為を行ったことに起因する賠償責任
(3) 被保険者が、故意に、真正の事実に反して税務代理または税務書類の作成をしたことに起因する賠償責任
(4) 被保険者が、税理士となる資格を有せず、または日本税理士会連合会に備える税理士名簿に登録を受けずに(税理士業務の停止もしくは禁止処分を受けた場合または税理士名簿の登録を取り消しもしくはまっ消された場合を含みます。以下本号において同様とします。)行った行為(被保険者が税理士法人の場合には、税理士となる資格を有しない者または日本税理士会連合会に備える税理士名簿に登録を受けない者に被保険者が行わせた行為)に起因する賠償責任
(5) 他人の身体の障害(障害に起因する死亡を含みます。)または財物の滅失、き損、汚損、紛失もしくは盗難に起因する賠償責任。ただし、第3条(業務の範囲)第1号または第2号の業務のために被保険者が受託する財務書類、会計帳簿等の滅失、き損、汚損、紛失または盗難に起因する申告、申請、請求、届出その他書類の提出もしくは納付に関する期限の徒過に対する賠償責任を除きます。
(6) 重加算税または重加算金を課された事案に起因する賠償責任
(7) 名誉き損に起因する賠償責任
(8) 税理士業務報酬(日当、旅費および宿泊料を含みます。)の返還にかかる賠償責任
(9) 業務の結果を保証することにより加重された賠償責任
(10) 保険契約締結の当時、保険契約者または被保険者が、保険期間開始前に発生した原因または事由により、保険期間開始後、被保険者に対し第1条(当会社のてん補責任)の請求が提起されるおそれのあることを知っていた場合もしくは過失によってこれを知らなかった場合において、当該原因または事由によって生じた賠償責任
(11) 情報の漏えいに起因する賠償責任
弁護士賠償保険約款(免責)
(7) 過少申告加算税、無申告加算税、不納付加算税、延滞税、もしくは利子税または過少申告加算金,不申告加算金もしくは延滞金に相当する普通約款第2条第1項第1号の損害
(8) 《1》 次のイ〜二に掲ける本税(累進増差額を含みます。)等の全部または一部に相当する金額につき、被保険者が被害者に対して行う支払(名目のいかんを問いません。)。ただし、被保険者もしくは納税者(法人である場合はその使用人も含みます。)の不正行為の目的の有無、または被保険者の税制選択上の過失の有無もしくはその他の過失の有無を問いません。
イ.納税申告書を法定申告期限までに提出しなかった場合に期限後申告・更正・決定等により納付する本税
ロ.法定期限までに全部または一部を納付しなかった場合の本税
ハ.納付すべき金額を過少に申告した場合に修正申告・更正・決定等により納付する本税
ニ.還付を受けるべき還付金の額に相当する税額を過大に申告した場合に、修正申告・更正・決定等に、還付を受けられなかった税額および納付する本税もしくは還付申告が無効とされた場合(還付申告を取下げた場合を含みます。)に還付を受けられなかった税額および納付する本税
《2》 前《1》において、納付すべき税額または還付を受けるべき還付金の額に相当する税額とは、当該申告の法定申告期限において満たされている要件に基づき租税法により定められる税額をいいます。
 |