タフト/ラガー
基本輸出名:ロッキー

ダイハツは1974年にタフトでオフロード車市場に参入しました。非力な1000ccエンジンながらコンパクトなボディのおかげで活発に野山を駆け回る姿に、日本のみならず海外でも高い評価を受けました。1984年には、より快適性を高めたラガーにスイッチし、多くのマニアを魅了しています。現在、国内の販売はすでに終了していますが、手ごろなボディサイズと高い機動力が評価され、根強いファンも多いため、現在でも輸出専用車種として継続生産されています。また、インドネシアでは現地生産されるなど、そのワールドワイドぶりは高く評価されてしかるべきでしょう。
主な海外例外ネーム
FREECLIMBER(ヨーロッパ)
HILINE(インドネシア)
TAFT(インドネシア)
FOURTRAK(イギリス)
ヨーロッパ仕様(ロッキー)
ラガーが輸出され始めたのは、1984年のことです。当時のクロスカントリーカーはランドクルーザー60やパトロールに代表されるフルサイズモデルやジープ、あるいはランドクルーザー70のようなスパルタンなもの、あるいはタフトやジムニーのような超コンパクトサイズのモデルくらいしか見当たりませんでした。ラガーはランドクルーザー70とジムニーの中間的なボディサイズを狙って登場したわけですが、ダイハツの読みどおりに扱いやすいボディサイズとハイパワーな2800ccディーゼルがヨーロッパで高く評価され、日本よりも海外で人気となりました。
ヨーロッパ向けは日本仕様と同じく、ショートボディのハードトップとソフトトップ、ロングボディのレジントップが用意されています。ただ、レジントップの超ハイルーフ仕様と純粋な貨物用として暗窓バンがラインナップに加わっている点が大きな違いです。また、メカニズムでは1996年までは前後リーフでしたが、マイナーチェンジにより前・ダブルウィッシュボーン/後5リンクリジッドに変更されています。外観ではヨーロッパの法規を満たすため、テールランプ類がバンパーに装着され、サイズも大型化されています。Specifications:ロッキーレジントップ超ハイルーフ仕様
全長×全幅×全高:4,185×1,780×1,925mm ホイールベース:2,530mm 車両重量:1,650kg エンジン形式:DL型直列4気筒OHVターボディーゼル 排気量:2,765cc ボア×ストローク:92.0×104.0mm 最高出力:72kW/3,200rpm 最大トルク:245.0N-m/1,900rpm 燃料供給装置:機械式燃料噴射装置 トランスミッション:5速MT・副変速機付 サスペンション前/後:ダブルウィッシュボーン/5リンク ブレーキ前/後:ベンチレーテッドディスク/ドラム タイヤ:255/70R15 最大積載量:950kg 最高速度:135km/h![]()
イギリス仕様(フォートラック)
同じヨーロッパ仕様でも、イギリス向けは特殊なラインナップとなっています。フォートラックという専用ネームが与えられたラガーはなんと暗窓バンのみという展開で、さらにフィールドマンというサブネームが付けられています。サブネームが付いていたのはかつて乗用モデルがあったからで、こちらはインディペンデントというサブネームが与えられていました。現在のグレード展開はフィールドマンのTDS(ハードトップ)とTDL(レジントップ)の2種で、商用車ながらバニティミラー付助手席サンバイザー、電動リモコンドアミラー、盗難防止イモビライザーが標準装備されるという豪華さです。
メカニズム自体はハンドルの位置以外はヨーロッパ仕様と共通です。ただ、オーバーフェンダーが小ぶりなものになり、それに伴いタイヤも細身のものが装着されています。Specifications:フォートラックフィールドマンTDL
全長×全幅×全高:3,840×1,690×1,840mm ホイールベース:2,530mm トレッド前/後:1,430/1,430mm 車両重量:1,500kg エンジン形式:DL型直列4気筒OHVターボディーゼル 排気量:2,765cc ボア×ストローク:92.0×104.0mm 最高出力:97PS/3,200rpm 最大トルク:245.0N-m/1,900rpm 燃料供給装置:機械式燃料噴射装置 トランスミッション:5速MT・副変速機付 サスペンション前/後:ダブルウィッシュボーン/5リンク ブレーキ前/後:ベンチレーテッドディスク/ドラム タイヤ:215/70R15 最大積載量:950kg![]()
ヨーロッパ仕様(フリークライマー)
ラガー輸出仕様の中でも異色の存在といえるのが、イタリアのカロッツェリア、ベルトーネが手がけたフリークライマーです。カロッツェリアの大御所であるベルトーネがモディファイドのタネ車としてラガーをチョイスしたという意外性もさることながら、エンジンをBMW製6気筒に換装してしまった強引さ、そして日本では土木現場の連絡用途というイメージの強いラガーに本革シートを与えて高級クロスカントリーカーにしてしまったという点で、ベルトーネの手腕、さらにはベースモデルであるラガーの評価が一気に上がりました。このように、日本製ボディ、ドイツ製エンジン、そしてイタリア製インテリアと、かつての日独伊3国同盟を彷彿させる内容のクルマが出来上がったのです。
