分解されない物質? 過去の事故例 微量物質の量の単位
ダイオキシンは、分解されない安定な物質なんですか?

2000.6.29付の神戸新聞朝刊に載っていた記事を紹介します。
ダイオキシンを発生させないようにする事が大切ですが、発生しても上手く無毒化できる技術が実用化すれば安心ですね。
2000.6.30


ダイオキシン一気に無害化
高電圧で分子分解・富士通研が技術開発

富士通研究所(川崎市)は28日、猛毒のダイオキシン類を高濃度の状態で一気に分解・無害化する「プラズマ触媒融合技術」を開発したと発表した。従来研究されいる処理法に比べ、百倍以上の高効率が特長で、数年後の実用化が期待されるという。この処理法は、筒状の装置にダイオキシンを含むガスを通し、高電圧をかけて内部に放電を起すことで、分子をばらばらの原子の状態に分解。同時にプラチナ電極の触媒作用によって安定した物質に変える。実験では、ダイオキシン類の一種を使用。1立方メートルのガス中に含まれる1万分の1グラムのダイオキシン類の内99%以上を分解することに成功した。装置の構造が簡単なため小型化して車載型にもできる。あらかじめゴミ焼却施設の排煙中からダイオキシンを回収・濃縮しておけば、施設を巡回して分解処理することも可能という。ダイオキシン類の処理では、プラズマ分解や光触媒、超臨界法などいくつかの技術が研究されている。ただ装置が大型化したり有害物質が発生するなど欠点があって実用化のめどはついていない。


太陽光、特に紫外線によって比較的容易に分解されます。
人によっては、動脈硬化の防止に有効との説が報告されています。

都市ゴミの焼却における、飛灰中のダイオキシン量の紫外線照射による変化についての報告があり、それをグラフにすると下図のようになります。時間とともにダイオキシンが分解減量して行く事が分かります。



 ダイオキシンに関する、過去の事故例。

@ ヴェトナムにおけるオレンジ事件。

日本人に、強い印象として残っているのは、ヴェトナム戦争時に米軍が散布した枯葉剤の事でしょう。枯葉剤そのものがダイオキシンだったと誤解されているケースが殆どのようで、この誤解がダイオキシンの恐ろしさに短絡的に繋がっているようですが、実はこれは誤解なのです。米軍は、1962-1970年までの間に約50,000トンの枯葉剤を散布しました。品種は幾つか有り、2,4-Dと2,4,5-Tの除草剤を50/50で配合したものが、「オレンジ剤」と略称され、一番大量に使用されたのです。この「オレンジ剤」には不純物として、数ppmのダイオキシンが含まれていたことから、150-200Kgがヴェトナムに散布されたと推定されました。ヴェトナム帰還兵の健康障害等について多くの調査が行われました。体調が悪いのは「オレンジ剤」のせいだとして、除草剤メーカーに対して、帰還兵による集団訴訟も起りまた。1993年に米国の医学研究所(IMO)が「オレンジ剤」に関する報告書を出し、「オレンジ剤」が原因として考えられる症状として、クロルアクネ、軟組織肉腫等5つの症状を特定しましたが、それが、2,3,7,8-TCDDによるものか、除草剤の2,4-D又は2,4,5-Tによるものか断定していません。この他、多くの報告書が出されていますが、未だ結論は得られていないようです。

A イタリアにおけるセベソ事件。

ヨーロッパ人にとってのダイオキシン問題は、1976年、イタリアのセベソで起きた化学工場の爆発事故によって、広く知られるようになりました。これは、合成反応の制御が出来ずに工場が爆発し2-3kgのTCDDがセベソの町に降り注いだ事故です。子供達は面白がって白粉の霧の中で遊び2日後クロルアクネの症状が子供達を中心に多数出ました。しかっし、急性中毒による死亡者は出ませんでした。唯、兎・山羊・馬・牛豚等の青草を食べる動物たちは、多数死にました。この地域の妊婦の内約20%異常出産を懸念して中絶しましたが、皆正常でした。出産にふみきった残りの妊婦から、幾分障害のある子供が二人生れましたが、率としては異常とは言えません。1993年、ミラノ大学労働衛生研究所(IHO)は、ダイオキシンに触れた可能性のある住民37,000人と、事故に無関係な国民182,000人との間の発ガン率を比べた結果を発表しました。これによると、セベソ近郊の住民の方が僅かに多かったが、はっきり多いと言えるレベルではありませんでした。

 

                              

 微量物質の量を表示する単位。                        
ダイオキシン等、微量な化学物質の量を表示する時に、ng/g, pg/g, ng/Nm3, pg/Nm3などの単位が用いられます。これは、例えば水1g中に何グラムのダイオキシンが存在するのか、或いは1立方メートルの気体の中に(0℃換算、これをNm3<ノルマル・リューベと読む)何グラムのダイオキシンが含まれているのかを表わしています。

 ngとかpgというのは以下のような量です。

  @重量の単位

単位の記号 読 み 方 グラム換算
グラム  1g
mg ミリグラム  1/1,000g
μg マイクログラム  1/1,000,000g
ng ナノグラム  1/1,000,000,000g
pg ピコグラム  1/1,000,000,000,000g
 
pgが1兆分の1である事から、pg/gという単位は比率を表わす事になります。%は比率の単位として良く知られていますが、ダイオキシンのように微量な単位が必要な場合には、以下のような余りなじみのない比率の単位で表わされます。

   A比率の単位

単位の記号 比 率 指数表示 参 考
1/100 10¯2  
mg/g 1/1,000 10¯3  
μg/g 1/1,000,000 10¯6 ppm
ng/g 1/1,000,000,000 10¯9 ppb
pg/g 1/1,000,000,000,000 10¯12 ppt

ppmという単位は、かつて公害問題が騒がれだした1970年頃に、馴染みとなった単位ですが、ng/g とか pg/g といった単位は、ppmの更に千分の一、百万分の一という極めて微量な単位です。分析化学の飛躍的な進歩によるものですが、余りにも微小な単位ですので、具体的なイメージを得るために、次のような例を考えてみましょう。

 『たて・よこ・高さが夫々100mの巨大な水槽を考えてみて下さい。大変大きな水槽で、東京ドームと同じ位の容積です。この中に水を一杯入れると、水槽には100万トンの水が入ります。これをグラムで表わすと1兆グラム(10の12乗)となります。この巨大な水槽に1gの砂糖(1cm角くらいの角砂糖を考えてみて下さい)を溶かしたとします。この時の砂糖の濃度が 1 pg/g 又は 1 ppt なのです。気が遠くなる様な単位ですね!』




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