ムーヴの歴史(L150系)
T型(2002.10〜)
フルモデルチェンジから丸4年が経過した2002年10月15日、新規格軽自動車のモデルチェンジのトップを切って3代目ムーヴが発売されました。初代以来の伝統である1ボディ2フェイスのコンセプトはそのままに、クラストップの室内空間と豊富な装備品、高い安全性能と質感を求めた内容となりました。基本バリエーションは“生活革新!エキサイティングミニバン”をコンセプトとした標準車と、“モバイル世代のラジカルボックス”というコンセプトのカスタムで、L900系標準車に使用されていたカジュアルという名称は削除されました。また、第3のバリエーションとしてL900系のV型以降に設定されたRSは、今回のモデルチェンジでカスタムの1バリエーションに編入されました。
ムーヴカスタムRS(2002)
今回のフルモデルチェンジでグレード名称が大幅に整理され、シリーズごとに設定していたため複雑だった車種体系をすっきりしたものとしています。バリエーションは標準車がターボエンジン搭載のR、ノンターボのXとLの3グレード、カスタムはターボエンジン搭載のRSリミテッドとRSとR、ノンターボのXとLの4グレードです。このうち、RSシリーズのFF車は4気筒のJB-DET、RSの4WD車とRはEF-DETを使い分け、ノンターボはEF-VEを搭載しています。AT比率が高まっていることからAT中心のラインナップになっているのは先代同様ですが、5MTは標準車L、カスタムRとカスタムLの4WDに用意しています。寒冷地で人気の高い4WDは全車に用意しています。また、カスタムXにはecoCVT搭載車を引き続き設定しました。
エクステリアデザインは6ライトガラスと縦長テールランプという歴代ムーヴのエッセンスを取り入れつつもシャープなエッジを効かせたものとなり、そのイメージは大幅に変わりました。特にフェンダーフレアを強調したサイドビューは逆反りオペラウインドーと相まって今までのムーヴのイメージを一新することに成功しています。ディメンションは、全長・全幅は軽自動車規格いっぱいで変更がないものの、ホイールベースを30mm延長した2,390mmとし、車高を1,630mm(カスタムRSは1,610mm)に低くして、より安定感のあるスタイルを求めました。標準車では大型2灯式異形ヘッドランプを採用、親会社であるトヨタのヴォクシーに似たフロントデザインになりました。カスタムは2代目の丸目4灯ライトを継承しつつ上半分を一体化したタイプのものになり、どちらかというとホンダのインテグラやHR-Vに近似性を感じさせるものとなっています。また、カスタムのフォグランプは今回からバンパー下へ移動となり、4灯式ヘッドランプはハイ・ロー独立式となっています。テール周りのデザインも標準車とカスタムではナンバープレートの位置で差別化されており、標準車はバンパー下に、カスタムはバックドアに装着されています。テールランプのデザインが変えられているのはいうまでもありません。L900系後期型で“これでもか!”というくらいふんだんに使用されたメッキパーツはカスタムでは引き続き採用したものの、標準車ではかなり控えめなものとなり、見た目の豪華さよりもシンプルな質感を重視したものになっています。
ムーヴR(2002)
3代目ムーヴの最大の特徴でもあり、セールスポイントが内装と使い勝手の向上です。今回、室内長を1,920mm(L900系は1,730mm)、室内幅を1,300mm(L900系は1,220mm)とし、クラス最大の居住空間を確保しました。これはホイールベースを延長した上でエンジンルームをできる限り最小化したキャブフォワードタイプとし、室内幅も安全性を確保しつつ薄型ドアとするなど、かなり工夫の凝らされた設計としています。ドアはインナーヒンジタイプながらほぼ90°まで開口し、乗降性を大幅に向上させています。照明機能の充実も特徴で、全車にスイッチ照明(パワーウインドー、熱線デフォッガー)、フロントマップランプ、リヤパーソナルランプ、ラゲージルームランプを標準装備、さらにカスタムRSにはマルチホルダーの絵表示にも照明を入れるという凝りようです。インパネはワイドタイプのメーターバイザーを強調したものとなっており、どちらかというとL600系に近いものになっています。クラス初のシームレス助手席エアバッグ、分割線の最小化など、見た目の品質感はもとより、素材自体を徹底的に見直したため、その内容は明らかに軽自動車の枠を超えているといえるでしょう。
標準車Xのインパネ
エンジンはL900系からのキャリーオーバーであるEF/JB系。L900系と比較してエンジン特性を変更し、低速トルクを増強したチューニングとしています。今回から“インテリジェント・トパーズ”と命名されたノンターボのEF-VEには、自己再生機能を持つパラジウムを含有させたインテリジェント触媒を世界初採用。本来であれば劣化する触媒を安定的に長期間持続することに成功しました。性能は、58ps/7,600rpm、6.5kg-m/4,000。ターボエンジンのうち、3気筒のEF-DETは最高出力は64ps/6,400rpmと変化がないものの、トルク数値が0.4kg-m下がって10.5kg-m/3,200rpmとなりました。特に、最大トルク発生回転数を下げて扱いやすい性格にしているのが特徴です。コペンやマックスで高い評価を受けるJB-DETは64ps/6,000rpm、10.2kg-m/3,600rpm。EF-VEのFF車は“超-低排出ガス”適合車、4WDとターボ車でも“優-低排出ガス”適合車となり、全車グリーン税制に合致したものとなっています。また、燃費性能を向上させたことにより、全車が“低燃費車・低公害車の普及税制適合車”に認定されています。
