ライン

 ジンバブエ通信 2003年4月

■ジンバブエ人的特徴紹介 2

 2002年8月号で「ジンバブエ人的特徴紹介」を紹介しましたが、今回は続編をお届けします。 あくまでもムタレでの私の回りの人からの独断と偏見によるものです。

その4 ジンバブエ人的修理 − 修理に出すと故障する! −

 とにかく呆れるぐらいこちらではパソコンが故障します。原因は、電圧が安定しない事、土埃が多い事などが上げられると思います。 

 そんなわけで、仕事柄、よくパソコンを修理に出すのですが、私の経験から言って、日本のようにお気軽に修理に出しては『トンデモナイ』ことになってしまいます。というのは、「直せなかった」とそのまま戻ってくれば問題ないのですが、ちょっと油断をすると、いろいろな部品がなくなったり、部品が入れ替わったりして戻ってくるわけです。つまり、ますます具合が悪くなって戻ってくる事もしばしばなのです。

 修理から戻ってきたパソコンを開けて、部品が無くなったことに初めて遭遇した時は、「なんてヒドいコンピュータ・ショップなんだ! まるでハゲタカだ。これからはこの店には絶対修理を頼まない!」と激怒したものです。しかし、その事をそのショップに言っても全く悪びれた様子はなく、もちろん謝るということはありえません。仕方なく他のコンピュータ・ショップに頼んだのですが、結果はほとんど同じです。次々とムタレにあるすべて、5つのショップを試しましたが、どこも似たりよったりなのです。

 そうなるともう自分で直すか、あるいはリスクを覚悟で修理を頼むしか選択の余地はありません。私の自衛策は、修理はなるべくこちらのオフィスで目の前でさせること、また修理に出す前にはパソコンの中を事前に開けて、あらゆる部品のシリアル番号を控えるというものです。こうしておけば無くなったら弁償させられますし、入れ替わっていてもすぐわかります。

 ある日、パソコン・ショップの修理状況を見せてもらいました。それはまるで夢の島を思わせるようなガラクタの山の中での作業なのです。部品が無くなったり入れ替わったりするのは、すべて意図的に盗むのだと思っていましたが、実際は部品がどれだかわからなくなってしまう場合も多いようです。現実に、ある時などはずっと高い部品で戻ってきたことさえもありました。

 ところで、これらのことは他のすべての修理にも当てはまるので、パソコンだけでなく他の修理も気を抜けません。例えば、車を修理や点検に何度か出した事がありますが、白煙もうもうのオーバーヒートなどで調子が悪くなったのは、決まって修理・点検後です。修理がまともに一度でOKになった経験は今まで一度もありません。

 そんなわけで、パソコンや車にかかわらず、毎回修理・点検後しばらくの間はハラハラ・ドキドキで心臓には大変よろしくないのです。

 
その5 ジンバブエ人的モラル − 都合が悪くなると消える? −

 文化的背景が違うので、モラル・常識・倫理観・責任感などの思考が全く違うことは頭ではわかっていても、時にはどうしてなんだと思う事もあります。 ジンバブエ人が会社を辞める時にそのことがよく表れるので紹介します。

 こちらでは会社に対する帰属意識はほとんどないので、社員は少しでもいい待遇の仕事を探しています。これだけなら私が以前住んでいた香港も同じです。けれでも、他の仕事が見つかってからの辞め方には心底呆れることが多いのです。

 規定では、辞表を出してから1ヶ月は会社に留まらなければならないとあります。(反対に首にする時も1ヶ月の猶予がある) ところが、辞める当人達は同僚達が困ろうが、会社が困ろうが、客先が困ろうがお構いなし。あらゆるバレバレのウソで自分の都合のいい言い訳を駆使し、規定を無視します。そして、最悪の時はある日突然自分の仕事を投げ出して、会社に来なくなってしまうのです。自分の形勢が悪くなり、どうにもならなくなると消えるというパターンは、他のいろいろな場面で経験済みです。

