アフリカ体験(ケニア編4) - 1
-- 青年海外協力隊 --
■人類の起源の謎に迫る
「祝う会の一行」がさっそく人類の祖先の発掘現場を見たいということで、I 先生の案内で、一番近い現場へ向かうことになった。
現場の様子の話しをする前に、私がI先生から伺った「なぜこの地が人類の起源を研究する上で重要なのか」をお話したい。
ビクトリア湖の北東端では、2000万年前頃に大繁栄した古いタイプの類人猿、プロコンスルなどと呼ばれる化石が数多く発見されている。ケニアでも14 00万年前の地層から、より進化したケニアピテクスと呼ばれる化石が発見されている。ケニアピテクスはピグミーチンパンジーほどの大きさがあり、やや乾燥 した環境に生活し、豆などの固い実が食べれれるようにしっかりとした歯を持っていた。
一方、時代はかなり新しくなるが、500万年前の地層からは現在知られる最も古い猿人の顎の化石が発見されている。またツルカナ湖の東岸では、約250万年前の猿人(アウストラロピテクス)の化石がたくさん見つかっている。さら に西岸からは世界最古、約160万年前の原人(ホモエレクトス)が発見されているのである。
人類は二本足で立ち上がって以来、猿人から原人、旧人、新人(現代人)の順 に進化してきた。類人猿と猿人の違いは2本足で歩いたかにより、原人は猿人よ りかなり大きな脳を持ち石器を使っていたことが知られている。
こうしてみるとケニアでは、2000万年前の類人猿から原人まで発見されている。しかし、その中で1400万年前から500万年の間は、ぽっかり抜けており人類の起源を探る上での謎となっているのである。現在の学説では、人類の祖先の地はアフリカ、それもグレートリフトバレーが最も有力視されているので ある。
I先生はナチョラの地でこの空白の部分を埋めるため、10数年前から発掘調査をおこなっているのである。つまり人類(猿人の祖先)と類人猿の祖先がいつどんな過程を経て人類が誕生し、その原因はなんであったかを探る調査なのである。
この間の大きな発見としては、約900万年前の地層から5本の歯がついた上顎の化石の発見がある。この化石は、ケニア国立博物館の部屋全体が金庫のようになっている所に厳重に保管されている。私も日本大使が博物館を訪問した時に 一度だけ見たことがある。けれども残念なことに、顎のみでは2本足で歩行していたかはわからないのである。もし、この化石の腰や背骨の化石が発見されれば、 歴史を塗りかえる一大発見となるのである。
私はI先生からこの夢とロマンに溢れる話しを伺うたびに、発掘現場にたいする興味がわいてきて、900万年前の地球を一人空想するのであった。
P.S.
ケニア国立博物館で働いていて楽しかったことは、自分の専門外のことについて、それも最新の研究成果に日常的に触れられたことです。人類の祖先のことにしても私が学校で習ったのは、100万年前にアウストラロピテクスが生れたというもので、現在の研究成果とはかなり違います。
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