アフリカ体験(ケニア編4) - 4

          -- 青年海外協力隊 --


■ツルカナ湖遠征隊

 ナチョラからツルカナ湖へは距離にして約150キロ、道はますます険しくなることが予想された。さらに無気味なことには、内戦の続くソマリアからは兵隊崩れの盗賊が出没するのだそうだ。彼らは銃を持っているので、もし襲われれば こちらが車に乗っていても危ない。遠征隊のメンバーは8人、Tさんのお子さん も含まれているので危険はできるだけ避けなければならない。I先生やMさんに 相談したところ、銃を持ったポリスを連れて行った方がいいとのことで、ナチョ ラで一人雇うことにした。

 遠征の前日に会ってみると、ポリスは1メートル以上 もある銃を持ち、ベレー帽に迷彩服、そしてブーツに身を包んでなかなか勇まし い。もちろんツルカナ湖にも行ったことがあるとのことなので、道案内としても 申し分無いように思われた。

 早朝ひんやりとした空気の中で目覚めた。さあ、いよいよ今日は念願のツルカ ナ湖である。I先生が朝風呂を薦めるので、その言葉に甘えることにした。お風呂は、前日まで川のそばにあったのだが、今は小高い丘の上の新しい建物の隣に ある。水はわざわざ干上がった川底を掘って汲み丘の上まで運んだもので、ここでは最高の贅沢と言える。お風呂はドラム缶でできており、その下で薪を燃やして暖めるようになっている。ほとんど囲いもないシンプルな作りだが、そのおか げでお湯に浸かりながら、雄大なリフトバレーの景色を見下ろすことができるの だ。

 ドラム缶風呂なんてはじめてなので少し抵抗があったのだが、一度お湯に浸かるとあまりの気分のよさとその景色のすばらしさに、そんなことはすっかり忘れ てしまった。目の前には川に沿って続く緑、赤茶けた大地、延々と続く遠くの山 並み、真っ青な空と目覚めたばかりのオレンジ色の太陽、光の具合で空に浮かぶ 湖を思わせる雲が広がっていた。それらが一つになって作り出す大パノラマは、 何ともいえないものがあった。首までお湯に浸かり地平線のかなたを眺めている と、時間が止まっているように感じられまさに極楽であった。

 8時になると、2台の車に分乗して私達は出発した。途中はまばらに草と小さ な木がどこまでも続く平原だ。平原と言っても高低の差があってところどころに 山があり、遠くの山は靄に霞んでいる。平原の低い部分には川の跡が残り、車は その鍋の底のような部分を通らなければならない。窪地を乗り越え丘の上に出た 時の景色は、壮観の一言と言ってよいものだ。広大な大地ではツルカナ族が何十 頭ものラクダを放牧していたり、ダチョウがダンスをしていたり、サンブル族と 思われる人々が歩いていたり‥‥。そして私達の目指す道は、その赤茶けた大地 の中を幾分白っぽい線となって地平線まで続いているのだ。


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