アフリカ体験(ケニア編4) - 2
-- 青年海外協力隊 --
■人類の祖先、発掘現場
「祝う会の一行」は、2台の4WDに分乗しキャンプを出発した。まず、キャンプのそばの幅が50メートル程の川を渡る。雨期が終わったので、川には水はな
い。この地は乾期には日中の気温が40度を越すという所である。川底の所々に
は直径が1メートル程の水たまりが見える。これは、キャンプで使う水を汲むた
めのものである。
川の回りにはアカシアなどの木があるが、川を越えると乾燥し
た原野が延々と続く。緑というのはほとんどなく、かすかに背の低い草が地面へ
ばりつくようにあるだけだ。時々土でできた円筒形の柱のようなものが見えるの
がアリ塚である。しかしまあ、遊牧民であるツルカナ族はよくもこんな環境のと
ころに生活するものである。私はつくづく感心してしまった。
険しい山々見ながらドライブすること約20分で、目指す発掘現場に到着した。
ところが私のような素人の目には、発掘現場といっても他の原野と全く変りない
石ころだらけの場所なのだ。発掘のための巨大な穴でもあるのだろうと思っていたが、それは間違いであった。
さっそく一行は、I先生がこの辺だという場所を探し始めた。私もはるばるナ
チョラまで来たのだから、化石の一つでも見つけようと必死である。あちらこち
らには、大理石を思わせる石がごろごろしている。それはなんと900万年前の
木の化石で珪化木というものであった。よく見ると断面には木の年輪まで見え
て、なかなか美しい。
私は今度はどうしても生物の化石を見つけたくなってしまった。それは他の人達も同じで、少し変わった石があると次々に先生に見てもらう。こうなると、ど
れもこれも化石に見えてしまうから困ったものだ。素人にはかなり難しいのだが、
先生がちょっと真剣に探したらカメの甲羅の化石を見つけてしまった。
土器の破 片の様にも見えるが、ガラス質の黒い物体はよく見ると層になっている。一行は
ますます真剣になってきた。 その中の一人が、3センチほどの大きさの丸い石を見つけた。先生がそれを見
ると目つきが変わった。どうやらそれは猿の間接の骨の化石らしいのだ。
実際の化石を手にすると古代の世界が少しずつ想像できてきた。I先生による とこの辺は昔は湖で、回りにはサバンナに近い森だったのだそうだ。そこには三 本指の馬(ピッパリオン)や巨大な象(テロラロドン)、古代のカモシカ等が群 れをなしていたらしい。
そのころ我々の祖先は、動物達の中で何を考えどんな生活をしていたのであろうか? そんな時、湖を取り巻く川は幾度となく洪水を繰り返し、逃げ惑う動物 や我々の祖先達を飲みつくしては、大量の土砂とともに湖の底に堆積させたのだ。 そして数百年万年後、グレートリフトバレーの拡大は、昔の湖底を隆起させ現在 のような姿にしたのである。
それにしても人類の起源を探る研究とは、何とも気の遠くなるような作業である。この過酷な環境下で、広大な荒野の中から一片化石を探すのだ。先生もこの先何年かかるかは、見当もつかないそうだ。ちなみに、ケニア国立博物館の前館長の父でもある世界的にも有名なルイス・リーキーは、オルドバイ原人を発見するまで35年かかったのだそうだ。私は、I先生があの顎の持ち主を一日も早く 発見することを、心から願わずにはいられなかった。
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