ムーヴの歴史(L600系)


V型(1997.5〜1997.12)

 デビューしてから2年弱の1997年5月23日、ダイハツは初代ムーヴ最大のマイナーチェンジを行います。1997年4月に消費税率が5%に変更され、同じく5月にはホンダがライフを発売して軽ミニバンに再参入、スズキも前後してワゴンRをマイナーチェンジするのに合わせたもので、主な内容は、バリエーションの拡大と車種整理、メカニズムの変更、フェイスリフトなどを行いました。  
 このマイナーチェンジの最大の目玉は、"裏ムーヴ"こと「カスタムシリーズ」の追加です。カスタムはグリルレスのフロントマスクだったムーヴを元に、フロントマスク・フェンダー・ボンネット・バンパーを専用タイプにし、インパネやシートなどに専用インテリアを施すなど、アメリカンイメージを持たせたものです。特に、フロントマスクは大型角2灯ヘッドランプと大型メッキグリルの採用により、ムーヴとは別車種の印象を与えることに成功しました。また、ムーヴ独特のAピラーからフロントバンパーに流れるキャラクターラインも廃止され、すっきりしたイメージとなりました。カスタムの追加は、ミニバン市場全体にカスタマイズブームが到来するなどの市場動向の変化に対応したヤング向けの商品追加でしたが、その一方では今までのムーヴをデザイン面で嫌ったユーザーを受け止めるための役割を担っていました。なお、カスタムの追加に伴い、今までのムーヴは通称"表ムーヴ"、ダイハツ社内では標準車と呼ばれ、併売されることになりました。
ムーヴカスタム(1997)
 カスタムのバリエーションは、EF-ZL型搭載車のカスタム(FF・4WD)、EF-RL型搭載車のエアロダウンカスタム、カスタム4WDターボが用意されました。カスタム専用装備としては、前出のエクステリア変更のほかに、
・メッキミラー
・メッキドアアウターハンドル
・木目調インパネ
・フロントセンターアームレスト(ATのみ)
が用意されていました。ノンターボのカスタムは標準車CLをベースにEFIエンジン、全面UVカット&リヤスモークガラス、メッキフルホイールキャップ、カスタム用シート生地を装備、エアロダウンカスタムとカスタム4WDターボは標準車SR-XXをベースにカスタム専用ディッシュタイプアルミホイール、エアロパーツ、ユーティリティソケット、ラゲージルームランプが採用されています。さらに、エアロダウンカスタム専用装備として15mmローダウンサスペンション(SR、SR-XXにはディーラーオプションで装着可能)、マフラーカッター、スモークテールランプが、カスタム4WDターボにはカスタム用シート生地、バックドアガーニッシュが装着されていました。
 
 カスタムの登場とほぼ同時にスズキはワゴンRに「エアロRS」を追加していますが、それ以上のインパクトをカスタムは持っていました。特に、赤いローダウンサスで武装したエアロダウンカスタムは多くのヤングユーザーを虜にし、ムーヴの新たなイメージリーディングモデルとして君臨することになります。  
 同時に、標準車もマイナーチェンジを受けます。変更箇所はメカニズムの見直しにも及ぶ大規模なものでした。  
 まず、標準車のバリエーション変更は4WD専用グレードだったCSがカタログから落とされ、新たにEF-ZL型を搭載するCL-4WDが追加、Z4-Uが名称変更されて新Z4となり、カスタム用メッキフルホイールキャップが採用されました。なお、CL-4WDの登場により、4WD車は全車フル装備化がなされることになります。  
 エクステリアの変更箇所はフロントウインカーのクリア化と新デザインのホイールキャップ、フロントフェンダーガーニッシュのアクリル化というごく小規模なものでしたが、ウインカーとフェンダーガーニッシュの変更により標準車のフロント周りのデザインがよりスマートなものになりました。  
 エクステリアと比べてインテリアの変更は大規模なもので、
・新デザインのメーター
・抗菌処理インテリア(6箇所)
・新シート生地(CG・CL・CX)
・大型タルボアスフェリックミラー(カスタム全車、CX、SR-XX)
・電動リモコンミラー(CX)
が採用されました。また、電波式キーレスエントリーにはアンサーバックが導入されてCGを除く全車に装備されています。さらに、CLのFF車とCXには助手席回転シートがオプション化されました。
 