 ルールを破る事、同僚の迷惑や会社やお客さんの迷惑などに対する良心の呵責はまるでないようです。また約束は守らなければならないこと、ウソをついてはいけないなどと言った日本人や他の先進諸国の人にとって当たり前のことが、こちらでは全く当たり前ではないようです。

 残念ながら、「自分だけよければ他人はどうでもいい」というのが基本にあるようで、いい例が何かを待つ長い行列があっても、日常的になんの躊躇いもなく割り込みが行われ、注意する人もまずいません。

 世界で通用しないようなこんな行動を見る度、私は一昔前の大好きなドラマ「ひとつ屋根の下で」で江口洋介扮するあんちゃんが言うセリフ、「幼稚園で習わなかったのかい?」という言葉が、あの哀愁漂う主題歌のメロディーと共に口から出掛かり、まるでジンバブエの江口洋介になったような情けない気持ちになるのです‥。(もちろん、すべての人ではありませんが、その割合が高いです)

 ジンバブエ人にとっては先進国に追いつくことが目標ですが、一般の人が基本的なモラル、倫理観、先進諸国的な常識を身につけないことには、はっきり言って国の発展は難しいのではないかと思っています。もちろん、ジンバブエ人が先進諸国のような発展を望まないで、昔ながらの村で自給自足の生活でいいのなら話は別です。

 私に言わせれば、各国から多く技術援助が行われていますが、それ以前に幼稚園などでの教育こそが、ジンバブエにとって真に必要な事ではないかと思うこの頃です。

 余談ですが、先日知合いのアフリカ大学で経営学を教えているインド人の教授から夕食に招待されました。夜7時というので、その時間に教授の家に行ったら「ジンバブエ人では考えられない! やはり日本人は違う!!」と大感激されてしまいました。あまりに嬉しかったのか、それから延々と数時間、日本を例にしたアジア経営学、日本を含めたアジアはすばらしいと言う、かなりアカデミックな夕食になってしまいましたが‥。


その6 ジンバブエ人的忍耐 − 3日並ぶのもなんのその‥ −

ガソリンスタンドの行列 以前にも紹介したように超インフレ、生活必需品の不足はそのまま延々と続いています。とにかくジンバブエ人は、私もつくづく関心するくらい忍耐強いです。例えば主食のミルミル(トウモロコシの粉)なんて、1年以上も店では売っていないのです。これは日本人からすれば、米が米屋やスーパーから無くなって1年以上もたったことを意味します。今の日本人だったら、石油ショックでトイレットパーパーが不足した時ですらパニックでしたから、とっくに暴動、米一揆でも起きているに違いありません。

  物価の比較
             1年前   半年前   現在
  米2キロ      Z$300   Z$800    Z$2000
  ビール(小ビン) Z$60    Z$120    Z$360
  小チョコレート   Z$30         Z$90    Z$210
  21インチテレビ Z$10万   Z$30万   Z$55万
  パソコン            Z$30万   Z$80万   Z$180万

 いわゆる生活必需品、食用油、小麦粉、塩、砂糖、パン、ミルク、あらゆるものを普通に買おうとすれば売りそうな時に並ぶしか方法はありません。ですからジンバブエ人はとにかく忍耐強く並んでいます。暇な人が多いとも言えますが‥。

 私達にとって一番辛いのがガソリンです。ガソリンなどは普通の値段で買うためには、3日は並ばなくてはならないのです。私は一度2時間まで並んでみましたが、この炎天下、これは経験しないとわかりませんが、まさに灼熱地獄の拷問でした。それ以来、私はガソリンを求める行列を見ても全く戦意を失い、「並んでみようか」とさえも思わなくなってしまいました。それを「ガソリンがなくて大変だねぇ」なんて言いながら、並んでしまう忍耐力には私はもう脱帽するしかありません。 

 そのようなわけで、私はこの4ヶ月間以上、ガソリンをガソリンスタンドで買えないという生活をしているのです。私もジンバブエ生活1年になりますが、ここに住むとあらゆる面で自分の忍耐力が厳しく鍛えられてきていることがわかります。これは喜ぶべきでしょうか‥。


2003年4月3日(木) 晴れの自宅にて

トップ アイコン
戻る
ライン