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ジンバブエ通信 2003年12月
こちらで生活していて不思議に思う事がいろいろとあります。今回は身近なジンバブエでの「生活七不思議」について、私の回りから見ての独断と偏見にてお伝えします。
■ジンバブエ 生活七不思議
○その1−ガソリンがなくとも車が走る不思議
昨年の10月頃からガソリン(ディーゼルも同様)が不足してきました。最初の頃は、数時間から数日間ガソリンスタンドに並べは、なんとか買う事ができたのですが、それも今となっては恵まれていた時代だったと懐かしく思い出します。今はガソリンスタンドで待つ車の行列すら見なくなりました。
ところが車の方と言えば、減ってはいると思いますが、町の中ではいつもと同じように走っているわけです。私などはガソリンがなく、仕方なく危険を承知で歩くことも多いのですが、今でも白人やインド人が道を歩いているのはまず見ません。
これだけの車が、ガソリンスタンドではガソリンは全く売っていないのに、どうやって走っているのか? おそらく皆、ガソリンスタンド以外の非公式な方法で入手しているのでしょうが、国中の車となるとなんとも不思議な話とは思いませんか?
また、不思議と言えば、ガソリンスタンドでは1年以上もブラブラしている従業員にどうやって給料を支払っているのでしょうか? これも不思議な話です。
○その2−お客様はお客様ではない不思議
今のジンバブエでは物が圧倒的に不足しているので、物を持っている側、つまり売っている側、あるいはサービスを提供する側が圧倒的に優位に立っています。ですから、日本のように「お客様は神様です」なんて思っていると、間違いなく毎日腹が立ちますし、物やサービスを手に入れることができず、生活は成り立ちません。
ここで生活するには、相手にどんなに無礼な態度をされ、トンデモナイ事をされても他に選択するものがないのですから、「お金を払って、商品を売って頂いている」あるいは「お金を払ってサービスを提供して頂いている」と言った謙虚な気持ちにならないといけません。
その一例としては、命を預かる医者や看護婦でも、平気で患者を投げ出して、何週間もストライキを行いますし、これまた我々の命や財産に関わる警備員もお客が危険であろうがお構いなしで、何週間もストライキを行います。
この文を書いている時も郵便局はストライキ3週間目で、仕事でもプライベートでも皆大変困っていますが、郵便局員様が少しでも早くお仕事を再開されることを皆で祈るしかないというわけなのです。
○その3−驚異的な値上げの不思議
スーパーやレストランでよく出くわすのが驚異的な値上げです。たとえば、ある品物がたったの一日で3割、4割の値上げは当たり前、2倍から3倍、時には驚くべき事に6倍や7倍にもなってしまうのです。
いくらジンバブエのインフレが驚異的(年間500%強、来年は700%らしい)とは言っても、それはあんまりだと思う事もしばしばです。例えば、レストランでの値上げの理由が肉の価格の上昇とします。でも肉が急に2倍や3倍もなるはずもなく、またそのコストに占める割合だって、たかがしれているはず。それなのに平気でメニューの価格が何倍にもなってしまうのです。
これが普通の商品だけならまだしも、先日などは公共料金である郵便料金が4倍、水道料金は5倍に値上がりしてしまいました。理由はもちろん??です。
そんなわけで、私自身、昼食を食べにファーストフード行っても値上げのため、手持ちのお金が足りなく、すごすごと食べないで帰ってきた事が何度かあります。(500ドル札がなく、お金がかさばるのでそんなに持っていけなかったのです)
また、やっちーなどは、スーパーで買い物籠に入れたはいいものの、レジでお金が足りなくて、大胆にも商品を戻すことが得意技となってしまったほどです。
○その4−失業率の不思議
政府系の新聞、ヘラルドなどによるとジンバブエの失業率は70%などと言われています。これが反政府系の新聞などによると80%とも90%とも言われているわけです。