ムーヴX(2002)
もともと操縦安定性の高さでは定評のあったムーヴですが、足回りはフロントサスに新設計のLアーム式ストラットを採用、乗り心地と操縦安定性を高い次元で両立させています。リヤは従来と共通のトーションビーム(FF)/3リンクリジッド(4WD)を使用しています。カスタムRS系には20mmローダウンサスを継続採用しました。ただし、マックスに採用されているカーブドオフセットスプリングは見送られました。カスタムRSにはクラス初となるレーダークルーズコントロールをオプション設定。タイヤは標準車のノンターボが145/80R13、標準車RとカスタムのEFエンジン搭載車が155/65R14、カスタムRS系は165/55R15を履いています。ターボ車のATには、横滑り制御・ABS・トラクションコントロールを総合制御させるDVSUをオプション設定。今回から4WDにも適応できるようになりました。トランスミッションは4速ATがメインとなり、ノンターボ車は通常の4速ATとecoCVT(カスタムXのみ)、5速MT(標準車L、カスタムL・4WD)を、ターボ車にはロックアップ機構付のESAT4速ATを基本にステアシフト付(カスタムRS・FF)、5速MT(カスタムR・4WD)を用意しました。ecoCVTと5速MTはフロアシフト、4速AT車はイージーコラムシフトを採用しています。
安全性ではTAFボディがさらに進化し、クルマ対クルマ、クルマ対歩行者の衝突安全性を新たに考慮。サイドメンバーをストレート化した上で衝撃吸収性を向上させています。SOFIでは6エアバッグシステム(デュアルエアバッグ、カーテンシールドエアバッグ、サイドエアバッグ)、撥水フロントドアガラス、ダイナミックサポートヘッドレストをセーフティパックとしてL仕様を除く全車にオプション設定。また全車にヘッドインパクトプロテクションを採用しました。DVDインテリジェントナビゲーションシステム装着車(カスタムLを除くカスタムシリーズにオプション)には見通しの悪い交差点などの状況をモニター表示させるブラインドコーナーモニターをオプション設定しています。また、標準車Lを除く全車にABSを標準装備、ターボ車にはDVSをオプション設定するなど、ムーヴの良き伝統である高い安全性能をさらに追求しました。
カスタムL(2002)
使い勝手では、従来モデルで評価の低かった収納スペースを大幅に増やし、新たにデュアルグローブボックス、リヤドアポケット、ラゲージアンダーボックス、インパネユーティリティポケットを追加。従来フロントドアに装着されていたマルチホルダーはカップホルダーとして左右ベンチレーター直下に移動しました。また、カスタムRS、カスタムX、標準車Lにはオプション設定で跳ね上げ式バックドアを用意しました。これは、従来の横開きバックドアでは雨に濡れる、というユーザーの声を反映したものです。シートはecoCVT車と5速MT車がセパレートタイプ、4速AT車はベンチシートとなっています。リヤシートの機能を初代・2代目から大幅に変えたのも特徴で、標準車Lを除く全車に250mmのロングスライドシートとワンモーション荷室フラット機構を組み合わせた“スーパーユーティリティリヤシート”を採用。今までのダブルフォールディング式での荷室長の足りなさをカバーしています。ただし、左右独立スライド機構と水平近くまで倒れるリクライニング機構は省かれ、従来モデルからのシートアレンジを知っているユーザーからは不満の残るものとなってしまいました。また、カスタムLを除くカスタムシリーズには携帯電話と連携させたマルチインフォメーションDVDナビシステムをオプション設定しました。このシステムはタッチモニタータイプで、空調やオーディオの操作もできるようにしてあります。運転席周りでは以前から要望の強かったチルトステアリングをカスタムのターボ車に標準装備、標準車Rにオプション、シートリフターをカスタムRに標準装備、標準車Rにオプション設定しました。さらに、L900系の頃から暖房装置に力を入れてきたムーヴですが、リヤヒーターダクトを寒冷地仕様と4WD車に標準装備、FF車にオプションとした上で、L150系ではエンジン始動直後からヒーターの効きを高めるホットガス式パワーヒーターを寒冷地仕様にオプション設定しました。
カスタムX(ecoCVT車)のインテリア
ボディカラーは標準車・カスタム共通色としてホワイト、ブライトシルバーメタリック、ブラックマイカ、シャンパンメタリックオパール、ジェードグリーンメタリック、パールホワイトTが、標準車専用塗色としてテンダーブルーマイカ、ライトローズメタリック、ラベンダーメタリックオパールが、カスタム専用塗色としてディープパープルメタリッククリスタル、レッド、スチールグレーメタリックがそれぞれ設定されました。