ダイオキシンとは何ですか?

現在ダイオキシンと言われているものは、「ポリ塩化・ジベンゾ・パラ(P)・ダイオキシン」(PCDD)と 「ポリ塩化・ジベンゾ・フラン」(PCDF)の総称で、ダイオキシン類と言う事もあります。 その構造は下記のような化学構造式で表わされます。

@ PCDDの場合は、2つのベンゼン環が2の酸素で結合されており、それぞれのベンゼン環のまわりには、いくつかの塩素原子が結合している構造になっています。ダイオキシン(dioxin)とは、上記正式名称の最後の部分の名称で、これは2(di:「ダイ」または「ジ」と発音する)の酸素(Oxin)と言う意味です。PCDD はこのような構造を持つダイオキシン類の総称なのです。

A PCDFの場合は、2のベンゼン環が1の酸素で結合された構造になっています。フランと言う名称は、PCDFの中央にあるベース型の構造をフラン環と言うところから来ています。PCDFは、このような構造を持つダイオキシン類の総称です。

B ベンゼン環のまわりの数字は、原子の結合位置を示します。

C ベンゼン環の中の円は、6の電子が環の中を自由に動き回っている事を表わします。

D ベンゼン環の中から引かれた線とCl (塩素)記号は、ベンゼン環の任意の位置に任意の個数(この場合は4まで)の Cl が結合しうる事を表わしています。


 ダイオキシンの具体的な構造は?

例えば、ダイオキシンの中で最も毒性が強いと言われているものは、下図のようにPCDDの2・3・7・8の位置に塩素が4結合した構造になっています。この場合の名称の表記のしかたは、塩素が4ある事を表わす Tetra と、塩素の結合位置とから、2,3,7,8-T4CDD (又はTCDD)と表わします。

図からわかるように、ベンゼン環の結合位置に、1〜8まで塩素結合が出来ます。更に、例えば4の場合 (1,3,6,7) とか (2,4,6,8) とか色々な組合せが考えられます。このような構造のものを異性体と言いますが、PCDDでは全部で75、PCDFでは135の異性体が知られています。
 塩素の結合個数によって表記のしかたは下表のようになります。

Cl数 英語名 PCDD PCDF
1 Mono M1CDD M1CDF
2 Di D2CDD D2CDF
3 Tri T3CDD T3CDF
4 Tetra T4CDD T4CDF
5 Penta P5CDD P5CDF
6 Hexa H6CDD H6CDF
7 Hepta H7CDD H7CDF
8 Octa O8CDD O8CDF
異性体数 75 135
 

ダイオキシンの異性体は全て同じ毒性を持つのか?

種類によって毒性は全く異なり、無毒と考えられるものも沢山あります。従って、発生したダイオキシンの量を単純に合計して、毒性を判断すると大きな間違いを起こす事になります。そこで、毒性等価係数(TEF:Toxic Equivalent Factor)と言う考え方が出てきました。これは、毒性の最も強い2,3,7,8-TCDDの毒性を 1 として、他のダイオキシンの毒性の強さを、相対的な係数として表わしたものです。このTEFは数多くの実験結果から求められたものですから、当然、研究機間によって違ってきますが、現状は、国際的に統一されたものが、International TEFとして一般的に使用されています。

International TEF
塩素数 PCDD系 TEF PCDF系 TEF
4 T4CDD
2,3,7,8-
その他
1
0
T4CDF
2,3,7,8-
その他

0.1
0
5 P5CDD
1,2,3,7,8-
その他

0.5
0
P5CDF
1,2,3,7,8-
2,3,4,7,8-
その他

0.05
0.5
0
6 H6CDD
1,2,3,4,7,8-
1,2,3,6,7,8-
1,2,3,7,8,9-
その他

0.1
0.1
0.1
0
H6CDF
1,2,3,4,7,8-
1,2,3,6,7,8-
1,2,3,7,8,9-
2,3,4,6,7,8-
その他


0.1
0.1
0.1
0.1
0

7 H7CDD
1,2,3,4,6,7,8-
その他

0.01
0

1,2,3,4,6,7,8-1,2,3,4,7,8,9-
その他

0.01
0.01
0
8 O8CDD 0.001 O8CDF 0.001

(注)毒性のあるダイオキシンは、塩素が必ず2,3,7,8-の位置に
入っていることが必須条件になっています。


 

毒性の強さは、どのように表示するのですか?

一般的には、2,3,7,8-TCDDとの等価毒性量TEQ:Toxic Equivalent to 2,3,7,8-TCDD)で表わします。

或る場所のダイオキシン測定量が1,000ng/Nm3(ng:ナノグラム,Nm3:ノルマル・リューベ)であったと仮定します。その数値を見て、それが何かを直ちに判断する事は危険な事です。International TEFから分かるように、もしダイオキシンが全量2,3,6,9-TCDDであったとすれば、これは全くの無毒と言う事になります。もし全量O8CDDの場合は、2,3,7,8-TCDD換算で1ng/Nm3という事になります。このように、検出されたダイオキシンの量をそのまま表示すると、判断上色々混乱を招く事になります。
 以上のような理由から、ダイオキシンの量は、一般に2,3,7,8-TCDDのの毒性に換算して表示されます。これを「2,3,7,8-TCDD等価毒性量」と言います。前記のO8CDDの場合は、[1ng-TEQ/Nm3]と表示されます。一般にTEQは次式から求めます。

     TEQ=Σfi/gi     fi:i番目の種類のダイオキシンのTEF
                 gi:i番眼の種類のダイオキシンの量

ダイオキシン問題を取扱う上で、注意しなければならない点は:-

     @ 表示が等価毒性になっているか?
     A ダイオキシンの量の単位は何か?
  
の二点です。これを無視すると、ダイオキシン問題を冷静に判断出来ないばかりか、いたずらに恐怖心を掻き立てる事になってしまいます。



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