「塩ビ」とダイオキシンの関係・・・学術文献等で報告された事。

都市ゴミと一緒に「塩ビ」を燃やした時、ダイオキシンの発生量と「塩ビ」の混入量との間に相関関係があるのかと言う問題について、これまでに多数の研究報告が出され、「相関なし」「相関あり」の判断が相半ばしていました。そこで、決着をつけるために、米国機械学会が極めて包括的な調査研究を行っています。この報告書の内容を下記に抜粋します。

産業廃棄物の塩素含有量と焼却炉排ガス中のダイオキシン濃度との関係について
    (米国機械学会報告書・ASME Research Report,1995)

この報告は既存設備の実態調査、或いは各所での実験結果をまとめたものであり、その概要は以下の通りです。

@ 産業規模の焼却炉、169基(都市ゴミ焼却炉、有害廃棄物焼却炉、医療廃棄物焼却炉、他)から得られた1,900件以上の試験結果を調査分析した。

A 90施設の107基の設備では、投入塩素量とダイオキシン濃度が同時に測定されていた。この 内80%に当る90基においては、投入塩素量とダイオキシン濃度との間に有意な因果関係は見られなかった。11%については正の相関、9%については負の相関が見られた。

B 都市ゴミ焼却炉については、18の設備でのデータを解析した結果、「都市ゴミ中の塩素やプラスチック、PVC或いは食塩の量の変化と、ダイオキシン濃度とは目に見える因果関係はない」と結論されている。

C 医療廃棄物焼却炉の内、17の施設で排ガス中の塩化水素濃度とダイオキシン濃度が、同時に測定されているが、14の施設では有意な傾向は見られない。

D 以上及びその他の解析結果から次のように結論される。
    
 『廃棄物中の塩素含有量が、焼却炉排ガス中のダイオキシン濃度に及ぼす影響が如何なるものであるにせよ、その他の燃焼状況の影響を無視する事は出来ない。即ち、廃棄物焼却炉排ガス中のダイオキシン濃度の低減は、廃棄物中の塩素含有量を低減する事だけでは達成できない。


 ダイオキシンは、いつ頃から存在するようになったの?

ダイオキシンは太古の大昔から、地球上に存在しています。

落雷や山火事でも、ダイオキシンは生成される訳ですから、恐竜の生れる以前からダイオキシンは存在していたと考えられます。言い換えれば、ダイオキシンは天然自然物と言う事になります。では何故、今までその存在が知られなかったのでしょうか?それは、余りにも微量で分析する事が出来なかったからなのです。

1950年代は分析精度が未だ0.1%程度でしたから、とてもダイオキシンが検出される(出来る?)精度ではありませんでした。その後、60年代・70年代・80年代と進むにつれ、分析精度もppm、ppb、pptと10年毎に3桁ずつ向上して行ったのです。

そして、私達の生活環境のいたる所からダイオキシンが検出されるようになって来ました。勿論、人体からも検出されました。また、小動物での動物実験も繰返し行われ、その結果の一部が困った事に、大きく報道されすぎたのです。すなわち、「ダイオキシンは人類最強の猛毒である」と言うセンセーショナルな報道がそれです。この報道のお蔭で、ダイオキシンに対する現在のイメージが、すっかり定着してしまう事になったのです。

しかし、ダイオキシンは、人類の誕生以前から地球上に存在し、その後もずっと私達と共存し続けて来た化学物質なのです。最近になって降って湧いたような化学物質(例えばPCBやサリンのような)とは違うのです。ただ、産業活動が拡大している事は事実であり、その観点からすれば、ダイオキシンが増加しているはずだ、と考えるのは当然の事です。大切な事は、ダイオキシンが発生しないような焼却炉を作り、燃焼条件を管理すれば、何も恐れる事は無いのです。経年変化も調査をする場所で異なる結果になるのでしょうが、下に環境庁の調査結果の一部を示しておきます。これは、利根川・琵琶湖・東京湾の三ケ所(形態的には河川・湖沼・海域の3形態)で測定されたものです。

 環境へはどの程度のダイオキシンが排出されているのですか?

わが国におけるダイオキシンの年間排出量は、約5,100〜5,300-TEQと推定されており、この内、燃焼工程からの排出量が大半を占めます。また、主要な排出源の排出割合は、一般廃棄物焼却施設が約80%、産業廃棄物焼却施設が約10%、残りの10%が金属精錬施設となっています。
 発生源別のダイオキシン発生量は、概ね下表のようです。

発生源別ダイオキシン発生量 [g-TEQ/]
発 生 源 ダイオキシン排出量 備   考
[燃焼工程]   一般廃棄物焼却炉は「ゴミ処理に係るダイオキシン類発生防止ガイドライン」より。その他は、平岡京都大学名誉教授の試算より。
 一般廃棄物焼却 4,300
 産業廃棄物焼却 547〜707
 金属精錬 250
 石油添加剤(潤滑油) 20
 たばこの煙 16
 回収黒液ボイラー(*) 3
 木材・廃材の焼却 0.2
 自動車排ガス 0.07
 小  計 5,410〜5,300  
[漂白工程] 0.7 環境庁試算
 晒クラフトパルプ
[農薬製造] 0.06 環境庁試算
 PCNB
合  計 5,140〜5,300  

(*)紙パルプ工場で回収された廃液を燃料として使用しているもの。

[参考資料]
 *厚生省、ごみ処理に係るダイオキシン類発生防ガイドライン    (1997.1)
 *平岡正勝、廃棄物処理におけるダイオキシン類の生成と制御  廃棄物学会誌(Vol.1 p20-37) 等。



 達の環境中に、ダイオキシンはどれくらい存在するので すか?

@ 大気中

 環境庁の調査によれば、下表のように全年度平均で0.6pg-TEQ/m3程    度と報告されています。

[pg-TEQ/m3]
地  域 平均値(最小値〜最大値)
平成2年度 平成4年度 平成6年度 平成8年度 全年度
工場地帯近傍
住宅地域
0.57
(0.11-1.12)
0.63
(0.12-1.03)
0.63
(0.10-1.33)
1.00
(0.38-1.67)
0.61
(0.01-2.73)
大都市地域 0.66
(0.22-2.73)
0.60
(0.04-1.37)
0.37
(0.03-1.10)
1.02
(0.30-1.65)
小都市地域 0.71
(0.01-1.16)
0.36
(0.01-1.36)
0.20
(0.10-0.60)
0.82
(0.05-1.56)
バックグラウンド
 地域
0.19
(0.01-0.46)
0.01
(0.00-0.02)
0.02
(0.01-0.04)
0.07
(0.05-0.10)
0.03
(0.01-0.05)

[環境庁大気保全局]
 全年度平均値は、全年度を通して測定している地点についての平均値。

A 河川その他

 環境庁の平成7年度の調査結果によれば、下表のようになっています。

[環境庁環境保健部]
対象 測定場所 検体数 単位 中央値 最小〜最大
東京湾・伊勢湾
瀬戸内海・他
18 pg-TEQ/l   0〜0.3
底質 河川
湖沼
海域
12
5
18
pg-TEQ/g 0.18
27
13
0〜4
14〜44
0.26〜75
河川
湖沼
海域
12
4
18
pg-TEQ/g 0
0.3
0
0〜0.5
0〜10
0〜7.5
海域 1 pg-TEQ/g 0.47  


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