外観ではレジントップをベースにフロントの丸目4灯ヘッドライトですぐに識別でき、特殊な塗りわけの2トーンカラーも特徴の1つです。もちろん、フロントグリルにはベルトーネの工場で組み立てられただけあってベルトーネのエンブレムが燦然と輝いています。また、ディーゼル車のフェンダーには冗談のように“Powered by BMW 6td”のエンブレムが装着されています。内装は基本的にラガーのものを流用していますが、先にも書いたように本革シートを採用したことによって、小さな高級車のイメージをも獲得することに成功しました。
エンジンではBMW製6気筒エンジンの搭載が最大の特徴です。ラガーの短いノーズに6気筒エンジンがきれいに収まっているところにベルトーネの技術力の高さが見受けられます。ラインナップは2000cc・2700ccガソリンと2400ccターボディーゼルの3種。特にディーゼルの評価が高く、実際販売されたフリークライマーのほとんどがディーゼルでした。ラガーのDL型もタフネスさでは定評がありましたが、いかんせんトラック用エンジンのため、騒音・振動で不利な面は否めませんでした。しかし、フリークライマーは6気筒を採用していたため、ディーゼル特有のネガティブな面は見事に克服され、ベルトーネのいう“スポーツカーの新しいカテゴリー”も嘘とはいえないほどのフィーリングを持っていました。
サスペンションは前期型ラガーをベースとしているため前後リーフというスパルタンなもの。ただ、オンロード走行を想定して3ステージダンパーを標準装備しています。そのほか、パワートレーン関係はダイハツ製を流用し、イタリア製らしからぬ耐久性の高さを示しています。
フリークライマーは1992年までほとんど手作りで生産されました。総生産台数2,795台。一部はガレーヂ伊太利屋の手で日本へも輸出されました。かつて札幌でフリークライマーを目撃したことがありますが、ダイハツ製ボディとBMW製エンジンの維持のしやすさから、けっこう人気が高かったように思います。実際、フリークライマーのオーナーたちはダイハツで面倒を見てもらっているそうです(笑)。ちなみに、BMWのディーゼルを搭載した正規輸入モデルはBMW自体を含めてフリークライマー以後出現していないので、BMWディーゼルのフィーリングを体験したい人は並行輸入のBMWかフリークライマーを狙うしかなさそうです。Specifications:フリークライマーターボディーゼル
全長×全幅×全高:4,150×1,650×1,885mm ホイールベース:2,530mm トレッド前/後:1,380/1,350mm 車両重量:1,580kg エンジン形式:直列6気筒OHC 排気量:2443cc ボア×ストローク:80.0×81.0mm 最高出力:116PS/4,800rpm 最大トルク:22.4kg-m/2,200rpm 燃料供給装置:インジェクション トランスミッション:5速MT・副変速機付 サスペンション前/後:リーフ/リーフ ブレーキ前/後:ディスク/ドラム タイヤ:215/75R15 最高速度:152km/hインドネシア仕様(タフト/ロッキー/ハイライン)
1984年に投入されたインドネシア仕様は、駆動方式別にタフト(ショート4WD)/ロッキー(ミドル4WD)/ハイライン(2WD)のブランドネームを使い分けています。
インドネシア独自のモデルとしては、FR駆動のハイラインが存在します。ハイラインといえばかつて存在したダイハツオリジナルの1t積トラックのブランドネームですが、地味にインドネシアで生き続けているというのが驚きです。ハイラインのボディはショートボディ(ハードトップ)、ミドルボディ(レジントップ)、カーゴ(ピックアップ)、そして4ドアワゴンの4種。FRながら最低地上高を4WD並み(210mm)に稼いで走破性を高めているのが特徴です。2,800mmのロングホイールベースモデルが用意されているのも特徴で、こちらはカーゴとワゴンに設定されています。カーゴは見ようによっては、やはり輸出専用モデルであるランドクルーザー70トラックに似たデザイン。4ドアワゴンのGTLはホイールベースをストレッチした効果を活かして居住性を向上させたモデルです。リヤサイドウインドーは巻き上げ式ではなく、スライド式を採用していますが、これはコストを優先させたものだと思われます。当初はハイラインにはFRのみの設定でしたが、1996年からは4WDも用意されるようになりました。サスペンションは前後リーフを使用。FRのためオーバーフェンダーが省略されており、すっきりしたデザインになっています。
これに対し、タフトはショートボディのハードトップ、ロッキーはミドルボディのレジントップを採用しています。1996年のマイナーチェンジでフロントサスがヨーロッパ仕様同様独立式に改良されています。ワイドタイヤを履くため、オーバーフェンダーも装着されています。
エンジンはシリーズ共通のDL型を搭載していますが、耐久性を考慮してターボが省かれています。これに伴い、最高出力も控えめなものになっています。Specifications:ハイラインGTL
全長×全幅×全高:4,580×1,580×1,840mm ホイールベース:2,800mm トレッド前/後:1,320/1,300mm 車両重量:1,490kg エンジン形式:DL型直列4気筒OHV 排気量:2,765cc ボア×ストローク:92.0×104.0mm 最高出力:74PS/3,600rpm 最大トルク:17.5kg-m/2,200rpm 燃料供給装置:機械式燃料噴射装置 トランスミッション:5速MT サスペンション前/後:リーフ/リーフ ブレーキ前/後:ディスク/ドラム タイヤ:235/70R15![]()