![]()
ジンバブエ通信 2003年7月
■究極のモノ不足
○お金があってもお金がない!!
以前のジンバブエ通信でも報告したように、主食のミルミル(トウモロコシの粉)、小麦粉、ガソリンなど、現在ジンバブエでは多くの物が不足し手に入りません。「XXがない」と言っても、既に感覚が麻痺していて、大抵の事には驚かなくなっています。ところが、さすがの私も驚くべき事が起きてきました。
それは、ついに「お札」も不足してくる事態となり、一番使われている紙幣である500ジンバブエドルの多くが姿を消したのです。(500ジンバブエドル札がジンバブエの最高額紙幣で実勢レートだと約35円)
これはどういうことかと言うと、たとえ銀行に「お金」があっても「お札」がないので「引き落としができない」という事を意味します。つまり、先進国の様にクレジットカードなんて普及していませんから、お金があっても何も買えない、どこにも行けない、病院にも行けないわけなのです。これこそ「究極のモノ不足」と言ってもいいかもしれません。
大都市では銀行で現金を引き落とすためには、早朝5時、6時から並ぶことも珍しいことではなくなりました。早朝から並んでも引き落とせる保証があるわけではなく、お札が無くなった時点で「はい、おしまい!」となります。先日などはそれに怒ったお客が銀行から帰らず、機動隊が導入されたという冗談みたいな話が新聞に載っていたほどです。
○会社のお金でもこんな具合
先日私は、会社の雑費用のお金を下すために、窓口に1時間並びました。やっと順番が来て下ろそうとしたら、4万ドル、実勢レートの日本円でたった2800円の現金を下ろすのさえも拒否されてしまったのです。私が会社のマネージャーで、しかも会社の小切手だとしても現金が不足しているので、1万ドル、日本円で700円以上を現金化するには、会社のレターが必要になったとのこと‥。
気を取り直し、会社に戻りレターを作って「再度」同じように行列したことは言うまでもありません。そして、やっとのことで受け取ったお金は、ショルダーバックにかろうじて収まる400枚の100ドル札。こうして、私は現金を手にするために半日を潰されることになったのです。
ところで、お金が下ろせたといって安心していては、あなたは「ジンバブエ初心者」と言わざるをえません。不足している物を買うためには、ここがやっとスタート。次は物を買うために町中を探し回り、行列して、さらに支払うために行列する必要があるのですから‥。
○不足の原因と現状
500ドル札不足の原因は、まず年間500%(体感では700%くらい!)に及ぶハイパー・インフレーションです。単純に計算して、年間に物価が5倍にもなっていますから、お札も5倍必要なわけです。ところが、外貨が不足しているので、印刷用の紙とインクも買えないとのこと。
対策として中央銀行は11月末に1000ドル紙幣を発行するとのことですが、1000ドル紙幣では焼け石に水に違いありません。一万ドル札、10万ドル札があってもおかしくはないのですから。
そんなわけで買い物には、膨大な枚数の100ドル紙幣や50ドル紙幣が使われています。(首都ハラレでは80年代に使われていた20ドル札が復活したとか‥)
100ジンバブエドルが日本円だと7円くらいですから、例えて言うなら、7円札だけで毎日の買い物をしていることになります。ですから財布というものは、もはや全く役に立たたなくなりました。実際、私の財布はお札の厚さに耐えられず、とうの昔に壊れてしまいました。(写真は5万ドル、約3500円)
今、財布代わりに毎日お世話になっているのが、「太い輪ゴム」と「ダンボール箱」です。買い物に行く時には輪ゴムで束ねた100ドル札の束を財布代わりのダンボールに詰め込んで持って行きます。レジでは、店員がその何百枚ものお札をお客ごとにいちいち数えるのですから、そこにも長い長い行列ができると言うわけです。
参考までに闇両替(実勢レート)でUS100ドル札一枚を両替すると、なんと約2000枚の100ドル札となってしまいます。運が悪いと4000枚の50ドル札!これを大金持ちとでもいうのでしょうか‥。(笑) こうなると持ち運ぶためには、ダンボール箱やリュックサックが必須アイテムになります。私のお薦めは、肩の凝らない登山用リュックです。
ダンボール箱に入った2000枚(約2.5キロ)の札束と同じ価値の1枚1グラムのUS100ドルを見比べれば、あなたもきっとため息が出てくる事間違いありません。
ちなみに左の写真は本日の私の財布の様子。1400枚で14万ドル、日本円で約9400円で重さは1.8キロなり!!!
2003年7月6日(日) 9時 曇りの自宅にて
戻る