 メカニズムの面では、全車にリバウンドスプリング付きショックアブソーバーが、ABSがZ4に標準装備されるとともにCGを除く全車にオプション化がなされました。また、4速オートマチックがノンターボEFIのFF車にも拡大設定されました。  
 新色としては、標準車にロイヤルブルーマイカが、カスタム専用塗色としてグレイッシュセピア、ウォームシルバーマイカ、ロイヤルブルー/ウォームシルバーの2トーンが採用される一方、レッドマイカの単色がカタログから落とされています。  
 1997年10月13日には特別仕様車としてZ4-U、エアロダウンカスタムU、カスタム4WDターボUが登場します。Z4-UはオリジナルのZ4に戻したモデルとなり、バックドアガーニッシュが復活しています。エアロダウンカスタムUとカスタム4WDターボUにはプロテインレザーシート、カロッツェリアオーディオが追加され、カスタムバッジが特別仕様車であることを象徴していました。  
 カスタムの登場により、ムーヴシリーズは今まで確保できなかった保守的ユーザーを取りこむことに成功しますが、標準車はカスタムに食われる結果となり、標準車の生産性を上げるためにCLをベースとした特別仕様車を販売会社ごとに乱発することになります。また、カスタムはアメリカンカスタマイジングの格好のベースモデルとなり、多くのヤングユーザーを取りこむことができましたが、依然としてワゴンRを追い抜くことはできなかったのです。なお、CMはカスタムの不良っぽさを演出するために、CMソングに黒夢を起用、「裏ムーヴ」のコピーで販売しました。  

L600系V型ムーヴのギャラリー

グレード展開

標準車シリーズ CG、CL、Z4、Z4-U、CX、SR、SR-XX
カスタムシリーズ カスタム、カスタム4WDターボ、カスタム4WDターボU、エアロダウンカスタム、エアロダウンカスタムU

主な特徴

・カスタム、CL4WDを追加
・CSを廃止
・サイドガーニッシュがアクリル(標準車)
・タルボアスフェリックミラーを装備(CX、SR-XX)
・標準車のホイールキャップをデザイン変更
・Z4-UはZ4に名称変更
・バックドアガーニッシュを廃止し、リヤラダーを装備したZ4-Uを追加設定
・カスタムエンブレムを装着し、シート表皮を見直したカスタム4WDターボU、エアロダウンカスタムUを追加設定
・カスタム4WDターボはバックドアガーニッシュを装備

わかりにくいグレードの判別方法

☆標準車とカスタム
・バックドアのエンブレムが赤文字であればカスタム。但し、Uシリーズは黒文字
・Uシリーズにはカスタムエンブレムが装着される

☆カスタム4WDターボとZ4-U
・カスタムエンブレムが装着されていればZ4-U
・Z4-Uはグリーン/シルバー、レッドマイカ/シルバーの2色のみ。いずれもカスタム4WDターボには設定無し

☆CLとCX
・CLには4WDの設定あり。あるいはリヤデフを覗く
・防眩ミラー、リヤスモークガラス、黒のタルボアスフェリックミラーが装備されていればCX
・CLのドアミラーはピボットタイプ。また、ディーラーオプション装着のタルボアスフェリックミラーはメッキになる

☆Z4とZ4-U
・サイドデカールのデザインが変えられている
・リヤラダー、カリフォルニアミラー、スポーツシートであればZ4
・バックドアガーニッシュ、メッキタルボアスフェリックミラー、ベージュのカスタムシートであればZ4-U
・Z4-Uにはカスタムエンブレムを装着

☆SRとSR-XX
・防眩ミラー、リヤスモークガラス、黒のタルボアスフェリックミラーが装備されていればSR-XX
・サイドデカールのデザインが変えられている
・SR-XXのFF車はJB-JLを搭載
・SRのドアミラーはピボットタイプ。また、ディーラーオプション装着のタルボアスフェリックミラーはメッキになる

☆カスタム4WDターボとカスタム4WDターボU
・カスタム4WDターボはバックドアガーニッシュを装備。また、前後のエンブレムは赤文字
・カスタム4WDターボのシート表皮はベージュのファブリック
・カスタム4WDターボUのシート表皮はプロテインレザー

☆カスタム4WDターボUとエアロダウンカスタムU
・バックドア左下に“4WD”ステッカーがあればカスタム4WDターボU。あるいはリヤデフを覗く
・エアロダウンカスタムUはスモークテールレンズ

☆エアロダウンカスタムとエアロダウンカスタムU
・エアロダウンカスタムの前後エンブレムは赤文字
・エアロダウンカスタムUの前後エンブレムは黒文字で、バックドア左下にカスタムエンブレムを装着
エアロダウンカスタムUのフロントエンブレムはシルバー
・エアロダウンカスタムのシート表皮はブラックのファブリック(SR-XXと共通)
・エアロダウンカスタムUのシート表皮はプロテインレザー

CL4WD CL(パトロールカー)
カスタム4WD カスタム4WD
CG カスタム4WD
CX スローパーSL
CX CX
CL4WD カスタム4WDターボU
 
SR-XX  

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