ダイハツアトレーツーリングターボ4WD

ムーヴを修理に出したときの代車です。今回は代車に対して特にこれといった注文は出しておらず、たまたまこのアトレーがやってきました。そういえば、以前ムーヴを修理に出したときもハイゼットカーゴデラックスがやってきましたが、今回は標準系トップモデルということで装備も豪華になりました。グレードはハイルーフ時代のツーリングターボ4WDで、4AT仕様。すでにカタログから落ちていますが、走行距離はたったの57km(笑)、登録は平成14年3月と、明らかに在庫処理の匂いがプンプンします。このまさに新車といえる状態のアトレーを4日間使用することになりました。今回のレポートは以前の代車であるハイゼットカーゴ(期せずしてどちらもコラムAT)と比較することができると思います。ハイゼットの評価についてはそちらのページをご覧いただくとして、FF軽ミニバン乗りから見たアトレーのレポートをしたいと思います。
外観はジウジアーロオリジナルの標準系デザインで、悪く言えばハイゼットカーゴそのもの。前期型の不思議なデザインのフロントグリルよりは幾分よくなりましたが、乗用シリーズなのにビジネスモデル的香りがします。そこでマルチリフレクターヘッドライトやメッシュアルミホイール、ドアサッシュブラックアウト、メッキドアミラーで差別化しています。ただ、全体的印象がハイゼットカーゴなので、特別なモデルに乗っているという気分にならなかったのも事実です。不思議なのは、メッキパーツの大好きなダイハツだけにグリルやドアミラーはメッキにしているのに、ドアハンドルは樹脂製のままという点です。僕自身はメッキの積極展開は好ましく思いませんが、どうせならすべてメッキパーツにしたほうが統一感が取れたと思います。カスタムというメッキパーツ満載のモデルが用意されているためこのような装備にしたのでしょうが、どうも中途半端な感は免れません。あるいは、ツーリングという名称を名乗っていることを考えて、ドアミラーをブラックにしてしまったほうがよかったかもしれませんね。
ワゴンボディだけにシートアレンジも多彩。ハイゼットとの違いはやはりここでしょう。圧巻は180mmもスライドするリヤシートでしょう。ムーヴも150mmスライドしますが、30mmの差はとても大きいです。当然フルフラットリクライニングにもなりますし、分割ダブルフオールディングが装備されているので荷室は完全真っ平ら。ただ、床に固定用ストライカが残ってしまうのが不満点。感心したのはワゴンにもかかわらず背もたれの裏側に鉄板を用いていること。床下にリヤシートを格納するアトレーの場合、背もたれの裏側に荷物を載せることになるのですが、キチンと重量物積載を考えているあたりはさすが商用車で名を馳せたダイハツです。通常であればコスト削減のためにフニャフニャな背もたれにしてしまうものなんですよね。すべての座席にヘッドレストが装備されているのもポイントで、特に後席のゲストを重視して作っているのがわかります。このことはリヤヒーターや後席灰皿の標準装備にも現れています。ムーヴも4WDにはこのクラスでは珍しいリヤヒーターダクトが装備されていますが、より後席のことを考えて作られているのが軽1BOX全体の特徴です。ただ、リヤヒーターのスイッチ自体はインパネで、温度調節が左後席床下と、操作ロジックがチグハグなのがいただけません。フロントシートはセパレートタイプを装着。カスタムがベンチシートであることに対する差別化だったのでしょうが、マイナーチェンジでツーリングターボもセパレートになったことを考えると、あまり好評ではなかったようです。実際、セパレート特有のホールド感に欠け、コーナーリングではベンチシート並みに上半身が動いてしまうのは大きなマイナスポイント。また、ムーヴ流儀のドアマルチホルダーはやはり扱いやすいです。しかもムーヴと違って装着箇所が適切で、リヤワイパーのスイッチなどがこれで隠れる心配もありません。
エンジンはムーヴで定評のある、EF-DET型DOHC12バルブターボ。以前乗ったハイゼットはDVVT付でしたが、1t程の重量の車にはやはりターボのほうがいいです。非常にトルクフルで、重さを感じさせず、ストレスなく走ってくれます。Dレンジホールドで十分流れをリードできますし、フルスロットルで走らせることはほとんどありません。むしろ、フルスロットルの加速は凶暴すぎるほどです。また、DVVT付の場合、キックダウンの頻度がとても多かったのですが、ターボの場合はハイギヤのまま加速してくれるため、中間加速にも不満を感じることはありませんでした。ただ、アンダーフロアエンジンのため、シート下からエンジンの騒音(特に加給音)が絶えず聞こえてくるのがマイナスポイント。これをスポーティと取るか、やかましいと取るかは乗った人でないとわかりませんが、僕は後者に感じました。静粛性ではムーヴに劣ります。ATのマニュアルセレクトも試してみましたが、トルコンのスリップ率が高く、ツーテンポ遅れて変速されるフィーリングは最後までなじめませんでした。それでも、Dレンジホールドの走行よりはずっとスポーティで、さらに活発に走らせてくれます。不思議なのがシフトのロジックで、アトレーがODボタンを採用してD-2-Lという1速ホールドが可能なタイプにしているのに対し、ムーヴはD4-3-2で1速ホールド不可。マニュアルセレクトの操作性では通常のロジックのほう(アトレーのタイプ)がいいのですが、2種類の方法を採用しているのはなぜなのでしょうか。同じメーカーなのですから、どちらかに統一したほうがいいのではないでしょうか。
乗り心地はやはりソフトですが、コーナーリングで不安を感じることはありませんでした。もちろん、重心の高さを感じることはありますが、意外と粘り腰です。ただ、ターボパワーを炸裂させるととても怖いです。オーバースピードには注意したほうがいいでしょう。ブレーキの効きも良く、不安定な挙動を示すこともないのはセミキャブオーバーならではでしょう。
インパネデザインはハイゼットと共通ながら、メタル調クラスターを採用しているためスポーティなイメージがあります。また、ターボ車ということもあってタコメーターを標準装備。これまたスポーティなデザインでツーリングの名に恥じません。使い勝手については、中間グレードということもあり、けっこう充実しています。ハイゼットにはなかったマルチホルダーはやはり便利。また、乗降用アシストグリップがフロントにはもちろん、リヤドアにも用意されているのはとても親切です。アトレーにはカロッツェリアのCD/MDデッキが装着されていましたが、ボタンが小さく、操作も煩雑。使いやすい位置にオーディオがセットされているだけに、とても残念でした。また、リモコンミラーは電動格納式ですが、ムーヴ4WDのようにヒーテッドにしたほうがよかったかもしれません。寒冷地であればこちらのほうが喜ばれるはずです。また、ドアアームレストの位置が低く、まったく使い物になりません。アームレストはドアポケットにつながっているため、地図なんかを入れてしまうと本当に役に立ちません。そのため、ドアの縁に腕をかけることになります。それと、細かいところですが灰皿照明は用意して欲しかったところです。ムーヴでは初代から装備されていただけに、こういった心遣いが少し足りないように感じました。
燃費は今回は計測していませんが、たぶん8〜9km/l程度。重量級ターボ車だけに仕方のないところでしょう。もっとおとなしく走らせていれば、2桁台に乗せることも可能かもしれません。正直なところ、MT車も試してみたくなりましたが、ATでも不満に思うところはそんなにありませんでした。マイナーチェンジでツーリングターボもベンチシートになりましたが、せっかくですからセパレートシートも選べるようにして欲しかったところです。もっとも、ホールド感のないセパレートシートというのも使い物にならないので、サイドサポートを強化して欲しいところでした。