8月某日、ネットで知り合ったゆきおさんと、大台ケ原へ行く日だ。 定刻より30分ほど早い、6時30分に合流地点へ到着。ゆきおさんはまだ来ていない。コンビニで買った朝食のおにぎりをパクつく。初めての人と会う。 ホームページを見て多少の予備知識はあるものの、良いんだろうか。ゆきおさんの写真は見て、知ってはいるが。意志が強そうで、感情的になった時は、 あまり逆らわない方が良さそうな、そんな感じもするが。 となりに車が停まった。車を降りてごそごそやってる。横顔もみえるが「違うだろ」そう思ったものの、もしもと思い、相手の車の後ろへ行き、見てみると、 メールに書いてあったD社の車だ。「あのー、ゆきおさんですか?」と、声をかけると、「そうです、こんにちは、この車かなあと思って、 となりに停めたんですよ」と、ゆきおさん。 「そんならなんで声かけてくれんのや」と、思ったが、写真とずいぶん人相が違う。 「そうか、結構ナイーブな人か、写真と違って」そう思い、失礼かとも思ったが挨拶の後、そう伝えると「よく言われるんですよ、案外童顔だなあって」 少しニュアンスが違うような気もしたが、ま、いいだろ。この先、一台の車で同行二人だ。 ゆきおさんは当然ながらパソコン、インターネットに詳しい。拝聴した。 私は、今回同行するキッカケとなった、前回大台へ行った時、出会った鹿が一瞬後には消えた話をした。まあ、野生の鹿だ、いつもいるとは限らんが。 道すがら、「私は周りを見ながらゆっくり歩くのが好きなんです、他に歩いている人達もいたけど、鹿に気付いたのは私だけだったと思う」そんな話もした。 駐車場に着いた。前回行かなかったコースを行くことにし、歩き出し、第一ポイントである、シオカラ谷に着いた。谷へ下りた分、上りもある。 上りの途中、「大丈夫ですか?」と、声をかけると「いやー、汗が目に入って」と、ゆきおさん。見ると顔中、汗が吹き出してる。 「きつかったら言ってください」と、言っておいたんだが。「そうか、この人はこういう人だったんだ、写真と違って」。 先行しているグループもゆっくりペースだったので、休み休み行くことにした。第二ポイントの大蛇(おろち)グラは、まことに絶景だった。 第三ポイントの尾鷲辻までは比較的、なだらかだった。これまでは、鹿の出そうな雰囲気はなかった。もし出たとしても、 カモシカが出てきそうな、そんな景観だった。 前回鹿と出会った場所は、コースの最後に取っておいた。「あっ、鹿がいますよ」と、ゆきおさん。そんな簡単に、と思いつつ見てみると、いる。 「あっ、あそこにも」、「あっちにも」、「おーい、おーい」ゆきおさんが鹿を呼んでる。一番手前の鹿は、人と目を合わさない、しかし、気にはしている、 そんな表情だ。「いますね、けっこう」と、私。「いやー、来た甲斐がありましたよ」と、ゆきおさん。 第四ポイントの日出ガ岳までの道は、なお、なだらかだった。柵がしてある。看板があり、「鹿に餌をやらないでください」と、書いてある。 見ると、ゴロゴロいる。しかも、識別札みたいなのを耳に付けて、おまけに、首輪からアンテナが伸びてる。ここの鹿どもは、表情もまるで違う。 人を人とも思わぬ風情で、カッポカッポと、歩き回ってる。 「オッ、オマエラは、ピアスにケータイのコギャルかー」「わ、わしの立場は」視界の端で、ゆきおさんが気のせいか、笑ったような・・気がした。 目が合うと、「鹿は若い時、斑点があって、成長すると消えると聞いてたんですが、皆ありますねー」と、ゆきおさん。話題を振ってる。 気を使ってくれてるんだ。こういう人なんだ、ゆきおさんは、写真と違って。鹿の話題は自然、少なくなっていった。 最後に「いやー山はやっぱり、いいですねー」と、ゆきおさん。ゆきおさん、あんたはやっぱり、山よりもっと、いい人です、写真と違って。 おそまつでした。ゆきおさんに、感謝を込めて・・・ (ひさ) |