もちろん、ジンバブエには先進国のような十分な失業保証の制度があるはずもなく、これらの人はどうやって暮らしているのかと考えると、全然わからなくなってしまいます。
つまり、就業人口の1割の人が9割の人を支えているということにでもなるのでしょうか? そんなことは現実にありえるとは思えないのですが、これが現実わけで、これを考え出すと、頭がこんがらがってくるわけなのです。国民の9割が自給自足しているということなのでしょうか‥。
○その5−お札の不思議
今年になって外貨がなく、お札用の紙もインクも買えないとのことで、お札が銀行にも全くないほどになりました。
その対策として、中央銀行は国内限定のトラベラーズチェックというのを発行しました。使い勝手が非常に悪そうで、とても流通するとは思えませんでしたが、案の上、私などの目には一度も止まるこもなく廃止に。
次に旧500ドル札と全く同じデザインの新500ドル札を発行し始めました。違いは色の違いと銀の帯だけ。けれども旧500ドル札は年末で廃止にするとのこと。(下の写真で上が旧札、下が新札)
大きさも同じでそっくりなお札なので、支払いをしながら区別なんてしていたら、とても商売にならないはずです。つまり、年末になったら旧500ドル札は偽札になるわけで、これは中央銀行が偽札を大量に作っているようなものではないでしょうか。
さらに、期限付きのベアラーズチェックと言うお札もどきの小切手を発行し始めました。私などは、サイズが小さく子供が遊ぶ子供銀行のお金に似ているので、「おもちゃお金」などと呼んでいます。
このベアラーズチェックは最近非常に普及して、額面が大きいので大変重宝しています。これは現金とまったく同じ扱いなのですが、期限付きと言うものです。それも期日が来年の1月、6月となっています。旧500ドル札と同様、期日には大混乱間違いなしに思えます。私には、どうしてこれを期限付きにするかが、とてもとても不思議です。
ちなみにベアラーズチェックはお札と同じ紙に、お札と同じインクで印刷されているそうです。私には期限を付けることは、どうみても資源の無駄に思えます。期限が来れば、またお札が足りなくなると容易にわかるはずなのですが、本当に不思議なお札です。
(左上がベアラーズチェックの5千ドル、左下 1万ドル、右上 1万ドルの裏、右下 普通の50ドル札)
○その6−なんでも盗まれてしまう不思議
私が来てからのジンバブエには泥棒が多く、なんでも盗まれてしまいますので、大抵のことには驚きません。
ところが最近では、高圧電線や数トンもある変圧器まで盗まれてしまうとのこと。どうみても普通の泥棒が盗めるとは思えません。ましてや、そんなもの簡単には売れるわけがないのではないでしょうか?
高圧電線、変圧器だけでなく、水道管、メータ、道路標識、信号、お墓、最悪なのでは線路まで盗まれてしまうとのこと。鉄道を利用する時は、線路が盗まれていないか十分注意しなければなりません。(でも、どうやって!?)
隣国のボツワナでは、ジンバブエからの密入国者が絶えないので、国境に防御のフェンスを作ったら、それまでもジンバブエ人に盗まれてしまったらしいです。恐るべし!
○その7−それでも人々は明るく生活している不思議
これでもかというように物が不足し、値段が上がり、行列やらなにやらで苦しめられているというのに、意外や意外、回りのジンバブエ人は、私からしたら皆元気に明るく大きな声で笑いながら生活しているわけです。私にはこの事がジンバブエでの最大の不思議に思えます。
サザがなかろうが、ガソリンがなかろうが、塩や砂糖がなかろうが、仕事がなかろうが、ジンバブエ人にとっては、このくらい何でもないように見えます。
悲壮感が漂い、いつも昔はよかったと暗い話をしているのは、決まって白人やインド人なわけです。
私に言わせれば、ジンバブエ人は、それこそ雑草のような逞しさを生まれながらに授かっているように思え、この大地さえあれば生活できるのだと思わざるをえないのです。
2003年12月6日(土) 10時 晴れの 自宅にて
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